新型コロナ禍から立ち上がれ! 「小池百合子=最強プロレスラー」説
パンパンに膨れ上がった空気こそが、いつだって時代を創る。
プロレスラーたるもの、言語化せよ
プロレス誌がこういう表現をすることはめったにない。2016年のゴング誌第12号、表紙を飾った言葉が記憶にあるファンは少なくないだろう。
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— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) 2016年3月29日
「この男にIWGPヘビーのベルトを巻いてほしいという時代の空気!」。
期待通りにベルトを巻いた内藤哲也は2016年4月10日、超満員の両国国技館でにマイクを握った。
ブログ更新:新日4・10両国ベストバウトはオカダvs内藤~同試合投票者コメント70人分イッキ/両国大会総括 https://t.co/PtBXysw633 #njattack #njpw pic.twitter.com/KYHeF1YOit
— カクトウログ📶プロレス/格闘技 (@kakutolog) April 17, 2016
内藤「この会場の雰囲気、この声援、“あなた”の耳にしっかり届いてますか!?(※大歓声) 新日本プロレスワールドをご覧の、木谷(高明)オーナー!(※大歓声) あなたの宣言どおり、2億円規模のプロジェクトでオカダをスターにしてあげて下さい! 俺に敗れたオカダを、あなたのお力で! ぜひスターにしてあげて下さい!(※大歓声) 俺にはそんなプロジェクト、必要ないので。木谷オーナー! お忙しい中、新日本プロレスワールドでの観戦・・・お疲れ様でした!(※大歓声&『内藤』コール) ・・・ブエナスノーチェス(※こんばんは)、両国〜〜〜!!!! ・・・我々、LOS INGOBERNABLES de JAPONが、新日本プロレスを応援して下さる皆様に、新たな景色をこれからお見せしたいと思います(※大歓声)。新たな景色とは、いったいどんな景色なのか!? その答えは、もちろん! トランキーロ! ・・・あっせんなよ!! EVIL! BUSHI! 真田! イ・内藤! ノスオトロス!! ロス! インゴベルナ〜ブレ〜〜〜〜ス!! デ!! ハ!! ポン!!(※大歓声)」
(新日本プロレス公式)
プロレスラーたるもの、言語化せよ。
オカダ・カズチカや木谷高明オーナーというと、プロレス界復興の立役者なるポジションだ。そんな主人公たちをダイレクトにいじった痛快さに、ファンは歓喜した。
そして今春、新型コロナウイルスにおびえる日本において、言語化を仕掛けたのが小池百合子都知事、その人である。
(3月25日)小池知事は緊急の記者会見を開き、「感染爆発(オーバーシュート)の重大局面」だと訴えた。週末は不要不急の外出を自粛するように要請したほか、平日はできるだけ自宅で仕事をするように求めた。今夏に開催予定だった東京五輪・パラリンピックの1年程度の延期が決まった翌日のことだ。
「ロックアウト(都市封鎖)」
「オーバーシュート」
ビッグワードを連発し、テレビ視聴者を引き付けた。さらに、周辺4県とのテレビ会議、安倍晋三首相への申し入れ、テレビ出演――。
(週刊朝日)
この発言は、感染拡大防止と経済活動維持の狭間で口ごもっていた政府を仰天させた。話題が話題だけに、こちらは“歓喜”とはならないが、「不透明なのはイヤ、いっそのこと誰か緊急事態宣言を決めてくれ」という見えないニーズに、まさかの小池知事登場となったのだ。
プロレスラーたるもの、集客せよ
巨大権力への対立概念(プロレス界ではしばしば“アングル”とも言う)と結びついた世論というやつは、プロレスをこれ以上なくわかりやすくする。
新型コロナウイルス感染におびえる日本に、象徴的な世論が形成されつつある。
休業要請は都に軍配、政府対応遅さに不満 産経・FNN合同世論調査
休業要請をめぐっては、幅広い業種に強く要請しようとした東京都と、まずは外出自粛の効果を見極める立場の政府と意見が割れた。質問でどちらが適切か聞いたところ、「東京都」(74・0%)が4分の3を占め、世論を味方にした。
(産経新聞)
プロレスラーたるもの、集客せよ。ビッグマッチに動員するがごとく、結果数字を残しつつある小池知事のプロレスラーぶりよ。
記録だけじゃなく記憶、という点でもボクは感じる。
2016年春のデハポン大合唱は、内藤の台頭とともに記憶に刻まれた。新型コロナ禍の日本における光景として何が刻まれたかというと、渋谷や銀座をはじめとする繁華街の歴史的なガラガラぶり。
あのビッグワード連発からの小池劇場なくしては、この成果はなかったに違いない。“集客”以上に難しい“外出自粛”を一定レベル以上で成し遂げた小池知事の怪物ぶり。
プロレスラーたるもの、弱さをさらけ出せ
そしてもうひとつ、小池知事をプロレスラーと被らせるものがある。