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選手からの非常ベルにマリーゴールド即対応/失言以降のハラスメント議論

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 28日、女子プロレス団体「マリーゴールド」が「SNSのご利用に関して」と題した発信を行った。この記事ではハラスメント問題を取り上げたい。(ハラスメント問題自体は男女を問わないものであるが、最近の状況から女子に重点を置いて書かせていただきました)

複数選手が自分の言葉で訴え。林下詩美「相手はそんなつもりじゃなくてもこっちは傷つくこともある」

 マリーゴールドでは3日にデビューし、19日に初戴冠となった山岡聖怜の活躍が目覚ましい。山岡が「DMでの誹謗中傷はやめてください。せりも人間なのできづつきます」と書き込んだのが27日(山岡は「DM」としたがSNS全般を指したものと思われる)。

 マリーゴールドからの28日の発信は以下の通り。

SNSのご利用に関して
いつもマリーゴールドを応援いただきまして誠にありがとうございます。
団体アカウント、所属レスラーアカウントにて誹謗中傷、風説の流布、節度を越えた迷惑行為などが確認できております。
上記のような投稿が確認できた場合、対象となるアカウントのブロックまたはサービス提供者に対するアカウント凍結申請などの対応を取らせていただきます。
また弁護士及び関係機関とも協議し、発言内容が脅迫・名誉毀損・営業妨害・業務妨害などに該当すると判断した場合は、厳格な対応、場合によっては法的な措置を執ることも検討いたします。
皆様には良識をもってSNSを使用していただき、引き続き応援していただきますようお願い申し上げます。
(以上、公式サイトより)

 つづけて複数選手が自分の言葉で訴えた。ワールド王者である林下詩美は「相手はそんなつもりじゃなくてもこっちは傷つくこともある」などとした。

 ロッシー小川代表取締役も自身の考えをポストしている。

 こうした問題に、いつどのような対応をするかは団体の姿勢を浮き彫りにする。選手からの“非常ベル”に、マリーゴールドは翌日対応することでファンを安心させた。

 過剰な書き込みは鎮静化に向かうことを祈りたいが、状況により対策の講じ方もより入念にせざるを得ない。

 間接的な対策まで話を広げると、プロレスとドラマで状況は異なるもののドラマ『極悪女王』で目にした取り組みが興味深かったことを思い出す。

[2024/09/18 ゆりやんレトリィバァが語る「『極悪女王』での青春の日々」——自分らしく生きていくことが芸人
——インティマシーコーディネーター(IC)の浅田智穂さんをはじめ大勢のケアスタッフが参加されていますが、撮影する上でのサポートはいかがでしたか?

ゆりやん:今回初めてICさんにお会いして、こんな方がいるんだなと。撮影中はいろいろとケアしていただきました。例えば水着での撮影シーンがある際には「これは着れますか?」とか「ここからは撮られたくないとかありますか?」と聞いてくれたり。みんなの前で聞かれたら、言いづらいこともあるじゃないですか。そんな心理的に言いにくいことを言える環境を作ってくれましたね。健康や栄養面に関しても、いろんな専門家の方が常に支えてくれて心強かったです。

* * *

 「プロレスラーならばこうあらねば」という考え方も時代とともにもちろん変わっていく。選手にとってより安心できる環境があらゆる面で構築されていくことを願いたい。

ジュリア「SNSが生活の一部(でも)奪われたくないですよ。喧嘩する相手を。その一心ですよ」

 女子プロレスにおけるハラスメント議論の際に、SNS中止論(撮影中止論を含む)が聞かれる。だけれども、業界を成立させるうえでSNS活用は欠かせなくなっている。2023年のジュリアへのインタビュー記事より。

[2023-05-12 言葉までが美しき狂気 アーティスト調印式直後にジュリアはかく語りき
カクトウログ 選手同士、あるいは選手とファンでSNSのやりとりがありますが、女子プロレスとSNSについて何かお考えがあってされていることはありますか。

ジュリア 女子プロレスだけじゃないと思います。これはもう時代としてSNSが生活の一部になっちゃっている。いちばんみんな携帯を開いている時間が長い。調べたことがあるんですよ、検索して。統計が出てて、ああみんなテレビよりSNSなんだと。
(中略)
会社が大きくなるか何かの節目で別の発信する手段が見つかればそっちに切り替えてもいいけど、まだそこじゃないから。だったらお客さんが興味を持つ手段として、せっかくリングで痛い目にあって殴り合うんだったら全部見せて、やった方がいいんじゃないかと。私はそこに、自分がいろいろ言われるのはけっこう何とも思ってないんですよ。それが仕事だから。

カク 団体外の選手にスターダム選手が絡まれててジュリア選手が割って入ることがかつてありましたが。

ジュリア 他の選手が言われるのは気になりますね。私の場合はマジで今は気にしなくなったんですね。でも移籍してきたときはさんざん言われて、傷ついたこともあったし、いろんな感情になった。そういうのを経て私は強くなったから何を言われても平気なんですけど、やっぱりスターダムではそういうのが原因で悲しい出来事もあったわけじゃないですか。全員が自分みたいだとは思ってないので。だからほっとけなくなっているというのはありますね。

カク 局面によっては守りにいくという。

ジュリア だって、例えば(木村)花の場合は、私はものすごい闘いを見せていく、そういう大事な大事なライバルを奪われたわけですから、奪われたくないですよ。喧嘩する相手を。その一心ですね。

* * *

 このジュリアの考えはロッシー小川代表と共通するものがある。簡単なことではないし、大いなるジレンマにも陥る。だからこそ、女子プロレスにかかわる人間があらゆる観点で思考をアップデートして臨む必要がある。

失言以降のハラスメント議論。男色ディーノ「見て思うまでは止められません。ですが、行動や言葉にしてしまうと…」

 13日、ブシロードが新春発表会を開催した際に、木谷高明オーナーが「水着の女性見れる」と発言して波紋となっていた。以降の対応でも問題点が指摘された。

[2025-01-13 木谷高明社長「水着の女性見れる」 女子プロレスラー登場時の発言が波紋
[2025-01-20 木谷高明「なんでもアリ、おおらかなところがプロレス」 2週連続で失言

 この件については木谷オーナー本人が謝罪、スターダム岡田太郎社長、新日本プロレス棚橋弘至社長が“木谷オーナーへの厳重注意”を報告している。一方で木谷オーナーが免罪符をまわりに求めるような追加ポストを行い、岡田社長・棚橋社長の顔に泥を塗る展開ともなった。

 一部の木谷オーナー擁護派が「水着のようなコスチュームで性的目線を誘発しているじゃないか」等の主張で追随もしている中、28日、DDTの男色ディーノがnoteを更新した。

[2025年1月28日 【無料】プロレスのおおらかさについてと1/26DDT後楽園大会で思ったこと
木谷会長の件。
これに関してはまあ失言としか言いようがないので、
時間が経った今述べるのは死体蹴りってやつになりますかね。
釈明の「おおらかさがなくなった」も含めて。
賛否両論ならまだ語りようがあるんですが。
本人も認めている失言なので、責める事しかできません。
なので、木谷さんがどうって話ではなく、若干違った持論を。

私は自分のことを「性的に見てもらってもかまわない」と思っています。
細かく言うと
「性的に見てもらってもかまわないけど、その見方に応えるどうかは知らん」
になりますかね。
ただ、この意見に関しての範囲は「自分もしくは自分が管轄できる範囲まで」です。
他のプロレスラーは知りません。

プロレスラーにも色々な自分の見せ方論がありまして。
露出が多いコスチュームだからと言って、おさわりに応じるかどうかは別なんです。
露出が多いということは、見られるということです。
これはコスチュームを決めた以上、自分の責任になります。

ただ、だからといって第三者が触っていいかは全くの別の話です。
露出が多い服を着てるからと言って電車で痴漢していいかって話です。
もちろんダメですよ。
見られるのはある程度仕方がない。その服で外に出ている以上は。

だけど、触ったり声かけたりするのは、その実行者の意志が働いてるじゃないですか。
「触りたい」って思ってそれを実行するわけですから。
実行したら、そりゃダメです。
言葉も同じ。
「エロい目で見てるぞ」って無許可の相手に伝えてしまったらダメでしょう。

これ、SNSの誹謗中傷問題も同じだと思っています。
見て思うまではたとえアンモラルな事でも止められません。
ですが、それを行動や言葉にしてしまうと、そこからは責任が生じます。
自分の「言いたい気持ち」がそれを発してしまうわけです。
相手はどうあれ、発した言葉の責任は出てきます。
まさにそういう話です。

だから、第三者が「この子をエロい目で見ていいよ」は基本的には無しです。
例えば団体の代表者が「エロい目で見ていいよ」って言ってしまったらそれが公式の見解になってしまいます。
でも、選手当人がはそうは思ってなかったら?
そら行き違いが起こりますよね。
今回はそういった話なのかなと思っています。
「言葉狩り」というよりは、姿勢の問題というか。
だから、おおらかさとはまた別の問題です。

でね、
この手の話したら、絶対思われるんですよ。
「お前が言うな」って。
私だって本当はこんな事言いたくないんだけど!

* * *

 この記事の主旨に当サイトも全面的に賛同する。それでいて、ディーノ本人に書くことに躊躇した形跡が見られる。想像だが、二つの思いがあるのではないか。「ここまで書かないとわかってもらえないのか」と「こういうところを曖昧にして楽しませるのが自分の仕事」。それでも書くことにトライした姿勢に感服する。

 あえて整理する書き方をすると、例えば「恥ずかし固め」という技は選手間で許容されているものであり、かつ選手が恥ずかしがることを楽しむ世界観の中で繰り広げられているものだ(一部の試合形式についても同様)。これを「性的に見ることが選手から推奨されているじゃないか」とまわりから主張されると、そこには疑問符がつく。リング外ショットとしての水着グラビアも、選手個々の自己表現のひとつとして尊重されるべきものだ。

 とても面倒に感じるかもしれないが、この面倒なジャンルにハマってしまったファンと一緒に考え続けたい。そして闘い続けたいと思う。

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