「声援ナシのままで空席ナシ」が次段階 東京ドームが11月に3万4千人収容検証
新型コロナウイルス感染防止のための政府方針に伴うソーシャルディスタンス(11月末まで1万人以下会場は5000人上限、1万人以上会場は50%以下)収容についての最新情報を先日お届けした。
【👀イベント観客制限の動き👀】
東京ドームは現在1万9千人収容中 さいたまSA、両国・・・最新収容情報#njpw #njwk15 #RIZIN #RIZINFF #RIZIN2020
年末格闘技、年明けドーム2連戦の観客入れどうなる!? 最新情報をウオッチ pic.twitter.com/XonjcpmgkF
— カクトウログ📶プロレス/格闘技 (@kakutolog) October 22, 2020
記事中で取り上げた東京ドームでの検証が23日、政府の分科会にて承認された。キャッチアップしておきたい。
11月7・8日の巨人vs.ヤクルト戦 “満員の8割”での滞留把握&CO2濃度測定
検証は11月7・8日の東京ドーム、巨人vs.ヤクルト戦。
■【巨人】東京Dで感染対策の新技術を試験導入 11月7、8日は3万4000人程度、東京五輪に活用
巨人と読売新聞東京本社は23日、東京Dで開催する11月7、8日のヤクルト戦で、球場内外の新型コロナウイルス感染対策と、来場者のプライバシー保護を両立させる新技術を試験的に導入すると発表した。
9月21日から観客上限1万9000人程度で実施しているが、政府の分科会の了承、東京都の協力と理解も得られたことから、この2試合で3万4000人程度に引き上げて検証する。新技術の実証内容は以下の通り。
(1)会場内での感染リスクの検証
〈1〉場内カメラの映像分析
場内102か所のカメラのうち、10か所の映像から人の流れを可視化し、混雑状況を把握する。来場者の個人が特定されないよう、人流可視化ソリューションによる人型アイコンで「止まっている人」と「動いている人」を色別で表現し、滞留者が多いエリアの誘導係員を即座に増員できるようにする(協力 日立製作所)。また、場外34か所のカメラで退場状況を把握、規制(分散)退場のタイミング等の研究に活用する。
〈2〉CO2濃度の計測・比較
観客席などのCO2濃度を時間帯別に計測する。収容人数の上限が50%時の計測結果と比較し、混雑状況の変化を分析するほか、換気のタイミングや換気能力の増減の程度を分析する。
〈3〉ビーコンによるスマホ電波の感知・分析
スマートフォンのBLE電波を、東京ドーム内の約100か所に設置したビーコン(小型受信器)で感知し、コンコースやゲート、売店、トイレでの人の通過・滞留をデータ化。エリア別、時間帯別の混雑状況や回遊パターンなどを可視化し、来場者の行動を分析して効果的な場内誘導策や3密回避対策の検討に活用する(協力 アドインテ)。
(2)会場外での感染リスクの検証等
〈1〉入場前と退場後の動態データの取得・分析
ドコモ・インサイトマーケティングの「モバイル空間統計データ」を用いて、来場者の入場前(試合開始4時間前)と退場後(試合終了6時間後まで)の動態データを解析する。入場前の電波の発信地や退場後の立ち入りポイント、周辺繁華街に立ち寄る人口分布を把握し、イベント終了後の効果的な感染防止対策や交通誘導策の検討に活用する(協力 NTTドコモ、ドコモ・インサイトマーケティング)。
(3)観客50%超の際に取り組む感染対策
◆ディー・エヌ・エーの「COCOAインストール状況チェッカー」を用いた来場者のCOCOA導入率の計測。(協力ディー・エヌ・エー)
◆東京ドーム内の全観客席に貼付したQRコードとNFCを活用した、来場者への感染情報の提供とアンケート調査の実施
◆規制(分散)退場の徹底
◆「セカンドアクセス」(最寄り駅と違う駅の利用)の推奨
◆東京都の感染防止指針を守っていることを示す「感染防止徹底宣言ステッカー」を掲示した飲食店利用の呼びかけ
◆アルコール類の販売取りやめ、持ち込み禁止の継続
◆声を出さない応援(手拍子中心)の徹底
取得したデータは政府や東京都、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会、感染症対策の専門家と共有し、上限1万9000人時のデータと比較・分析することなどで集客施策に活用してもらう。
特に今回の取り組みは、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会での屋内アリーナ競技における来場者の人数制限や、感染対策の立案に役立つほか、競技場周辺の混雑緩和策、交通誘導策などの検討にも資するものと考えているという。
(スポーツ報知)
他社の報道では3万4000人は「満員の8割」とされていた(野球収容ドーム上限とされる46000人で算出すると74%)。感染防止に直結する新技術が存在するわけではない。この状態での観客滞留把握&CO2濃度測定を主に実施するというもの。CO2濃度の意味は“換気のされぐあい”を計測するということのようだ。
グラウンド(アリーナ)にも観客入れするプロレス 検証結果を生かせるか
新型コロナウイルス感染防止のための政府方針に伴うソーシャルディスタンスだが、現行の方針適用は11月までとなっている。年明けの1月4・5日、東京ドームでの大会を予定している新日本プロレスにとっては、12月以降の方針に注目だろう。
12月以降も現行方針が延長されるのか、さらなる緩和があるのか。そして方針を受けて東京ドームがどう判断するのかが注目される。とはいえ残された時間があまりなく、10月時点での野球収容「1万9000人」にグラウンド(アリーナ)席を追加が現実的だろうか。ただし、今回のCO2濃度測定(3万4000人時と1万9000人時の比較)結果によっては、「グラウンド席追加はいいが、(スタンド席を減らして)全体1万9000人にとどめてくれ」という可能性もあり!?
実際のネックは心理的な壁!? 空席ナシ観戦に戻れるのかどうか
さきほどの東京ドームの検証はオリンピックなどにも参照されていくというが、どんな検証結果が得られるかはわれわれも把握していきたいところだ。「マスクをして声も出さなければ飛沫も発生しない。なので席詰めもOK」となるなら、しっかりとした公式見解として出してほしいし、社会的なコンセンサスも必要だろう。
規制がどうなるかという点だけではなく、もちろん「人が密集する場所に外出する」「1席空きさえしない座席に座る」ということへの抵抗は一定割合のファンにも続くに違いない。実質的なネックは心理的な壁ともなりそう。