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新日本プロレス

拒否問題吹っ飛ばす大阪激闘/清宮戦はオカダ「出ないしケリついてる」

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 11日、新日本プロレスが『THE NEW BEGINNING in OSAKA』エディオンアリーナ大阪第1競技場大会をソールドアウトで開催した。一夜明けで振り返る。読者からの写真提供に感謝。

(大会結果)新日本プロレス THE NEW BEGINNING in OSAKA 2月11日(土)エディオンアリーナ大阪第1競技場

■ 新日本プロレス THE NEW BEGINNING in OSAKA
日時:2月11日(土)17:00
会場:エディオンアリーナ大阪第1競技場 観衆4055人(主催者発表)
大会ベストバウト投票は2月15日(水)24時まで受付

<第1試合>
〇アーロン・ヘナーレ
グレート-O-カーン
 6分38秒 ランペイジ→体固め
●オスカー・ロイベ
矢野通

ロイベが突進でヘナーレを倒すなど気を吐く。されど矢野&ロイベは即席タッグであり、継続攻撃はエンパイアに遮断されてしまう。意地でヘナーレがロイベを制圧した。オーカーンが「ユナイテッド・エンパイアの力だ!!」締め。

<第2試合>
BUSHI
〇高橋ヒロム
SANADA
内藤哲也
 8分43秒 TIME BOMB II→片エビ固め
●田口隆祐
タイガーマスク
海野翔太
本間朋晃

海野の観客席からの入場、ロスインゴ勢揃い入場がビッグマッチを彩る。試合権利と関係のないコーナーの海野を内藤が攻める場面も。海野もまたロスインゴ全員一掃の大立ち回り。田口がヒロムに照準だったがヒロムが返り討ちにした。
ロスインゴがコブシを合わせた瞬間に会場暗転。ビジョンでリオ・ラッシュが「俺は変わった。危険で緻密。YOHが成しえなかったことを実現する」と挑戦を示唆した。ヒロムは「要はこのベルトに挑戦したいんだろう? 次の挑戦者か、めちゃめちゃ最高じゃねぇか」と受諾。

<第3試合>
〇石森太二
 11分18秒 ブラディ―クロス→片エビ固め
●マスター・ワト

コンディションが整った両者の均衡を、石森が鉄柱利用などで崩す。ワトは落差十分の通天閣ジャーマン。デッドヒートというわけではなく一撃必殺の技で仕留め合いにいく展開になるが、石森が制して再びワトに立ち塞がった。

<第4試合>
●KENTA
 13分57秒 ハイフライフロー→片エビ固め
〇棚橋弘至

ツイートで差し歯が吹っ飛んだことを報告していた棚橋、前歯なしで入場。KENTAが棚橋の口を開いて「前歯がねぇぞ」と揺さぶり、パイプ椅子攻撃とやりたい放題。エルボー合戦は棚橋が制すも、KENTAはビッグブーツと低空ドロ、ダイビングフットスタンプでラッシュ。KENTAはブサイクへのヒザ蹴り2発から掌底と追撃するが、棚橋がスリブレ2発からハイフライアタック→フローで勝利。

<第5試合/NEVER無差別級6人タッグ選手権試合>
[挑戦者] 〇成田蓮
エル・デスペラード
鈴木みのる
 12分51秒 コブラツイスト
SHO
●高橋裕二郎
EVIL
[第24代王者] ※EVIL&裕二郎&SHOが2度目の防衛に失敗、みのる組が第25代王者組に

<第6試合/ルーザーリーブ・ジャパンマッチ>
●ジェイ・ホワイト
 25分08秒  チョークスラム→片エビ固め
〇ヒクレオ
※敗者ジェイが日本から追放

<第7試合/NEVER無差別級選手権試合>
[挑戦者] ●エル・ファンタズモ
 27分07秒 ジェイドリラー→エビ固め
〇タマ・トンガ
[第38代王者] ※タマが初防衛に成功

鉄柵・長机も交えファンタズモが反則ギリギリ指攻撃。タマはパワー正攻法で流れを変えるも、ズモは逆トンガンツイスト。高山フライ状態で気持ち見せた両者は、BC歴史を彩った技オンパレだ。ズモがガンスタンを2度返すも、重厚王座戦は旋回式DSDでタマ圧巻勝利。

<第8試合/IWGP世界ヘビー級選手権試合>
[挑戦者] ●鷹木信悟
 32分07秒 レインメーカー→片エビ固め
〇オカダ・カズチカ
[第6代王者] ※オカダが初防衛に成功

みのる「黒パン、延髄斬り、ダーッがストロングスタイルなんかじゃねぇ」

<第5試合/NEVER無差別級6人タッグ選手権試合>
[挑戦者] 〇成田蓮
エル・デスペラード
鈴木みのる
 12分51秒 コブラツイスト
SHO
●高橋裕二郎
EVIL
[第24代王者] ※EVIL&裕二郎&SHOが2度目の防衛に失敗、みのる組が第25代王者組に

成田が裕二郎をコブラで仕留めれば、みのるがユニット名を「ストロングスタイル」とした。ブーイングを浴びるキング立ち位置から本流へ一転。みのるデスペ成田が花道奥でベルトを掲げると、テーマ曲と相まって観客は「風になれ」。大合唱かつ大エールだった。

鈴木「ストロングスタイル。俺は、いいか35年前だ、俺がこの会社を辞めたのは。それから、辞めて全然、この会社の所属でもなけりゃ、契約もしてない。まったく別の人間だ。だから俺が名乗ることはできなかった。だけどな、俺の中に、俺の根底にずっと流れてたのは、そう、あのとき教わった、あのとき道場にいた“鬼”、そこから生まれて、その次に出会った“神様”が、俺をここに導いたんだ。そう、だから俺が今まで追求してきたのは、まぎれもなくストロングスタイルだ。誰もこのことに対して文句など言わせない。俺の生きてきた道、誰も口挟めないはずだ。 

だから、成田が胸に“STRONG STYLE”ってつけてアメリカから返ってきた時に、ハッとしたんだよ。俺、こいつに俺の持ってるものを伝えなきゃいかないって。だから成田じゃなきゃいけなかったんだ。ほかのヤツじゃいけないんだ。そうなんだ。ただの飾りじゃめぇんだよ。(ユニットに)ストロングスタイルっていう名前つけたけど、ストロングスタイルだからって急に黒パンになって、急に延髄斬りやって、急に“1、2、3ダーッ!”ってやって、それがストロングスタイルなんかじゃねぇんだよ」

(新日本公式)

 昨年末、鈴木軍の解散にあたり「俺は11年前この新日本にIWGPを獲るためにやってきて、鈴木軍を作った。そして、鈴木軍は今日ラストマッチを迎えた。形は変わるけど、これからも毎日IWGPを狙っていくぞ!」と言葉を残した鈴木みのる。それがポーズではなく、あらためてオカダ・カズチカのスタンスに対して矢を放ったのではないか。

 海外リングで「風になれ」大合唱を巻き起こすみのるのプロレス。ブレないこだわりで高橋ヒロムに匹敵して支持されるエル・デスペラード。いつだって「自身がやっていることこそプロレス」という思いがあるだろう。ストロングスタイルに触れるならば、成田蓮よ乗っかってみろ。そういう思いが動きとなって結実した。

 みのるが50周年記念の武道館で、オカダと対峙する役割を担ったのも記憶に新しい。アントニオ猪木がストロングスタイルを掲げ続けて、ジャイアント馬場“王道”への対抗軸であり続けたのはボクらにとっての財産である。この立ち位置でのみのるが見れるとは感慨深いし、もちろん成田には海野翔太への対抗軸であってほしい。

ジェイ「日本では終了かもしれない。アナタタチハ、ワタシノ家族デス」

<第6試合/ルーザーリーブ・ジャパンマッチ>
●ジェイ・ホワイト
 25分08秒  チョークスラム→片エビ固め
〇ヒクレオ
※敗者ジェイが日本から追放

ジェイのスカしが影を潜めたナンダコレの真っ向勝負。豪快ヒクレオが引き出され、ジェイはブレードランナー発射もフォール行けず。ヒクレオがラストライド⇒ジェイがTSポーズ⇒ヒクレオ呼応⇒チョークスラム勝利。追放ジェイ呆然、解説席・棚橋と拳合わて退場。

ジェイ「日本では終了かもしれないが、『NEW JAPAN STRONG』、パパが帰るから待ってろよ。ビリー・キングストン、サンノゼで会おう。ハハハハハ。キングストン、お前には負けない。俺はここで愛するものを失ったんだ。ヒクレオごときに奪われた。本当は君(外道)にも来て欲しい、でも少し時間をくれないか。

(中略)

(日本語で)シンニホンプロレスノリングハ、オレノ家ダ。(絞りだすような声で)シンニホンプロレスファン、アナタ、アナタ、アナタ! アナタタチハ、ワタシノ家族デス……。(英語で)呼吸、呼吸、呼吸……。(日本語で)シンニホンプロレス、シンニホンプロレスファン、アリガ……(言い淀んだあとで、泣き笑いしながら)ハハハハハ! アアアアアア……。(立ち上がりながら、英語で)シンニホンプロレスファン、礼には及ばないよ」

(新日本公式)

 「でも少し時間をくれないか」というのは、何か体制が整う節目があるということなのだろうか。現時点ではうかがい知れないが、少なくともしばらくはジェイ・ホワイトの日本でのファイトが見れなくなるということなのだろう。

 そもそもコロナ期間もずっと日本にいたわけではなく、海外での活動への意欲を感じる。世界へ“新日本ここにあり”を発信し続けてほしいし、そこにやりがいがあるならば応援したいではないか。この試合が特別だった印象もおおいにした。速報ツイートにもしたが、スカさない真っ向勝負。いつもの冷たさではない熱さ。ありがとうジェイ、である。

オカダ「コロナ禍で躓きましたけど、今回の経験をパワーにしてまた上がる」

<第8試合/IWGP世界ヘビー級選手権試合>
[挑戦者] ●鷹木信悟
 32分07秒 レインメーカー→片エビ固め
〇オカダ・カズチカ
[第6代王者] ※オカダが初防衛に成功

コントロールされた鷹木、フェイントを取り入れ逆転。エルボー合戦ではオカダがキラーぶりを伴うも鷹木は頭突き。鷹木がここ一番の変形技、オカダが高速版レインメーカーとゾーンに入るメイン。コロナ禍の日本人2軸が鎬を削るもオカダがレインメーカー32分初V。

オカダ「これが新日本だ。次、やること決まってます。アメリカでIWGP」棚橋を指名。前歯なしで喋りにくそうだが、棚橋が呼応「(レインメーカーショックではなく)今度は俺がショックを起こしてやるよ。オカダくん、おつかれさまでした」。火花を散らす。

オカダ「カネの雨」締め!!

──サンノゼはアメリカで行なわれて世界の注目を集める大会です。そこで棚橋選手と改めてどんな戦いを見せたいのか、意気込みをお願いします。
オカダ「まあ本当にこれぞ新日本プロレス。もしかしたら最近からファンになった人からしたら面白くない闘いかもしれないですけど、なんか僕と棚橋さんの11年の歴史っていうのを感じてもらってですね、また過去のものを見てみたいなと思ってもらってもいいですし、『棚橋さん、行けるじゃん』って思ってもらってもいいですし、でも最後にならないように頑張ってもらいたいなと思います。ただ本当にアメリカが世界がビックリするような試合を、棚橋さんと世界にお届けしたいと思います」

──昨日の会見でも大阪の熱を全国にというお話もありました。今日の満員の光景を見て、改めて手応えは感じましたか?
オカダ「やっぱりそうですね。大阪が盛り上がって、確実に全国に届いて行くと思いますし、実際11年前がそうでしたからね。なので、また大阪に戻ってきて、今日以上のね。だって、今日の闘いを見たら『また次も見たいな』って確実に思うと思いますし、僕たちはこういう闘いをしていって、プロレスって面白いんだなって大阪の人に思ってもらって、そっからですね。今はSNSだとかいろんなことでプロレスって届くと思うんで、プロレスが良くなってきていた中でコロナ禍でまたくじけましたけど、躓きましたけど、また前よりも今回の経験をパワーにして、また上がっていけると思いますから、そこはしっかりとパワーをね。今までの経験を大事にして、また上がって、確実に全国に届くと思いますから、しっかりとこの闘いを全国に。いやあ、本当に今日の闘いを見て、またプロレスを見たいなと思う人もたくさんいてくれると思いますが、しっかりとそれを届けていきたいなと思います」

(新日本公式)

 オカダの不調、EVILヒールターン、単調なダブルタイトル戦。コロナ禍には「新日本、どうなっちゃうの!?」という不安要素ありありだったが、ここでオカダがとてつもない闘いと言葉を発した。サンノゼは「僕と棚橋さんの11年の歴史」で乗り込む。

 「プロレスが良くなってきていた中でコロナ禍でまたくじけましたけど、躓きましたけど、また前よりも今回の経験をパワーにして、また上がっていけると思います」というくだりが重い。ここはもうファンそれぞれがアレコレ想像すればいいと思うのだが、コロナ禍での新日本に思うところがあり、自身で何か手を打てなかったのかとオカダは考えているのではないか。2冠統一への流れの中でもファンによるダブルタイトル戦支持に流されたが、もっと踏みとどまればよかったなど、何か考えているのかもしれない。どこまでの守備範囲かわからないが「今回の経験」の向こう側にオカダはいこうとしている。

オカダ「(拒否問題は)明日(=日曜)発表になると思います。楽しみに…楽しみじゃないか?」

 2・21東京ドーム大会で発表されている「オカダ・カズチカvs.清宮海斗」戦を“会社が勝手に発表した”として拒否しているオカダ。大阪大会では清宮乱入を想定していたファンも多かったが、表場面での進展はなかった。

 バックステージで記者の質問にオカダが答えている。

──サンノゼの次の話題になって申し訳ないですけど、その後にはノアの東京ドーム大会で清宮選手との試合が発表になっていまして、昨日もコメントがありました。現時点でどう捉えていらっしゃるんですか?
オカダ「サンノゼの次ですか? サンノゼの次は休みます。まあだって…出ないし(笑)。好きにしてくださいよ。まあ、この子も今日の試合を見たほうが良かったんじゃないのかなと。これがプロレスですよ。ねえ? こんなプロレスができるんだったら、どうぞやってください。俺がいない所でやってください。ビビってないし。好きにしてください。まあでも、正直、その件に関してはもうケリはついています。明日発表になると思います。明日を楽しみにしてもらって…楽しみじゃないか? ちゃんとアナウンスされると思いますから。本当にお終い、その話題は。知らない。せっかくこうやって気分いいのに…やめてください。すいません」

(新日本公式)

 先ほどのコロナ禍での新日本の話にも通底するだろうが、プロレスとは機運と説得力の積み重ねだ。ランキング上位から順番に王者と当たる競技ではない。「機運と説得力」が甘ければプロレスは低迷するし、今回は甘いというのがオカダの見解ではないだろうか。許していては後悔するという思いから、今回の拒否があるのだと推察する。

 もっと言えば「機運と説得力を満たした対戦」なくしては清宮も上がらないくらいに考えているのではないか。これだけ大々的にプロモーションされているカードに待ったをかけているのだ。オカダの意思には強いものを感じずにはいられない。

 いやそういうものが炎上案件にはよくなる。ウナギ・サヤカが「パートナーXを連れてくる」と言って橋本千紘と対戦をこぎつけたのもそうだ。そこまでしてもやりたかった、こういう全力主張はファンとすれ違うものだ。

 当記事タイトルに「拒否問題吹っ飛ばす大阪激闘」としたが、ソールドアウト大阪府立は配信画面越しにも熱に満ちていた。オカダ清宮進展がなくとも満腹だったし、盟主新日本を堪能した主旨のSNSも目立った。主張を支持するしないを大きく左右するのは試合である。これくらいの試合を重ねてから発言してくれ、顔面蹴りでの実現はオカシイ。なるほど。

 ボクはカクトウログを始めるときに、先輩であるブラックアイさんにおおいに感化された。もう18年以上前になるわけだが、試合を伝えること(結果を伝える、感想を言う)はサイトの前提であり、そうした人が拾うニュースだから読む気になる。最近になってブラックアイさんに対して「試合の感想を書いているから信頼できる」というニュアンスのツイートも目にしたが、少なくともプロレスを長く見ているファンにそういう考え方はあるのではないか。当サイトがベストバウト投票を継続しているのも、そういうところがある。

 試合を通じて発言しているレスラーを支持したい。けっして話題性や予想だけで思考したくない。オカダ清宮問題はボクらのプロレスの見方を問うているように思う。もちろん、何でも手の平を返せばいいというものではないけれども。

[嫌でもオカダに届くくらいの試合にします]

 とはいえ清宮も、1年前のどん底から上がってきたプロセスをもってオカダとぶつかろうとしている。けっして何もなく発言しているわけではない。

 オカダ清宮がどうなるかわからない。清宮が言うところの「新日本プロレスとオカダの問題」はどう決着するのか。決定と、そこにある主張を受け止めたい。


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