黄金時代ファンの忘れ物 カシン踏み台に笑い武藤側転エルボーに泣く
7日、ノアが『GREAT VOYAGE 2021 in YOKOHAMA』横浜武道館大会を開催した。現地にて観戦。
大会結果 ノア GREAT VOYAGE 2021 in YOKOHAMA 3月7日(日)神奈川・横浜武道館
■ ノア GREAT VOYAGE 2021 in YOKOHAMA
日時:3月7日(日)16:00
会場:神奈川・横浜武道館 観衆1280人(主催者発表)
<第1試合>
●矢野安崇
藤村加偉
小峠篤司
11分14秒 トレスフルール
YO-HEY
〇大原はじめ
吉岡世起
<第2試合>
井上雅央
〇齋藤彰俊
10分11秒 スイクルデス→片エビ固め
谷口周平
●モハメド ヨネ
<第3試合>
●タダスケ
仁王
覇王
8分8秒 首固め
〇NOSAWA論外
日高郁人
鈴木鼓太郎
<第4試合>
●征矢学
6分42秒 パワーボム→エビ固め
〇藤田和之
<第5試合>
岡田欣也
●宮脇純太
原田大輔
19分30秒 403インパクト→片エビ固め
進祐哉
〇HAYATA
小川良成
<第6試合/GHCナショナル選手権試合>
[挑戦者]
●ケンドー・カシン
11分13秒 PFS→片エビ固め
〇拳王
[第3代選手権者]
※拳王6度目の防衛戦
<第7試合>
●稲村愛輝
潮崎豪
清宮海斗
22分26秒 足4の字固め
田中将斗
丸藤正道
〇武藤敬司
<第8試合/GHCタッグ選手権試合>
[挑戦者]
〇マサ北宮
中嶋勝彦
33分3秒 監獄固め
桜庭和志
●杉浦貴
[第54代選手権者]
※杉浦&桜庭が4度目の防衛に失敗。中嶋&北宮が第55代王者となる
拳王「ノアが老人ホーム化」 骨の髄までしゃぶり尽くすノアの面白さ
第6試合。解説席のアクリル板を「置いてる主催者が悪い」とばかりに凶器として使用するケンドー・カシン。拳王の顔面を潰して精神的なダメージを与える。
レフェリーのブラインドを突いての急所攻撃はお手のもの。
拳王がアンクルホールドに捉えるも、紐を緩めていたカシンの靴が脱げる。そんなバカな!?
PFS2連発で勝利した拳王がカシンを踏みつけつつマイク「次の挑戦者はお前、藤田和之だ」。カシンのセコンドである藤田が心配そうに駆け寄る。
カシンの仇とばかりに拳王に迫る藤田・・・のはずが、藤田さん、カシンを踏んでます。
乱闘開始の拳王と藤田にセコンドが止めに入る・・・というかみんなでカシン踏みつけ。絶対楽しんでるだろ(笑)。
第7試合。スペースローリングエルボーを狙った武藤だが、着地時のバランスが不十分でエルボーまで行けず。武藤「今日失敗したから、(14日の王座戦では)狙わねえだろ。思ったよりできなかったわ。ビックリしたよ、俺も。脳みその中では描けてたんだけど、体が動かねえな。よかった、今日で」。
“プロレス黄金時代”と呼ばれる80年代・90年代からのファンからすれば、武藤の足4の字固めの向こうにも幾つもの物語を頭に浮かべて堪能できる。
プレイヤーとしての武藤敬司としても、エムズアライアンスの大将格としても、所属・武藤がノアのセンターに入ってきた。
一夜明け会見での拳王。「ケンドー・カシン、ある意味ではメチャクチャ怖かったな」。記者とのやりとりでは「今のノアで一番危惧していることがある。ノアが“老人ホーム化”していることだ。俺が今までナショナル選手権、闘ってきたヤツら、ほぼ50代だよな。あんなヤツらにノアの上で闘ってもらって、ノアの未来が見えるのか?」とも。
武藤は「今ちょっと怖いのは博多ですか、中洲ですか。あの街の誘惑、それさえ乗り越えられれば」としつつ「ひとつ引き出し(かつての得意技スペースローリングエルボー)を開けようと思ったら、錆びてて使えなかったり。そういう俺もいる中で、今の清宮はスポンジのごとくなんでも吸収できるワケで。そういう“怒り”というか、これは対清宮への怒りじゃないんだけど、そういうジレンマというのはひじょうに感じておりますよ。そういう怒りもぶつけることができればいいかな」。
もちろん“カシン踏み台”はダブルミーニングであり、まわりからの踏みつけでの大爆笑を呼び込んだカシン、藤田ナショナル王座挑戦への呼び水となったカシンということ。「キャラクター対決含む」新日本と「真っ向勝負を譲らない」ノアという構図があるが、ノアの中でのカシンの悪ふざけは異端。その流れを拳王も大いに楽しんでいるようにも見える。いや、カシンも実力者ぶりはいつでも出せるのだが、むしろ実力者ぶりの方をスパイスとして出すくらいの徹底ぶり。
武藤は2月・日本武道館でのムーンサルトプレス未遂に続いてスペースローリングエルボー未遂。このとき「ええっ!」という大きなドヨメキが起きたのは、“プロレス黄金時代”ファンの多さに他ならないだろう。
カシンや武藤の絡みが、拳王が言うところの「老人ホーム化」となる。でもノア勢には、黄金時代ファンの忘れ物であるカシンや武藤につきあってくれてありがとうなんである。黄金時代ファンであっても「カシンや武藤が勝たなきゃオカシイ」と思っているわけじゃなく、しっかり踏み台にしてもらって、骨の髄までノア勢にしゃぶってもらって、次世代のプロレスをつくってほしいという思いがある。
踏み台に笑い、武藤側転エルボーに泣く。いやはやまたいいものを見たし、メインで中嶋勝彦が桜庭和志をバシバシやっていくのにも痛快さがあった。知名度ある50代レスラーの持ち味を引き出したうえで、打ち破っていくことを標榜するノア。これもまた楽しいのだ。
と言いつつも、ひとつクギを指す。一夜明け会見、コメントの面白さや味わいは、武藤がダントツだったんだよなァ。
ビジネスとしてはいろんな考え方があるだろう。
成功要因の2つ目は?
メイ:コアターゲットをリセットしたことです。とかく企業はコアターゲットに絞って、マーケティングをしがちです。でも現在のコアになっている顧客が将来的にもそうであるかは別問題です。
コアターゲットはどんどん年齢を重ねていくので、気が付くと市場そのものがなくなってしまいかねません。このコアターゲットをリセットする勇気を持つことが、どの分野においても非常に重要だと思います。
5、6年前まで、プロレスの一番のコアなファンというと40代、50代の男性でした。12年以降は、女性と子供に注目しました。当初、来場者に占める女性の割合は1割いたかどうか。今、我々の試合を見に来る人たちの4割が女性。しかも20、30代が多くなっています。1割が12歳以下の子供。5割が男性。非常にいいバランスです。
なぜうまくリセットできたのですか。
メイ:男性と女性、子供では注目するポイントが違います。男性は技や試合そのものに関心があるという人が大半。女性はそれも見るけれども、レスラーのビジュアルやキャラクターを重視します。
一方、子供は、いわば仮面ライダーの実物を見て「わあ、すごい!」と思う。格好良さや強さに引かれているのだと思います。このように応援したくなるポイントが三者三様なのです。
こうしたいずれの層にも訴求するには、レスラーの多様化が重要になります。
今、年間参戦選手は70~80人います。外国人選手と日本人選手が半々。パワーで戦う選手もいれば、テクニカルな関節技が得意な選手もいれば、空中殺法が上手な選手もいれば、ちょっとコミカルというか反則を使って展開する選手など、実に幅広い。さまざまな選手がそろっていて、どのファン層にも応えられるのです。
(2018.11.1 ハロルド・G・メイ社長兼CEOに聞く 低迷脱却、新日本プロレス黄金時代再び!:日経ビジネス電子版)
様々なファン層に対応することに必要な多様なレスラーの存在。どういったレスラーをメイン扱いするかで、団体の指針は違ってくる。黄金時代ファンの人口の多さをどう踏まえるかは各団体の知恵の絞りどころではある。
ノア3・14福岡国際センター大会全対戦カード 拳王vs.藤田和之は3・21後楽園
7日深夜にノア3・14福岡国際センター大会全対戦カード、3・21後楽園一部カードが発表となっている。拳王vs.藤田和之は後楽園にて決定。
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📢3.21後楽園ホール
GHCナショナル選手権 開催決定❗️❗️❗️
\「NOAH THE INFINITY 2021」
📅3月21日(日)11:30~
🏢後楽園ホール👑GHCナショナル選手権
拳王(第3代選手権者)
vs
藤田和之(挑戦者)※選手権者の7度目の防衛戦となります#noah_ghc pic.twitter.com/KQuf25I7vE
— プロレスリング・ノア (@noah_ghc) March 7, 2021
■ ノア GREAT VOYAGE 2021 in FUKUOKA
日時:3月14日(日)15:00
会場:福岡・福岡国際センター<第1試合>
矢野安崇
岡田欣也
稲村愛輝
vs.
YO-HEY
大原はじめ
谷口周平<第2試合>
モハメド ヨネ
vs.
齋藤彰俊<第3試合>
藤村加偉
原田大輔
vs.
進祐哉
HAYATA<第4試合>
宮脇純太
vs.
小川良成<第5試合>
NOSAWA論外
ケンドー・カシン
藤田和之
vs.
仁王
覇王
拳王<第6試合/GHCジュニアヘビー級選手権試合>
[挑戦者] 小峠篤司
vs.
吉岡世起
[第44代選手権者] ※吉岡が初防衛戦<第7試合/スペシャル8人タッグマッチ「金剛vsNOAH ISM>
鈴木鼓太郎
杉浦貴
丸藤正道
潮崎豪
vs.
タダスケ
征矢学
マサ北宮
中嶋勝彦<第8試合/GHCヘビー級選手権試合>
[挑戦者] 清宮海斗
vs.
武藤敬司
[第34代選手権者] ※武藤が初防衛戦
■ ノア NOAH THE INFINITY 2021
日時:3月21日(日)11:30
会場:東京・後楽園ホール▼敗者ユニット吸収マッチ
井上雅央
齋藤彰俊
vs.
谷口周平
モハメド ヨネ▼GHCジュニアヘビー級タッグ選手権試合
[挑戦者] 宮脇純太
原田大輔
vs.
HAYATA
小川良成
[第42代選手権者] ※小川&HAYATAが4度目の防衛戦▼GHCナショナル選手権試合
[挑戦者] 藤田和之
vs.
拳王
[第3代選手権者] ※拳王が7度目の防衛戦