金沢克彦さん恒例の毒舌生解説 世間に届いた極悪女王とジュリア自叙伝
テレビ朝日『ワールドプロレスリング』での元解説者であり、元『週刊ゴング』編集長の金沢克彦さんの恒例トーク。24日、大阪プロレスバーカウント2.99にて『”プロレスBARカウント2.99旗揚げ14周年記念”金沢克彦ガチンコトーク2024』が開催された。
TAKESHITA「棚橋弘至、俺から逃げんなよ」…何の布石なんでしょうね。やるならトコトン
ノーSNS、ノーツイートで実施されたが、主催者に許可をいただきました。全体からすると2割程度かと思いますが、雰囲気や思いを感じていただければと思います。オフレコとなった大半の内容は参加者の胸の内にとどめていただけますと幸いです。
今回の入場は藤田和之流の入場パフォーマンス。
カウント2.99のコウジマスターと赤まむしドリンクで乾杯となる。
田中将斗戦で使ったというマズルガードを藤田に借りてきて装着、さらに野獣Tシャツ。
コウジ (新日本プロレスの年明け、東京ドーム大会の)イッテンヨンは「ザック・セイバーJr.vs.海野翔太」のメインが確実視され、かなりフレッシュな、冒険でもあるカードとなりました(下記はトークイベント後の発表分も含む最新カード)。
■新日本プロレス WRESTLE KINGDOM 19 in 東京ドーム
日時:1月4日(土)17:00
会場:東京・東京ドーム ※11/27時点発表<IWGP女子選手権試合>
[挑戦者]AZM
(1/60)
[第3代王者]岩谷麻優
※岩谷が9度目の防衛戦<棚橋弘至ファイナルロード・スペシャルシングルマッチ>
EVIL
(1/30)
棚橋弘至<IWGPジュニアタッグ選手権試合4WAYマッチ(1/60)>
[挑戦者]ドリラ・モロニー クラーク・コナーズ
vs
[挑戦者]フランシスコ・アキラ TJP
vs
[挑戦者/SUPER Jr.TAG LEAGUE 2024優勝チーム]藤田晃生 ロビー・イーグルス
vs
[第76代王者]ケビン・ナイト KUSHIDA
※KUSHIDA&ナイトが2度目の防衛戦<NJPW WORLD認定TV選手権3WAYマッチ(1/15)>
[挑戦者]大岩陵平
vs
[挑戦者]ジェフ・コブ
vs
[第6代王者]成田蓮
※成田が初防衛戦<IWGPジュニアヘビー級選手権試合>
[挑戦者]エル・デスペラード
(1/60)
[第97代王者]DOUKI
※DOUKIが5度目の防衛戦<NEVER無差別級選手権試合>
[挑戦者]KONOSUKE TAKESHITA
(1/60)
[第46代王者]鷹木信悟
※鷹木が2度目の防衛戦
※1月4日時点でTAKESHITA選手がAEWインターナショナル王者の場合はNEVER無差別級&AEWインターナショナルダブル選手権試合となる<IWGP GLOBALヘビー級選手権試合>
[挑戦者]辻陽太
(1/60)
[第3代王者]デビッド・フィンレー
※フィンレーが5度目の防衛戦<IWGP世界ヘビー級選手権試合>
[挑戦者]海野翔太
(1/60)
[第11代王者]ザック・セイバーJr.
※ザックが3度目の防衛戦■新日本プロレス WRESTLE DYNASTY
日時:1月5日(日)13:00
会場:東京・東京ドーム ※11/27時点発表<IWGPタッグ選手権試合>
[第105代チャンピオンチーム]HENARE グレート-O-カーン
(1/60)
[挑戦者組]ニコラス・ジャクソン マシュー・ジャクソン
※オーカーン&HENAREが初防衛戦<International Women’s Cup>
※STARDOM、AEW、ROH、CMLLの4団体代表による4WAYマッチ
※4選手同時に試合を行い、いずれかの1選手が勝利した時点で決着とする<スペシャルシングルマッチ>
ジャック・ペリー
vs
辻陽太<スペシャルシングルマッチ>
クラウディオ・カスタニョーリ
vs
海野翔太<スペシャルシングルマッチ>
ゲイブ・キッド
vs
ケニー・オメガ<NEVER無差別級選手権試合>
[挑戦者]石井智宏
(1/60)
[王者]1・4「鷹木信悟vsKONOSUKE TAKESHITA」の勝者
※1月4日時点でTAKESHITA選手がAEWインターナショナル王者の場合はNEVER無差別級&AEWインターナショナルダブル選手権試合となる<スペシャルシングルマッチ>
リコシェ
vs
ザック・セイバーJr.
金沢 けっこうファンがマジで海野に怒ってる(挑戦表明の11月4日、大阪府立体育会館ブーイング。以降SNSでも反響)から面白いですよね。新日本プロレスからしてみれば久々に「してやったり」だと思ってるんじゃないかな。だって、プロレスファン以外の人ってのはそのカードがどうこうってあまり気にしてないわけじゃないですか。プロレスファン以外の人が来るとしたら、プロレスを東京ドームで観に行こうって誘われて…そういう感じでプロレスに対する知識がないわけだから。でもプロレスファンの中では「何だよ、これ」っていう怒りを持って行くわけじゃないですか。ある意味、理想的ですよ。「最高のカードだよ」って思って行くのと「ふざけんじゃねえよ」というのは、真逆のようで同じことですからね。無関心ではないっていう。もちろんコケた場合は大変。海野翔太への風当たりが強烈に出てくる。
[2024-11-14 新日本の世代交代は難しい説 ザックが海野翔太の挑戦を受けた文脈とは]
コウジ 海野選手はプレッシャーもあるでしょうけれど。
金沢 でもね、オイシイですよ。絶対オイシイですよ。
コウジ 海野選手をどのようにご覧に?
金沢 帰ってきた時にびっくりしましたよ。クロスオーバー(2022年11月20日、有明アリーナ)でウィル・オスプレイとめっちゃいい試合をやって。これが「新日本の未来」なんだと思いましたよね。
コウジ そこからまあおよそ2年ですね。
金沢 そこからとどまっているというか、平均値のままずっと来てる感じですよね。で、その間にフレッシュな同世代もやって来て。いろいろ言われているこのカードですけれど、肯定でも否定でもなく、新日本プロレス公式のコラムでは見解を書いたつもりです。最近の新日本のファンは優しすぎるところがあるから、そのファンが本気で怒ってるってことは、海野にとっては大チャンスだって。もちろん結果を出せなかったら本人にかえってくるわけだし。そういう書き方をしたら…もうね、ツイッターのコメント欄にバーッと書かれたみたいで、担当者からも「盛り上がってますよ!」って連絡をもらって(笑)。
コウジ 「見ない」ことがいちばん怖いんだけど、それだけ興味を持たれていると。
金沢 じゃあIWGP王者ザックの相手、誰がふさわしいかって言われると誰か出てきます? 特にいないでしょ。一通りやってしまったから。誰と見たいかと言えば、マニアックに言えばジェイ・ホワイトとか。でもAEWとの関係で難しかったんじゃないですかね。
コウジ 主要カードが出てきた中で、ドーム決戦で観ておきたいカードというのは。ベストバウトだろうなというのは(1月4日に組まれている)「鷹木信悟vs.KONOSUKE TAKESHITA」だろうと。
金沢 間違いないでしょうね。これは鉄板ですね。TAKESHITAって『G1』中に「棚橋弘至、俺から逃げんなよ」って言い始めたじゃないですか。あれって何の布石なんでしょうね。
TAKESHITA「棚橋弘至、なんかのコメントで読んだよ。今、若い選手がオメーとみんな闘いたがっていて、それがまるで最後の思い出作りのようだって。俺は違ぇよ。復讐だ。あれからDDT、メチャクチャになったんだよ。全部オメーのせいだ。『G1』終わったら、俺から逃げんなよ」https://t.co/KWxcG4byet pic.twitter.com/NRcFOQb2aP
— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) August 7, 2024
コウジ 昔のDDTと因縁がありました。解決している話ですが。
金沢 今さらなところもあるから、これはTAKESHITAがなにか意図をもって仕掛けてきている雰囲気はありますよね。やるんならトコトンやってほしいですよね。例えば、棚橋弘至が負けたら社長退任、TAKESHITAが負けたら即、新日本入りスペシャルとか(笑)。
コウジ ハードルを上げちゃいますね(笑)。
金沢 それちょっといいんじゃないですか。新日本に怒られるかな(笑)。でも盛り上がるでしょ? TAKESHITAに関してはね、『G1』開催中のグッズ売り上げでナンバーワンと聞いています。それくらいの支持ですよ、素晴らしい。
コウジ 新日本に定期的に参戦していただけると盛り上がる。
金沢 次世代とシノギを削っていけば「明るい未来」が。そういえば「(僕は自分の)明るい未来が見えません」(2002年2月1日・新日本プロレス札幌、鈴木健想)というのがあった。「見つけろ!テメエで!」ってアントニオ猪木さんに言われて、困っちゃいましたね。あの札幌での猪木問答の後に猪木さんがバックヤードに戻って来て囲み取材があったんだけど、僕が質問したんですよ。「ということは、今後現場をまかせるのは蝶野(正洋)ということですか?」って聞いたら「ウン、チョーノーリョク(超能力)」って猪木さんがひとこと。これはねみんな一瞬凍りついて、やや間を置いてから「あ、笑うところなんだ」って気づいてみんなで笑いました。猪木さんは「ムフフ」と満足そうでした(笑)。
コウジ “棚橋社長”が1年になり、1年後の引退予定(2026年1月4日)を発表しました。引退試合の相手は誰がいいですか。
金沢 やっぱり…新日本プロレスV字回復の立役者2人。中邑真輔戦を見たいですよね。最後は介錯してもらうと。呼べないことはないと思うし、夢がありますけどね。それに匹敵するのは、次世代がしっかりとベルトを巻いているかでしょう。IWGP世界ヘビーを巻いた新世代の選手がやればいい。
憂流迦戦…真輔選手は何でもできるわけだから。もう全然、試合内容に期待したい
コウジ ノアの年始(元日の日本武道館大会)は「中邑真輔vs.佐々木憂流迦」となりました。
■ノア ABEMA presents NOAH “THE NEW YEAR” 2025
日時:2025年1月1日(水祝)16:00
会場:東京・日本武道館 ※11/27時点発表【発表済み対戦カード】
<スペシャルシングルマッチ>
中邑真輔(WWE)
VS
佐々木憂流迦<GHCジュニアヘビー級選手権試合>
[第56代王者]ダガ
VS
[挑戦者]Eita
※ダガが2度目の防衛戦
金沢 もちろん「(2023年・元日の日本武道館大会)中邑真輔vs.グレート・ムタ」のインパクトにはかなわないんですが、現時点ではベストカードで間違いありません。清宮はGHCのタイトルマッチがあるわけで。中邑真輔の相手として、次点は意外性で藤田和之とか? でも、“仲直り”したからね。
コウジ そうなんですね。
金沢 藤田は真輔にけっこう“恨まれてる”ってずっと知らなかったんですよ。プロレスの出版物とか一切読まないし。でも何かの本の取材を受けたあとに送ってきた本に「真輔があの時、藤田に顔面を蹴られて、口が裂けてもうプロレスやめようと思って。猪木さんの策略で藤田が仕掛けた」みたいな感じの(2004年11月13日、大阪ドーム)。4~5年前に読んで初めて知ったらしくて。「俺、恨まれてたんですね。今度会ったら謝っとこう」って。それで猪木さんの葬儀でたまたま会って「怒ってたんだ、ゴメンね。俺、下手くそだから」と。真輔は真輔で「そんなの全然気にしないでください。昔のことでちょっとカッとした若気の至りですから」ってやりとりだったらしくて。何ごともなかったかのように和解したと。レスラーって、そんなもんですよ。話せばわかり合える。
コウジ 大人になったということもありますんでね。
金沢 だいたい藤田和之が“そんなこと”やるわけないじゃないですか。なんかケンドー・カシンが止めてるのがおもしろかったですよね。おかしな空気にならないように。今度は(そのあと中邑を鉄拳制裁で入った)猪木さんを藤田が一生懸命に止めて。ああいうときに人間性って出るんですよね。1999年の1・4事変(東京ドーム、橋本真也vs.小川直也)で小川の暴走で橋本がぐちゃぐちゃにされて新日本とUFOがやり合ったときも、一番冷静に止めてたのがカシンだったっていうね。一番喧嘩っ早いはずのカシンがちゃんと止めてるっていうね。ああいうところに人間性というか、実は一番常識のある人間だっていのが行動にも出るんですけど。
コウジ そんな中で元日の日本武道館大会に向かいます。
金沢 事前の期待が「中邑真輔vs.佐々木憂流迦」はまだまだだとは思うけど、事前の期待が低いかもしれないですが、そのぶん、面白いもの見せてくれたら最高じゃないですか。そりゃだって、やってみなきゃわかんないんだから。
[2024-11-23 佐々木憂流迦が「素」で応じた囲み取材 プロレスは「嘘がきかない」もの]
コウジ そうですね。
金沢 だからどうなんだろう? 憂流迦は「プロレスが難しい」「自分まだプロレスに関しては全然ダメなんだ」みたいな考えであるかもしれないけど、なんか中邑真輔の格闘技的な面が出ても面白いと思う。真輔は別にどうとでもできちゃうわけじゃないですか。何でもできるわけだから。だからもう全然、試合内容に期待したいですね。
コウジ ノアも変わりつつあります。齋藤彰俊選手も引退して。
金沢 そうですね、彰俊選手とは本当に僕は思い出深くてね。そういえば藤田和之のシングル初勝利の相手って齋藤彰俊なんですよね。デビュー16戦目で大先輩じゃないですか、ごぼう抜きで大阪府立(1996年12月10日)でしたよ。彰俊は新日本時代終盤にドン・フライ戦(1998年10月18日、神戸ワールド記念ホール)があったんですけど、その前後の大会で僕のところに挨拶に来て「実は新日本プロレスを退団することになりました。プロレスをやめるわけじゃないんですけど、ちょっと自分の中で一つ限界感じたんで、他の仕事してみようと思うんで。一般職というか、なんか仕事してみたいと思うんで。金沢さんには本当にお世話になってありがとうございます。ただ自分がもし、もう1回やる気になってプロレスやろうっていうときには、金沢さんに一番最初に報告しますから」と言って。それから本当にね、2年後ノアに上がる前に電話が来て。「金沢さん、プロレスに復帰してノアに上がることになりました」って、ちゃんと約束守ってね。律儀な男ですよ。
コウジ そうなんですね。
金沢 彰俊はもともと水泳でオリンピックの強化選手だったでしょ(インターハイ、インカレ、国体、日本選手権で優勝し、ユニバーシアード、パンパシフィックの日本代表、オリンピックの強化選手となる)。めちゃくちゃ運動神経がいいんですよね。空手よりも水泳で将来を嘱望されていたくらいで。サイパン合宿のときプールで泳ぎを見せてもらったら、もう平泳ぎの4かきくらいで端から端まで行ってるんじゃないかってくらい。
ロッシー小川さん側は何かを計画して、何か企んで、陰でこそこそしたことは何もない
当記事では掲載を控えるが、スターダム選手のマリーゴールドへの移籍が金沢さんの見立てで語られた。スターダムからは2024年3月末をもって林下詩美、ジュリア、MIRAI、桜井麻衣、ビクトリア弓月の5人が退団した。
金沢 (マリーゴールドを率いている)ロッシー小川さんって適当と思えるところも少しあるんだけど、その適当さがいつもいい方向につながるんですよ。もしアクトレスガールズ勢が来てなかったらちょっとやばかったですよね。人が足りないところもありましたから。そしたら素材を持った有望な選手がいっぱい来たわけじゃないですか。だから一言言えば、ロッシー小川さんが何かを画策して、陰でこそこそ引き抜きしたとか、そういうのは何もないんです。
コウジ 何もない、全くないと。
金沢 ただ、これはまた別の話なんだけど、陰でどうもAEWの某選手がWWEとかに結構いろんなことを吹き込んでるらしいんですよね。ロッシーさんの悪口ですよね。紫雷イオ(イヨ・スカイ)がマリーゴールドに上がったのもあるし、今後そういう動きの邪魔をしたかったんじゃないでしょうね。
コウジ 最近のスターダムをどう見てますか。
金沢 東スポプロレス大賞がどうなるかはわからないけれど、僕の中では岩谷麻優がダントツでMVPですね。 IWGP女子の防衛ロードが見事だった。僕の感覚では今までの岩谷麻優は3か月に1回くらいスイッチが入る選手。ガツガツしてなくてマイペースなんですよ。でも今年は毎月スイッチが入ったくらいのインパクトがある。以前からジュリアともよく話していたけど、彼女も麻優の技術には一目置いていたからね。その岩谷麻優と比較すると、他の選手がまだまだ個性が生かされていないというか横一線みたいに映ってしまう。一線級の選手がそろっていて層も厚いのにもったいないところがあるような。
コウジ マリーゴールドをどう見てますか。
金沢 一大会で7試合あったら7試合の全てとは言わないけれど、すごく面白いですね。この前のね、MIRAI&桜井麻衣(ミライサク)vs.林下詩美&天麗皇希、ツインスター戦(11月14日、後楽園)が予想以上によかったんですよ。青野未来vs.翔月なつみ、UN戦もめっちゃよかった。そしてこれからスーパールーキー山岡聖怜もデビューを控えているという。スターダムに次ぐ団体がしっかりと立ち上がったと見ています。
コウジ 世間では『極悪女王』(Netflixにより製作、9月19日より配信)も話題で。
金沢 その効果で昔の選手たちもスポットを浴びてますよね。よく言われていることですけど、「ブック」とか「ブック破り」という言葉は僕も聞いたことがないです(なぜこの言葉が使われたかの見立ても語られるが、当記事では割愛。さらに全日本女子プロレスの当時の逸話も披露される)。フィクションとなっているけれどレスラーが実名なので、ならばノンフィクションでやってほしい気もしました。その曖昧さが気になったんだけど、役者が真剣にプロレスに取り組んでいた、頑張ったのはすごいなと思いました。
コウジ 当時の再現性には驚くドラマでした。
金沢 その流れから現代の女子プロレス自体ってのがまたクローズアップされた中で、『My Dream』ジュリア自叙伝(集英社グループのホーム社より8月23日発刊)にもつながるわけですよ。なのにプロレス業界がスルーしているところがあるのは残念ですね。プロレスラーの自叙伝で読売新聞に書評が載る。読売新聞オンライン、週刊文春、週刊新潮に書評が出る。ありえないじゃないですか。ありえないことがちゃんと起こってるわけです、実際に。でもプロレス業界は見て見ぬふりでスルーするわけですよ。自分のところ、利益に関係ないことはスルーするんですよ。
コウジ なるほど。
[2024-11-09 ジュリア自叙伝My Dream書評 すべての開示は未来の女子プロレスのために]
金沢 どの媒体も「女子プロといえばジュリア」というくらいに取材して記事を出していたわけじゃないですか。ほとんど話題の半分がジュリアだったわけじゃないですか。ネット記事も含めて。それがね…。
コウジ そうなっていますね。
金沢 (制作をサポートした)僕ら的には作戦は成功したんですよ。スポーツ選手、芸能人の自叙伝っていうのはブックライター、ゴーストライターが必ずいるわけ、まあおそらく90%以上ゴーストライターがいるわけです。だけど、ジュリアが本当に書いたわけだから。自分が修正したり、本人に付け足しを求めたとこっていうのは本当に一部なんですよ。
コウジ なるほど。
金沢 あえてね、ジュリアらしさを活かすために、書き言葉に関しても話し言葉の書き方のままにして乱暴なまま行ったり、それはもう僕のサジ加減で全部やったから。あの本にはいっさい後付けなどで「金沢の名前は出さない」と最初から編集責任者と決めていた。構成=金沢克彦、協力=金沢克彦とか記載があると、僕がゴーストをやったと思われるから。だいたい、名前を記載しなくても誰かゴーストライターがいるんだろうな? と思われてしまう。だから、ジュリアには書いても『あとがき』にとどめるくらいでって(ジュリアは「大変お世話になった方が金沢克彦さんでした。私の拙い文章をなるべくそのまま残してくださり(中略)アドバイスもたくさんいただきました」と記載)。だから僕は「ジュリア本人が書きました」っていうのをまず率先して宣伝できたわけだし。その戦略が当たったなあって。一般のメジャーな複数の媒体でプロレスラーの自叙伝が紹介されたのは、彼女がやっぱり本当に書いたっていうことが伝わったということ。彼女も正直にものを書いた。なによりジュリアには文才がありました。それに本全体の構成もしっかりと頭に描いていたからね。話がめちゃ面白いですよね。僕はだって、原稿が送られて来るたびにめっちゃ面白いと思って読んでいたから。次を早く読みたいって。
コウジ こんなこと今までありえないこと。
金沢 『極悪女王』とかぶる部分はあります。『極悪女王』のあの時代のダンプ松本がいかに虐げられる中でスターになっていったかっていうのと。時代はもう何十年と違えどジュリアにもそういう経験があるっていうのがダブった。だから『極悪女王』と『My Dream』を重ねて論評する媒体が結構あったでしょ? そこはタイミング的には最高だったかな。だけど、とにかくジュリアが(WWE移籍に伴い9月より)アメリカに行くまでに出すのが大変だったんですよ(笑)。
コウジ けっこうタイトなスケジュールで。
金沢 僕は正直、自分で本つくるよりも真剣にやりました。自分で書いた本がコケても自分の責任。でも、やっぱり人に頼まれたものを引き受けたんだから。絶対に成功させなきゃいけない。これだけ世間的にね、こんな高い評価してもらったのはすごく嬉しいです。
[2024-11-27 金沢克彦 ノーツイートにも程がある!?]