中野たむ「悲しいことがあった。見てろ」 ジャンル押し上げてこそ革命
自身のユニット『COSMIC ANGELS』に新メンバー・なつぽいを迎えたのは7月のこと。「革命」を掲げ、リーダーとして邁進する中野たむ。16日、「悲しいことがあった。見てろ」とツイートした。いったい何が!?
「プロレスなんかやらなくてもよさそうなのにー!」の声に対してツイート
悲しいことがあった。
初めて会う方に、最近のプロレスラーは皆可愛いねと褒めて頂いた。
そのあと続いた言葉が
「プロレスなんかやらなくてもよさそうなのにー!」
衝撃だった。
プロレスラーは可愛くないからプロレスしてるんじゃない。
他の職業がダメだからプロレスしてるんじゃない。
プロレスが好きで、やりたくて、プロレスラーしてるんだ。
プロレスラーがいちばんかっこよくて可愛くて、強くて美しいんだ。
まだまだ偏見がある事が悲しかった。
私たちが全部ひっくり返してやる。見てろ。
プロレスが好きで、やりたくて、プロレスラーしてるんだ。
プロレスラーがいちばんかっこよくて可愛くて、強くて美しいんだ。まだまだ偏見がある事が悲しかった。
私たちが全部ひっくり返してやる。見てろ。
— 中野たむ Tam Nakano (@tmtmtmx) September 16, 2022
プロレスは特殊ジャンルゆえに、ジャンルを背負う闘いが常につきまとう
改めて発信してくれた中野とは改めて“共闘”したくなる。この闘いは関係者・ファンであっても同じであり、常に「プロレスなんか」という見方と闘っている。
かつてアントニオ猪木が、自らの信条としての風車の理論を掲げたことがある。「相手の力を8とか9引き出した後、10の力で勝つ」というものだ。オカダ・カズチカも2018年にNHKで「受けの美学」という言葉を出している。これがプロレスの世界観であるが、競技との乖離がなかなか理解されない。「相手の技を受ける」「ロープに振られたら返ってくる」「5カウントを数えない反則が許される」といった点だ。暴力やイジメとオーバーラップして受け取る層からは野蛮・下品ともされてきた。
立花隆「私はプロレスというのは、品性と知性と感性が同時に低レベルにある人だけが熱中できる低劣なゲームだと思っている。もちろんプロレスの世界にもそれなりの人生模様がさまざまあるだろう。しかし、だからといってどうだというのか。世の大多数の人にとって、そんなことはどうでもいいことである」
(1991年、井田真木子「プロレス少女伝説」が第22回「大宅壮一ノンフィクション賞」を受賞した際のコメント)
プロレスの世界観を万人に理解してほしいとは思わないが、当サイトでよくプロ野球・長嶋茂雄さんの例を持ち出すように、ここには「プロならば競技をハミだすべきだ」という考えがある。
長嶋の守備は、華麗でメジャー級のものであった。その理由として、普通の三塁手よりも1.5メートルほど後ろに守って、広い守備範囲を持っていたためである。
しかも、帽子を飛ばしてのスローイングなどは、簡単なゴロでも難しく見せていたといわれている。
しばしば普通のショートゴロになるものまで捕りに行ってファインプレーに見せかけたりもしている。
しかし、フライは、見せ場がないからという理由で嫌いだったらしく、普通のサードフライでも無理やりショートに捕らせていたと言われている。(伝説のプレーヤー 長嶋茂雄 http://dogyamanet.web.fc2.com/player/sportsnagasima.htm )
長嶋の空振りは、脱げたヘルメットが三塁ベンチの方へ飛んでいったといわれる程で、豪快な空振りでファンを沸かせた。ファンを魅了することを前提に、普段から空振りしたときにヘルメットを飛ばす練習をしていたという。また、空振りしたときにヘルメットが回って飛びやすいように、アメリカから楕円形のヘルメットを取り寄せ、愛用していた。
(長嶋茂雄 – Wikipedia)
こうした“魅せたい”気持ちを試合に極端に共存させつつ、生き様を試合に投影してこそ試合と信じ、人の心を動かすことに人生を捧げたい選手の集まり。それがプロレスなんである。
武藤敬司「『プロレスしやがって』みたいな言葉を聞くとカチンとくる」
ノアの武藤敬司も12日の記事で「『プロレスしやがって』みたいな言葉を聞くとカチンとくる」と、ジャンルを背負う発言をしていた。
「政治の世界でも『プロレスしやがって』みたいな言葉を聞くと、オレだってカチンとくる。前に出て戦っていたのが猪木さん。そのカチンとくるところが、オレたちレスラーのモチベーションでもある。そのためにはもっとデカい世界にしなきゃいけない」#武藤敬司 #noah_ghchttps://t.co/0jFxlhSMqc
— KAKUTOLOG📶プロレス/ボクシング/MMA/格闘技カクトウログ (@kakutolog) September 12, 2022
それでも武藤が一時代を築いたのは、闘いに痛快さがあったからだ。プロレスはディベートではないから、ジャンルとしての難しさを上回る感動があったとき、それがブームになっていく。
武藤の「そのためにはもっとデカい世界にしなきゃいけない」という言葉が核心を突いている。歴代のプロレスラーが何度も何度もチャレンジしているこの過程そのものがプロレスであり、ボクらは心を奪われるのだ。
そして今、スターダムが“いいところ”を走っている。
【👏国内プロレス観客数👏】
コロナ前比56%まで回復 伸び率1位スターダム207% 男子1位ノア81%#プロレス #njpw #stardom #noah_ghc @PWAnalysis
2019年と2022年の比較から(1/1~8/18)。“盟主”新日本も50%まで回復。G1シリーズ動員は対昨年では1.7倍 pic.twitter.com/fA5q1Ptzna
— KAKUTOLOG📶プロレス/ボクシング/MMA/格闘技カクトウログ (@kakutolog) August 26, 2022
コロナ前比の観客数は新日本プロレス50%に対し、スターダム207%。着実に成長している。だけどまだ足りず、ジャンルを押し上げてこそ革命というのが中野の思いなのだ。