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齋藤彰俊「自分は逃げちゃいけないなと」 15年前の広島での誓い明かす

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 13日のノア日本武道館大会にて引退を表明していた齋藤彰俊。22日の会見であらためて引退への思いを語った。会見コメント言い回しはノア公式より。

齋藤彰俊選手引退会見アーカイブ動画

【7月22日(月)15時~生中継】齋藤彰俊選手引退会見

ノア 齋藤彰俊引退記念大会 Deathtiny 11月17日(日)ドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)

■ノア 齋藤彰俊引退記念大会 Deathtiny
日時:11月17日(日)15:00
会場:ドルフィンズアリーナ(愛知県体育館)

今年シングル初戴冠、デビュー33年3か月で第33代世界ヘビー級王者に「“三”という数字がやっぱり導いてくれた」

 ノア創始者である三沢光晴の“最後の対戦相手”が齋藤彰俊である。「聞いていただければ何でもお答えしたい」という彰俊の言葉で始まった会見は、15年前の誓いにたどり着いた。当時にあった「自分は逃げちゃいけない」との思い。

 彰俊は今年シングル初戴冠、デビュー33年3か月で第33代世界ヘビー級王者となる。この言い回しは会見が初めてではないが、「“三”という数字がやっぱり導いてくれた」とした。

 だけれども、この会見をTEAM NOAHとともに迎え、ノアにどっぷりの中で引退していくことがひとつの答えなのではなかろうか。どこまでも重すぎる言葉に目を通していただきたい。

【会見の模様】

※齋藤がTEAM NOAHの潮崎豪、モハメド ヨネ、小峠篤司、Hi69とともに登壇。引退興行11・17名古屋大会の開催が発表される。

▼齋藤「プロレスリング・ノア、そしてTEAM NOAHの齋藤彰俊です。今日は引退会見に皆様お越しくださり、ご視聴くださり、ありがとうございます。聞いていただければ何でもお答えしたいと思いますので、本日はよろしくお願いします」

▼Hi69「プロレスリング・ノア、TEAM NOAHのHi69です。最初に引退を聞いたときはですね、寂しいという思いしかありませんでした。ですが、あえて呼び捨てで言わせていただくと、男・齋藤彰俊が決めたことなので、最後の最後までサポートとかじゃなく、一緒に突っ走っていきたいと思います。齋藤さん、よろしくお願いします」

▼齋藤「こちらこそ」

▼小峠「TEAM NOAH小峠篤司です。齋藤さん、齋藤彰俊選手。本当に長いキャリアで、自分もレスラーになる前から子供の頃、ホントにそうですね(笑) すいません。プロレスファンだったころからずっと選手として見させていただいて、こうやって最後、同じチームとして舞台に立てるのは本当に光栄で。おっしゃられたようにまだ現役なんで『ジジイ扱いするんじゃねえ』と怒られそうなのでジジイ扱いしないですけど(苦笑) ホントにこんな感じで、いいチームで、いい雰囲気でやらせてもらえてて本当に幸せですね。本当に最後までこんな感じで明るく楽しく見送ることができたらなと思ってますので、ファンの皆さんも一緒に笑顔で送っていただけたらなと思います」

▼ヨネ「TEAM NOAHモハメド ヨネです。ホントにリング上でマイクでああやって言われた時に初めて聞きまして、涙をこらえるのに必死でした。いつかは来る、必ず来るという引退の日。それを近くでずっとやらせてもらったんですけど、近くでああいう言葉を聞くとね、こらえらんねえなって思ったんですけど、齋藤さんの顔が物凄くいい顔してたんで。充実して。こうやってTEAM NOAHでやってるときに決めてもらえたっていうのが、そこはちょっと嬉しいなと思ったんですよ。最後のチームで、このチームでやっていて、そういう気持ちが出たっていうことだったらうれしいなって気持ちがありました。残り少ない期間ですけど、めいっぱい、なんていうのかな。レスラーにしかわかんない部分があるかもしれないけど、控室でも楽しんで、リング上でも楽しんで、SNSでも楽しんで、皆さんとともに齋藤彰俊の引退の日を迎えたいなと思います。思い切り泣かせてください」

▼潮崎「TEAM NOAH潮崎です。そうですね。齋藤さんからはじめ引退をするというふうに聞いたときは、自分はホントに齋藤さんにリング上での魂、戦う魂というものを叩き込まれてきたので、その齋藤選手、齋藤さんが引退をするということを聞いたときはホントに複雑な気持ちでしたし、これまでもあらゆるものを背負って戦ってきた齋藤さんのその決意というものをね…決意を聞いたときは正直、『まだまだやり合っていきたい』『まだまだ一緒に戦っていきたい』という気持ちはありましたけども、齋藤さんがこう決めたということは、その時まで一緒にTEAM NOAH全員で、そしてプロレスリング・ノア全員で、そしてファンのみんなも全員で最高の舞台を創り上げていければと思ってます。本当に齋藤彰俊の魂というものをNOAHのリングで表していってもらいたいと思います。お疲れ様でした」

【質疑応答】

――いつごろから引退を考え始めたのでしょうか? また引退の理由をあらためて教えてください。

▼齋藤「ありがとうございます。自分自身、結構信念であるとか本質的な部分というのは、まず曲げることとか、変えることはなく。で、この世界に入ってすぐではないんですけど、しばらくしたときに、ある程度キャリアを積んでいったときに若い選手とかでかい選手と正面からぶつかれなくなったら、もうすぐにやめようと。それが20代であろうが、30代であろうが、すぐにやめようというのはずっと自分の中にあったんですよね。でも、なぜ今かというと、自分の人生長いところですね。いろんなとこを見てもキャリア的にも、例えば今から10年後、20年後っていうのがないのは自分でも何となく分かってるんですけど、その中で武道館ですよね。日本武道館で選手権。15年前は隣の潮崎選手がチャンピオン、自分がチャレンジする側でした。今度は自分がチャンピオンで、チャレンジャーで潮崎選手が来てくれる。さらにですよ。今日みたいな私の会見でこんなチームが集まってくれて、こんないいチームないと思うんですよ。TEAM NOAH。プロレスリング・ノアという名前がある中のさらにTEAM NOAH。こんなメンバーに囲まれて、その武道館のシチュエーションで伝えることを伝えたいと思ったら、今しかないんじゃないのかなって。こんな素晴らしい、全てが交差する時は今日、今しかないんだろうなというのがあって、それで武道館で。申し訳なかったんですけど、防衛していけば、また違うメッセージだったのかもしれないですけども、レスラーに、これだけの仲間にも言わずに来たことが。あの時は本心ですね。試合が終わったときに『あ、今しかないな』と。そういうことです」

――齋藤選手の口から「コンディションがしんどい」と聞いたことがないが、コンディション面も引退を決めた理由の一端になったのでしょうか?

▼齋藤「コンディションに関しては、あんまり休んでないから、ちょっとというところはあったにせよ、自分自身の中でここが悪いからやめるとか、そういったことは一切ないですね。そんなことはないです。苦しいのは家計ぐらいで、あとは何も苦しいものはないですね。大丈夫です」

――引退試合の舞台が11・17名古屋に決まったが、名古屋でピリオドを打つことへの思いを教えてください。

▼齋藤「実は一番最初に自分がNOAHに試験的に参戦したのが同じ場所だったんですよ。NOAHができた2000年の夏ですね。その時のその場所で引退。人間って生まれるときも亡くなる時も一人じゃないですか。一人というか何も持たないというのがあるかもしれないですけど。やはりその場でNOAHの齋藤が生まれたとしたならば、その場で引退なのかなっていうところもありますし。昔から歴史とか覚えるのに語呂合わせとかしましたけど、11月17日、『いい試合が多いから、行けよ名古屋』という感じですよね。そういう感じで歴史上として皆さん、この11月17日を覚えてもらえたらと思います」

――引退試合に思い描いていることはありますか?

▼齋藤「それがですね、これから引退ロードというのもあるとは思うんですけども、自分自身、リングを降りるその瞬間まで熱く戦いたいので、もしかしたら今からやる中で『こいつと戦いたい』とかいうのがいきなり出るかもしれませんので。昔からそうなんですけど、前もって決めて計画的にそこに進むのはあまり苦手なんですね。直感的なところがあるので。もちろん時期がこの日、11月17日と決まってるので、そこには合わせますけど、自分の気持ちに素直にとは思っています」

――引退まで4ヵ月があり、引退ロードという言葉もありましたが、やっておきたいこと、やってみたい相手などはいますでしょうか?

▼齋藤「この前の武道館で潮崎豪という男とできたっていうのが自分の中で一つ。それと、やはりこの仲間と最後の最後までやっていきたいという気持ちもありますし。あと誰と戦いたいというのは、別になんていうんでしょうか。引退はもちろん発表して、その日が決まりましたよね、今日。決まりましたけど、そこに向かってどんどんフェードアウトしていくわけではないので。目の前に『うわ、やりてえ!』っていうのがあったら、これはもう熱くぶつかるので。今、いろいろ考えて、『もうそろそろ引退だな、この人とやっておきたいな、こうだな、ああだな』っていうのはやはり持たないで、最後の最後まで突き進んで、最後散るっていうのが自分の生き方かなと思っているので。そう思ってます」

――大会タイトルは『Deathtiny』。運命のDestinyとはつづりが違うが、込められた思いどういったものでしょうか?

▼齋藤「これは自分のテーマソングの名前と一緒なんですけど、普通はデスティニーってそういう感じですよね。記念であるとか何とかって。それをDeathのティニーとして、死神の宿命、死神の運命っていう感じで。そういった感じの自分が進むべきこと、やるべきことっていうことの意味合いで、そういうふうになりました」

――TEAM NOAHのメンバーから齋藤選手への言葉がありましたが、逆にTEAM NOAHのメンバーにどんな気持ち、メッセージがありますか?

▼齋藤「気持ちといえば、本当に一緒にやっていること、今やれていることがうれしいし、一緒にいれることもうれしいですし。一つはなぜTEAM NOAHに入ったのか。これは武道館のときにマイクで言わせてもらいましたけど、自分自身は伝えなければいけないこと、やらなければいけないことがあったからということと、そのTEAM NOAHをなぜ作ったか、何でこういう名前にしたかを潮崎選手からも聞いたので、その気持ちっていうかね、そういったところ。集まったメンバーを見ても、そこに共鳴してなりたかったと。それが一番なんですけども、一緒にやりながら今リーダーである潮崎選手。彼は本当に明るくて、周りを明るくする。そういった感じのことがありますし。それから実力もある。これ皆さん、こういう言い方をすると変かもしれないですけど、技をかけられたとき、安心感があるんですよ。安心感って変ですよね? 今から投げられてひどいことされるのに。でも安心感があるというのは、例えば赤ちゃんとか『高い高い』とかされる時もそうなんですけど、しっかりした体幹をもって、しっかりした力、それなりのものを持ってる人にされると安心なんですよ。ところが実力のギリギリのところでできるかどうかってところでやられる時って、やっぱり怖いじゃないですか。だから敵でありますし、戦ってはいるので投げられちゃいけないんですけど、その体勢に入ったときの安心感というのが、これは凄いなと思うんですよね。すべてを、相手までも包み込む安心感ってなかなかないので。今ベルトもありますしね、N-1も出ますし、彼の強さ、彼の周りを照らすものを皆さんに見てもらいたいなと思います。それであとヨネ選手。これだけでかくて強くて。体だけじゃないですよ。気持ちも強くて、そして明るい面があってね。ファンの人を巻き込むような、みんなの心を鼓舞させるような力があるじゃないですか。で、いこうと思えば、いつでもトップにいけるような、そういうような選手なので、いろんな面で外側の強さ、内側の強さを持ってる。なので、このまま自分も活躍を見ていきたいなと思ってます。で、小峠選手。小峠選手はね、さっきも前でみんなで写真撮ろうと思ったんですけど、一人だけ後ろにいったりしてね。そんなところがあるんですけど、最近の小峠選手を見てるとマクロとミクロ。自分たちのチームとか、自分自身を見るミクロの部分と、プロレス全体を見たり、他団体を見たり、それとこうしたらこうなるんじゃないかとかプロレス界全体を考えてるような。マクロとミクロの目を持ってるので、これからもちろん自分自身の活躍もそうでしょうけど、チームそのものもいろんな面で持ち上げてくれるんじゃないかなと期待をしながら思ってます。で、Hi69選手ですね。Hi69選手って凄く器用じゃないですか。どんな試合でもできますし、それかライオンとかで飛ぶ時でも相手がどんな位置にいても全然空中の部分とか距離感を把握してしっかりできるんですよ。で、思いやりがあるんですよね。なんですけど、変な言い方じゃなくて、いい意味で物凄く頑固なんですよ。自分自身を持っていて、信念が凄く強いので。彼がこの前の横浜ラジアントじゃないけど、その気になったときというのはいくんだろうなという。そこにも物凄く期待しています。TEAM NOAHって主役にもなれるし、いい脇役にもなれると思うんですよ。脇役って変な意味じゃないですよ。たとえばチームの誰かに貢献してあげたいと思ったら喜んで補助してあげるようなね。そういったところでいつでも主役にいけるっていうところが自分にとって魅力なので、彼たちは本当にこれからもずっと応援していきますし、最後の最後まで一緒にいきたいと思ってます」

――現時点で自分の中でのベストバウトはどの試合になりますか?

▼齋藤「そうですね。今までのベストバウトっていうか、いろいろあったと思うんですよ。一番最初に別の団体に殴り込んだときとか、それから忘れてはいけない2009年6月13日とか。そのほか初めてベルトを獲ったタッグのときとか、いろいろあると思うんですけど、今現在というか自分の中ですべて気持ちを整理させてくれて、スッキリしたというかですね。あれだけぶつかれた、やはりこの前の日本武道館の潮崎豪選手との戦いが自分にとって最高なんじゃないかなと思ってます」

――やめる決断を三沢さんにどのような言葉で報告したいと思いますか?

▼齋藤「あのときに誓ったことと、約束したことはある程度、自分なりにですけど、できたのかなと思ってはいるんですけど。これね、見てくださってる皆さんたちもそうかもしれないけど、宿題とか学校から出されて、宿題やってきましたって言ってもそれは当たり前のことでほめられないじゃないですか。だからこの前の日本武道館で発表したあと、ここからその11月17日まで、それまでにどういう姿勢で、さらにどう戦って、どう努力してってところで初めて約束を守って頑張ってきましたと言えると思うんですね。だから、ここからの姿勢を、戦いをみてもらいたいなというのが一番です」

――広島の地で心に誓ったことを具体的に教えていただけますでしょうか?

▼齋藤「はい、広島の地で誓ったことですよね。まず約束したこと。あの時点のときって潮崎選手はキャリア的にまだ若かったんですけど、あのときに三沢社長が一緒に組んでタッグをいくぞって言うってことは、彼に対してどれだけの思いがあったかっていうのが自分には敵ながら分かったんですよね。そのときにああいう形になってしまったので、そのときにやはり三沢さんの思い…もちろん実力は潮崎選手のほうが全然あるので、自分なんかがというところはあるかもしれないんですけど、やはり彼にあって自分にないもの、自分にあって彼にはないものもあると思うので、その部分で伝えたいなっていうこと。それからあと自分自身で誓ったこと、約束したことの一つに、あのとき引退を発表してから未だにいろいろ意見をSNSでいただくこともあるんですけど、でもあれなんですよね。そのときに責任を取って辞めればよかったのか、もしくは絶対にいけないことですけど命を絶てばよかったのかっていうこと。次の日、もう日が明けてたので病院からホテルまで歩いてる途中ですね。その日に決めなきゃいけないわけですよ。皆さんにご迷惑がかかるじゃないですか。試合も組まれていたわけですし。なんですけど、そのときに本当に思った本心なんですけど、じゃあ自分自身が目の前からいなくなったら、皆さんどこに怒りや悲しみやいろんなものをぶつけるんだろう?と。確かにやめてしまえば責任取ったように取れるかもしれないんですけども、目の前からいなくなったら、この思いってどこにぶつけるんだろうと思った時に、自分は逃げちゃいけないなと。しかも皆さんの一番見えるところ、リングの上に立って、皆さんから気持ちをぶつけてもらえればというところがあったので。自分自身のところで納得いけるまで。その先ほど言った約束というかですね、思ったことを実現できるまで。っていうことで、ここまできました。なかなかシングルのベルトを獲るまで、やっぱり33年っていうのがあったので。なかなかそこまで…いつも挑戦して届かなかったんですけど、やっと約束が守れるかなっていう。今思い返してみれば、キャリア33年で、しかも3月31日で、第33代というベルトだったので、この3という数字がやっぱり導いてくれたのかなとも思ってます。この場を借りてなんですけど、最近ちょっと書かれている中で『齋藤が悪くないよ』って言ってるファンに対して、いろいろ言われてる方もいますけど、ハッキリ言ってファンの人は関係ないです。関係ないというか、皆さん苦しかったんですよ。ファンの人もそうですし、選手もそうでしたし、ご家族の方なんてもっと苦しかったと思うし。自分が背負ってるっていうのは別にカッコつけて言ってるわけじゃなくて、自分自身しかできないことがあるので、それをやるために背負ってるっていうだけで。皆さんつらい思いしたのは一緒なので、ここは皆さん、一緒に本当につらい思いをしてくれてというか分かち合ってくれてありがとうございます。なのでファンの方がたとえば『齋藤は悪くない』って言ってることに対して『それは』って。それは違います。何かあれば全部、自分に下さい。自分が受けますので」

――リングを降りた後の展望について考えていることや、やってみたいことはありますか?

▼齋藤「そうですね。今、まずこれだけは確実にというのは、今NOAHのファンクラブに入ってくださってる方たちに『鏡』という小説を書いてはいるんですけど、それは絶対に最後まで書き上げます。で、今後どうするかというところは、そうですね。11月17日、そのリングを降りるまでは選手なので、そこに集中したいかなと。でもプロレスリング・ノア、それからTEAM NOAHが大好きなので、もしかしたらファンとしてかもしれないですし、何かわからないですけど、今度は引退というリングからの卒業じゃなくて、人生を卒業するまで、ずっとNOAHを応援していきたいとは思ってます」


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