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柴田勝頼が初めて“試合復帰”に言及 オカダ戦2017年4月9日から3年

新日本プロレス, 柴田勝頼

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 あの日、オカダ・カズチカとのIWGPヘビー級戦に敗れ、救急搬送されたザ・レスラー。そのまま長期欠場に突入したものの、リハビリを兼ねつつのロサンゼルス道場ヘッドコーチとしての活躍は周知のとおりだ。2017年4月9日からちょうど3年。

 同じ『SAKURA GENESIS』の名で開催されるはずだった“春の両国”は新型コロナウイルス感染禍で中止となった(3月31日)。都内を中心に花見が自粛され、咲いたサクラさえ見に行けない事態である。

 こんなときだからこそ、世の中には柴田勝頼が足りない。ザ・レスラーの回復への道のり。ここからは、試合はなくとも“苦闘”があったことが確認できる。かつ、マット上でなくともザ・レスラーとしての生き様が貫かれている。

 きょう2020年4月9日。改めて柴田勝頼を発信したい。「生まれたときから新日本プロレス」を自認する男の奇跡と軌跡、そしてメッセージを受け取っていただきたい。(当サイトで以前にエントリー済みの2年半記事に残り半年を追記)

2017年

4月9日の両国国技館大会でのオカダ・カズチカ戦直後に倒れ、救急搬送された柴田勝頼。早急かつ適切な処置があり血腫の量も少なかったとされたものの、「硬膜下血腫」との診断で5時間超の緊急手術を受ける。この際に外した一部の頭蓋骨は、5月2日の再手術において戻された。抜糸を経て5月下旬に退院、眼の状態が良くないため強い電流を流して脳と眼に刺激を与える特殊な治療を開始した。

長期欠場が濃厚となった柴田は、オカダにメッセージ。「ケガのことは気にするな。常にそういうものだと思って試合をしているから。何も後悔していない。ちゃんと生きているから大丈夫。お前も頑張れ」。4月末に菅野洋介トレーナーを通じて連絡があったことを、のちにオカダがメディアからの取材の中で明かしている。

6月の日記では、自身の症状名が「同名半盲」であることを明かす。両眼ともに右半分が見えていない。聞いた方が絶望的になるということで、この症状をファンに伝えることを柴田は避けていた。あえて明かしたのは、治ることが難しいと医者に言われているにもかかわらず若干の視界の広がりを得たからだという。7月には頭や顔の腫れもひいてきたことから「人と会って話をする、飯を食う」機会も。8月に入ると、電気治療のここまでの取り組みから「リハビリと治療の段階がもう一段階上がった」と報告した。

G1クライマックス最終日が近づいた8月10日、柴田は会場でのファンへの挨拶を会社に申し入れる。8・13両国大会で大シバタコールに男泣きしつ、「生きてます! 以上!」と絶叫マイク。登場自体で『百聞は一見にしかず』とばかりに奇跡的な回復ぶりをファンに示唆した。バックステージではカメラのフラッシュにはまぶしそうにしたものの、「また、シッカリしたかたちで会えるようにがんばります」とリハビリ継続を約束。電気治療に加えて、両国登場明けからは高気圧酸素治療(医療用の酸素カプセル)をスタートする。

両国登場からさらに4か月後の12月11日・福岡大会、柴田はサイン会に登場した。長蛇の列をなしたファンに対応し、「何よりも自分自身がたくさんのエネルギーを頂きました」と振り返る。ストレスや副作用の関係で約2か月半休んでいた治療の再開の方向を日記に記した。1年を総括した際に、オカダ戦後の手術での生存率について「術後、実際のところ助かる確率が18%以下だったと聞かされました」と告白しつつ、根気と長い時間を必要とするリハビリ、トレーニングの継続を宣言している。

2018年

年が明けて、2018年1月3日の大プロレス祭りサイン会に柴田が登場する。「これは動けるようになったら必ずやろうと思っていた目標の一つ」ということで、サイン会場スペースにはTAKAYAMANIAの募金箱(高山善廣のリハビリ支援)が設置された。1月4日の東京ドーム大会にも足を運んだ柴田は、「新日本プロレスらしさの足りない大会にも感じた。足りないと感じたモノは、自分が個人的に追求していけばいいかなと解釈しております」と“らしい”コメント。

「最近、調子の良い時は歯を食いしばらずに懸垂が7回ほどできるようになって参りました。本当はもっと出来るのですが、力を入れ過ぎたり歯を食いしばると頭に血がのぼって良くないみたいなので」とトレーニング上での変化も明かした柴田。新しい年にあたり「自分自身、まだまだリングにどうこうという段階では無いのですが、半年前より随分と(懸垂やサイン会を含めて)いろんな動きができるようになっております。今年は動ける範囲でいろいろと動いていきたいです」とする。

1月18日には都内『2017年度 東スポプロレス大賞』授賞式に顔をみせた柴田。オカダ戦以降で公の場に出たのは4度目。頭部の怪我のこともあり、この授賞式を前に足を運んだ美容室は10か月ぶりとなった。3月に入ると、ロサンゼルス道場のヘッドコーチに柴田が就任したことが新日本から告知された。日本のプロレスの歴史を練習生に伝えながら、現役選手のままで自身のリハビリも進めていくことを宣言している。

3月の同時期の日記では、眼科医が驚くほどの視界の回復(1/2程度だったものが、調子によっては3/4程度まで)、ロサンゼルス道場で過去最高のコンディションを目指す意思など怪我からの1年の経過・心境を長文で綴ってみせたが、詳細を書き過ぎたと思い直したのか大幅削除する一幕も。

欠場入りから1年経った4月4日発売分『週刊プロレス』誌でのインタビュー。柴田自身の“復帰”はあるのか? 柴田は自身のケガを「皆さんが思っている以上に時間がかかるもの」「自分もよくわかんねえよ」とした半面、「1年でここまでの回復って医者もビックリするレベル」なんだという。このくだりで「1年経つ前にアクションを起こしたかったっていう部分では、(志願してヘッドコーチに就任したことで)目標というか、一つケガには打ち勝ったかなと思っております。これも自分の中のプロレスなんですよ」との言葉が出た。

6・21後楽園ホール大会では、スーパー・ストロング・マシン引退セレモニーに魔界倶楽部の一員として花束を持ってリングイン。8月に入ると、柴田は日記で道場ハウス(道場生寮)開設を報告した。寮には4名の受け入れが決まっており、日々の合同練習は他の若者含む10人前後の規模なんだという。ロサンゼルス道場コーチ活動が本格化する一方で、キャンプの合間を縫いつつ何度か一時帰国。柴田は会場でのサイン会、検査やファイプロ音声収録をこなした。サイン会では4・14後楽園ホール大会、6・9大阪城ホール大会、8・2福岡大会、8・4大阪大会、8・12日本武道館大会、10・26後楽園大会に登場し、ファンとのコミュニケーションをとっている。

また、8・12武道館大会では、G1クライマックス優勝決定戦にて棚橋弘至のセコンドとして登場。制覇した棚橋を肩車で祝福するなどの盟友との熱きシーンはファンを歓喜させた。試合前に柴田から棚橋にかけた言葉は、棚橋によると「新日本プロレスを見せろ」だったが、15日更新分日記では「アイツらに新日本プロレスを見せてやろう!」だったと柴田は振り返る。肩車までできたことで「1年前と比べて随分とリングに近づいてきたという感触があります」と綴った。

9月~11月には公式YouTubeにて『ザ・レスラー 柴田勝頼 LA道場密着ドキュメンタリー「CALIFORNIA DREAMIN’」』が5回分に渡って公開された。「自分にしかできないことですよ、とにかくやっていきたいことは。他の選手に務まることだったら俺はここはすぐ降りてもいい。俺にしかできないことをやる」などとヘッドコーチへの意思が改めて語られた。デカくなった上半身の披露もありつつ、ヘッドギアをつけてスパーリングに参加する風景も挿入されていた。

「(新日本の海外進出を見て)いいんじゃないですか。やっぱり、スポットライトは魅力的で『あの中に行きたい』という気持ちにはなりますね。この前のカウパレスも、遠くから見ていて、あの中心がいいなぁと」とも。ドキュメンタリーは第5回にて、現地時間・9月30日(日)アメリカ・WALTER PYRAMID大会においてのLA道場生デビューマッチ「アレックス・コグリンvs.クラーク・コナーズ」へと辿り着いている。また、現地時間・11月10日(土)カルフォルニア州アナハイム大会ではLA道場“第3の男”カール・フレドリックスがデビューを果たした。

2019年

2019年も、1月3日の大プロレス祭り、3月23日の長岡大会、6月5日の両国国技館大会と精力的にサイン会に繰り出している。大プロレス祭りではモノマネ芸人(棚橋弘至、中邑真輔に扮する)と並んで“新闘魂三銃士”ショットを披露する場面も。

コグリン、コナーズ、フレドリックスも参加となった現地時間・1月30日ロサンゼルス大会、2月1日シャーロット大会、2月2日ナッシュビル大会の新日本プロレス3大会では、米政府機関閉鎖の影響で多くの日本人選手のビザが取得できず不参加になる異常事態が発生した。挨拶が予定されていた柴田は観客に謝罪しつつ「俺が新日本プロレスだ。俺たちは新日本プロレスだ!! そしてLA道場こそ新日本プロレスだ!!」と宣言する。のちの柴田の日記では、会社の姿勢として「“ごめんなさい”の一言がないのが一番良くない」という思いがあったことを告白した。

3月24日、長岡大会での『NEW JAPAN CUP 2019』優勝決定戦にオカダが進出した。実況席に座った柴田は「私がここ(長岡)に来るのが2年ぶり。(制覇して)挑戦を表明した(相手だった)のがオカダだった。人生って面白い」と吐露する。試合を制したオカダが柴田との“再会”後のバックステージで涙すると、柴田は「オレは生きてるから安心しろと。大丈夫だ、泣くな。いろんなものを背負ったうえでマディソンで試合(ジェイ・ホワイトとのIWGPヘビー級戦)をしていただきたい」とエールを送った。

6月9日、大阪城ホール大会において柴田がソウルメイトであるKENTAを呼び込み、KENTAが夏のG1クライマックス参戦を表明した。バックステージでは、「友だちが少ないところも似てるし」としたKENTAと「友だちが多いと、闘いづらいからね。唯一、ボクの数少ない友だちを連れてきました」とした柴田が意思疎通を図った。

6月24日には“同級生”後藤洋央紀と“ヘッドギアをつけていない”柴田のスパーリング風景が公式YouTubeにて公開された。

柴田につないでもらうことで新日本参戦が実現したKENTA、LA道場で約1か月に渡る特訓を経た後藤洋央紀、アンダーカードに名を連ねたLA道場勢(コナーズ&フレドリックス)。この顔ぶれを帯同するかのごとく、LA道場ヘッドコーチ・柴田は真夏の祭典G1クライマックスの全戦を視察した。柴田の試合前サイン会は、7・14大田区、7・15北海きたえーる、7・18後楽園、7・24広島、7・27名古屋、8・1福岡、8・3大阪、8・10武道館の8大会に渡った。

7・14大田区大会での棚橋弘至vs.KENTA戦では、柴田が中継での解説を務める。戦前の棚橋による「迷子」という開幕戦KENTA評に「俺が連れてきたのは(WWE時代の)ヒデオではない。KENTAだ」と同意したが、棚橋を料理してみせたKENTAの闘いぶりを「今日は本当にKENTAでしたね。迷子が意外と道を見つけるのが早かった」と好評価した。

7月27日には販売サイトを通じてデビュー20周年DVDの10月発売が明らかとなり、サイン会でのファンとの会話では「今まさにつくってるところです! ボクのDVDですよッ!」との言葉も飛び出す。8月6日には、KENTAと一緒にリハビリ中の高山善廣を訪問した。

8月12日、日本武道館大会にてKENTAがタッグパートナーを裏切り、バレットクラブ入りを表明した。これに怒った柴田がリングイン、番外戦ではあったが2年4か月ぶりにプロレス技を披露する。Tシャツを脱ぎ捨てるや、ビルドアップされた肉体と美しいフォームで串刺し式低空ドロップキックを敢行! 柴田の雄姿に大シバタコールが爆発したが、「どこ行っても、どこのリングでも、ちゃんとKENTAでいろ。迷子が道を見つけられて、よかったじゃん」とソウルメイトに“別れ”を告げた。

9月4日から開幕するシリーズで約2年ぶりに『ヤングライオン杯』開催となり、柴田が指導するLA道場からもクラーク・コナーズ、カール・フレドリックス、アレックス・コグリンの3名が参戦した。「実際は日米道場対抗戦ですよ。自分の教え子たちを日本に送り込むのが、1つの目標というか第一段階でもあった」と意気込んでシリーズに突入した結果、9・22神戸大会ではフレドリックスが優勝を果たす。柴田は“LA道場での1年半”に間違いがなかったことを実感するとともに、野毛道場・成田蓮からの直訴「僕をLA DOJOに連れて行ってください」を受け入れた。

10月10日に柴田のデビュー20周年DVDが発売となる。これまで語り切られてはなかった自身の考えを、柴田はインタビュー映像で発信した。新日本のスピリットが柴田にあるという見られ方をすることについて、柴田は旗揚げメンバーである柴田勝久を父に持つ血筋を「生まれたときから新日本」ととらえる。「だからそういう見え方になってるんじゃないですか。海外からでも一般のファンの人からも。自分で言わなくても、ストロングスタイルに見えたり、新日本プロレスに見えたり」と客観視した。かつての「辞めるのが新日本プロレスだった」との発言にも言及し、「お前らやらないんなら俺一人でもやる。一人でもやる新日本プロレスっていうものが実はあった」と“続き”を語ってみせた。

自らの姿勢を「怪我で休んでますけど、プロレスを常にしているという意識で生きています。逆に言えばそれがないと、何のために生きているのかわかんなくなっちゃうという。道がわかんない」とする。LA道場のモチベーションについては「自分のところで(伝統的なプロレスを)終わりにしたくないなって意識はありました。プロレスがどんどん進化するのはいいんですよ。だけど、忘れちゃいけないものは必ずありますよ。スピリットとか、姿勢だったり、そういうものを国カンケーなく教えていければ」と語った。怪我については「手も足も動ける、脳も使える。首から下は今の選手よりもコンディションいい」と触れるにとどまったが、「かといって何を諦めたわけでもないし、俺のプロレスラーとしての人生は続いていくと思いますし。途中です。途中でリングを離れているだけです」とした。

10月21日、新日本プロレス事務所にて米国法人『New Japan Pro-Wrestling of America Inc.』の設立に関する会見が行われた。冒頭には映像にて「柴田です。新日本プロレスはついにアメリカ法人を設立します! 我々LA道場選手一同ますます頑張ってまいりますので、今後もご期待ください。以上!」との報告が行われた。

11・3大阪大会では盟友の後藤洋央紀がインターコンチ王座に挑戦する。王者であるジェイ・ホワイト側のセコンド外道が乱入した際に、放送席にいた柴田が外道を排除する。しかし、ジェイ側として追加乱入したKENTAが後藤・柴田に連続フロントキック。なおも柴田はリングサイドでKENTAの鉄柵攻撃、蹴りを食らった。元ソウルメイトであるKENTAとの遺恨を深めた格好となっている。

12月、『KAMINOGE』井上崇宏編集長が柴田勝頼との2ショットをInstagramにアップした。新日本プロレス所属となって以来、疎遠になったかと思われていた2人の接近を予感させた。

2020年

1月5日、大田区体育館大会でのサイン会に柴田が登場した。


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