太陽ケア「自分のためにも馬場さんのためにも闘った」 万感の現役引退
1月31日、後楽園ホールにて『ジャイアント馬場没25年追善~太陽ケア引退試合~木原文人リングアナデビュー35周年記念大会』が開催された。
里村明衣子と高梨奈七永が15分死闘 川田利明「馬場さんに見せたかった」
<第5試合/べろ~家 PRESENTS 和田京平大会実行委員長指定特別試合 シングルマッチ>
△里村明衣子(センダイガールズプロレスリング)
15分0秒 時間切れ引き分け
△高橋奈七永(マリーゴールド)
マリーゴールドの石川奈青、瀬戸レア、山岡聖怜が奈七永のセコンドにつく。
里村と奈七永が対峙した。
奈七永の足攻めに必死でロープを求めていく里村。
奈七永の冷蔵庫爆弾が発射されるが、里村は剣山でブロック。ギリギリの攻防。
里村のハイキックが奈七永の首筋に決まる。
踏ん張ってからの里村のバク転キック。
代名詞的な技のひとつ、サトムラ・スペシャル(側転式ニー・ドロップ)もズバリ。
打撃には打撃で。奈七永もエルボーで応戦していく。
時間が経過する中で、お互いが相手を仕留めようとする。フルタイムまぎわのデスバレーボムも里村はこの形相でフォールへ。
両者の手を挙げる和田京平レフェリー。この試合は大会実行委員長(和田レフェリー)指定特別試合として行われた。
(バックステージ)
奈七永「ありがとうございました。今日はジャイアント馬場さんの命日ということで、あのー、試合前に選手一同で黙祷をさせていただくという時間があって、非常にその時点で身が引き締まる思いで。こんな大切な日に、この超満員の観客の皆様の前で、大事な大事な対戦相手、里村明衣子選手と試合ができたことを非常に感謝します。でも、15分ドローという結果に終わってしまって、結果もそうだし内容もまだまだ自分的には…って思うから、最後にしたくない!! 最後にしたくない!! 最後かもしれないし、最後じゃないかもしんないから、わかんないから。明日はわかんないから。今日をいっぱい、精いっぱい生きた人には明日が来ると信じて、私は毎日これからもパッションしていきます!! 5月24日まで、パッション見逃すなよ~!! ありがとうございました」
里村「ありがとうございました。高橋奈七永という存在は、すごく、貴重だったんだなと思います。最後にこうやってジャイアント馬場さんの時代から見てくださったプロレスファンの方、そして全日本プロレス時代の、ホントに大先輩、大ベテランの選手たちの中でこうやって試合を見ていただいて、これが本当に私の中では、なんかやりきった感がありますね。『これが里村明衣子のプロレスなんだ』と、相手もそう思ってほしいですし、今日は高橋奈七永と思い切った試合ができました。ホントにこの場を借りて、こういう機会をつくってくださった和田京平さんと、そして木原さんに感謝します。ありがとうございました」
奈七永選手は里村選手にとってどういう存在
里村「苦しい時代をともにしてきた。全然環境は違いますよね、団体は違うけど。やっぱりそれぞれ苦しかったですよ。正直、全日本女子プロレスとGAEA JAPANがなくなったときに、ずっと続けてきた2人。継承するものもあるし、いらないものは省く。そういうことが、ずっとやってきた、やり続けてきた人間なんで。やっぱわかりますよ、いい時代もあったし、悪い時代もあったなと思いますけど、それが自分たちの強さになってるんで。まったく悔いはないです、この時代を過ごしてきたことに。むしろ、これからいい時代つくれるなって自信もありますね」
奈七永さんは「これで最後にしたくない」と
里村「自分自身『また次があるな』と思って試合はしてますけど、残り3か月なんで。そこはあと3か月でできることは精いっぱいやっていきたいです」
(奈七永がコメントブースに現れる)
奈七永「里村さん、ありがとうございました。本当にシングルできてよかったし、やらないで終わるなんて考えられなかったし。もしよかったら…次は隣に立ってみたいなーなんて思っちゃいました。すいません」
里村「期限がある限り、できる限りやりましょうよ」
奈七永「関わりたいですね、やっぱり。関わりたいです。里村さーん、大好きぃーッ!!」
里村「大好き?(吹き出す)ありがとう(笑)」
奈七永「パッショ~ン!! パッション、パッション、パッション!! パッションがあれば何でもできるッ…(キョトンとした里村の顔に)温度差温度差」
里村「でもさ、今のさ、新時代の甘ったれてるやつらにさ、なんか物申すことあるよね?」
奈七永「そうですね」
里村「それをさ、リング上で出していこうよ」
奈七永「そうですね。出していきましょう。里村明衣子に言われたら!! やるしかないです」
里村「やりましょう。相手、厳選しといてください」
奈七永「わかりました。オッシャ!!」
この試合を、CSサムライTVで解説した川田利明の言葉が話題となった。
「今日2試合目から見てるけど、いちばんプロレスらしいプロレス。オーソドックスな」
「女性のプロレスがこれまで観てきた中でいちばんゴツゴツしていて」
「馬場さんがいたら女性はたぶんリングに上がれなかったと思うんですけど、馬場さんにこう…見せたかった試合ですよね」
どういった試合だったかを端的に表しているのではなかろうか。気迫が技に乗っかって繰り広げられる死闘だった。
視聴可能な方はぜひ映像を見ていただきたいが、引退を前にして、2人の試合クオリティに感服する。技前後の表情がまた、攻防を追う側を熱くさせずにはいられないのだ。写真に含められなかったが、フォールをブリッジで返していく里村といった基本シーンにも魂が宿る。
里村は「全女とGAEAがなくなってずっと続けてきた2人。それが自分たちの強さ」とした。あまりに重い言葉だが、女子プロレスを継承しつつ現代女子プロレスの中でも歩み続ける2人がこの大会で放ったインパクトは絶大だった。あらゆる時代のファンを貫通する魅力。それがあった試合だ。
4月引退の里村。5月引退の奈七永。タッグ結成の機運も出てきたが、両者の引退ロードはいっそう見逃せなくなった。
ケアと共闘した鈴木みのる「(GURENTAIは)プロレスの幅がブワ~ッと広がった時間だった」
<第9試合/OGAWA COMPANY PRESENTS ジャイアント馬場没25年追善 和田京平レフェリーデビュー50周年記念 ~太陽ケア引退試合~6人タッグマッチ>
●太陽ケア 鈴木みのる(パンクラスMISSION) MAZADA with NOSAWA論外
19分57秒 リストクラッチ式エクスプロイダー→体固め
○秋山準(DDTプロレスリング) 丸藤正道(ノア) 小島聡(新日本)
すがすがしい表情で太陽ケアが入場。NOSAWA論外が帯同する。
みのる、MAZADAがロープを開け、ケアがリングイン。
ケアの選手コール受けはやはりこのアクション。
小橋が本部席、みのるが試合…となると、この恒例行事。
ケアも犠牲になる。その口からはツバも飛んだ。
コンディションを維持し続ける丸藤とみのるの攻防。
いけるか、ケア!!
躍動するが、連係攻撃に阻まれる。
TKOを決めるが3カウントは奪えない。
秋山のリストクラッチ式エクスプロイダーに沈む。
渕正信、川田利明から花束が贈られた。
TARUも来場。記念撮影はやんわりと拒否。
武藤敬司とともにポーズ。
(マイク)
ケア「まずは、ジャイアント馬場さんに感謝の言葉を贈りたいです。僕を拾ってくれたことは、彼にとってはチャンスだったんですよね、でもありギャンブルでもありました。ただ、馬場さんがいなければ私はここにいません。馬場さんは僕のことを信じてくれました。僕自身が育つまで僕を信じてくれて。自分のためにも闘っていましたけれど、馬場さんのためにも闘ってました。それがあってこそ自分の夢をかなえることができました。ニホンノファン、ドウモアリガトウゴザイマシタ!! あなたたちがいなければ、全日本プロレスというものもないし、新日本プロレスというものもないし、すべてはあなたたちのおかげです。サンキュー(大歓声)」
テンカウントゴングが鳴らされる。
ケアが大会出場選手に囲まれた。
(バックステージ)
みのる「小橋の野郎、チョップしやがって、オラァ。ひどいな」
MAZADA「ケアさんにもやってましたねえ、小橋さんチョップ」
ケア「マダデキル、マダツヨイヨ、イタイ。信じられません、もう30年もやっているんですよね。スゴイハヤイ。あっという間でした。その間のいろいろな人に感謝の言葉を贈りたいです。私より前に活躍していたレスラーにも感謝したいです。いちばんありがたいことは、自分のやりかたで引退を決めることができました。30年前に始めたとき、『引退のときはどういう引退をすればいいんだろう』と(考えた)まさにこういう形の引退になります。ここにいる兄弟たちにも感謝の言葉を贈りたいです」
鈴木さん、GURENTAIの時間はどういうものだったのか
みのる「一緒にやった? 一緒にやったのはGURENTAIでたった2年間。だけど2年の間、2人でずっと世界タッグを持ってたよ。2年持ってた。それでケアを通して、俺が会ったこともない、見たこともない、どんな話し方をするかも知らないジャイアント馬場さんを感じることができた人間。そして全日本プロレスというのをこの30年間、一度も抜けずに残ってきた。全日本プロレスを感じることのできる選手だった。あと、日本とハワイ、日本語と英語、全然違うんだけど。なんか気が合うんだよね、一緒に試合をやって。タッチのタイミングとか角度とか細かいことがピシッピシッとハマってく、最高のパートナーでした」
改めてケア選手の引退の決断はどう受け止めている
みのる「たかだか30年ぽっちのキャリアで疲れたとか言ってんじゃないよぉ!! 30年ダメだよ。俺はもう“辞めどき”を忘れたんで。でもこうやって送り出してもらえるっていうのは、アメリカ人なのに、ハワイアンなのに、日本以外のリングでほとんどプロレスやってない。日本だけでプロレスをやってきた。これはやっぱ、すごいよね。日本人以上に日本のプロレス、全日本プロレスというのを知っているんじゃないのかなと。面白いもんだよね。俺が全日本に参戦したのは約20年ぐらい前? あのときにMAZADAとNOSAWAと『面白いね~一緒にやろうよ』って3人でガチャガチャガチャガチャ始めているときに、ちょうどケアがスランプになって『なにやってんだよ、コイツスゲー強いのに』と思って。俺が居ても立ってもいられなくなって、声かけて『一緒にプロレスやろうよ。もっと面白いよプロレスは』って声をかけて、GURENTAIが始まって。たった2年っていう期間だったけど、あの2年は俺にとってはものすごい大きかったね。プロレスの幅がものすごいブワ~ッと広がった時間だった。真っ先に、今回辞めるときも真っ先に声をかけてくれて『一緒にやろう』と。それもありがたかったね」
太陽ケアはファンの心を動かし続けたが、それ以上に他レスラーから見て存在感があったのかもしれない。この日に駆け付けた武藤敬司もケアと共闘したし、みのるもまた「(GURENTAIは)プロレスの幅がブワ~ッと広がった時間だった」と影響の大きさを噛みしめた。
そんなケアが「いちばんありがたいことは、自分のやりかたで引退を決めることができました」と振り返った引退大会。素晴らしい空間の中、ケアは「自分のためにも闘っていましたけれど、馬場さんのためにも闘ってました」とした。プロレス界の中でのレスラー間をコネクトしながら業界を押し上げたのではないか。
大会全体を見渡しても、結集したOB・関係者の陣容が素晴らしい。馬場さん命日興行にはメモリアルとしての意味合いがずっしりと感じられた。
(大会結果)ジャイアント馬場没25年追善~太陽ケア引退試合~木原文人リングアナデビュー35周年記念大会 1月31日(金)後楽園ホール
■ジャイアント馬場没25年追善~太陽ケア引退試合~木原文人リングアナデビュー35周年記念大会
日時:1月31日(金)18:30
会場:東京・後楽園ホール 観衆1717人(超満員札止め/主催者発表)
ゲートは赤コーナーにジャイアント馬場、青コーナーにジャンボ鶴田。帰り際に記念撮影するファンも多数だった。
<ジャイアント馬場追善セレモニー>
天龍源一郎、川田利明、田上明、小橋建太、ザ・グレート・カブキ、グレート小鹿、百田光雄、タイガー戸口、和田京平、福田明彦、西永秀一、秋山準、丸藤正道、井上雅央、太陽ケア、嵐、北原光騎、浅子覚、大森隆男、本田多聞、越中詩郎、渕正信、大仁田厚、松永二三男、倉持隆夫、梅垣進、大隅良雄、緒方理咲子、緒方公俊
※日テレスポーツテーマ、天龍は自身のテーマで入場
超満員札止め。
<第1試合/EZIGEN PRESENTS Z-Brats VS トーキョーヤンキースタッグマッチ>
箕浦康太(DRAGON GATE) ○KAI(DRAGON GATE)
8分35秒 雁之助クラッチ
黒潮TOKYOジャパン ●立花誠吾
<第2試合/茂商事 PRESENTS シングルマッチ>
○野村直矢(REAL BLOOD)
2分50秒 スピアー→片エビ固め
●羆嵐
<第3試合/市原グループ PRESENTS タッグマッチ>
○土井成樹 佐藤光留(パンクラスMISSION)
6分55秒 バカタレスライディングキック→片エビ固め
近藤修司 ●“brother”YASSHI(ダブプロレス、KOBEメリケンプロレス)
<第4試合/大隅興業 PRESENTS 頑張れ!西村修!! 6人タッグマッチ>
○藤波辰爾(ドラディション) 越中詩郎 新崎人生(みちのくプロレス)
5分30秒 ドラゴン・スリーパー
長井満也(ドラディション) ●井上雅央 土方隆司 with 藤原喜明
<第5試合/べろ~家 PRESENTS 和田京平大会実行委員長指定特別試合 シングルマッチ>
△里村明衣子(センダイガールズプロレスリング)
15分0秒 時間切れ引き分け
△高橋奈七永(マリーゴールド)
<第6試合/ザ・リーヴ PRESENTS LIMIT BREAK 8人タッグマッチ>
○モハメド ヨネ(ノア) 小峠篤司(ノア) 大原はじめ(ノア) 小田嶋大樹(ノア)
10分49秒 キン肉バスター→片エビ固め
飯野雄貴(DDT) 納谷幸男(DDT) 高鹿佑也(DDT) ●松永智充(DDT)
<第7試合/イープラス PRESENTS 木原文人リングアナデビュー35周年記念試合タッグマッチ>
○永田裕志(新日本) 野村卓矢(格闘探偵団)
9分2秒 バックドロップ・ホールド
●岩本煌史 阿部史典(格闘探偵団)
<第8試合/ハウスデコ PRESENTS 大仁田厚デビュー50周年記念 スペシャルストリートファイト・トルネードバンクハウス8人タッグデスマッチ>
○大仁田厚 河上”ファイヤー”隆一 雷神矢口 宮本裕向(暗黒プロレス組織666)
8分43秒 河津落とし→片エビ固め
葛西純(プロレスリングFREEDOMS) 石川修司 竹田誠志 ●ブラックめんそーれ
<第9試合/OGAWA COMPANY PRESENTS ジャイアント馬場没25年追善 和田京平レフェリーデビュー50周年記念 ~太陽ケア引退試合~6人タッグマッチ>
●太陽ケア 鈴木みのる(パンクラスMISSION) MAZADA with NOSAWA論外
19分57秒 リストクラッチ式エクスプロイダー→体固め
○秋山準(DDTプロレスリング) 丸藤正道(ノア) 小島聡(新日本)