佐藤光留「飯伏を引き出す? 味わわせてくれよ」 変態は26時に蠢きだす
思いをよせて語り尽くせぬ渋谷で、沈む夕陽を横目にしたレンタルルーム。佐藤光留自主興行『変態は26時に蠢きだす』新宿FACE大会(13日深夜)が近づいた8日、佐藤光留が取り置きチケット引き換え会(かつ即売会)を開催した。
プロレス界って同じ過ちを繰り返すことしかできてない。これ自然なことなんだと思うんですよ
18,000字インタビュー公開。もし可能ならば、この引き換え会の部屋と同じように長渕剛ソングをかけながらこのインタビューをお読みください。
【引き換え会は16:00~21:00のロングラン。その前半時間、お客さんがいない隙間隙間を利用して取材となる。スタートと同時に5人のファンが来場し、その対応がいったん落ち着いた】
光留が静かに語り始めたのは、レスラーの先輩から学んだことだった。あらためてチケット売れ行きを問うと、「若い選手にプラスで払えるくらいには」と。
佐藤光留 (先輩たちは)世間的な評判は非常にガラが悪いとか言われましたけど、でも自分だけの利益に走る人ってあんまりいなかったですね。あんまりというか、1人もいなかったです。口を揃えて言ってくださったのが「俺もそうしてもらったから」と。一番初めはもう本当、1999年9月のパンクラス仙台大会に行くための新幹線の中で、鈴木(みのる)さんに「弁当2つ買っておいて」言われて。「お前も食え」って言われて遠慮したら「いいから食え。俺はアントニオ猪木から教わったんだ。『お前がメシ食えるようになったらその時の後輩にしてやれ』って言われたから、今俺はお前にやってやるんだ」というのはもう最初。その考え方を、僕をプロレス界に導いてくれた人はみんなしてくれます。逆に、世間的にはいい顔してるレスラーでも、しなかった人はもう何人も知ってます。だから、世間的な評価とかどれだけお金を稼いでるとかっていうのが、だんだん薄れてきたのはそういうところもありますよね。だから今回、僕のその…チケットはもちろん売れてはいるんですけど。けど、ほかほか懐があったかい年末っていうわけにはいかないです。だけど、いつも頑張ってこの値段で仕事してくれてる後輩に「ちょっと儲かったから、少しボーナスね」って渡せるぐらいにはなってる。それはありがたいです。
カクトウログ 還元するんだと。
光留 ほんのちょっと。そんな偉そうに言える額ではないけど。額聞いたら「よう言えたな」ってくらいですけど(笑)。
カク 今日、(光留も出場した)全日本プロレス後楽園ホール大会。(世界最強タッグ決定リーグ戦2024は)斉藤ブラザーズが優勝しました。
光留 優勝決定戦のときには、僕は車を走らせて、この部屋に向かってました。
カク 向かってましたか。
光留 ちゃんと(配信で)見ました。今日は歴史的な一日だったんで。何が起こったかは言えないですけど。
カク それはバックステージで。
光留 バックステージ。僕の中の「武藤全日本」が終わった日。
カク 「武藤全日本」が終わった日!!
光留 これに関しては来来世くらいに(話す)。
全日本・後楽園大会終了。詳細は有料サイトでご確認ください。
武藤全日本から潜り込んだ佐藤光留として、今日はいろいろ歴史的な日だった。
来来世で話します。#というね pic.twitter.com/9iOJLPELqH— 佐藤光留 (@hikaru310paipan) December 8, 2024
カク それは…今日の「バカの時代」の10人タッグとは関係ない?
光留 いやいや、もちろんすべてを包括してるんですけど、結局プロレスって一人じゃできないんですよ。カリスマって「カリスマ的人気がある」ってみんな言うじゃないですか。でもカリスマって、もし地球上に1人、そういう映画あったじゃないですか。もしあれだったら会社もクソもないし、誰もお前のこと見ないんだから、カリスマレスラー、自分を見てくれて「カリスマだ」って言ってくれる人がいなければカリスマになれないんですよ。だから自分がプロレスラーとして何を残したか、お客さんにどう思われてるか…うんたらかんたらって言うのを、スグ評価を下してしまう。その原因はSNSだと思うんですよね。よくも悪くも。それで「これがすごいんだ」って言ってる人間は全員足をすくわれるし、未来ねぇな、同じ過ちを繰り返すなっていうのは今日思いました。それに関してアレがああなってコレがこうなったのが今日。「武藤全日本」が終わった日です、僕の中で。
カク なにがしかの変化の節目が裏であった。
光留 プロレスはいつも変化ですよ。結局…だって、変な話プロレスができて、力道山が日本にプロレスを持ち込んで、もう50~60年経つわけですから。なのに一向に争いは減らない上に、団体が増え、で統一機構はいつまでたっても機能せずになってるわけじゃないですか。ということは、もうプロレス界って同じ過ちを繰り返すことしかできてないんですよ。それって人間がその文化的な生活をしている以上、生物で他のものを殺して食っていかないといけないっていう仕組みである以上、これ自然なことなんだと思うんですよ。すごい理想郷を言うじゃないですか。プロレスも怪我しないで安全で辞めた選手もウンタラカンタラ。あくまで理想で、そうはならないです。自然なことです。そういうやつがいるから僕仕事あるんで。だって、まともなやつだったら昼間に興行やるじゃないですか。まともなやつが(夜中には)いないから僕は仕事あるんで。そういうことです。
カク 一時その福田剛紀社長が。
光留 はい。
カク 福田社長が白い化粧して侍(バカ殿様)の格好して。なんか全日本プロレス大丈夫か的に叩かれたことがあったじゃないですか。で、あの時ってこう…叩くことがかっこいいというか、なんかそういう、やれ自分も便乗して悪口言うというのが。乗り越えるってそんなに簡単なことじゃないんだろうけど、そんなに長時間かかったわけじゃないのに活況(この日の後楽園は札止め)なのが素晴らしいなと思って。
光留 僕はでも(SNSの反応自体は)何十回か見た光景ですよね。パンクラスでも見たし、K-1、PRIDE、RIZINでも見たし。もちろんプロレスではもう年に何回もいろんなところで見てきましたね。SNSでよくアンチコメントとか団体が危機だとかいろいろ言うじゃないですか。そういうのを「気にしなくていいじゃないですか」っていう人もいるんですけど、でもそれ無理な話だと思う。だって他人が自分に何を思ってるかってすごい興味があるじゃないですか。なんならもうね、民主主義ってそれでできてるわけですから(笑)。法治国家ですから、法律決める人たちは自分たちの好き嫌いで決めてるわけだから。ですけど、なんて言うか、実は自分にいいこと悪いこと言うのって、そんなに実は関係ないことなんだって最近は思ってきたんです。
カク 関係ない。
光留 関係ないです。だから僕のことを悪く言う人もいたり「佐藤なんてプロレスラーとして全然じゃん」っていう人、もちろんたくさんいるんです。でも別に、僕は昔はそういうのはやっぱ気にしてたし、ダメージ受けたんですけど。それこそ SNS やりあったりしてたんですけど。もしその人たちが、僕がじゃあプロレス辞めました。じゃあそいつらが佐藤光留のアンチコメントしなくなった、全日本プロレスの社長の悪いこと言わなくなった…そしたら次何があるって、次何か文句言える人(相手)を捜してるんです。文句言える対象を合法的につくり出してるのが週刊誌。だから、いつまでたってもそういう報道は終わらないし、真に受けた人は死んでいっちゃうわけですよ。終わらないってことは人間自然なことなんです。だから変な話「今日曇ってんだな」と思って「一枚上羽織っていこう」とか「雨降ってんな、傘さそう」っていうのと一緒で「アンチコメント来てるな」そういうもんなんですよ。みんながみんなそうだとは思わないですけど。だから(アンチコメントが)来たってプロレスって悪くならないし、アンチコメントが来ないような団体が必ずしもじゃあ上にいるかっていうと、全然そんなことなくないですか。批判を全く受けてない団体が常に一番上にいるかって、そんなことなくないですか。っていうことなんですよ。だからなんか普通です。正直もうアレに関して驚くことがなくなりました。ただ、若い選手は頑張って自分たちの新しい全日本をつくろうとしてやったことは財産だと思います。
カク 本当に今日超満員、立ち見も出て、最後に斉藤ブラザーズが挨拶をして。お客さんがゼンニッポンコールを送るという場面はもう非常に、なんか一つの段階に来たなっていう、正直感じました。
光留 後楽園ホールがいっぱいになった。もちろん素晴らしいことだと思います。けどオードリーのラジオのイベント(2024年2月18日「オードリーのオールナイトニッポン」)で、東京ドームのチケット取れなかった人を含めて16万人が見てんですよ(現地、ライブビューイング、配信合わせて計16万人が鑑賞)。それに比べたら1500人ですからね。今それで天下取ったって言っちゃだめですよ。
カク はい。
光留 っていう顔してるやつがたくさんいるんです。
カク 一昨日の金曜日(6日)にあれに行ってきたんですよ。古舘伊知郎さんの『トーキングブルース』というのに初めて行ってきたんですけど、一人で水飲まずに2時間半喋って。
光留 病気ですね(笑)。
カク 六本木の会場、1000人が3日間入ったっていう。
光留 どうかしてますね。
カク 昨日70歳ですね。
光留 古舘さんと(レフェリーの和田)京平さん同い年なんですね、じゃあ。
カク なんか古舘さん、今のテレビに出てるキーパーソンをすごい分析してて「こういう型の人なんで、こう(世間に)受けているんだ」みたいな。本当にあの人も「今を生きてる」なって。
光留 この間、僕、日記にも書いたんですけど、もしプロレスが登山だったら。頂上に登ることを諦めて「俺はこんな景色を見た」つって下りながら語っていくやつの言うことは耳にするなって。ただただ上に登っていって、もしかしたらフッと横見たら、違う山をしがみついて必死に登ってるやつがいるから、そいつらだけ見て、ただただ上に乗ることが現役だと思ってます。僕の好きな言葉というとアレですけど、鈴木みのるの好きな言葉で「俺のライバルは今一番強いやつ」ていう。同世代だからライバルだとか負けたくないとか、いろいろ言うじゃないですか、みんな。だけど。鈴木さんはどんな時代になっても、とにかく今一番ベルトを持っている、強いと思ってるやつが、俺のライバルだと。俺より足が速いと言われたら、俺はそいつより速く走りたいと努力を積んでいるんです。今死ぬことはあるかもしれない、人間的に。だけど自分で自分を殺すこともできるんですよね。俺は昔こんなことしたよ。この間もプロレスの技のかけ方で、なんかいろんな人がいろんな意見言ってたじゃないですか。なぜかプロレスって辞めた人が「達人」になってるっていう(笑)。
カク ツイートもされてましたね。
朝から鈴木秀樹氏と鬼LINE。7時過ぎからよ。なぜ現役を辞めたプロレスラーは達人になるのか。現役中に出せよその技術。
整体行ってPDHで「変態は26時に蠢きだす」チケット販売準備して夜はYMZ。#というね pic.twitter.com/8UbJYCC06g— 佐藤光留 (@hikaru310paipan) December 6, 2024
光留 別に辞めるのはいいんですよ。この世界に関わるなっていうわけでもないし。元プロレスラーとしていろんなこと発信するのは別にかまわないです。けど辞めて現役を退いた途端に、やたら技術的に 100% 知ってるって顔するやついるじゃないですか。
カク 解説的な。
光留 とか、ツイッターであの技はこうだった、あのプロレスはこうだったと。あと現役だけど、もう今を生きてない選手っているですか。そういう選手ほど、今の選手にプロレスができてないとか。じゃあなんでお前って、今一応引退せずリングに上がってるのに、他に仕事しながらたまにしか言わないんだよと思うんですよね。そんなに完璧にできるんだったら、お前もっとレスラーとして上行ってるよなと思うんですよ。でもなぜか現役を引退したり、その形式上現役を引退してないけど、もうプロレス界から引く手あまたって状態じゃないやつになるほど、なぜか技術論が完璧になってくるんですよね。
カク なるほど。
光留 だから、自分を補うものがキャリアだけになってるんです。同じように、こうやったらうまく結果が出るよっていうことを、キャリア1年のやつが言うのと、キャリア10年のやつが言うのと、キャリア 30 年で引退して 5 年のやつが言うと、なんか歴史上重みがある人の言ってることが正しいように思っちゃうじゃないですか。でも、実際今、現役でやってんのはそのキャリア 1 年のやつで、こいつはじゃあ UFC のタイトルマッチで出てた、そいつの言ってることが一番なんですよ。なのに、なぜかプロレスはキャリアがあって、いつまでたってもアントニオ猪木の言ったことが全て正しいと思ってるやつらがいるんですよ。ファンでもいるし。僕がいろんなこと言ったら「今のプロレスはこうなってて猪木が泣いてるぞ」みたいな(笑)。あれ、すごいですよね。おめぇはアントニオ猪木じゃねぇだろと。
カク そうですね。
光留 50年経ったら「今のレスラーはこんなになっちまってケニー・オメガが泣いてる」って言われるんですかね。
カク ちょっと脱線しましたが、全日本の話で言うと6人タッグへの挑戦が決定しました。
光留 青柳(優馬)はバカになりました(笑)。どう考えても体格的に、自分を中心に考えたらヘビーを2人揃えたら勝てるわけじゃないですか。なぜジュニア(パートナーに光留と阿部史典)を。でも全日本プロレスの中で、青柳は今ね「支柱」だと思うんですよ、精神的な。やっぱり古くはそれこそ四天王という支柱があって、(ジャイアント)馬場さんという支柱があって、分裂したときは諏訪魔という支柱があったところに、宮原(健斗)・ゼウスという支柱が新しくできて。ようやく今何本か支柱が立ってきたんですけど、精神的な支柱で言ったらもう今、青柳がいるから全日本プロレスなんだと思うんです。それぐらいバカ正直な、バカが選んだバカのメンバーがバカバカと(笑)。
カク ぜひタイトルが獲れるように。
光留 (物理的に)重いんですよね。(※一時、6本のベルトを日常的に自身の車で運んでいたころのエピソードを語る)ちょっと燃費悪くなったんですよ。みんなにPWFと言われてましたから(笑)。でも不思議なもんですよね、誰もベルトを巻いてないんですよ腰に。なのにその闘いで権威が上がるって。本当に権威が上がってるわけじゃないですか、見てる人からすれば。
カク ベルトの権威も上がりますし、何度か獲る中でその選手のステータスも上がっていくんで本当に面白いですよね。
光留 上がりますか。ステータスが上がるってどういうことなんですか。俺、何回ベルトを獲ってもギャラ上がってこないっス。
カク でもやっぱりこう…強いんだなって。
光留 ガハハハ。
カク 普通にわかるじゃないですか(笑)。セミで宮本(裕向)さんがベルト獲って(GAORA TV チャンピオンシップ)。
光留 似合ってましたね。
カク 嬉しかったですね、あの人コンディション、ちゃんといつもつくってますよね。
光留 宮本さん、一番わかんない。
カク わかんないですか。
光留 いや、ずーっとタッグを組んでて仲もいいんですけど、意外とわかんないです。別に隠してるわけじゃないのに、腹の中が全くわからないというか、面白いですね。今回だっていっぱい巡業先で話して、僕もバイク好きで、宮本さんのバイクとはまた違うバイクだし。ピタリとひとつ趣味の話で(光留と宮本が)合ったのは「電動工具」だったんですよ(笑)。ドライバーとかドリルとかの話がすげー盛り上がって。なんでなんだよと思いましたよ。最初はだって、諏訪魔さんが欠場してシレッといただけなのに、なんかすぐに宮本裕向っていうキャラが馴染んできたと。さすがだなぁと。
カク 宮本さんは盆栽も好きでいらっしゃいますね。UDONプロレスに参戦した道すがら、熱心に香川県でご覧になっていた。
光留 へぇ~。宮本さん、飄々としてるんですけど嘘がない。嘘つきで飄々としてるやつはいるんですけど、あの人は本当にそういう人なんですよ。(ファンが訪れ)はい、いらっしゃいませ。はい。どうぞ。
【取材中断。自由にトークも弾むが、一般的な会話のみ抜粋】
ファン プレイガイドにも出るのかなぁとも思ってたんですが。
光留 決まったときからの時間がなさ過ぎて、申し込んですぐ出ないから(発売が間に合わない。だから選手取り置きでの販売となる)。ただね、「平日の夜は行けない」って言ってた地方ファンも、今回は夜に来て見て帰るって言ってるから。
ファン FACEって遅い時間とかも貸してくれるんですね。
光留 いや今回は特別。飯伏(幸太)さんが「12月の前半で行ける」って話になって、僕の方は毎日のように何かが入ってるんですよ。この日もFACEは夜は大会があるし後楽園などもできないし。無人島まで探ってたんですけど、夜中でもできるところ探してみてOKが出たのがFACEで。昔はね、よくあったんですオールナイト興行とか。今コロナでずいぶんなくなった。もう収まったし。
ファン 試合中にいつもリングシューズ履かないじゃないですか。痛くないですか。
光留 痛い痛い。でも俺、パンクラスの人間だからやっぱユニファイドルールに合わせないと。
ファン あー、レガースだけして。
光留 そうそう。靴は臭くなるんですよ。裸足でやったら蹴りやすいし楽でいいやと。鈴木みのるさんに言ったら「ユニファイドルールだったら、レガースなんか履いちゃダメだろ」って(笑)。裸足だから冷たいんですよ、場外とか、新木場の裏とか。(来訪ファンが帰ることになり)はい、またよろしくお願いします。なんかその辺に(道がわからなくて)ウロウロしてるやつがいたらこっちだって言っといて。どうもありがとうございました。またお待ちしておりま~す。
佐々木憂流迦は、普通のプロレスラー、普通の格闘技の選手とは、ちょっと生きる場所の違う人
カク 嘘がないと言えば、(光留とも試合をした)佐々木憂流迦選手が。
光留 中邑(真輔)さんと。すごいですよね、見たいです。
【ノア日本武道館1月1日(水祝)NOAH “THE NEW YEAR” 2025 中邑真輔(WWE)vs.佐々木憂流迦】
カク 憂流迦選手が報道関係の皆様に思いの丈をお話ししたいということで囲み取材(11月23日)があったんですけど。何を喋るのかなと各社が足を運んだら「言葉にしなきゃいけないんだけど、言葉にしたくない気持ちも今すごくあって」と。
光留 ハッハッハッハ。さすがだな。
カク その中で「(プロレスって)何だろうね。嘘がきかないんじゃないですか」っておっしゃってて。
光留 いろんな格闘技の選手と話をしてきましたけど、あの人は、なんかちょっと自分たちとは、普通のプロレスラー、普通の格闘技の選手とは、ちょっと生きる場所の違う人ですね。生きる場所っていうか、生きてる場所が違う人です。いらっしゃい!!
【ファン来訪。プロレスのカメラ撮影について語り合う】
カク 憂流迦選手の話の続きで「嘘がきかない」と。本当は中邑選手みたいに技に感情を乗せて爆発させるというような試合をやりたいんだけど、どうもそのスイッチが入らないということを。
光留 怖いのが、普通に考えてください。佐々木憂流迦、UFCに出たことがある格闘家が、プロレスラーになって頑張って中邑とって話になって。考えたら格闘技やってた世界チャンピオンがプロレス来たって話は他にもあるんですけど、いきなりじゃああんだけ人の注目集めたりするところに行って、不自然じゃないかって言ったら、やっぱりみんな足りないから頭叩かれて、で、もう1回プロレスの列に並び直して一瞬懸命頑張ってるやつがたくさんいる。(なのに憂流迦は)もうすでに15年選手みたいなこと言ってんですよ。プロレスの技に感情ですよ。プロレスの技術とかプロレスならではのところがあるはずなのに、それを飛び越して感情の話してんですよ。僕、中邑さんって挨拶ぐらいしかしたことないですけど、いろんな雑誌とか見てたらもう言ってることかなんかもう宇宙人みたいなこと言ってるじゃないですか。それに個人的な感想で近いのが武藤(敬司)さんだったんです。同じものをすごい身近な格闘技出身っていう、実際試合も闘った佐々木憂流迦から感じたというか。本当、恐怖となんかそのスケール感、畏怖というか感じましたね。ゴジラと話してるみたいな。
カク その会話でってことですか、試合も?
光留 試合は…でもなんかね、時間の問題だと思うんですよ。やっぱり蛹にはならないと蝶にはならんのですよ。だけど蛹にもなれないまま、芋虫の状態のまま、食われたり死んでいったり、気づいたら「芋虫のままが一番いいな」って、もう何年芋虫やってんだよって(レスラーもいる)。(そんな中で)すぐ蛹になって憂流迦が羽化しようとしているわけですよ。
カク (…)なるほど。
光留 太字にしておいてください(笑)。いや、もうすごいですよ。本当にスケール感ですね。なんかやらかすんだなと思ってた。
カク 言葉にはできないんだけど、プロレス的に元日までに成長しなきゃいけないんだろうっていうのもなんか感じて喋ってらしたようで。
光留 多分ですよ。僕がこの40年間のプロレスを見て、実際25年やってきて感じてることなんですけど、(憂流迦の言葉は)本心だと思うんです、それは。本心だと思うんですけど、一番大事にしてるというか、直感で選ぶものってそこじゃないものを選んでると思うんですね。彼のリング上から感じるのは、もっとすごい本質的なひらめきだったりとか。すごい安い言葉で言うと、あの人「絵描いてる」みたいなんですよ、試合が。プロレスの型っていうのがあるじゃないですか。何にでもやっぱあると思う。取材の型もあるし、寿司握るんだって寿司の型があるし。家建てるのにもやっぱ家の型っていうのがあるんですよね。なんなら法律も重なってくるわけですからね。佐々木憂流迦ってなんか本当に…型がないんですよ。プロレスの型が。でも佐々木憂流迦っていうものはあるんですよね。あれは面白いですよね。おしいなと、もっと早くツバつけとけば(笑)。
カク (笑)。いえ、これから関係性が生まれるかもしれないです。
光留 たまにノアのマンデーマジックとかの控室で会ったときには、なんか知り合いみたいな話し方してくれましたけど。僕はとてもじゃないけど「あなたと生きてる場所が違うんです」って心の中で思いながら(笑)。あなたが天に向かうとしたら僕は地の中に進むんですよーって思ってました。
カク そういう意味ではこう、試合の組み立ていうのをあらかじめ考えて試合する人が多い中で、もっと肌感覚で闘ってるようなイメージですか。
光留 だからこれはもう良し悪しだと思うんですけど、プロレスって職人の世界じゃないですか。で、職人の世界って親方に一人前って認められることが良しとされるじゃないですか。でも親方によると思うんですけど、何を持って良しと思うかって、お客さん相手にやってる商売だったら、仕事だったり職人ジャンルだとしたら、お客さんに喜んでもらうのが一人前だなと思うんです。少なくとも僕にプロレスというものを教えてくれた職人の上の人たちは、みんなそうだったんです。自分が良しとするものじゃなくて「佐藤、客を喜ばしてんな。そういうやり方もあるのか畜生。良くなったな」って口で言わない人ばっかりですけど、そういう人ばっかりなんですよ。プロレスの型ってすごい大事なんです。で、俺が教えた型通りできたらヨシヨシっていう人がすごく多いです。だから引退するとみんな達人になってくるんです(笑)。けど、変な話です。例えばですよ、それこそ今のプロレスって遡っていけば(力道山の)空手チョップから始まったわけですよ。日本のプロレスって。
カク はい。
光留 それが今や、もう口から毒霧吹いてバットに爆弾つけてコーナーから宙返りして、もう「プロレス」っていう枠が広がってきたわけじゃないですか。だからどんどんはみ出しちゃえばプロレスって道ができていく。僕だったら変なセーター着てるし、口から霧吹いたりとか電流爆破ばっかしなくてもはみ出せるんです。そのはみ出すってすっごい勇気がいるし、はみ出した先に生きていけるかどうかってまた別問題なんですけど、佐々木憂流迦はその可能性を持ってる人だってことですね。
カク なるほど。
光留 あの人にプロレスを誰が教えたか知らないですけど、それはあくまで、ここで暮らすための共通言語のアイウエオぐらいしか教えてないんじゃないですか。これから佐々木憂流迦って、漢字だったりカタカナだったり英語だったりスワヒリ語だったりで、佐々木憂流迦がプロレスの言語をつくるんじゃないかっていう期待感が僕にはある。これは申し訳ないですけど、闘った人間にしかもしかしたら。
カク かっこいい。
光留 でも本当に恐怖でしたもん。ゴジラ映画みたいな心境で。いや全然技術的なものとか、あと自分のやってることが負けてるなんて思わなかったです。だけど、本当に自然に対する畏怖、地震だったり台風だったり。だから…地震・雷・火事・憂流迦。そういう感じですよね。それを人はスケール感って言うんだろうなと。
【別のお客さんがいらっしゃり対応】
11月に飯伏さんサイドから「佐藤光留と闘いたい」っていう連絡が来たんです
カク 飯伏幸太戦決定の経緯についてお伺いできますか。
光留 12か月連続興行(自主興行)に挑戦してて、12月はなんとなく大晦日付近で集大成興行にしようと思ってたんです。そしたら、これはもう今週自分も書くんで別に(書いてもらって)いいんですけど、飯伏さんから「佐藤光留と闘いたい」っていう連絡が来たんです。で、正直な話、そういうのが僕に声かからなかったから、僕は地下に地下に潜っていってたんです。みんなが「空」ばっかり目指すから、僕は「地」の中に潜っていって「お前らが見たことない地底を探してやる」って。そうしたら飯伏さんの方からそういう連絡があって、間に入ってくれた人がいるんですけど。それでルールで今まだ話し合ってる途中なんで今「ルール未定」だと(告知もなっていると)思うんですけど。
カク はい。
光留 それでもう(会場を当たらないといけないのに)日にちがないと。新宿FACE、新木場、もちろん全部空いてない。無人島も探したんですよ。やっぱりここっていうところなかったんでっていうので、相談してみたら新宿FACEからOKが出たので、今の佐藤光留と今の飯伏幸太が闘うには、僕が恵まれてるなあって思うんですけど、こんないい時間帯ってないんですよ(笑)。なんかこの日の夜は後楽園で宇宙大戦争、新宿FACEでマリーゴールドがやってるのかな。
カク 金曜日は。
光留 で、次の日はいろんなところがいろんな興行をやってるし。僕も夜は違う場所で試合するし。15は天プロ(天龍プロジェクト)もあるから。もうどこにもその隙がない中で、ここの時間だけポコッと入ったんですよ。そこだけ空いてるのが本当に光って見えた、僕からは(笑)。毎回そうなんです。僕のやることって「すごい考えましたね」ってよく言われるんですけど、勝手に導かれてきたんですよ。はい、いらっしゃい!!
【ノックされてグッズ購入目的のファンが入り対応】
光留 僕も初めてなんだよ、こういう、レンタルルームみたいなのを借りて。みんなに「なんで」って言われるんだけど、チケットが多分すごい混むんですよ当日は。ほぼ手売りなんで。だからこれはちょっと早めにやっとかないとパニックになるからと思ってやってたら、逆にこれはちょっと面白くていいな。いや、これはなかなかないよね。取材に来てくれたカクトウログがなぜか話を聞きながら手伝ってくれてるから。来なかったらずっとここで1人で待ってることになる(笑)。でもひっきりなしに人は来てくれてます。
ツーショット希望で、カクトウログがカメラ担当。ファンのスマホに貼られてるシールを光留が目にする。
光留 「斉藤ブラザーズ」やんけ!!
【ファンと誰のプロレスを見るのかという談義がつづく。別の常連ファンも入ってトーク。光留選手とカクトウログにホットコーヒーを差し入れてくださった方、ありがとうございました】
カク 飯伏サイドから連絡あったのはいつぐらいなんですか。
光留 本当に11月。本当に自分が生かされてるなと思うのは、毎日、僕のプロレス人生って何か急に現れるんですよ。必要なものが。それによって生かされてる。今回なんかそれが急に来たんで、本当に怖いなと思うんですよね。
カク 本当にすごい短い期間で興行にこぎつけるという。
光留 逆に言えばその短かったのが良かったっていうのがあるし、いいふうにしか転ばないのが本当に僕の運ですよね。運がいいんですよ(笑)。本当に死ぬほど運がいいんですよ。
カク 素晴らしいじゃないですか。
光留 過信する者には運って来ないんで、常に背筋を寒くして、何かに怯えながら幸運にすがって生きていきます。だから全然いい思いはしないです。1日24時間のうち寝てる時間が6、7 時間だとしたら、残りの時間はもう本当に15時間、背筋が寒いままです。1回も幸運が来ないまま何日も終わっても、たまに人生を左右するような幸運がパッと現れるんですよ、僕には。それだけにすがって生きるんで。
カク 寂しい言い方をしないでください。
光留 これがでも、本当に普通の人からしたら寂しいことって思うかもしれないですけど。これって幸運を引き寄せて、幸運を生み出す僕の処世術、生き方なんですよ。幸運って生み出せるんですよ。少なくとも数は増やせるんですよ。もうパチンコから学びましたね。
カク (笑)
光留 いや本当に本当に。あの、よく人生の運の総量って決まってるっていうじゃないですか。もちろん僕決まってると思うんです。正直な話、五分五分だと思います。いいこと悪いこと。けどパチンコってすごい簡単な話をしたら、1000円で10回ルーレットが回る台と、1000円で20回ルーレットが回る台、どっちが勝てると思いますか。20に決まってる。だから試行回数を多くすることによって、当たりってのは増えるんです。で、もちろん試行回数が増えればパチンコをやる時間ってのは長いんですけど、これ人生も同じで幸運と不運が同じ量だったら試行回数を増やせば幸運の量が増えるんですよ、絶対。そのためには毎日自分を冷たくしとくんですよ。冷風にさらして、寒い地面を裸足で歩いてる。そうするとそれが試行回数なんですよ。何も悩みがない、苦しむことがない、つらいことがない人には幸運をたぐり寄せるルーレットを回すこともないんですよ。だって満ち足りてるから。そうじゃないときに運・不運を自分で引くんですよ。試行回数。そのためには常に自分を寒いところに置いとかなきゃいけない。よくない場所に置いとかなきゃいけない。これ、僕でも本当に幸運を増やすやり方だと思ってます。まぁ、普通の人はやらないから、できないと思いますけどね。自分を、そんなところに置きたくないですか。できれば服を着て歩きたい。
カク そうですね(笑)。夜中だっていう打診を(飯伏サイドに)したときの、なんかリアクションあったんですか。
光留 特にないですね(笑)。すごいですよね(受け入れるというのが)。けど周りはありましたよ。断られた選手は何人かいるんですけど、それはもう理由は全部「夜中だから」。けど、ほぼいないですよ。自分から応募してきた選手も含めて、夜中っていうものにビビる選手は僕の周りにはいなかったですね、ほぼ。
カク 素晴らしい。
光留 ファンを大事にするっとことは、来やすい時間に興行するということだと思うんですよ、普通の人の考え。僕は、自分が釣りだったりとかギャンブルもそうだし、アイドルとかもそうなんですけど、やっぱある程度、勝ち抜いていかないとゴールにたどり着けない趣味ばっかりなんです。だから思うんですけど、釣り堀で釣りしたり、絶対に当たる接待パチンコ。あとすぐにやれるアイドル。全く嬉しくないですよ。やっぱりハードルがある方が、それを乗り越えたときの面白さ。プロレス界が一時期から間口が広くなって、入り口が広くなったじゃないですか。すごくいいことだと思うんです。けど「こんな時間に行くの」ってところに来れただけで、一個ハードルを乗り越えてるわけですよ。そういう興行がしたいんですよね。それもひとつの面白さなのに、「来やすいところに来て、チケットがすぐ取れて、時間通りに始まって、いいものが見れて、面白かったら帰る」ものって飽きますね。やっぱ飽きさせない、本当に面白いものって、プロレスってもっともっと奥深かったと思いますよ。昔なんかはそれはそれで。さっきの話と矛盾してるんですけど。それってやっぱ、たどり着いたからと思うんですよ。
カク はい。
光留 何度も負けるんですよ、スーパー・ストロング・マシンって。もう田上明、越中詩郎、全然勝てない。けど、たまーにホームラン打つじゃないですか。あれでね、僕らは闘魂三銃士にはないカタルシスを感じて来てるんで。人の心に刺さるには、僕はハードルがあっていいと思います。商業的には良くないのかもしれないですけれども、佐藤光留の興行ってなんか面白いよなの「なんか」は僕、そこにあったりすることはあると。もしですよ、後楽園ホールが空いてて、13日の夜6時半からこの興行やって、飯伏幸太vs.佐藤光留。埋まらなかったと思います。熱狂ってやっぱりハードルの向こう側にある。
ルールは未定。いやね…こんな時間に見に来るやつらにね。普通のを見せたってしょうがないでしょう
カク 飯伏選手とは3度目の対決となります。
光留 実は。シングルはそうなんです。1勝1敗です。
【ハードヒットでの2008年7・20新木場大会で敗戦、DDTでの2010年10・24後楽園大会で勝利】
光留 そもそも僕、ハードヒットに出たのは飯伏さんと試合がしたかったんです。で、飯伏さんと試合をして、本当にウンともスンとも言わない試合で、思ってたのと全然違うなと思って、帰ってビデオもらったんで、それ道場で見て落ち込むことしかなくて。でも飯伏さんがそこからどんどんいろんなところに出て、(新日本プロレス)IWGPのJr.タッグを獲ったときに(同時期のDDTの)総選挙で2位だったんですよ、僕が。
【2010年第1回DDT総選挙:第1位・男色ディーノ、第2位・佐藤光留、第3位・チェリー】
光留 シングルの機会をもらって、そのとき勝ったんです。あのときはDDTの、インディーのファンからすごい肯定的な意見、いろいろされたんですけど、今やもう…(笑)。あのとき「ずっと応援してます」って言ってたファンはどこに行ったんだろうと。
カク ハードヒットの試合は納得できずだったが、DDTで勝ったときにはひとつの絶頂があったと。
光留 飯伏さんに勝ったことでKO-D無差別級王座の挑戦権を得たんですよ。HARASHIMAさんと大阪で試合をしてKO-Dを獲ったんですよ。あのときの初の大阪ビッグマッチ(2010.11.14大阪・大阪府立体育会館第2競技場 「大阪ベイブルーススペシャル ~おれのこと好きか?~」)だったんですね、当時の府立の第2でメインでやって。
[KO-D無差別級選手権試合 <王者>HARASHIMA vs 佐藤光留<挑戦者>| WRESTLE UNIVERSE(レッスルユニバース)]
光留 びっくりするくらい盛り上がったんです。人間の怨念と怨念を込めたような試合で。今考えたら若い過ちのように思うところもあるんだけど、そんなこともありましたね。
カク ベルト挑戦への流れに絡んだ、流れの中に飯伏選手がいたと。
光留 だから逆に、DDTでベルトを獲っても、当時、KO-Dの無差別を獲っても「だったら飯伏幸太よりもすごい」とはならなかったです。飯伏幸太っていうのは、例え佐藤光留に負けようが、KO-Dのベルトを持ってなかろうが、飯伏幸太ってのはやっぱりインディーの希望そのものだったんです。だから、それがなんかちょっと悔しいというか、納得もいかないし。飯伏さんに対する嫉妬だったりとか、いろんなものにつながってましたね。そりゃそうですよ。DDTで頂点に立ったって言ったって、誰も自分のこと見てなかったですからね。みんな新日本プロレスに上がった飯伏を見てましたから。
カク 飯伏選手の最近の試合はどのようにご覧になってますか。
光留 別に「飯伏さんだな」って感じですよ。まわりがなんかいろいろ言いますけど、あれもまあ思い出補正で、もっと言えば飯伏さんてデビューしたときってすっげー細かったです。デビュー戦の相手のKUDOさんも細かったんですけど、さらに細かった。でもその頃の飯伏さんもなんか「希望」だったみたいに今みんな言うじゃないですか。そのときだって結構、当たりはずれありましたからね。飯伏さん自身は何も変わってないんじゃないかと思うんですよ。
カク 本人的に「僕の足が限界なんで、いつ終わってもおかしくない」みたいな言い方をしてて。ファン的にはやっぱりそれがあるからなかなか、アクティブな試合ができないような見られ方をしていますけれども。ちょっとそういう見られ方とは別の試合を、引き出せるというかやれるかもしれないみたいな、そういうお気持ちとかありますか。
光留 ぜんぜんないっス。なんで僕が飯伏幸太を引き出さなきゃいけないんですか。味わわせてくれよ。こっちが飯伏幸太を味わうんだよって思います。飯伏幸太も佐藤光留を引き出そうとしての対戦要求じゃないと思いますよ。けどやっぱり、僕と飯伏さんって、多分ですけど友達にはなれないんですよ。これ仲悪いわけじゃなくて、僕はやっぱり地を掘っていくのが性に合ってるし、飯伏さんは飯伏幸太でいることが性に合ってるんです。別に友達つくるためにプロレスに入ったわけじゃない。だけど、ちょっと目指すところが同じだったりとか、なんかあるんですよ。そもそも論で、1勝1敗。これから飯伏幸太が世界に羽ばたいていくんだったら「勝ち越して終わってやる」そんな気持ちの方がでかいですね。それこそ。
カク お互いが、できればおいしくいただいちゃいたい試合になる。
光留 っていう理論ではあるんです。でも「変態は26時に蠢きだす」んですよ。あのタイトルを自分で考えてパッてつけたときに、こういうときだよななんか起きるのはって思いましたもんね(笑)。その期待感で多分チケット売れてるんだろうし、それに答えるには、何かさっき言ったプロレスのその骨組みというか、型の外に思い切って踏み出そうっていうのありますね。こんなプロレスじゃないって言われだって別に構わないです。でも佐藤光留と飯伏幸太だったら、そもそも午前2時から興行やるなんてプロレスじゃないんだから。大衆娯楽としては欠落してるんですから(笑)。
カク 夜中の新宿FACEっていう非日常以上に、試合で非日常が起きるんじゃないか。
光留 いやね…こんな時間に見に来るやつらにね。普通のを見せたってしょうがないでしょう。例えに出すのが下(シモ)ばっかりなんですけど。ストリップショーってあるんですよ。あれっていちおう公の場じゃないですか。公の場で裸見せてるわけじゃないですか。今回はある意味、服着たまま終わらないですよね。
カク 構えだけでファンはいろいろ想像してしまう上に、ルールが未定っていうふうになってるわけですけれども。当然ファンとしては、もしかしたらハードヒットルールなのかなっていう想像するわけですが。これは何か構想があるわけではなくリアルに打ち合わせ途中だと。
光留 揉めてはないですけど。特にそのなんか、面白い、途中でダンゴ食わないと試合できないみたいなルールはやらないですけど、でも今詰めてる途中です。でもハードヒットルールだけじゃなくて、プロレスってルールがあるんですよ。はみ出すって僕さっきから言うじゃないですか。あれってガードレールがあるからはみ出すんですよ。ガードレールはなかったらはみ出せないんですけど、やっぱりガードレールってあるんです。そのガードレールを高く頑丈なものにして、道を細くして突き破りたいですよ。それがハードヒットルールなんで。やっちゃいけないことが多いから、その中で何ができるのっていう、探すのがすごく自由なんですよ。「みんな何してもいいよ」っていうのが自由だと思ってるんだすけど違うんですよ。やっちゃいけないところではみ出すのが自由なんです。だから自由には責任を伴うんです。責任の伴ってない自由は、それ自由じゃなくて自分勝手ですから。いやぁ説教くせぇなぁ。
そうです、(中学のとき)生徒会長です。マイクパフォーマンスがしたかったんです。本当の話で
カク ありがとうございました。この話(飯伏戦への意気込み)を出すと、大会への楽しみがインタビュー的には増すと思います。
光留 カクトウログいいですよね。こんだけベラベラ喋ってもいいんですから。
カク どうしてですか。
光留 週刊プロレスなんかねぇ、パキッとまとめられて10分の1にされるじゃないですか(笑)。
カク 紙面の量がありますからね。“本”は大変ですよね、尺に収めないといけない。僕なんか(尺的には)書きっぱなしですもん。
光留 いやいや大事ですよ。編集して読みやすくするのもジャンルの拾い方だと思うんですけど、なっがい文章を全部読んだっていう達成感も、やっぱりひとつの達成感ですから。
カク まあ全部出したいですね、聞いたことを。カクトウログ的には。
光留 ハハハハハッ。カクトウログだけです。
カク もったいないと。でも普通のメディアって(WEBメディアであっても)閲覧数とか考えてるんだろうし、その尺に収めないといけないんでしょう。当方は聞きたいことをとことん聞くんで。
光留 頭おかしいですよ。
カク 今日は聞きたいことは全部聞けたんですが、前回のインタビューで「(中学校のとき)お宅の生徒会長がうちの裏庭の有刺鉄線に突っ込んで悲鳴を上げてる」って通報があったという話が。生徒会長でいらっしやったんですか。
光留 そうです、生徒会長です。
カク どういった経緯で。
光留 マイクパフォーマンスがしたかったんです。
カク マイクパフォーマンスがしたかった!!(笑)
光留 本当の話で、中学校2年生14歳。1994年です。大仁田厚って1995年に引退ってことで天龍(源一郎)さんとやるやらないっていう話があった。(そういうのを見ていて)とにかくマイクで喋りたかった。今みたいに SNS もないし、自分の意見なんて黙っててもクラスで手を挙げて発表するとき以外は友達しか聞いてくれないときに、マンモス校だったんで、1200人くらいの中学校でマイクで自分の意見しゃべれるなんて超いいじゃんと思って。で、生徒会長立候補者したんです。したら、3人立候補者したんです。(ノックがあり)はい、どうぞ!!
【お客さん対応を挟む】
光留 (人通りのない、駅から離れたレンタルルームに来るので)結構みんな勇気あるな。で、シオミ君とナカオ君。この 2人が成績は常にトップで1番か2番。僕は 300 人中、数学 299 番、1人欠席(笑)。実質最下位、0点でした。で、選挙に出たんです。そしたら1200 人いる中で、まともな人たちの票が真っ二つに割れて、面白がって僕に入れた人たちの数がちょっと多かったんで僕受かっちゃったんです(笑)。
カク なるほど(笑)。頭のいい人が2人立候補してくれたおかげで。
光留 初めからみんな原稿を持って読むんです「僕が生徒会長になった暁には明るく元気なナンタラ」。(そんなのは)完全無視です。憑依です、大仁田厚が(笑)。で、(原稿を)持たずに喋りだした時点で生徒が「オーーーーーッ」ってなって。同級生には総スカンだったらしいんですけど、1 個上と 1 個下には熱烈な支持者が出て。で、生徒会長になったんです。なったけど、基本的には制服をちゃんと着ましょうって言わないといけない生徒会長が 1 年中半袖なんですよ(笑)。でもう、先生に一応こういうこと言いたいんですよって言ったら、先生がやっぱすげー真面目な数学の先生だったんですけど、「佐藤な、お前せっかく生徒会長になって所信表明っていうのをやろうつうのに、こんなの誰でもできるじゃないか。マイクもなしにお前、自分で言いたいこと、全部喋れば」と。全然そんな歳いった先生じゃないですよ。プロレスも好きじゃないし。「いいんすか」「いいよやれやれ」って。それで思いの丈を喋ったんです。もう途中で嚙むし、笑いも起きたけど、とにいく言いたいことガーッって言ったんですよ。そしたらウォーッて拍手されて。「あれすごかったね」ってみんなに言われた。「ああ、これで合ってるんだ」というのが原体験だったんですよ。
カク そうだったんですね。
光留 だから生徒会長らしくしたことなんか本当に 1 回もなかったです。けど、プロレスラーになるために、俺は同い年のやつらよりもマイクがうまいって思ってました(笑)。経験積んだと思ってました、当時から。
カク その演説が、よりプロレスラーになるための道を加速させた。
光留 いやー、させました、させました。当時は SNS なかったですから、携帯電話すらない時代ですから。自分の言いたいことを聞いてもらうには、つかみとんなきゃいけなかったですよ。今考えると、そこで人の記憶に残るものというのを残さないといけなかったし、普段から積み重ねてない人間は「成績がいい」っていうことが人間的に優れてるっていう考えしかないですよ、中学生ぐらいの。そんな中で成績もよくねえし、別になんか今までそういうボランティア活動も一切出てないやつが生徒会長になるのは何が必要か。逆にこれがあれば勝負できるんだっていうのはやっぱ教わりました。先生に恵まれました。
カク いい話を聞けました。
光留 いい話なのか、これは(笑)。
カク いい話でしょうね。どういうインタビュー期待してるんでしょうね。もっと変態っぽい話がいいんですかね、読者的に。だいぶ真面目じゃないですか、毎回。
光留 変態っぽいって言ったら、本当に、去年の(原宿の)パイルドライバーの大掃除中に、僕と植木(嵩行)の行ってる風俗が同じだった(笑)。判明したんですよ。どこの何って言ったらあれだから言わないですけど、東京某所でちょっとマニアックな風俗があるんですよ。こんなとこ行ってんの俺だけだろうと思ったら(笑)。
カク まあ「風俗」っていうワーディングを出すレスラーがいないですけどね(笑)。
光留 いいんじゃない、何がダメなんだよと。
カク じゃあそれぐらいを最後に入れときましょう。
光留 植木と行ってる風俗が同じ。
カク 植木選手がちょっと。
光留 もらい事故です(笑)。あいつは別にかまわねぇよ。
(大会情報)ニコプロpresents佐藤光留自主興行「変態は26時に蠢きだす」2024年12月14日(土)午前2時00分 新宿FACE
ニコプロpresents佐藤光留自主興行「変態は26時に蠢きだす」
日時:2024年12月14日
開場:午前1時00分
開始:午前2時00分
会場:新宿FACE
主催:ハードヒット実行委員会(代表・佐藤光留)
[新宿FACEからZAIKOでPPV生中継]
▼有限会社宮崎板金工業presents タッグ4wayマッチ
政岡純(フリー)
ガイア・ホックス(フリー)
vs
高橋幸光(飯伏プロレス研究所)
前口太尊(飯伏プロレス研究所)
vs
橋之介(TTT)
斉藤拓海(花鳥風月)
vs
若松大樹(2AW)
関札晧太(大日本プロレス)
▼松本幼稚園presents 2024年何かしらランブル
【出場選手】
佐野直(フリー)
「2」(マイティーロッキーズジム)
田馬場貴裕(IMPACT)
中野貴人(BASARA)
岡田剛史(ダブプロレス)
土肥こうじ(フリー)
井上彪流(BASARA)
福士”赤天狗”直也(フリー)
マリーハナ(puzzle)
宮本裕向(666)
阿部史典(格闘探偵団)
松本浩代(フリー)
▼株式会社りくつなpresents タッグマッチ 30分1本勝負
松本浩代(フリー)
VENY(フリー)
vs
山下りな(フリー)
櫻井裕子(COLOR’S)
▼ダークマッチ(1時00分頃開始)
【出場選手】
大和ヒロシ(裏切り者)
塚本竜馬(フリー)
他
▼新太平洋運輸株式会社presents シングルマッチ ルール未定
佐藤光留(パンクラスMISSION)
vs
飯伏幸太(AEW/飯伏プロレス研究所)
▼RYSKパートナーズpresents タッグマッチ30分1本勝負
鈴木みのる(フリー)
“X”
vs
岩崎永遠(BURST)
田村男児(全日本プロレス)
▼デッドリフ太郎presents「俺たちのALL NIGHT NIPPON PRO-WRESTLING」リトルトゥース3wayマッチ 2時間1本勝負
神谷英慶(大日本プロレス)
vs
拳剛(フリー)
vs
下村大樹(プロレスリングBASARA)
<リングアナウンサー>
望月彩
【チケット料金】
最前列10,000円(売り切れ)
カウンター席10,000円(売り切れ)
リングサイド8,000円
指定席7,000円
(当日500円増し)
※別途ドリンク代(500円)がかかります
【販売】
チケットは選手取り置きで発売中。直販イベント、某店舗での取り扱いも予定。良い席はお早めに。
(佐藤光留選手へ注文する時は
f5r6i5d1a3x1y0@ezweb.ne.jp
まで)