RIZIN.23 バンタム級王座決定戦 朝倉 海vs.扇久保博正「試合を止めるのが早い」この理由を徹底検証
RIZIN.23 第3代バンタム級(61kg)王座決定戦
結果は1R 4分31秒TKOで○朝倉 海(トライフォース赤坂)×扇久保博正(パラエストラ松戸)となり、朝倉海がRIZINバンタム級王者になりました。
下馬評では朝倉海が有利と言われていた試合。
結果も下馬評通りと言えばそれまでですが・・・
この試合「試合止めるの早すぎる!」
最初に書いておきますが、私は打撃の素人ではありません。
日頃からプロ選手(練習生も)の顔や肋骨が折れるシーンを見るのは日常ですし、時にはスパーリング中のダメージから意識がとんで救急車に運ばれるなんてこともあります。
だから、選手が効いているか効いてないかくらいの判断できるつもりです。
今回は 「試合を止めるのが早い」この理由を徹底検証 していきます。
では、まず試合を振り返ってみましょう!
試合開始
●1R 4:18
朝倉海の右アッパーが扇久保にヒット
●1R 4:22
ぐらついた扇久保に膝蹴り、これで扇久保がマットに手足をつき四つん這いの形へ。
●1R 4:24(残り36秒)
そこへ上から朝倉海が鉄槌のラッシュ
●1R 4:29(残り29秒)
片膝の扇久保に、朝倉海は顔面にサッカーボール・キック。
これが当たったところでレフリーが試合を止める。
これで試合はTKOで朝倉海選手の勝利となるわけですが、実際にこの打撃でクリーンヒットしているのは最初の右アッパーと次の膝蹴りです。
そこからの鉄槌(1R 4:24)は、ダウンしながらも扇久保がうまく体を動かし、的を絞らせなかったことからほぼ当たっていません。
そして問題のレフリーが試合をとめた4:29の顔面への左キック。
この蹴りは素人目にはクリーンヒットしているように見えるが、実際には芯をとらえていません。扇久保はテイクダウンしながらも、蹴りが来る方向に逆らわず後方にスウエーバックしているので、あの蹴りのダメージを殺しています。だから、見た目は派手にもらったように見えるけど大きなダメージにはなっていない。
本来、パンチよりキックのほうが数段重く破壊力がありますので、片膝状態の相手(顔面)にサッカーボール・キックがまともにはいっていれば骨折、失神してもおかしくないダメージになるはず。
しかし、扇久保はこのキックをもらった直後にすぐ立ち上がる動作をしていますので、このキックの急所がはずれた証拠なのです。
これはボクシングで言うスリッピングアウェーと同じ。
扇久保選手は相手の打撃を殺せるテクニックを持っている希少な選手。誰もがこの練習をしたからと言って身につくテクニックではなく、どちらかと言えばこの扇久保選手に備わっている防御本能の一つだと思います。だから、言い方は悪いけど、毎試合、決定的なKOされることなく泥臭くて粘り強い試合が多くなる気がします。
扇久保博正の試合後インタビュー
残り30秒を切ったところでのサッカーキック2連打を受け、レフェリーが間に入ったが、意識ははっきりしていたという。
「あと何秒くらいでした? まだ立とうと思ったところで止められたので、まだ出来ましたけど・・・」引用元:https://gonkaku.jp/articles/4536
やっぱり。
人がサッカーボール・キックを顔面の急所にもらったら瞬間的に意識がとびます。
だから、選手自身が一番効いているか効いてないかは理解しているわけです。
これまでのRIZIN出場後の写真比較
最後に扇久保選手の試合後インタビュー時の写真でダメージの比較をしてみましょう。
あきらかにRIZIN.23の試合後は綺麗な顔です。
タイトルマッチ後とは思えません。
最後に
終わったものは仕方ないですけど、選手にとって試合は仕事でRIZINは大きい組織の雇用主のような関係。そういう立場、関係からなかなか選手は雇用側にケチはつけられません。
もう一つはスポーツマンシップと言葉があり、負けた宣告を受けた選手がクレームをつけるのはカッコ悪いイメージがある。さらに人気のある選手(朝倉海のような選手)との対戦になれば、クレームをつけた選手へのパッシングは大きくなる。