GKはどう語った!? 新日本“コロナイヤー”是非を金沢克彦氏が生解説
「いやあ、この試合、GKがどう書くかね?」との言葉がケンドーコバヤシさんの口から飛び出したのは、2013年テレビ朝日『アメトーーク!』だった。「今、プロレスが熱い芸人」放送回、「これを使えばプロレス通」というお題にケンコバさんが呼応する。
長きに渡るご意見番としての姿勢は現在も変わらないが、『ワールドプロレスリング』でのGK(ゴング金沢)こと金沢克彦さんの出番はここ数年は減ってしまった。プロレス実況席はいつの間にか、プロレス好きに愛を育む“解説”よりもビギナーに“騒ぎ方”を伝授しているかのようだ。
飯伏幸太ばりの大負傷からコロナ太りまで GK近況
だからこそボクらには、この男の“解説”が足りない。はたして2020年のマット界をGKはどう語った!? 28日、大阪のプロレスバー「カウント2.99」にて『カウント2.99旗揚げ10周年記念!金沢克彦トークイベント~ガチンコトーク2020~』が開催された。トーク全貌は参加したソーシャルディスタンス下でのソールドアウト21人のファンの胸にしまわれる宝物だが、ここでは一部分に絞ってお届けしたい。
(イベント内容は口外不可ですので当レポートについては主催者許可を得ております。)
コロナ対策のため、解説以外で後楽園ホールを訪れた際には2階バルコニーからの取材となってしまう新日本。金沢さんの近況は?
「このご時世なんで、会場に足を運んでも選手(控室)に話を聞くことができない。おのずと新日本プロレスワールド越しの取材になってましたね。後押しした出来事もあって・・・実は5月に自宅で転倒して左足首靱帯損傷をやってしまった。去年(2019年)のG1での飯伏幸太選手ばりに足首が倍くらいに膨れちゃって」。
自宅を中心としたワークをこなす。
「試合はなかったのに、一時期はコロナ前よりも忙しいくらいで。3月半ばから永島勝司さんのYouTubeを手伝って、4月からは新日本スマホサイトの『“シン・新日本プロレス”が生まれた時代』連載です。この連載もね、公式から引っ張れるコメントだけだと面白くないから、自分が取材したゴングやブログからのものを出していく。けっこうシンドいけど、それがこだわりだったかな」。
なんと3月以来で居酒屋に行っていないのだという。健康度合いが増したかと思いきや、ついつい自宅で飲む量が増えてしまったそうで、コロナ太りで出てくるお腹を自嘲した。
新日本人気でプロレス自体が見直された レジェンドや他団体に及ぼす影響
金沢さんに新日本“コロナイヤー”はどう見えているのか?
「コロナ休業明けのテレ朝の『報道ステーション』に棚橋弘至が出たじゃないですか。松岡修造さんが会場まで来てくれて。タナが『心のスタミナ』というものすごくいい言葉を出して、松岡さんが『愛してます』にハマった。ああいうのは他団体にも影響力あるし、いま長州力とかレジェンドがもてはやされているのは新日本プロレスが人気があるから。プロレスが認められている空気があるからで、もし新日本が“しぼんだ”らレジェンドもテレビに引っ張られないですよ。長州力が年賀状(10月24日から全国放送となった日本郵政CMに出演)ですよっ!!」。
司会であるマスターから「今年の新日本は乱入・介入が多すぎませんか?」との問いかけがあった。
「オカダ・カズチカ以外というか・・・内藤哲也、EVILにスポットが当たる流れになってますね。内藤が素晴らしい試合をしていて、EVILがいい選手であることも間違いはない。スター育成には必要なプロセスだろうし、プロレスのナマモノとしての流れはある。一方で、リング上がストレスを溜めるのは手放しでは喜べないかな。オカダが絶対的な存在のままどっしり構えていたら“介入許さない”というようにならなかっただろうか・・・と“もしも”を考えてしまいます」。
ファンを騒がせた乱入・介入問題 ガッカリがカタルシスに変わる日を
マスターからは、この日の参加ファンからも乱入・介入への質問が多かったことが明かされた。金沢さんの見解は続く。
「オカダがどこかのタイミングで上がってくるんでしょうけれど、その前にお客様がもし離れるようなことがあったらサビシイですね。この時代だからこそファンをつかんでいくということは大切で、『ガッカリ』がちょっと多すぎるかな。プロレスが好きな人が見たときの『カタルシス』の方が多くなっていけばいいんですが」。
1年前のトークイベントでは「ラグビーの当たりの強さを、誰がどう気づいているか!?」との視点でプロレスを語っていた金沢さん。
「プロレス本来の面白さはガンガンやること。今の新日本でいうと、鷹木信悟と石井智宏なんですよ。G1ファイナル3連戦の初日に、石井が初めて両国国技館のメインに立った。そういうのをもっとボクはクローズアップしたい!! 古いのかな」。