細田昌志著『力道山未亡人』 第30回小学館ノンフィクション大賞受賞作
田中敬子氏の姿をリングサイドで見かけるたびに、日本のプロレスの歴史の継承を感じずにはいられない。新日本プロレスのオフィシャルショップ・闘魂SHOP水道橋店の名誉店長でもある。2006年から長きにわたり店頭に立っていたため、読者にもやりとりした経験があるのではなかろうか。
細田昌志著『力道山未亡人』が5月31日発売となった。力道山は日本プロレス界の父と称される。力道山没後60年半に放たれた第30回小学館ノンフィクション大賞受賞作。写真は田中敬子氏提供。以下はリリース文。
力道山の妻に遺された負債は30億円。語られることのなかった田中敬子氏の「その後の人生」
[力道山未亡人 単行本 – 2024/5/31 細田 昌志 (著)]
第30回小学館ノンフィクション大賞受賞作、『力道山未亡人』(細田昌志・著)を本日2024年5月31日、小学館より刊行いたします。
本作は “戦後復興のシンボル” として、国民的人気を誇ったプロレスラー・力道山の妻、田中敬子氏の一代記。
唐突すぎる夫の死の舞台裏、夫の死後、22歳にして5つの会社の社長に就任、30億円もの負債を背負い、4人の子の母親となった・・・これまで語られることのなかった、「その後の人生」が明かされます。
未亡人である敬子には、相続を放棄する手もあった。しかし、それは考えなかった。
「そんなことを、主人は絶対に望んでないって思ったんです」
敬子は社長を引き受けることにした(本文より)
「力道山未亡人」として好奇の視線に晒され、男性社会の洗礼を浴び、プロレスという特殊な業界に翻弄されながら、昭和・平成・令和と生きた、一人の女性の数奇な半生を紐解く一冊です。
国民的スターとの幸せな結婚生活はわずか「半年」。22歳で30億円もの負債を背負った「未亡人」。何とも壮絶な人物を想像するが、選考委員・星野博美氏が言うように田中敬子さんは何とも「フワフワ」してチャーミングな女性である。
そんな敬子さんの実像を『沢村忠に真空を飛ばせた男 昭和のプロモーター・野口修 評伝』で第43回「講談社 本田靖春ノンフィクション賞」を受賞したノンフィクション作家・細田昌志さんが細緻に描いた傑作ノンフィクション。老若男女問わず、多くの方に読んでいただきたい1冊です。
著者紹介:細田 昌志(ホソダ マサシ)
1971年岡山市生まれ、鳥取市育ち。鳥取城北高校卒業。リングアナウンサー、CSキャスター、放送作家を経て作家に。2021年『沢村忠に真空を飛ばせた男』(新潮社)が第43回講談社本田靖春ノンフィクション賞を受賞。2023年『力道山未亡人』で第30回小学館ノンフィクション大賞を受賞。
書誌情報
タイトル: 力道山未亡人
著者: 細田 昌志
定価: 1,980円(税込)
発売日: 2024年5月31日
判型: 四六判
頁数: 320ページ
発行:小学館
書籍『力道山未亡人』収録写真公開
本書には敬子氏から提供された秘蔵写真を多数掲載。その一部を公開します。
1963年1月7日ホテルニュージャパンで行われた婚約会見(田中敬子氏提供)
披露宴当日、イブニングドレス姿の敬子(田中敬子氏提供)
披露宴当日に撮影された田中家親族・関係者の集合写真(田中敬子氏提供)
力道山の本葬にて、喪主をつとめた敬子(田中敬子氏提供)
「第30回小学館ノンフィクション大賞」選考委員コメント
「第30回小学館ノンフィクション大賞」選考委員コメント
・辻村深月氏(作家)
「未亡人・敬子さんの人柄がくらくらするほど魅力的」
・星野博美氏(ノンフィクション作家)
「戦後日本の闇の深さを際立たせることに成功した。過去と現在がうまく共存し、そこから日本の変遷が透けて見えた」
・白石和彌氏(映画監督)
「アントニオ猪木や周りの人との関わりも、プロレスファンが読んでも堪らなかった」