「社会的責任」ひとつの答え 報ステが8分間かけて新日本再開を伝える
新型コロナウイルスの感染防止で多くの大会を中止していた新日本プロレスが、110日ぶりに大会を再開した。15日、無観客試合が配信となる。
すべてに新日本クオリティ!! NJC目前で教科書通りの“前哨戦”
“再開初日”を締めたのは二冠王者・内藤!
ジュニア王者・ヒロムは『NJC』制覇を猛アピール!
NEVER王者・鷹木はなんとグータッチ拒否!
☆『Together Project Special』大会を速報中!
⇒https://t.co/298utohRT0#NJPWスマホサイト #njpw pic.twitter.com/DChTWFb4En— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) June 15, 2020
■ Together Project Special
日時:6月15日(月)19:00
会場:非公表(無観客配信)<第1試合>
〇辻陽太
(8分43秒 逆エビ固め)
●ゲイブリエル・キッド<第2試合>
●上村優也
石井智宏
(12分57秒 ヌメロ・ドス)
金丸義信
〇エル・デスペラード<第3試合>
●本間朋晃
YOSHI-HASHI
矢野通
後藤洋央紀
(13分20秒 ピンプジュース→体固め)
邪道
外道
石森 太二
〇高橋 裕二郎<第4試合>
〇田口隆祐
小島聡
天山広吉
(13分33秒 オーマイ&ガーアンクル)
●BUSHI
SANADA
EVIL<第5試合>
〇真壁刀義
永田裕志
飯伏幸太
棚橋弘至
(13分04秒 キングコング・ニードロップ→片エビ固め)
●DOUKI
鈴木みのる
ザック・セイバーJr.
タイチ<第6試合>
SHO
●YOH
オカダ・カズチカ
(14分17秒 デスティーノ→片エビ固め)
高橋ヒロム
鷹木信悟
〇内藤哲也
もうみなさん、いろんな角度で楽しまれたかと。肉体がデカくなってる!! 仕上がってる!! 動きが速い!! ここで新技!? 先行していた他団体とは一線を画す会場のグレード。カメラワークも申し分なかった。
ニュージャパンカップ開幕を翌日に控えて、新日本プロレスはタッグマッチ中心の前哨戦。ニュージャパンカップ1回戦での対戦顔合わせ同士での意地の張り合いが炸裂する。「そうなって当然だよな」って闘いが、力強くかつ楽しく展開される。サイコロジーの教科書通りであり、レベルも高い。すべてに新日本クオリティ!!
このためにトレーニングや準備をしていた選手・関係者のみなさんに感謝。いやもう心から「新日本プロレスが帰ってきた」と感じられる配信だった。
感染防止を伴って行われていることも色濃く感じられた。休憩時間ならぬ消毒時間として、リング上からリング廻りのマットや鉄柵も拭き掃除されていく。ユーモアだって必要だ。矢野通とBUSHIの水吹きは飛沫防止の観点からおあずけ。
抗体検査は全員陰性 報ステ「プロ野球・Jリーグに先駆けての新日本再開」
21:54からのテレビ朝日『報道ステーション』。スポーツコーナーでの新日本再開は実に8分間に及んだ。
ありがとうございます。ありがとうございました。 #報道ステーション pic.twitter.com/JWoTsiCpNn
— 棚橋 弘至 (@tanahashi1_100) June 15, 2020
松岡修造氏のコーナー。「プロ野球なんですけども、今週の金曜日から始まっていきます。そしてJリーグ、来週から再開ということなんですが、それに先駆けまして、ひとつの日本のプロスポーツっていうものが始まっていくわけなんです。それがこちら新日本プロレスなんです」。
事前に収録されていた棚橋弘至との対談が流れる。コロナ禍で声援を浴びれなかった棚橋は「プロレスラーとしての自我が保てないというか・・・虚無感」という状態に陥っていたことを明かす。ここからの大会再開にあたって、しっかり段取りが組まれた。「選手も月1回(抗体)検査ですね。選手は全員陰性でした」「(有観客大会は7月11日に)1万人入る会場(大阪城ホール)で3500人からスタートですね」。
棚橋は口にする。「いろんなプロスポーツがこれから再開していきますけれども、ひとつのモデルケースになればいいなと」。
この使命感を抱えつつ、15日の大会では無観客試合ながら大きな一歩を踏み出した。映像は、試合のフラッシュ(松岡氏も会場観戦している様子が映る)からの涙の棚橋バックステージコメント。
棚橋弘至「みんなに観てもらった時に、いまの経験がきっと生きてくると思うし、応援してくれるファンの皆さんの存在がどれだけうれしくて…ありがたくて、プロレスラーにとって…どれだけ尊いものかっていうことをいま、選手は感じていると思います(涙を流して)」https://t.co/298utozsKy#NJPW pic.twitter.com/D7nW3eDd44
— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) June 15, 2020
コロナとの闘いで棚橋「大事なこと? 心のスタミナ・・・無制限1本勝負」
再び対談録画に戻る。
松岡 そういう相手(しぶといコロナ)に対して何が棚橋さん、一番大事になってきます?
棚橋 「心のスタミナ」ですね。これはもう無制限1本勝負だっていう、もう最初からそういうふうに構えて、長く闘っていくしかないかなぁと。完全勝利するまで闘っていかないといけないと思ってます。ネバーギブアップですね。
松岡 今日話を聞いて・・・(棚橋のお株を奪うように)愛してますっ。
棚橋 いつも言いっぱなしなんで(笑)・・・返ってきました。ありがとうございます。
カメラはスタジオに戻り、生放送の松岡氏。独白。
「今日試合を見させていただいて、この時代に対応していくためには、プロレス自体変わっていかなきゃいけない。新しい形を見つけるためには、この『心のスタミナ』ってのはホントに大事だなと思いました。それは選手だけじゃないと思います。見てるボクら側のこの『心のスタミナ』も大事です。プロレス、スポーツ、演劇、舞台・・・元通りに戻って、みんなが応援しっかりできるようになるまではやっぱりお互い『心のスタミナ』を。愛してますっ」。
5月13日の映像メッセージ。ハロルド・ジョージ・メイ社長の言葉が脳裏に浮かんだ。「(これまで他団体のような)無観客試合をやらなかったのは、最大手としての社会的責任と倫理観。信頼低下、ネガティブを回避するため」。
【📣沈黙破りメッセージ📣】
メイ社長が発信! これまでの無観客試合回避とこれからの再開計画#njpw #新日本プロレス #メイ社長
緊急事態宣言解除後は「無観客」「有観客(半数収容)」を段階的に実施へ!!
⇒https://t.co/9zc4kDn6Of pic.twitter.com/ZSkcEYfpQm
— カクトウログ📶プロレス/格闘技 (@kakutolog) May 13, 2020
聞いたときには、少しばかり反発する自分がいた。さらに1か月前の4月15日、馳浩議員への要望書(検査キット確保、休業補償)提出時には他団体と横一線で陳情していたはず。それが「新日本は社会的責任」とはどういうことなんだろうかと。言うまでもなく、どの団体も社会的責任をもって行動している。
とはいえ言葉にしなければ伝わらない。わかりやすく、しっかり組まないと信頼は得られない。社会的責任は実際の有無ではなく、踏まえて行動していることが伝わるかどうか。ボクの中では「そういうことだったのか」と報ステまで見て腑に落ちるものがあった。
コロナ感染防止への取り組みそのものだけを伝えても、松岡氏や視聴者の気持ちを動かせなかっただろう。8分間を割けなかっただろう。ファンとの関係を取り戻したいという気持ちに溢れた棚橋の言葉と涙。それがあっての取り組みだから生きてくる。
15日の内藤哲也、バックステージコメント。生配信でドキッとさせられたところ。
「いやあ、強がる必要はあるかもしれないけど、嘘をつく必要はないかな。久々のリング、久々の試合。ダメージもそうだし、息も上がって、非常に苦しい試合でしたよ。なんかこんなにプロレスってしんどかったかなって。なんか凄え思いながら試合をしていましたよ。でも、楽しかったな。楽しかったよ」。
強がりの範疇はいいが、嘘は見抜かれる。これもまた深い。
6月15日。ボクらは確かに、歴史的再開を見届けたのだ。