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鈴木みのる「何でそこまで? 友達だから」 髙山善廣評伝本発刊で記念トーク

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 15日、リハビリをつづけるプロレスラー髙山善廣の半生を綴った『髙山善廣評伝ノーフィアー』が発刊された。発刊初日に芳林堂書店高田馬場店にて発売記念トークショーが行われ、鈴木みのる、著者・鈴木健.txtさんが登壇している。同本の熱さに匹敵する濃密なエピソードと思いが披露され、参加者の胸と目頭を熱くさせていた。
(イベントのごく一部ですが記事化させていただきました)

プロレス復帰時の髙山の言葉にみのる「吹っ切れましたね。今風のプロレスに融合しなきゃじゃなく、やっちまっていいんだっていう」

 証言者への取材がベースになった『髙山善廣評伝ノーフィアー』ではあるが、インタビュー集の体裁ではない。そのぶん健さんによると、本になるまで時間がかかっているのだという。

 健さん「みのる選手には2時間以上話していただきました。それでも一部なんですよね、本当に濃い。それを読み物にしないと意味がないと思いました。自分は週刊プロレス出身なので、週刊プロレスの匂いみたいなのを本全体に加えたかった。(取材した17人の)インタビュー形式で載せるのではなく、ちゃんと(時系列で再整理して)読み物にすることによって、なんかそこでこう物語を描けたらなっていうのがあった。そこにこだわるというか“当たり前”の感覚なんです」。

 証言者としての鈴木みのる、石原真マネージャー、夫人である髙山奈津子さんの話ができるだけ薄まらないように、健さんは執筆したのだという。さらに“追い続けた”側の視点として週刊ゴングにいた金沢克彦さん、週刊プロレスにいた佐久間一彦さんに取材を行い、その話が「抜群に面白かった」とふり返った。

 イベントでは、みのるが「俺と髙山が“出会う前”の話は載ってないですよね? それは喋った方がいいですよね」と、髙山から聞いた話を切り出す。

 みのる「僕は1987年、新日本プロレスに入ったんだけど、そのときに実は、旧UWFの新弟子に髙山がいたらしい。そして彼は途中で、彼の言葉で言うと『逃げ出した』んですよ。それからライフセーバーをやりつつ、プロレスが好きだから雑誌を見る。そうすると俺がデビューしたとか、誰と喧嘩したとか、そんなのが載ってる。それを見て『俺、デビューしてたらこいつと同期だったんだ』ってずっと思ってたらしいんですよ。実際のプロレスデビューは5年ぐらい違うんだけど、実際には同じ時期に“プロレスの世界に入っていた”という。(入門前に)見ていたプロレスもまったく同じもの。同じように金曜8時、テレビ前に座りイノキコールを送っていた。本には載ってない話としてね」。

 髙山とは「1回も同じ団体に所属したことがない」とするみのる。それでも、髙山vs.ドン・フライ(2002年6月23日「PRIDE21」さいたまスーパーアリーナ)に「俺は何をやっているんだろう。感動した」との思いを抱く。新日本プロレスに上がるようになったとき、髙山に背中を押される。

 みのる「こいつ本当にプロレスできんのかって思われてた時期。一緒になった高山に言われた。『持ってるもの全部出せばいいんだよ。相手の技なんかどうでもいいんだよ。一方的に殴っちゃえばいいじゃん』って、30数年前にアントニオ猪木に言われたことと全く同じ。それで吹っ切れましたね。今風のプロレスをやんなきゃいけないとか、融合しなきゃいけないみたいな気持ちあったんだけど、やっちまっていいんだっていう」。

 髙山の話を素直に聞いた理由としては「髙山の方がはるかに上だったからじゃないですか。こいつがなぜ高い位置にいるのかっていうのを知りたかった」。

 みのるは2002年11月の獣神サンダー・ライガー戦を経て、2003年よりパンクラス戦線からプロレスへと復帰する。3年後の2006年に東スポプロレス大賞MVPを受賞。これを「才能ですね」と笑ったみのるだが、実は2003年に「タイムリミットは3年。プロレス大賞MVPを3年以内に獲れなかったら向いてないので辞める」と決意して闘っていたのだという。このあたりのくだりは『髙山善廣評伝ノーフィアー』にも記された。

 船木誠勝vs.ヒクソン・グレイシー(2000年5月26日、東京ドーム)で船木が敗れたことで、船木の復讐を自分が果たしたいとの思いに駆られたことがある。しかしまわりにはとりあってもらえず、「プロレスで有名になったら実現するのでは」とも考えた。改めてMVP獲得後には折衝こそ進んだが、ヒクソンのギャラが船木戦時の7倍になっており断念。

 みのる「難しいってなったときに船木さん本人から『もう俺の敵討ちとかそういうので生きるのやめな』って言われて。『自分の人生を生きなよ、自分の力でこれ獲ったんだから』って言ってくれて。なんかすっきりして、プロレスにどっぷり浸かろうと思って」。振り切ったみのるは女子プロレスともつながりを持つなど幅を広げていった。

「相手に背中を見せるやつがいるかよ」と言ったアントニオ猪木を逆に殴った都市伝説についても言及

 新生UWFではみのるの試合が会場熱を持っていく大会が何度もあり、週刊プロレスでの掲載順が予定から変更されることもあったと健さん。そのおかげで、みのるの試合を担当した健さんが巻頭記事担当デビューを果たす。プロレス記者として腕を磨くとき、みのるの存在があった。それでも、当時は今以上に話しかけられない恐怖感があったと明かす。

 みのるはプロレス界を闊歩しているうち、アブドーラ・ザ・ブッチャーともプロレス論を交わす。ブッチャーには「猪木vs.ブッチャー、ハルク・ホーガンvs.ブッチャーだから面白い。なんでみんなベンチプレスをするんだ。ホーガンvs.ホーガンなんで面白くないだろ」との見解があり、目から鱗だったのだという。

 みのる「なかなかいないですよ。プロレス人生でアブドーラ・ザ・ブッチャーっていう最悪のヒールレスラーと、カール・ゴッチから影響受けたレスラーって。ベルトをふり回すみたいな、そういうことするチャンピオン。悪ぶってみんなやるんで…良くないですよ(観客笑い)。だって誰かがやった真似をすれば悪く見えるからやってるだけじゃないですか」。

 健さん「まぁ…雛形つくっちゃいました」。

 みのる「はい。僕が出てくるまでは、悪い人、ヒールレースラーは全部『蝶野正洋』というテンプレートだったわけですよ。喋り方、服装、会見はサングラスみたいな。普段からそんな格好してんのかよって(笑)。私生活で人のこと殴ったことあんのかよって*%I’$)&’%(発言がエスカレートして司会から止められると)あれ俺、酔っぱらっている?(と手持ちのペットボトルにアルコールが入ってないかチェックするそぶり)」。

 「アントニオ猪木と藤原喜明、合宿所にいた船木(誠勝)さんと山田(恵一)さんと2人先輩がいたんですけど、その人たちのことはすげえなとは思うんですけど、20~30人いた中で4人だけですね」としたみのるに、司会から質問が出る。「ちょっと都市伝説っぽいんですが、猪木さんと鈴木さんが道場で練習していたときに、猪木さんが『相手に背中を見せるやつがいるかよ』みたいな」。

 みのる「あ~、漫画になっている。夜に練習をやってたんですよ。スパーリングやってて僕が腕かどこかを極められて、猪木さんが立ち上がって。そのとき僕がロープか何かをもって立ち上がる瞬間、後ろからバコーンと殴られて『闘っている最中にお前は敵に背中を見せるのか』と言われて怒られて。それでスパーリングがつづいている間、やられながらも『後ろ向かないかな~』と(観客笑い)それだけを待って、後ろ向いた瞬間に全力で後頭部を殴りましたよ(観客笑い)。その瞬間の猪木さんの顔は忘れないですね。目がもうこんな(タテ)になってて、そこから馬乗りでマウントパンチをやられ顔がこんなに(膨れ上がって)なって。でも『すみません』って言わなかった。猪木さんに習ったことだから。さらにやり返されて負けたのも俺。そこで『すみません』だとたまたまみたいな言い逃れになる。狙ってましたからね」。

 司会と健さんから「どんな人なんだ」と突っ込まれるが、みのる「素直でいい子じゃねぇか!!」。

 最後に“ひとこと”を求められたみのる。「俺がどう思うじゃなくて、読んだ人それぞれに感じてもらえれば。今現在あいつがどういう状況にあるのかとか、そういうのをできるだけ発信を続けていこうと思ってる。嫌じゃなければ受け取ってもらえたら。それが本という形でもあり、俺は試合という形だけども、これ『何でそこまですんの』ってよく言われるんです。何ですかね? 『友達だから』それ以外にないんで、ハイ」。

 健さんはTAKAYAMANIA活動がコロナ禍でトーンダウンした時期にも触れ、みのるにも言われたこととして「人は忘れるものだから、途切れさせることなく発信が求められる」とした。追加として健さんより「京都大学にiPS財団というところがありまして、ここに寄付していただくことによって、iPS細胞を研究してるということの周知につながり、研究が進めばそれが実現化する可能性が高まる。直接髙山さんにどうこうという話ではないんですけれども、広い視野でご協力いただけるといい方向につながる可能性がゼロではない。検索すればすぐ出てくる、僕も微力ながら寄附を続けているんです」と紹介があった。
公益財団法人 京都大学iPS細胞研究財団

 みのるが言葉を重ねる。「ここにいる人たち、漏れなくプロレスファンだと思う。募金とかで協力って言ったって、プロレスファンだからできることって限られるじゃないですか。みなさんができるのはプロレスを見て楽しんでもらうのが一番なんで。『鈴木みのるvs.髙山善廣』のつづきは見たいはずなんですよ。それを楽しみに待っててほしいなと思います。健さんが言った募金だとか医療的なものとかも、それを実現するために必要なものだっていう認識をしてもらえれば、プロレスファンとしてはやりやすいのかなと思います。俺がやっているのはあいつを生かすための募金なんで。だからお願いします」。

 そんなみのるは、会場から引き揚げると思いきや歩を止める。「あっこれ言わなきゃ。今年もやりますTAKAYAMANIA!!」。最後まで芳林堂書店高田馬場店でのイベントは拍手に包まれていた。

(書籍情報)鈴木健.txtさん渾身の一冊。本書の売り上げの一部は「TAKAYAMANIA」に寄付

髙山善廣評伝 ノーフィアー 単行本(ソフトカバー) – 2025/3/15 鈴木健.txt (著)

帝王の偉大なる足跡を家族・関係者の証言から迫る、
鈴木健さん渾身の一冊が
ワニブックスより3月15日に発売されます。
(現在、Amazonにて好評予約受け付け中です )

帝王のデビュー前から、現在に至るまで、高山善廣の全てが詰まった一冊です。
皆様のご購入をお持ちしております!

『髙山善廣評伝 ノーフィアー』
著者名:鈴木健.txt

(発売日) 2025年3月15日(土)
(定価) 2750円(税込み)
(予定ページ数) 432ページ
(予約) 現在、Amazonにて好評予約受け付け中です
(内容)
UWFインターナショナル、
キングダム、
全日本プロレス、
プロレスリング・ノア、
PRIDE、
新日本プロレス、
DDT、
TAKAYAMANIA EMPIRE……。

〝プロレス界の帝王〟 の偉大なる足跡にレスラー、家族、関係者の証言から迫る!
「てめえが還ってくるまで俺はプロレスのリングで
おまえのことをずっと待っているからな!」(鈴木みのる)

≪取材協力≫
石原真/今田健一朗/大森隆男/金澤克彦/金子健/金原弘光/川田利明/小橋建太/佐久間一彦/佐々木健介/鈴木みのる/高木三四郎/髙山奈津子/男色ディーノ/296/宮戸優光/和田良覚 ※五十音順

第一章 帝王紀元前
第二章 UWFインターナショナル
第三章 全日本プロレス
第四章 プロレスリング・ノアからPRIDEに進出
第五章 プロレス界の帝王として
第六章 TAKAYAMANIA
エンドロール それぞれのノーフィアー

※本書の売り上げの一部は「TAKAYAMANIA」に寄付します

髙山善廣(たかやま・よしひろ)/1966年9月19日、東京都墨田区生まれ。湘南で学生時代を過ごす。20歳で第1次UWFの入門テストに合格するも、肩のケガで続かず。ライフセーバーとして働くが、夢を諦めきれずUWFインターナショナル(Uインター)に再入門し、1992年6月28日に金原弘光戦でデビュー。先輩や強豪外国人へ果敢に挑み、1995年10月9日に始まった新日本プロレスとの対抗戦で台頭する。Uインター解散後はキングダムを経て、全日本プロレスに参戦。総帥・ジャイアント馬場から高い評価を得て、のちに正式に所属となる。プロレスリング・ノアの旗揚げに参戦後は、フリーランスとして総合格闘技のリングへ。2002年6月23日のPRIDE.21におけるドン・フライとの壮絶な死闘は今なお伝説として語り継がれる。その後も恵まれた体格とアグレッシブな闘いぶりで人気を博し、GHCヘビー級王座、IWGPヘビー級王座、三冠ヘビー級王座、さらにはGHCタッグ、IWGPタッグ、世界タッグとタッグタイトルまですべて獲得し、日本国内3大メジャー団体を完全制覇。“プロレス界の帝王”の異名にふさわしい活躍を見せるが、DDTプロレスリングに参戦中の試合で頸髄完全損傷を負い、長期欠場へ。2024年9月3日の「TAKAYAMANIA EMPIREⅢ」でリングイン。鈴木みのるとの特別試合が組まれた。現在も完全復帰へ向けてリハビリに日々励んでいる。

3月22日(土)13:00喜久屋書店仙台店『高山善廣評伝ノーフィアー』発売記念トークショー(書籍付)小橋建太、鈴木健.txt

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