新日本の世代交代は難しい説 ザックが海野翔太の挑戦を受けた文脈とは
4日の新日本プロレス大阪大会。メインでIWGP世界ヘビーを防衛したザック・セイバーJr.の前に海野翔太が立つ。すると「イッテンヨンで海野挑戦? 機は熟していないだろう」とばかりにブーイングが発生した。
ファンからの対案なきブーイング。「ザックvs.海野」IWGP世界ヘビー戦はどう見られているのか?
時間が刻々とドーム2連戦に向かっている中で、新日本プロレスは“機運が高まった顔合わせ”でのIWGP世界ヘビー戦を用意することができなかった。
[あなたが楽しみなシングル戦は]
※投票は「鷹木vs.TAKESHITA」決定前
見えてきたぞイッテンヨン。あなたが楽しみなシングル戦は🤳#njwk19 #njpw
— KAKUTOLOG📶プロレス/ボクシング/MMA/格闘技カクトウログ (@kakutolog) November 6, 2024
[実際イッテンヨンの挑戦者は誰がいい?]
昨日海野翔太が挑戦表明してそこそこのブーイングに包まれ、リコシェに大歓声が起きたエディオンアリーナ。実際イッテンヨンの挑戦者は誰がいい?新日本ぼんやりファンが適当に4人挙げました。
その他は返信で!24時まで! #njpw #njpst— 男マン (@otokoman) November 5, 2024
海野にブーイングが浴びせられ「機は熟していない」のであれば、挑戦経験なくG1決勝トーナメント進出を果たしたKONOSUKE TAKESHITAは海野の“対抗馬”足り得るだろう。だけれども所属ではないことも作用したのか、票数で海野を明確に上回る挑戦者対案にはならなかった。追って11日に決定した1・4カードでは、TAKESHITAは鷹木信悟と対戦(NEVER無差別級戦)となる。
「新日本が地球上の最高の団体だと証明する」ザックは令和闘魂三銃士世代の対面に立った
ザックの考えはどうなのか。6日、正式に「ザックvs.海野」IWGP世界ヘビー戦が発表された記者会見。ザックはこのように口にしている。
ザック「自分の覚悟、意気込みというのは、自分自身が最強のレスラーであるということを証明するのではなく、新日本プロレスという団体、会社がこの地球上の最高の団体であるということを証明することだと思います。様々な変化があった1年でした。新日本プロレスから離れた人たちもたくさんいます。
その代わり、若手のスキルあるレスラーが増えたのも確かです。これまでにないほど、若手のオプションがあるというように考えています。ウミノ選手のことはもちろん倒すんですけれども、ここから引き上げるのも自分の役割だと思っています。ウミノ選手は、必ず将来チャンピオンになる選手です。そのチャンピオンになるための手ほどきを、リングの上でしたいと思っています」
(新日本プロレス公式)
初制覇を遂げたG1では、決勝前日となった8月17日に次のように心境を明かしていた。
ザック「前にも言ったが、俺がタカギに勝つことができたら、もう俺を止められるヤツは誰もいない。令和三銃士……一体何人いたかわからないが、次世代のヤツらは自分たちのことばかり考えすぎていた。ゲイブ(・キッド)……追いかけるのはショータ(海野翔太)じゃないぞ、ツジ……追いかけるのはユーヤ(上村優也)でもないぞ。みんな、俺を追いかけるんだ。『G1 CLIMAX34』覇者、そして次期IWGP世界ヘビー級王者だ。
これまでみんな、新日本に誰が足りないかを話し続けてきた。でもそれは、ここにいる一人の男のことを忘れてきたという、大きな過ちだった。2024年は辰年じゃない。2024年はセイバーの年だ」
(新日本プロレス公式)
考えてみれば、新日本ではしっかりと成し遂げられた世代交代はなかなかない。どこかでウヤムヤになったり上の世代が団体を去ったりしてきた。そんな中で最大の世代交代の成功例は、棚橋弘至からオカダ・カズチカへのバトンではなかったか。ドームメインを中心に何度も闘いを繰り広げ、棚橋からは【いつかオカダ時代だろうが、全面的に受け止めてやるぜ。むしろ自身も輝いてみせるぜ】という気概が感じられた。
ここ2年間に目を向ける。新日本の次世代の台頭は待望された。実際に2024年のニュージャパンカップでは辻陽太が初制覇を遂げる。とはいえ2023年G1では、次世代が同一ブロックに固められ20分1本勝負で時間切れ続出、誰も決勝トーナメントに進出しないという混沌を見せた。2024年G1では終盤に春制覇の辻を上村優也が破りながらも負傷で戦線離脱。辻が準優勝ではあったが、誰かが流れに乗れそうで乗り切れない展開にも思えたものだ。
そんな中で2024年G1決勝では辻と、2025年1・4では海野と対峙に至るザックの構えに注目したい。いわば【いつか次世代は台頭するだろうが、全面的に受け止めてやるぜ。むしろ自身も輝いてみせるぜ】という対処は誰しもにできることではないのだ。
確かにオカダは2023年、しっかりバトンを渡すかのように、ニュージャパンカップ制覇のSANADAにタイトルを奪われ、G1決勝で内藤哲也に敗れた。それでいて、次世代と真っ向勝負できる期間は持てなかったことになる。ならば内藤がその役割かとも思うが、コンディション・試合内容維持が万全とは言い難い。この流れの中で、ザックが高らかに「みんな、俺を追いかけるんだ」「これまでみんな、新日本に誰が足りないかを話し続けてきた。でもそれは、ここにいる一人の男のことを忘れてきたという、大きな過ちだった」と宣言した。
内藤、SANADA、鷹木ではなく、ザックの政権奪取。ブーイングに勝とうとしているのは海野ではなく、むしろザックであり新日本であるという見方もできるのだ。文脈を考えれば、ドーム決戦はより面白くなっていく。
近未来の新日本黄金時代、もちろん肝心なのは、次世代当人たちがどう勝ち取るか
新日本プロレスのヘビー級主要選手、新日本に絡んだ清宮海斗、TAKESHITAを年齢順に並べてみる。
大岩陵平
誕生日 1998年11月7日(26歳)
成田蓮
誕生日 1997年11月29日(26歳)
ゲイブ・キッド
誕生日 1997年4月24日(27歳)
海野翔太
誕生日 1997年4月17日(27歳)
清宮海斗
誕生日 1996年7月17日(28歳)
KONOSUKE TAKESHITA
誕生日 1995年5月29日(29歳)
上村優也
誕生日 1994年11月18日(29歳)
辻陽太
誕生日 1993年9月8日(31歳)
SANADA
誕生日 1988年1月28日(36歳)
オカダ・カズチカ
誕生日 1987年11月8日(36歳)
ザック・セイバーJr.
誕生日 1987年7月24日(37歳)
鷹木信悟
誕生日 1982年11月21日(41歳)
内藤哲也
誕生日 1982年6月22日(42歳)
棚橋弘至
誕生日 1976年11月13日(48歳)
概観すると、Z世代(1990年代の半ば以降生まれ)を中心とする次世代の充実ぶりを感じてしまう。とはいえ「まだ数年待っていい」というほどでもない。第1回のG1クライマックス決勝は蝶野正洋(27歳)vs.武藤敬司(28歳)でもあった。
近未来の新日本黄金時代、もちろん肝心なのは、次世代当人たちがどう勝ち取るかだ。そこに至るプロセスを見届けることは楽しみでしかない。
(対戦カード更新)WRESTLE KINGDOM 19 in 東京ドーム 2025年1月4日(土)東京ドーム
■『WRESTLE KINGDOM 19 in 東京ドーム』
日時:2025年1月4日(土)14:45開場17:00試合開始
会場:東京・東京ドーム
=追加(11日)=
<NEVER無差別級選手権>
鷹木信悟(C) vs.KONOSUKE TAKESHITA
※TAKESHITAが1月4日時点で“AEWインターナショナル王者”の場合はダブルタイトルマッチとなる
=既報=
<IWGPジュニアタッグ(4WAY)>
KUSHIDA&ケビン・ナイト(C)
vs.ロビー・イーグルス&藤田晃生
vs.TJP&フランシスコ・アキラ
vs.クラーク・コナーズ&ドリラ・モロニー
※KUSHIDA&ケビンが2度目の防衛戦
<NJPW WORLD認定TV選手権(3WAY)>
成田蓮(C)vs.ジェフ・コブvs.大岩陵平
※成田が初防衛戦
<IWGPジュニアヘビー級選手権>
DOUKI(C)vs.エル・デスペラード
※DOUKIが5度目の防衛戦
<IWGP GLOBALヘビー級選手権>
デビッド・フィンレー(C)vs.辻陽太
※フィンレーが5度目の防衛戦
<IWGP世界ヘビー級選手権>
ザック・セイバーJr.(C)vs.海野翔太
※ザックが2度目の防衛戦
<棚橋弘至ファイナルロード・スペシャルシングルマッチ>
棚橋弘至vs.EVIL
(対戦カード更新)WRESTLE DYNASTY 2025年1月5日(日)東京ドーム
■『WRESTLE DYNASTY』
日時:2025年1月5日(日)11:00開場13:00開始
会場:東京・東京ドーム
=追加(11日)=
<NEVER無差別級選手権>
王者(1・4鷹木vsTAKESHITAの勝者) vs.石井智宏
※TAKESHITAが1月4日時点で“AEWインターナショナル王者”の場合はダブルタイトルマッチとなる
<スペシャルシングルマッチ>
辻陽太 vs.ジャック・ペリー
=既報=
<スペシャルシングルマッチ>
ザック・セイバーJr.vs.リコシェ