佐藤光留「表立った異常者は僕だけ」 佐々木憂流迦に感じた未来と決意
ノア『STAR NAVIGATION 2024~ONE NIGHT DREAM2~』5・22後楽園ホール大会。鈴木みのるがメインに出場した一方で、佐藤光留は第1試合を担う。“全身変態プロレスラー”が独自の道を明かす4,000字インタビュー。
(5月25日・原宿パイルドライバーにて取材)
これ鈴木さんも取らねぇ劣悪なやつ・・・それをたくさんやってたら今に至るって感じです
佐藤光留 (濃厚な[鈴木みのるインタビュー]の後となり)興味ありますよ、この後に何を聞くのか(笑)。
カクトウログ 佐藤選手とはご縁があって[名古屋ディーバでもやりとり]させていただいて、取材先で試合も拝見させていただいています。なのにGLEATでは伊藤貴則選手に負け、ノアでは佐々木憂流迦選手に負け・・・。
■ノア STAR NAVIGATION 2024〜ONE NIGHT DREAM2〜
日時:5月22日(水)18:30
会場:東京・後楽園ホール 観衆1488人(札止め/主催者発表)
<第1試合・シングルマッチ>
〇佐々木憂流迦
9分38秒 アマツキツネ → 片エビ固め
●佐藤光留
光留 なんですか? 負けた人に塩を塗り込みに来たんですか?
一同 (笑)
鈴木みのる 俺は醤油も塗り込む(笑)。
カク いやでも結果的に負けたんですが、非常にこう要所要所で駆り出されるんだなっていう実感を。
光留 駆り出されるって言ったってフリーなんで。仕事は全部「駆り出される」です。ありがたいです。
みのる 横から口を挟んじゃうけど、フリーっていう仕事をやったことないやつは馬鹿にするんですよ。選手もファンも。これはやった人間じゃなければわからない。こうだよこうだよっていうことは特には言わないけど。でもそのヒントは、さっきのあの拳王の話じゃないけど、そこに入ってますよ。俺たちはときには落ちてるものだって、誰かが踏んづけて泥だらけになっても、それ食って。でも生きなきゃいけないときがあるんで。俺食ってでも生き残りますよ。
光留 落ちて踏まれてるもの見たらラッキーと思っちゃうんですよ。
みのる 俺は思わないけど。
光留 鈴木さんにいろんなことを横で、こう聞いてないフリしながらいろいろ聞いて。
みのる (カネをよこせとばかりに手を出す)あくまで分割で。
光留 そのときに鈴木さんが「こんなのがあるんだ」って言ったのがたくさんあるんですよ。コメントを聞いといて、これ鈴木さんも取らねぇ劣悪なやつ、俺いけんなと思って。そういうのをたくさんやってたら今に至るって感じです。僕のまわりにいるフリーは多分「上級フリー」です。過去に僕のまわりにいた人もみんな含めて。世界中を飛び回ってた人、フリーばっかりです。
みのる ごめん俺は「上流階級フリー」(笑)。
光留 僕、今年新たな発見なんですよ。「メジャー」と「インディー」っていう言葉があったんですが、その上に「クリスタル」ってのが。
みのる ガハハハハ。
光留 この謎についてはまた時間かかるんで。僕、(みのるのように)世界からは全然要望にかからないです。それこそ、うちの店員でプロレスラーじゃない人を入れたのに、後にプロレスラーになった女の子ですら海外からはあるのに、僕は海外からオファーない。その代わり、信じられないところで、「いやそんなの見る価値ないよ」っていうものを耕していくっていう価値の広がり方をしたんですよ。なので、要所要所で呼ばれるのってソレだと思うんですよ。
カク なるほど。
光留 世界中で有名な人を呼ぶっていうのは、すごく興行としていいやり方だと思うんですよ。けど、テレビに出れないやつらをテレビに出してみるっていう、世の中にはそういう危険な思想を持った人たちがいるんですよ。そういうところを最近、なんか、独占とは言わないですけど、なんか生きてんだって感じありますよ。
カク いやでもGLEATにせよノアにせよ、佐藤選手が出るっていうのは観る側、きっかけになると思います。
光留 ならないっしょ。もしなる人は、パイルドライバーに来て「すいません変態グッズありますか」って言えるやつ。
カク (笑)
光留 他の客がいても。だけど、世の中にはいろんなプロレスがあるというのに、なぜか僕がやってるハードヒットだけは「あんな中途半端なプロレスはいらないんじゃないか」って言われます。デスマッチもいい、電流爆破もいい、ストロングスタイルもある。あれだけ言われたんですよ。ファンにも選手にも。でも掘り返していたらいろんなものが出てくる。ゴミを捨てるのはいいけど、ゴミをほじっていたら異常者じゃないですか。俺は異常者なんだと。表立った異常者は僕しかいないんです。
カク なるほど。
光留 その結果が、伊藤選手や憂流迦選手にたどり着いたりしたから、面白いなぁと思います。他の選手でここにたどり着いた選手っていないんですよ。ウラヤマシイとも思われないけど。
ハードヒット『遺言』や『実家プロレス』・・・起業力があってもできないこと
カク 勝ったら美味しいけど、負けたら持っていかれる。ハイリスクハイリターンな顔合わせを受けているところもあります。
光留 チケット代を1万円とか出す。ノーリスクノーリターンな闘いに1万円を払えるかって話です。ハハハハハッ。で、僕はそれはフリーかどうかっていうのも関係はゼロじゃないと思います。負けたら全部持っていかれる。でも持っていかれるだけで、僕らはまたつくれるんです。それが5月30日、ハードヒット『遺言』です。
#実家プロレス で沸き立っておりますが、5月30日はニコプロpresentsハードヒット「遺言」東京ZOO大会でございます。
明るい大会ばかりがプロレスじゃない。暗く悲しい出直し劇は、エンターテイメントと名乗ってはいけませんか?
チケット絶賛受付中。佐藤光留までメールを。#というね pic.twitter.com/vlRQtheqYG— 佐藤光留 (@hikaru310paipan) May 23, 2024
カク 宣伝が入りました。
みのる 「遺言」のカード画像の川村(亮)が本当に死んだ人みたい。
光留 本当に死んだ人の写真にしてやろうと思ったらあの写真に(笑)。
カク 岡山の実家でやる(6・21『実家プロレス』 )のはどういった経緯で。
「#実家プロレス って申し込みたくさん来てますか?」という質問を山ほどいただきます。ビビるぐらいきてます。
そこで「どうせ当たらない」と思ってやめるか、「ハズレで当然イッパツ申し込みや」となるか。楽しみたいならドキドキしなきゃ。
申し込みは f5r6i5d1a3x1y0@ezweb.ne.jp まで!#というね pic.twitter.com/TNYpJNG6QS— 佐藤光留 (@hikaru310paipan) May 25, 2024
光留 だって、髙木さんが休業すると。去年12月、大晦日に髙木さんと全日本でやったときに「DDTとの対抗戦なのになんでリングでやってんだよ」っていうのを髙木三四郎にぶつけたかったんで、1回も(髙木をリングに)入れなかったんですよ。そしたら「アノヤロー、どっかでやらなきゃ」と。でもちゃんと新幹線や都電が計画されて、やっぱ髙木さんだって慈善事業じゃないんで、有名な人といろんなところでやるじゃないですか。けっきょく僕って髙木さんとやれないで終わるのかなと・・・思ったときになんとか方法ねえかなと。ただハードヒットも違うし、俺のホームに呼ぶには・・・と思ってたらホームって家だな、じゃあ実家に呼んでやろう。
カク (笑)。そういう発想で。
光留 本当にそれだけです。それで電話して親に聞いたら「そういうの考えてるんだったら〇日はダメ」って言われたんです。「やっていいかどうか」の話にはならなくて(笑)。僕は起業力ゼロ、新幹線でやるなんてできないし。都電からオファーが来ることはないです。でも実家でプロレスやるって運と思いつきがないとできない、起業力があってもできないことじゃないですか。だったらそこで対抗してやろうと。常に竹槍持って空に向かって、それで落ちてるものを拾ってそれを食ってる。
カク なるほど。
光留 実家プロレスは昼にやって、本当にみんな日帰りしますからね(笑)。けど、この上なく面白いものではある。自信はあります。一番初めの『JEEEP』は観客6人ですよ。2月の雨の降る昼間に、ヨシタツと川村が30分試合やりました。あのときはジャン斉藤さんだけ来たんですよ。
佐々木憂流迦に感じた可能性。SNSがある時代じゃないと僕は何もできない
カク ツイートされていたじゃないですか(読み上げる)。
ノア後楽園大会終了。
とんでもない未来に触れた気がしたが、とんでもなくない未来にだって未来はあるはず。#というね#佐々木憂流迦に負けてからハードヒットの予約キャンセルが1件
— 佐藤光留 (@hikaru310paipan) May 22, 2024
カク これは「このままでは終わらんぜ」っていう意味?
光留 佐々木憂流迦選手とはもしかしたら絡むことはあるかもしれないですけど、彼は、なんか触れた瞬間に「もしかしたら…ひょっとしたらひょっとするんじゃないか」っていう、すごい可能性があったんです。今までの総合格闘技経由の選手がいい悪いというものはないんですけど、なんか初めて希望の光みたいなものに包まれる可能性に触れたなぁっていう。
カク そうでしたか。
光留 僕がハードヒットでとか、そりゃやりたいですよ。そんなものじゃなくて、日の当たる場所で、ひょっとしたらひょっとするんじゃねぇかなっていうものに触れました。で、昔はそこで「どうせ俺なんか」と思ってたんですけど、今は「よし、俺は日の当たらないところ、もっと掘ってみよう」と。
カク (笑)。
光留 憂流迦選手は多分、僕が歩いたことないところも勝手に歩いていくと思う。でも、全然。僕には僕の未来があって、きっと日が当たらなくて誰も知らないところでも(大丈夫なので)。そもそも強運の持ち主なので。SNSなんてものがなかったら僕のやってるプロレスなんか誰も知らなかった。そういう人間にもきっと未来はある。それを見て、なんか自分に投影する人もいるかもしれないし、キラキラするものがいいなっていう人がいてもいいし。
カク とんでもない未来というのは、プロレスと総合の両方に通用する選手とか、そういうレベルじゃなくて、なんか違うなんかジャンルをつくるぐらいの存在を。
光留 そうです。「総合で食えなくなったから、プロレスに来た」っていう人もいるにはいるんです。でもやっていくうちにプロレスで一旗揚げたいっていう人もいるし、そのままプロレスに熱がなくていなくなった人もいる。憂流迦選手ってグレート・ムタvs.中邑真輔戦を観て衝撃受けて、生き方変わって。
カク そうですね。
光留 一昔前だったら、ブルースリー見た瞬間に時が止まった子供たち、たくさんいたじゃないですか。(アントニオ)猪木さん見た瞬間に止まったとか。ああいうのと同じ、衝動で自分の人生に目覚めるってとんでもないエネルギーを持ってるんで。しかも・・・本当に(自分にはないことが)恥ずかしい話なんですけど、明るいッ。
カク (笑)。
光留 ただただ明るい。人柄もそうですし、未来は明るそうだったなーって思うんですよ。
カク ありがとうございました。今日は傷口に塩を塗ってすいませんでした。
光留 まあ「あいつはワシが育てた」的なことを言うために、いろんな人と絡んでるんで(笑)。そういうゆがんだ人間性も、100回やればきっと何かにつながっていくんで。
カク そんな(笑)。
光留 では、買い物をしていってください。
株式会社パイルドライバー 代表:鈴木みのる
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