
ヒール(悪役)は快感!? 前田日明「自分も1週間だけやりました」
19日、映画「アイアン・シーク」上映会のゲストとして前田日明とジョシュ・バーネットが登壇した。映画(2015年製作/原題『THE SHEIK』)は、プロレス団体WWF(現WWE)でリングネーム「アイアン・シーク」として世間を揺るがした悪役界のレジェンドの波乱に満ちた半生を描いた。
◆全米侵攻中WWFの過酷さ! 前田はサーキットに2か月参加
新型コロナウイルス感染症の影響への配慮で中止されるイベントも多い中、『キャプチュード』の旋律で入場した前田がいきなりぶっ放す。
前田「みなさん、コロナでドキドキなんでしょうけど気をつけないと。腎臓と男性の睾丸にダメージを与えて、その次は多臓器不全になっちゃう。オレは(「紅顔の美少年」をもじって)“睾丸も美少年”だけどね」
司会のハチミツ二郎さん「なに、いきなり報道にも出てないようなコロナ情報、出してんですかっ!!」
(コロナが広まった諸説を続けざまに前田が語るが、噂が多分に含まれるため記事としては割愛)
ハチミツ「映画の方はご覧になったんですか?」
前田「見た、見た。マヌケだね、コイツ(シーク)ね。抗争相手と飲酒とコカインをやってつかまって!!」
前田は自身の遠征時代を振り返った。
前田「25歳くらいのときにWWFの全米侵攻の最中でね、2か月サーキットに参加しました。アイアン・シークがサージェント・スローターと抗争中で。シークとは2回くらい一緒になりましたね。デビッド・シュルツ、ビッグ・ジョン・スタッドとか、いました。5チームくらいに分かれてサーキットしてたんですよ。シークとはアメリカで対戦はなかったけど、イギリスでのクイック・キック・リーとして本名だったシークとやりましたね。自分がベビー(善玉)だったので勝ちましたけど」
映画で描かれた様子には、時代における背景も影響している。
前田「あと、アメリカの若手レスラーの過酷さ。4~5人で200~500マイルをクルマで一緒に移動する。上の連中は飛行機なんだけどね。そういう中でカラダをつくる。こいつら長生きできないだろうなぁと。手のひら一杯の鎮痛剤とジャンクフード。そしてトレーニングでしょ。それに、コミッションドクターがなぜか山盛りのステロイドを持ってくる。ステロイドで寝れなくなるから睡眠薬・・・という悪循環で、こいつら死ぬだろうなと。一緒にまわった連中、7割くらいが死んでるんじゃないかと。お金貯めて牧場をやるっていうのを目標に、みんな『3~4年は無理してでもやるんだ』って思いだったから」
ここでトークにジョシュ・バーネットが合流する。前田と握手。
ジョシュ「シークの存在? ドキュメンタリーが出たとき(5年前)は人気でしたが、今は歳を取りました。シークはユニークで親切ですね。プロレスが心から大好き。サイン会で会ったときにはビル・ロビンソンやカール・ゴッチの話をしました。(自分が)子どものころ、シークは大きな存在で、WWFの大きなヒールでした」
◆ジョシュ・バーネット「マエダさんは自分にすごく影響した」
ジョシュ「今日の前田さんとの共演? (日本語で)タノシミ!! 前田さんは自分にすごく影響してきた。すごく尊敬しています」
ハチミツ「シークはUWFインターにいちど参戦したんですが、STFをかけられる途中でタップしてましたね」
この参戦情報は前田もジョシュも知らなかったと驚く。
前田「ザ・シークとアイアン・シークは別人だよね!? 海外といえばファンだったという人からメモリアルということで(前田の試合を)編集した動画が送られてきたんだけど、(我ながら)よくこんなボロカスに(相手を)蹴ってるなと!!」
ジョシュ「(前田で印象深いのは)パーフェクトブリッジ!!」
前田「藤原(喜明)さんとの試合後に(アントニオ)猪木さんを蹴ることがあったんだけど、アゴを蹴ってやれ!!と思って左ハイキックを出したんですよ。そしたら猪木さん、瞬間にジャンプして蹴りがアゴじゃなく首に入った。『コイツ絶対アゴを狙ってくる』と考えたんだろうなと」
ここでジョシュは、週末の格闘技イベントに備えた新幹線移動の時間となり、前田と再び握手して退場。
Just sent Josh and Victor off on the bullet train to Hamamatsu for #RIZIN21 this weekend.
Go ビクター!! pic.twitter.com/VU0c8NKEXq— Stewart Fulton (@sfultonMMA) 2020年2月19日
◆ヒール経験を告白した前田「こういう面白さがあるんだなと」
話はどんどん展開して、アフター長州力顔面襲撃事件。
前田「どうせクビになるなら、ゴッチさんのところに行ってメシ食いながら練習しようかなと。アメリカ進出ということになった? そうですね・・・実現していたらWWFに行ったかなぁ。期間決めてやらないと長生きしないですからね。どうだろう?」
悪役(ヒール)映画だったが、前田が経験談を語る。
前田「(ニューヨーク州)バッファローで1週間だけヒール。けっこう受けてましたよ。楽しかったですね。こういう面白さが(ヒールには)あるんだなと」
話はWWF勢レスラーズに飛び火。
前田「ハルク・ホーガンなんてチキン丸出し。前から蹴るな、投げるなって。アンドレ・ザ・ジャイアントはね、対戦することになって『ジャーマンで投げたら(その勲章で)一生メシ食えるな』と思って試合前に話したら『できるならやれよ』って言われて。試合でクラッチに行ったら手が回らなかった。ムリでしたね」
なお、3月3日発売となるハチミツさん主宰の『エロ本』には前田がカメラマンとして撮影に挑戦したグラビアが掲載される。
前田「次は(身長が)170センチ以上のコがいいね」
いろんなタイプや撮影法を味わいたい!? さっそく次のリクエストを出しながら会場を後にした前田だった。
レギュラー上映はなく、日本国内では2度目の上映会となったドキュメンタリー『アイアン・シーク』。そのジェットコースターのような衝撃的な人生劇はSNSでも評判がヨイ。
シークが王座を明け渡すことでホーガン&WWF時代が到来し、そのシナリオを絶賛するザ・ロックらがコメントを出す。善玉である対戦相手とのドライブ中に飲酒でつかまり、プロレスの存亡が問われるような事件もシークは起こした。この時代とは? プロレスとは? 人生とは? いろんな思いが頭を駆けめぐる好映画だ。そして、このようなレスラーズのコメントがイベントとして付加されると、ボクらもいっそう楽しめるというものだ。
主催者、関係者のみなさん、素敵なイベントをありがとうございました!!