三沢光晴「それでも、お前にはプロレスを続けてほしい」~事故2年前に“最後の対戦相手”に向けた手紙を友人に託していた
あれから10年。あの男が亡くなったのは2009年6月13日のことだった。
“教え子世代”が偉大さを振り返る証言。三沢光晴を取り上げた好コラムが話題に。
・ 命を絶つことも考えた選手に届いたミサワの遺言とは 没後10年、三沢光晴が遺した物 – LINE NEWS
逆風にさらされながらも、何とか自分の決断を貫こうとした。
そんな齋藤の背中を押したのは、一通の手紙だった。つづられたメッセージはなんと、亡くなった三沢さんからのものだった。「その手紙のおかげで、僕はプロレスを続けることができました。10年たった今も、巡業用のバッグの中にいつも入れています。あまり人に見せたことはないのですが、今回は節目でもありますし…控室から取ってきます。ちょっと待っていてください」
「重荷を背負わせてしまってスマン」
手紙には、そうつづられていた。事故の2年前、三沢さんは親しい友人に「もしも俺がリングの上で死ぬことがあったら、その時の相手に伝えてほしい」とメッセージを託していた。
――きっとお前は俺のことを信頼して、全力で技をかけてくれたのだと思う。
――それに俺は応えることができなかった。信頼を裏切る形になった。本当に申し訳ない。
託されたメッセージが書かれた便箋には、水がにじんだような跡が、無数についていた。
試合後の汗だろうか。それとも、涙だろうか。齋藤は無言で、紙をめくる。――それでも、お前にはプロレスを続けてほしい。
――つらいかもしれないが、絶対に続けてほしい。
「三沢さんは、最後の対戦相手が自分のような苦しみに苛まれることを予見して、メッセージを残してくれていたんです。その思いには、応えないといけない。奮い立たされました」
事故からちょうど3カ月後の、2009年9月13日。
森嶋猛とのシングル戦に臨んだ齋藤は、天を仰ぐようにしてから、あの日以来封印していたあのバックドロップを決めた。
「前に進まなければならない。三沢さんのためにも。そう思いました」
封印を解いたが、大事な試合でしか使わない。
そんなバックドロップを放つたび、今も複雑な心境にはなる。「やっぱり、あの時のことがよぎります。だから、決めた相手には『早く立ってきてくれ』と思ってしまう。一方で、三沢さんが立てなかった技だから、誰もが簡単に立ててはいけない気もする。すぐに立ってほしいし、すぐに立たないでほしい。どちらも本当の気持ちです」
三沢「それでも、お前にはプロレスを続けてほしい」。事故2年前に“最後の対戦相手”に向けた手紙を友人に託していた!
封筒の「齋藤彰俊様」は、当の友人もしくは仲介者が加筆したのだろう。
手紙の存在こそ他媒体で明かされていたが、手紙の詳細が明かされたのは初めてのようだ。激闘の裏で自身を案じていたのか、コンディションの下降が明らかだったのか。三沢は“最悪”が起きたときの相手への思いやりを、先回りして発揮していたことになる。
この仲間を思いやる気持ちこそが、ノア設立を生んだ。全日本プロレスが分裂となったとき、ほとんどの選手が三沢に追随した。まさに、三沢光晴を象徴する逸話が飛び出した没後10年の衝撃。
6月13日。故人の功績を称え、思い出を振り返る1日にしようではないか!
13日は後楽園ホール大会に続いて『三沢光晴メモリアル2019』大会となり、大阪で開催される。
・ 【NOAH】6-13(木)エディオンアリーナ大阪(府立体育会館)第2競技場『GLOBAL Jr. T…プロレス格闘技DX
■GLOBAL Jr. TAG LEAGUE 2019 ~三沢光晴メモリアル2019 in OSAKA
日程:2019年06月13日(木)18:30
会場:エディオンアリーナ大阪 第2競技場
[三沢光晴メモリアルグッズ情報など]◇献花台設置◇
会場内に献花台をご用意させていただきます。皆様よりご持参いただきましたお花、ご供物など承らせていただきます。◇試合前◇
三沢光晴メモリアルVTR上映
※18:30〜◇第1試合◇
岡田欣也
(1/15)
稲村愛輝◇第2試合◇
井上雅央
齋藤彰俊
(1/20)
クワイエット・ストーム
モハメド ヨネ◇第3試合◇
諸橋晴也
宮脇純太
クリス・リッジウェイ
熊野準
(1/30)
NOSAWA論外
大原はじめ
Hi69
田中稔◇第4試合◇
小峠篤司
マサ北宮
拳王
(1/30)
タダスケ
原田大輔
清宮海斗–休 憩(10分間)–
◇第5試合◇
▼「GLOBAL Jr. TAG LEAGUE 2019」優勝決定戦
[リーグ戦2位] YO-HEY
HAYATA
(1/無)
鈴木鼓太郎
小川良成
[リーグ戦1位]◇第6試合◇
▼三沢光晴メモリアルマッチ
谷口周平
(1/30)
丸藤正道◇第7試合◇
▼GHCタッグ選手権試合
[挑戦者] KAZMA SAKAMOTO
杉浦貴
(1/60)
潮崎豪
中嶋勝彦
[第49代選手権者] ※中嶋&潮崎組2度目の防衛戦
>> プロレスリング・ノア公式サイト
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