鈴木みのる「俺とお前らがやってることは違う」 拳王と闘った理由とは
ノア『STAR NAVIGATION 2024~ONE NIGHT DREAM2~』5・22後楽園ホールの記事を書きかけるが、何かピースが足りない。25日、気がつくと手土産を持って原宿に足を運んでいた。メインに出場した“世界一性格の悪い男”は何を思って拳王と闘ったのか。さらには原宿パイルドライバー実店舗化9周年に迫る10,000字インタビュー。
(5月25日・原宿パイルドライバーにて取材)
みのる「どうだ、ウチの商品、頑丈だろ」拳王「モノはいいんだァ~お前のところ」
カクトウログ 全日本プロレスが「闘魂スタイル」の商標出願をしていたという話題で、3月に佐藤光留選手がイベントで「原宿パイルドライバーとしてもキャッチしてた情報だった」とおっしゃってたんですが。
鈴木みのる 僕調べますよ。いろんなサイトで勝手にパイルドライバー商品があげられたりとか、してることあるんで。そこに商品販売の差し止めしなきゃいけないんで。差し止めしなくてもいいからロイヤリティくれって話なんで。あとは誰がこの商標誰持ってんだろうって調べるとすっごい楽しいんだよ。
カク 楽しい?
みのる 楽しい!!
佐藤光留 特許庁の。
みのる うん、特許庁のホームページ。わりと趣味なところがあって、それこそSupreme(シュプリーム)のあのロゴを今誰が持ってんだろうとか。やっぱね、ファッション業界なんで自分らがこういうロゴつくるときに、類似商品として訴えられないように調べる必要もあるので。ウチは「パイルドライバー」を商標登録してるんで。
カク その流れで「闘魂スタイル」あるなって話になった。
みのる 新日本がたくさん商標登録してる。いろんなものを。それこそ「G1クライマックス」という名前もそうだし。その中でいろんなプロレスのワードが出てきて、あれはどう、これはどうって調べてる中で「闘魂スタイル」が出てきちゃう。この話、何が面白いの? 報道が出回っている段階ではこっちはもちろん知ってる話ですよ。業者ですから。
【まとめると、アントニオ猪木関連の商標についてIGF側が管理しているように、原宿パイルドライバーもプロレス関連の商標情報は随時チェックしている(楽しんでいる面もある)。しかし「全日本プロレスが闘魂スタイルを商標出願していた」ことには興味がない】
カク 拳王選手との試合がありました。
■ノア STAR NAVIGATION 2024〜ONE NIGHT DREAM2〜
日時:5月22日(水)18:30
会場:東京・後楽園ホール 観衆1488人(札止め/主催者発表)
<第7試合 メインイベント・スペシャルシングルマッチ>
〇拳王
26分06秒 P.F.S → 片エビ固め
●鈴木みのる
カク 試合前に拳王選手が風になれTシャツ(2024 KAZE NI NARE Tee/サクラピンク)を破れないという場面のことを聞かせてください。
みのる ああ、あのときね。こうやって寄ってきたんで「(みのる)どうだ、ウチの商品、頑丈だろ」「(拳王)モノはいいんだァ~お前のところ」「(みのる)ウチは洋服屋だぞ」なんかそんな言い合いをした記憶がなんとなく。おかげさまでなのか何なのか、ピンクがほぼないです(ほぼ完売)。(ファンから)「追加お願いします」ってくるんですけど「いやです」と。
カク そうですよね。決まった枚数でつくって、余分なコストもかけない計画で回していて。リング上ではそのあと(拳王が脱いだTシャツをリング上で)丁寧に畳んでたじゃないですか?
みのる (拳王が俺を)一番バカにしてるから。
カク こうやって扱うんだぞという意味?
みのる 何も考えてないよ、何も考えてない。その瞬間瞬間で自分が思ったことをやってるだけだから。客席に(Tシャツを)投げたのも別に考えてない。
カク 拳王選手からは「ノアのリングはもういいかな。だが、どこかでのリングで出会うまで」との言いかたをしてました。
バックステージコメント(公式サイト)
【拳王の話】「ONE NIGHT DREAM、最高にいい夜だった。そして、いい夢を見させてもらった。いや、夢じゃねえからな。これを現実に、そして日常にしていく。俺はそう誓ったぞ。そして、対戦相手の鈴木みのる。まだまだ思い出すよ。8年前、9年前、お前がNOAHを荒らしに荒らしたこと。今でも大嫌いだ。だがな、お前がひとりでNOAHのリングに上がって来た。そのことは認めてやる。そして、オッサンのクセしてあれだけ血を流してもなかなか元気じゃねえか。鈴木みのる、プロレスに絶対はない。NOAHのリングはもういいかな。だが、どこかでのリングで出会うまでお前はまだまだ、ジジイだけど少しは元気でいろよ。そして、もう一度言うけど、今日みたいな非日常のNOAHのこの後楽園ホールの空間、俺が日常に変えてやるよ。おい、いいか。これを見ているクソヤローども。俺はな、誓ったぞ。この夢みたいな夜に誓ったぞ。夢を現実に変える。そう、日本武道館に連れていくと言って、俺が連れていっただろ。このような後楽園ホール、NOAHが毎回日常にしてやるからな。テメーらクソヤローども、これからはな、今夜みたいな空間を日常にしていく拳王、俺についてこい」
【鈴木の話】「おい、拳王よ。そしてNOAHよ。これで終わりだと思うんじゃねえぞ、てめえら。また来るぞ(高笑いしながら去っていく)
みのる ふーんそうなの? というかてめぇの意思なんて関係ないでしょ。
カク 行くときはこっちからってことですか?
みのる こっちからだし、「ノアによく上がってきたな」とか言ってるけど、はっきり言うけど、俺はノアに呼ばれて行ってるからね。お前なんかよりもはるかに上の方にいる人たちに「ノアに来てください」と言われて行ってるんで。何しにノア来た? いや呼ばれたから。なんで? 一つは後楽園ホールを満員にするために行きましたよ。
カク ワンナイトドリームという年に1回の大会ですからね。
みのる それは俺に関係なくて。違うよ、鈴木みのるを使う理由の一つが「満員にすること」。そのために鈴木みのるを使うという向こうの意図があったから、俺が行って満員になった。それで一つ仕事が終わりだからね。そもそも俺と、ああいう“飼われてる犬”たちとは違うんで。
カク なるほど。
みのる あいつらがどんな文句を言ってようが、寝て朝起きたら目の前に「はい、ご飯だよ」って出てくるわけじゃないですか。そういう生き方をしてるわけじゃない? その量が多かったり少なかったりすることあるかもしれないけど。でも俺も含め、この佐藤も、ウチのフリーの選手たちは自分で食うもの探して、時には落ちてるものを拾って食べて、時には人が食べてるものを殴って奪って食べて、生きてきてるんで。そもそも違うんで。そんなやつらに「こんな汚い野良犬が」って言われても何とも思わないかな。それはどこの団体に対しても。でもその代わり、どこでも生きていけるけどね。
カク 今回最後に「また来るぞ」っていうコメントもありましたが。
みのる そうだね。俺の今の試合の対象というか敵? 対象が全世界全団体なので。だからノアも含まれるし。それこそ新日本も含まれるし。全世界全団体が自分の場所、フィールドなので。
カク 拳王選手は相手との高度な攻防や運動量とかで持ち味を発揮する選手だと思っています。今回前蹴りの相打ちもありましたけど、拳王選手らしさも引き出された試合に思えました。
みのる あんまり覚えてない。「負けた」「悔しい」「次ぶっ飛ばしてやる」それ以外ないです。
カク 鈴木みのる選手が手を後ろに回してエルボーをさせ、その後に拳王選手も手を後ろに回して鈴木みのる選手にエルボーを打たせた。拳王選手なりに踏み込んできたようにも思えました。
みのる そうですか、まったく。俺がやったからやってるんでしょ。だから感性が悪いんだよ。感性がいいやつは先にやるから。だからあの程度の位置にしか行けないんじゃない? どんだけ吠えようが、どんだけキャンキャンキャンキャン言おうが、自分のことを見てくれる、自分のことを支持してくれる、自分のことを応援してくれる人の前でしかやらない人間の考え方なんで。
カク そうは言っても拳王選手は人気は高まっていますし、ノアの中ではメッセージを発信している側にはいると思います。
みのる 俺はウジ虫かもしれないしノミ以下かもしれないけれど、お前たち、自分の足、自分が生きてる場所をちゃんと見た方がいいぞとは思うけどね。「これが正しいんだ」「これが全てなんだ」「これが正解なんだ」「これが最高なんだ」本当かって思うんだよね。それが自分の目で、自分の足で、日本中世界中回ってる自分の答えなんで。常に答えはお客さんの中なんで。自分で言うことほど滑稽な話はないね。価値は他人が決めるんだ。
カク プロレスラーがよくYouTubeとかやってますけど。
みのる それはいいんじゃないですか。勝手にやれば。関係ない。
カク そういうところで発信したからといって、そのレスラーの主張がにじみ出てくるわけじゃないってことですか?
みのる いいんじゃないですか。どんどんやった方がいいと思います。勘違いしちゃいけないのは、俺がやってることとお前らがやってることは違うということを、どんだけ認識してんのかと思って。多分みんな認識してないんで、それこそログさんも(その違いを)認識してないと思います。違うんで。
カク 満員になったんで、拳王選手が「今日みたいな非日常のノアのこの後楽園ホールの空間、俺が日常に変えてやるよ」ともコメントを出していました。
みのる (満員に)すればいい。
カク それでいて流血した際に血をペロリとしたり、非日常感に溢れました。
みのる 椅子のたぶん、開くところの横の金具かな。関係ないところも腫れてるんだけど。まあでも「そんな簡単に椅子とかで、あんなちょっとしか当たってないんで切れるわけじゃねーじゃん」とか言われる。切れるんだよ。(近くの光留選手に)すぐ切れるよな。それも含め、別に特に何もない。もう俺にとったら過ぎたこと。もう終わったことなんで。
カク わかりました。
みのる ただ、誰とは言いませんが、(この大会開催に際して)俺に声をかけて、俺にノアに出場しないかと言ってきた人間が、帰り際に一言「おつりきました」って。
カク なるほど。
みのる これが全てじゃないですか。でもそれで初めて、ああ俺の仕事が一つ形になったなとは思いますけど。いちいちそれ以外の細かい設定とかも気にしない。だって、これでホールいっぱいにならなかったら二度と呼ばれないんですから。そういう立場ですから。世界中でオファーがあり続けるのは「鈴木呼ぶとお客が来て楽しいから」呼ばれてるんで。みんなはその、自分の応援してるプロレスがあるから、それで形が違うから認めたくないんだろうけど。これ俺が言ってんじゃないんだよ。世界がそう言ってるんだよ。ハハハ。
俺が世界中からオファーを受けて行ってることをみんなが不思議がってるんですよ
みのる 「俺が言ってるんじゃない」この言葉好きなんだよね。
光留 いいっすね。
みのる 「これ、俺が言ってんじゃないよ、歴史が言ってるんだよ」とかね(笑)。世界が求めている、しょうがない。だから俺が世界中からオファーを受けて行ってることをみんなが不思議がってるんですよ。いろんなレスラー、関係者が。誰にもらってんのと。何言ってるの、普通にメールアドレス公開して受けてるだけですから。
カク はい。
みのる もちろん手伝ってくれる人はいますよ。交通整理してくれたり、エアーチケットを取るのにこう、うまく乗り継ぎができるように整理してくれる、手伝ってくれるやつはもちろんいますけど。全部俺の専属通訳がいるんで、その専属通訳に全部やってもらうと。専属通訳は「Google」っていう名前なんですけどね(笑)。基本的には全部自分でやってる。
カク よくわかりました。
みのる どうせまた「あいつが好き」「あいつが嫌い」なんて言ってる小さな世界で生きてたら、それこそ商売になんかならない。だって嫌いなモン同士が殴り合うのが見たいんだもん。そういうことだから後楽園ホール、客がいっぱいになったんだと思ってるんで。好きな人と、なかよしとやるだけだったら誰も見に来ない。他人の喧嘩見に来てるんだから。他人の喧嘩の方が面白いでしょ。
カク 喧嘩につながった要因(因縁)としての以前の鈴木軍によるノア侵略もありました。
みのる 1500人いるうちの何人がそれ理解してます? リアルタイムで見てるの多分100人以下ですよ。10%以下ですよ。
カク 入れ替わってる。
みのる 入れ替わってる。そこまで恨んでる人間は20人ぐらいしかいないと思う。お金払うんだから楽しい方がいいんだって。だからそういうふうなのは、今言った言葉あるじゃないですか。それって理由をつけてる。鈴木が出る、ノアに出ました、こんな試合になりました、超満員になりました…っていうことに対して理由をつけてるんです。
カク そうですね。
みのる こういうことがあったから。不幸なことがあったから…違う。「面白そうだから」それだけです。だからその、誰かが無理やりつくった理由なんかどうでもいいんだよ。所詮デビューしたときから、いいこととかもう一言も言われてないんで。あんな不細工、センスない、誰だこんなチビ入れたのって・・・俺はその業界で生まれ育ったんで。意気揚々と移籍したら前田日明に毎日のように殴られ。
カク (笑)
みのる 別に今さら何を言われようが何とも。そんなことより大事なのは闘い続けることなので。(原宿パイルドライバーは)今日も3割ぐらいのお客さんが海外のお客さん。俺のプロレスっていうのは世界中に届いてるなという実感はある。ついこの間、こちらも開設してる。ここについたコメントとか見てください。(とスマホを開いてスクロールする)
MINORU SUZKI
The King of Pro-Wrestling is coming to your town.International Bookings
↓
japanwrestlingbookings@gmail.com pic.twitter.com/EXOB6mcPkH— 鈴木みのる (@suzuki_D_minoru) May 24, 2024
みのる 全部英語ですよ。イギリス北部のウェールズのなんとかっていう町に来てくれとか、アメリカのどこどこ、ブラジルのなんとかっていう村にいるんだけどプロレスを見たい、来てくれとかね。それを受けて、行けるところに行くと。
カク 「まだまだ思い出すよ。8年前、9年前、お前がノアを荒らしに荒らしたこと」というのは、拳王選手も試合後に持ち出してはいました。
みのる それしか言うことないんじゃないですか。2015年だから9年。その間に俺が地の底に落ちてんだったら、そんな言葉にならない。拳王からまだ俺が見上げる存在だったからそういう言葉になる。だから一言あるとすれば。試合で負けたのは俺だけどザマーミロ。追いつけるもんなら追いついてみろ。ノアの全ての選手には思いますよ。すげー勢いで全力疾走、今もしてますね。
カク あんまりこういう言い方、嫌われると思いますけど『いい試合』でした。
みのる 大丈夫です(笑)。全然嫌われはしないですけど、いい試合・・・だったら良かったなっていう。っていうことは『面白かった』わけで。それが仕事なんで。帰り際に「一杯飲みに行こうぜ、今日の鈴木のさあ」ってところまでが俺の仕事なんで。「無駄な金払ったねぇ、5000円」ってならなくてよかったなと。でもそれをさせたいから呼ばれたわけで。偉そうな言い方になっちゃうかもしんないけど、俺にとっては当たり前なんで。そのために呼ばれてる。客が入る、当たり前。いい試合、それも当たり前。そのために高い金を払って俺が動くわけだから。俺の仕事が1個完成したなと思うんですけど。
カク ありがとうございました。
店を運営していくことって、テレビじゃなくて会場で見るプロレスあるじゃないですか…その感じ
【時間を置いて会話再開】
カク (パイルドライバーが2015年4月28日に原宿にて実店舗化、このほど9周年。年々店内や棚をグレードアップしている話で盛り上がり)すみません、またレコーダーまわしていいですか。
みのる ああ、いいよ。店を運営していくことって、「テレビで見ることじゃなく、会場で見るプロレス」あるじゃないですか。その感じです。お客さんともやり取りがあって、駆け引きがあって、迷ってるものをいかに買っていただくかってことも含め(笑)。自分のその、プロレスにも、ものすごい感性という部分がプラスになっている。
カク プロレスと店舗経営に共通点。
みのる あとね。お客さんたちは・・・お客さんというか、うちのお客さんじゃなくて、世の中の人ってアルモノに対して文句を言う。「これはこれだからダメなんだよ」「ノアに鈴木なんかあげんなよ」みたいなのも含めて、アルモノに対して文句を言って生きてる。それってつくり上げたモノ100を90とか80に減らして「俺が考える理想はこれだ」みたいなことをやりやってるだけであって、俺にしてみたら一緒なんですよ。すべてが。何が一緒かっていうと、1を10にするのも100にするのも1000にするのも、1があるからできるんです。だから減らすこともできる。その世界にいるんですけど、ここにいると、0を1にする作業って言うんですか、ないものを新たにつくる。だから失敗もあるし、うまくいかないこともたくさんあるし。それが好き。「0か1か」と「1から先」は全く違う世界なんで。
カク うーん。
みのる それはプロレスも一緒。
カク 前回のインタビューをしたときに、いろんなレスラーに「プロレスを教えてくれ」って言われるけど、そんなに簡単に身につくもんじゃないっていう話をされてましたけど。
みのる ああ。カタチだけだったら別に俺より上手いやついっぱいいるんでしょ。あいつらがほしいのは俺から習ったっていう称号がほしいんで。じゃあ習ったことにしていいよ、興味がないので。
カク 店にとっても9年続くっていうのは、本腰を入れてやってる部分があるからこそ続くんじゃないですか。
みのる そうですね。俺が「人任せ」にしないから。在庫の管理も自分でやるもん。なんなら掃除もうるさい(笑)。俺、指で(商品棚をなぞるように)こうやって「これを掃除したの誰」ってやります。それは文句を言うためじゃなくて、その掃除をするしないはお客さんのためなんで。それも全部プロレスに変換されていくんで。自分がお金稼ぐところで気を使えないやつが、どうしてお金稼げるの?
カク なるほど。
みのる コスチューム汚いレスラー、いっぱいいるじゃないですか。「お金ないんです」と。そいつに金は絶対降りません。私生活を削ってでも僕はコスチュームちゃんとやります。これはもう若手のときから教えてくれた先輩たちがいるので。先輩レスラーたちが、やっぱりみんな昭和のレスラーで「商売道具に金かけろ」っていう人たちが多かったんで。30数年。だからお金が生み出せる。
カク インスタに写真を定期的に上げてるじゃないですか。靴下の。
みのる あれは趣味です。もともと友だちのダンサーに「こういうのあるよ」って教わって、プレゼントしてもらって履いてたんですよ。ダンスって、前一緒にラジオやってたダブルダッチの女の子なんですけど。その子、世界チャンピオンなんですよ。で「みのるさん、これ一個あげる」って言われて。アメリカの通販であると。それで自分で買ってたんですよ。20足、30足をたまにまとめて。面白がって毎日履いて、へ~かっこいいって。誰もやってないのやりたかったんで。すると日本に代理店ができて、代理店の方が連絡もらって、一緒に何かできませんかって言われて。
カク ほう。
みのる 今、もうここの公式アンバサダーをやってるんで。公式アンバサダーと公式販売店です。
カク (店舗のコーナーを見て)STANCE(スタンス)?
みのる STANCE。STANCEが日本以外の先進国、まあ有名なブランドですね、どこに行っても。
カク WWEも(靴下の販売が)ありますね。
みのる あれはSTANCEじゃないです。そもそも靴下の文化というのがアメリカにはあるんで。他にもブランドがあるんです。いろんな人に言ってるんですけど、これ下着と一緒なんで「どんなにいい女でも、脱いだときにパンツヨレヨレだとダメだろ」って話をするんです。女性にはブラジャーっていろんなのあるじゃないですか。赤だったり黒だったりヒレヒレついてたり。でもこれって人に見せるために着るわけじゃなくて、自分が可愛いと思って着るわけじゃない? それと一緒です。だって靴下なんて見えないんだから。
カク 確かに。
みのる 何なら僕、試合も全部STANCEですよ。それはスポーツ用のSTANCEもあるんですよ。アメリカの主要プロスポーツ、全部スポンサードしてますから。NBAとかメジャーリーグとかの公式スポンサーを。スポーツ用のソックスもいっぱい出てるんで。
カク パイルドライバーに絡んだもの(デザイン)もあるんですか。
みのる ないです。僕がチョイスして入れてるだけです。
カク セレクトショップ的な。
みのる ものすごい数からセレクトして、代理店からまとめて買いつけするときに「俺はこれとこれとこれください」つって。多分どんな大手行ってもSTANCEの販売コーナーはこんなにスペースはない。4~5種類あればいい方で・・・うちだけですよ。この時計のTendence(テンデンス)のアンバサダーもやってた。気づいたらファッション系のアンバサダーをいくつかやってるっていう。サンクロレラもやってます。
カク どんどん縁ができるってことですね。
みのる そうですね。あと原宿って街が情報発信の街なんで、カルチャー発信の街じゃないですか。ファッションもそうだし、それこそプリクラが流行り始めたのもこの街。そこに店を構えたのは「当たり」だったなと思ってます。最初からもちろん狙ってはいましたけど。原宿来ない人からしたら「若者の街」のイメージあるじゃないですか。でもここ大人の街ですから、実は。大人のファッションの街なんで。子供が来てんのは多分竹下通りぐらいじゃないですか。
カク 通りに集まります。
みのる 店を始めたときも「何で水道橋じゃないの」って。
カク 当時コメントが出てて「この場所を聞いたときにピンと来た」っていうようにおっしゃってましたね。
みのる 俺、原宿の洋服屋のオーナーになりたい。もともと好きではあったんで。このお店がオープンする前から、自分のグッズは自分でデザインして。デザイナーの友人に師匠になってもらい、パソコンなんていじったことないのにパソコンのいじり方を教わり。それを覚えていったっていうのがあるんで。デザインの仕方も店の経営の仕方も、人に教わって始めたものじゃない。全部自分の感性なんで。間違った部分もたくさんあると思うんですけど、でもいいんですよ。ちっちゃい枠で終わりたくない。そのプロレスの・・・さっきのあの拳王うんぬんじゃない。多分ほとんどの選手がそうなので、あいつがどうこうではなく、その小さな、自分だけが見てる世界で終わりたくないです。
カク ありがとうございました。(プロレスに関係のないところでも)みんなが前向きになれる話がまとめとして入れられそうで。
みのる なんか自分から情報を取りに行く時代に変わりましたよね、本当にね。自由に取れる時代になったんで。好きなものだけをもらえるような時代になったんで。まあ、そうですね。昔は週刊誌があって「載ってるかな自分の好きな選手が」って見て、それに載ってるけど、それ以外も載ってる。もったいないから全部読むから詳しくなってくるのがあった。今は鈴木みのるの情報だけを調べたいと思ったら、鈴木みのるのものだけを選べるんで。情報が「広く」じゃなくなりましたよね。
カク そうですね。
みのる お客さんも途切れることなく、この9年間。傾向がずいぶん変わりましたけど。海外のお客さんがこの5年で・・・俺が海外行くことがこの5年で増えたので、それに伴ってお客さんが増えて。でもお客さんに寄り添った商品は一切つくらない。お客さんの要望も一切聞きません。それしたら俺の店じゃなくて済んじゃうんで。「こういう色の欲しい」って言われたら「ユニクロに売ってるんだけど」って。ここは俺がつくりたいものを買ってもらうみたいな。全部俺の意志の色のセレクトだったり形だったり素材だったり。
カク プロレスファンの声を聞いてたら、こんな(カラフルな)感じにならないですよね。こんなん(別の黒っぽい棚を指して)ばっかりになるんじゃないですか。
みのる 真っ黒になっちゃう。あとアイディアがもう本当に次から次へと出てくるんで。だからほんと、プロレス以外に何してるのって言ったら、まあ店番しながら絵を描いてます。ここ最近はもう毎日家帰って、風呂入るか、風呂入る前に・・・パソコンいじり出すともう遅くまでになっちゃうんで、カチカチと。音楽聴きながらちょっとなんかこうコーヒー飲みながら。そしたら寝る時間になる。いろんなサイト見ながら、これ、この色の組み合わせに変えたらかっこいいんじゃないかなとか。俺、このGパン・Tシャツっていう格好が好きなんで、昔から。だから、そんなものにこだわってもいいのかなって。
カク ちょっとこちらをバックに写真を撮らせていただけますか。
【写真を数枚撮る】
カク (拳王戦での)頭の傷は撮るのはダメですか(この日、肉眼では見せていただいた)。
みのる ダメです、イヤです。怪我自慢は一切したくないから。見るだけなんです。あそこが痛い、ここが痛い、同情してくれなんてまっぴら。「あいつ試合で走るの遅くなったよな」「あいつカラダだらしねぇな」「腕細くなったよな」って言われた方がマシです。怪我だから仕方ないって言われたら最悪。だから絶対に人に見せない。だって見せたら仕事なくなっちゃうもん。いつも元気だねって言われるように、元気なとこしか絶対に見せないんで。
カク なるほど。
みのる そう言いながら家で泣いてるんですよ(とおどける)。
カク いやいやいや(笑)。
みのる またぜひ遊びに来てください。
株式会社パイルドライバー 代表:鈴木みのる
東京都渋谷区神宮前6-27-8京セラ原宿ビルB1
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