全日が6日(月)ライブ配信/ノアがTVマッチでタッグリーグ開催中
数々の修羅場をくぐってきたTAJIRIの思考が垣間見えるインタビュー。
――全日本プロレス春の恒例「チャンピオンカーニバル」中止が発表されましたが、現在の心境は?
「久しぶりの大舞台ですから、僕も残念ですし、楽しみにされていたお客さんに申し訳ないですね。ただ、中止決定を聞いて、僕は『これは大きな意味があるぞ。次にチャンピオンカーニバルを開催する時に向かって、壮大なドラマが始まったな』と感じましたね。お客さんにとっても楽しみが先に延びたことで期待感が高まるでしょうし、チャンピオンカーニバルはもっと大きな使命を与えられたんじゃないですか」――切り替えが早いですね。
「25年以上プロレスラーとして生きているので、アクシデントやトラブルは日常茶飯事ですから(苦笑)。『予定通りにいったらラッキー』ぐらいの感覚で生きていますし、レスラーはみんなそうだと思うんですけど『いつ死ぬか分からない』と覚悟を決めて試合をしてるので」――WWEを始め、世界中で試合をしてきたTAJIRI選手ですが、今回の新型コロナウィルスによる大会中止のような事態も経験されているんですか?
「9・11(2001年のアメリカ同時多発テロ事件)の時はWWEにいて、僕は試合会場のヒューストンにいました。当日はスマックダウンだったんですけど、会場に行くと誰もいなくて急遽中止です。ただ、事件の2日後にはWWEは再開して、翌週のテレビマッチの会場の高揚感のすさまじさは今でもはっきりと覚えています。そういう経験があるので、僕は『チャンピオンカーニバル中止』と聞いて、すぐに『次のチャンピオンカーニバルではどんなコメントをしようかな』と考え始めましたよ。今回の中止がお客さんの『次のチャンピオンカーニバル』への期待感をさらに高めることは間違いないので、僕らはその期待に応えないといけないと思います」――なるほど。TAJIRI選手がスカウトして、全日本プロレスに参戦中のギアニー・ヴァレッタ(マルタ共和国)とフランシスコ・アキラ(イタリア)はずっと日本にいるんですか。
「そうですね。帰国できないですし、ヨーロッパはジムが封鎖、試合もまったく無いので。彼らは個々にトレーニングしてて『今、ヨーロッパのレスラーの中で一番充実した環境で練習ができている』と考えているようです。ただ、アキラの住んでいる地域はイタリアの中でも一番感染者数が多いそうで、毎日ニュースをチェックして心配していますし、少しホームシックになっているので、僕もなるべくケアするようにしています」――大変ですね。そんな中、4月6日は新木場での無観客試合「What we can do now『いま全日本プロレスにできること』」をおこない、全日本プロレスTVで生中継されます。TAJIRI選手は世界各地でたくさん無観客試合を経験されているとか。
「海外のスタジオマッチは、無観客試合か、観客を入れても100人以下だったりします。それに、WWEはテレビ収録がメインなので、試合中はカメラしか意識してない(笑)。なので、日本とは違っていつもスタジオマッチみたいなものです。そういう意味で、僕は観客がいようといまいと全然関係ないです。ただ『ライブ』を盛り上げるためにお客さんの存在は絶対に必要なので、それが今度の試合でどう影響するか。特に、お客さんのリアクションを感じながらテンションを高めるタイプのレスラーは『やりにくい』と感じるかもしれない」――なるほど。
「逆に、お客さんがいようがいまいがいろんな仕掛けをするレスラーは全然関係ないですからね(ニヤリ)。4月6日の『What we can do now いま全日本プロレスにできること』ではレスラーの才覚が試されますし、これまで目立っていなかったレスラーがあっと驚くような仕掛けをしたり、見ている人の想像力を遥かに上回る面白いことをして、お客さんの注目を集めてしまうかもしれない。『順応性』が試される大会なので、視聴する方にはそんなところも見てほしいですね」(中略)
――最後に、4・6新木場「What we can do now『いま全日本プロレスにできること』」では視聴者に何を見せますか?
「いろんなものと戦い、乗り越えてきたレスラーが、みんなが大変な時にどんなメッセージを発信するか。ファンの方はそれを待っていると思いますし、そうした思いを受け止めて、各レスラーがどんな発信をするかがとても大事だと思いますね。『What we can do now いま全日本プロレスにできること』では見ている方にそういうところも見ていただきたいです。試合ができること自体、とても貴重な機会なので、こういうチャンスにレスラーは何を見せて、それぞれがどんなメッセージを発信するのか。僕自身は、今は時代が変わる節目の時だと感じていて、この変化に対応してやっていくしかないと思っています。先ほども言った『順応性』が試される時に、全日本プロレスは何を見せられるのか。ぜひ4・6新木場の生中継に注目してください」
プロレスラーたるもの、一つひとつの出番が主張に他ならない。特に一挙手一投足に注目が集まる配信マッチはTAJIRIが言うように腕の見せどころだろう。
6日の大会は公式YouTubeチャンネルにて第2試合までが無料LIVE配信対象だが、TAJIRIは第2試合に出場となる。