プロレスという“さぼれない趣味”を誇れ 金沢克彦さんが2022年を大総括
26日、大阪プロレスBARカウント2.99にて『プロレスBARカウント2.99旗揚げ12周年記念!金沢克彦トークイベント~ガチンコトーク2022~』が行われ、当日券なしの盛況のなか元ゴングの金沢克彦さんが2022年のプロレス界を振り返った。
なおトーク内容は非公開につき、主催者の許可を得て「外に出してもよいであろう」箇所に絞った一部を記事化しております。
やっぱりジュリアですよ、プロレスが天職だったんでしょうね
[闘魂SHOP通販で買ったTシャツ、手づくり闘魂タオルで登場した金沢さんは東スポの猪木ボンバイエ記事を手に厳しい表情? トークは「1、2、3、カンパ~イ!!」でスタート]
【テーマ①:スターダム】
お気に入りの選手? やっぱりジュリアですよ、すごいっすよ。プロレスが天職だったんでしょうね。細かいところまで全部行き届いてますよ。ごくたまに不器用なミスをするところがまたいいんじゃないかなぁと。ものすごいオーラ、カリスマ性がありますよね。彼女に女性ファンがついたらすごいでしょうね。
[11・20有明で“ザック・セイバー・ジュリア”が“UFCタッグ”トム・ローラー&朱里を破る]
ちょっと近づきづらいイメージなのかな。ハーフで美人じゃないですか。スタイルいいし、ツンケンとした感じで、ヒールでもベビーでもない。スキを見せない、高嶺の花的な。応援しづらいところもあるかもしれないけど、バックステージではぜんぜん違いますからね。礼儀正しいし真面目。それでいて、めっちゃ天然ですけどね。
ベースボールマガジン社の『新日本プロレス旗揚げ50周年記念シリーズ』に、ボクもオファーを受けてけっこう書いてるんだけど、前回出た2000年代編かな、中邑真輔のインタビューが出てて。
[2022年10月24日発売! 闘魂三銃士、それぞれの道/新日本を襲った総合格闘技の波/”暗黒時代”からの逆襲/菅林直樹・新日本プロレス会長に聞く「新日本はなぜV字回復を遂げたのか」/新日本プロレス00’sクロニクル]
最近の日本のプロレスについて真輔が聞かれて「深くは知らない」としながら「男子プロレス、もっと元気出せよ」「女子の方が生々しく伝わってくる」との主旨をインタビューのオチにしていて、見るとこ見てるんだなぁと。
ミックスドマッチは過去にもあったけど、時代が違う中で、あそこ(新日本プロレス・スターダム合同11・20有明アリーナ)に入って違和感なくちゃんと試合ができるっていうのは、いかにスターダムのレベルが高いか。練習してますもん。すごいですよ、レスリングちゃんとできるじゃないですか。有明アリーナ大会で出来不出来が読めなかったミックスドマッチが3つとも内容がよかったっていう。
そしてメイン。岩谷麻優とKAIRIがあれだけの試合見せて、満足させて、新日本・スターダムファン半々の中でしっかり締めましたよね。今年のベスト興行に選ばれてもいい、そう思いました。
猪木さんがいなきゃここにもいないし、アントニオ猪木一筋でした
【テーマ②アントニオ猪木】
亡くなった当夜のテレビ朝日『サタデーステーション』での解説に加わらせていただきました。打ち合わせで台本の修正箇所をアドバイス。番組中はほとんどVTRだったんで(その間はマイクオフ)、ムトちゃん(武藤敬司)とプロレス談義でしたよね。かけあいみたいになってスタジオ大爆笑で。
【サタデーステーションでのコメンテーターを務めた #金沢克彦 さん振り返り】
『サタステ』だけではなく、顔見知りの『ワープロ』スタッフも待機している。
この日の番組は『サタステ』と『ワープロ』の共同作業で制作。#アントニオ猪木 #燃える闘魂 #燃える闘魂追悼https://t.co/zCPsJduDAU— KAKUTOLOG📶プロレス/ボクシング/MMA/格闘技カクトウログ (@kakutolog) October 4, 2022
告別式の夜に栗栖正伸さんから電話があって「プロレスが終わったね」って言うんだけど、感覚的に一緒でしたね。昭和プロレスが終わったと。亡くなって偉大さが改めて浮き彫りになりましたよね。
猪木さんのことを媒体から「3500字で書いてくれ」と言われたら3~4時間で書けますよ。でも1円にもならないブログで猪木さんのことを書くのに4日かかりました。猪木さんがいなきゃここにもいないし、アントニオ猪木一筋でしたからね。この仕事についてから、猪木さんが一線から引き始めたときには寂しかったですよね。だけども勝負どころでは、さすがアントニオ猪木でしたよね。
猪木に出会っていなければ、今の自分は存在しない。
猪木に夢中になっていなければ、違う人生を歩んでいた。
それだけは絶対に間違いないと言いきれる。https://t.co/Y85Z5vwIfL#金沢克彦 #アントニオ猪木 #アントニオ猪木追悼— KAKUTOLOG📶プロレス/ボクシング/MMA/格闘技カクトウログ (@kakutolog) October 23, 2022
引退試合のドン・フライ戦での長州力の仕切りは凄かったです。負けたドン・フライを押して退場させましたから。「これから大事なセレモニーだ~」とばかりに。おまけに藤田和之は聞いてないから、猪木さんがもう一回ガウン着るのを知らず、持ってきてなかった。付き人だけど、慌てて走ってガウンを取りに行って。てんやわんやでした。
猪木さんを尊敬している人っていうのは、あんまり猪木さんのことを語らないですよね。藤田やケンドー・カシン、永田裕志とか。本当に知っている人は。
猪木さんは凄いですよ。新日本プロレスワールドで残ってますから、みなさんに見てほしいですよね。技の攻防って意外と大したことないんだけど、オスプレイやザック・セイバーJr.の方が凄いけど、僕の好きな「猪木vs.大木金太郎」とか絶対色褪せないですよね。技は限られている、頭突きとパンチだけであれだけ感動させる。涙を流させる。まさにアントニオ猪木ですよ。
ファン時代から数えて約30年間、見てきた猪木さんの試合の中から私が個人的に思い入れの深いベストバウトを選んでみた。
1位の大木金太郎戦は、ファンだけではなく、現役レスラー全員に見てもらいたい。https://t.co/AJftWse5RM#金沢克彦 #アントニオ猪木 #アントニオ猪木追悼
— KAKUTOLOG📶プロレス/ボクシング/MMA/格闘技カクトウログ (@kakutolog) October 31, 2022
大木金太郎、ストロング小林、坂口征二、スタン・ハンセン、タイガー・ジェット・シン・・・そういった選手との試合を見ていただければ。それと猪木はアメリカンプロレスの天才ですからね。アメリカは修行に行っただけだけど、日本にアメプロを持ち込んだのは猪木さんですから。日本で最初にマイクアピールをしたのはアントニオ猪木だって言われてますからね。正確にはわからないんですけど、猪木さん自身の自慢なんですよ。「最初にマイクアピールしたのは俺だ」と。マイクを持って喋るなんてことはプロレスラーの中ではありえなかった時代だから。
[カクトウログ註:流智美氏が『詳説 新日イズム 完全版 闘魂の遺伝子がここにある!』にて唱えているのは以下の通り。日本プロレス1970年4月15日・札幌中嶋体育センターでの猪木vs.クリス・マルコフ戦、60分3本勝負、1-1で迎えた3本目にセコンド乱入でマルコフ側が反則負け。控室に逃走したマルコフ陣営に「あいつら、もう一回呼んでこい! 半殺しにしてやる! 半殺しだ!」と猪木がマイクで絶叫したのが最初である]
そして晩年のリック・フレアー戦。いわゆる「ストロングスタイル」と言われる人と、「アメリカンプロレスの権化」ですよ。それが北朝鮮で初めて手合わせして、名勝負をつくっちゃったっていう。プロレスの達人同士ですよ。あと棚橋弘至のいちばん好きなビッグバン・ベイダー戦。
あと猪木さんが“食われた”グレート・ムタ戦(観客「あ~」)。完全にムタが食っちゃいました。あれはズルいですよね。ムタは何をしてもいいんだもん。武藤敬司として上がったら猪木さんの土俵に上がらなきゃいけない。悪いことできないし。でもムタは何でもあり。場外戦も反則も。なんというか・・・猪木さん悔しかったでしょうね。唯一喰われたんじゃないですか。
ムタは得なキャラで、だから真輔とやるときはムタなんですよ。武藤敬司だと体力の限界が見える可能性もある。でもムタは何でもありだから面白い。
[2022年1月4日、アントニオ猪木がビジョンで挨拶。これが新日本最後の“登場”となった]
猪木さん・・・残念だけど、こればっかりはしょうがないですよね。いつか来ると思っていたけど、ちょっと早かった。もう二度と出ないレスラーですよね。世界最高のレスラーだと思います。
新日本イッテンヨンへの期待 / 武藤敬司は猪木さんと別の意味で世界最高
つづく