
横綱相撲の里村明衣子引退ロードに土つけた 橋本千紘「夢叶える」宣言
19日、センダイガールズが『THE TOP of JOSHI WRESTLING』国立代々木競技場第二体育館大会を開催した。
フィニッシュはラストライド。1年ぶりオブライト解禁予告の橋本が“オブライトなし”勝利
メインイベント センダイガールズワールド選手権試合 30分1本勝負
[挑戦者]〇橋本千紘
19分6秒 パワーボム(ラストライド)→エビ固め
[第17代王者]●里村明衣子
※里村が初防衛に失敗、橋本が第18代王者となる
試合前に小橋建太が里村を激励。体格で劣る里村だがグラウンドに蹴り・エルボーをミックスして橋本を崩しにかかる。正確な技と切り返しで唸らせる里村。5分経過。橋本はブレーンバスターなどで反撃を試みるが、単発に終わる。
コブラツイスト、俵返しと徐々に橋本に着火。ヒザを痛めた様子の里村だったがブラフだったかのようにコーナーから跳躍して橋本を翻弄、STFを繰り出した。10分経過。橋本が腕パンチなら里村は張り手。
里村がオーバーヘッドキック、DDT、サトムラスペシャル、ハイキックと怒涛の攻めだ。両者ダウンの場面を経て里村がデスバレーボム2連発でカウント2。さらに里村がスコーピオライジング(閃光式踵落とし)を狙うが橋本が突っ張って回避。
橋本が1年ぶり解禁オブライト(ジャーマン)の構えだが里村が嫌がる。橋本が雪崩式バズソイヤー(パワースラム)。
つづけてオブライトを狙うが里村は再び回避して3発目デスバレーボム。スタンドのスリーパーで追い込む里村、鬼の表情。
橋本はバズソイヤーで攻守を逆転させ、ヒロムちゃんボンバー流の右ラリアットから…
パワーボムの体勢から【タイツを上に引っ張ってさらにリフト】するものがラストライドと称されるが、橋本のそれは【タイツを下に引っ張って叩きつける】形式。投げた後も腕が振り切られた。バックステージでの橋本コメント内では「パワーボム」とされた。
ダメージで頭を抱える里村は3カウントを聞くしかなく、19分6秒、橋本が王者に返り咲いた。
橋本「プロレスに出会ってなかったらレスリングはやってなかったし、里村さんに出会わなければ私は仙女にいません。いつも本当に厳しくしてくれてありがとうございます。正直この試合が決まり1か月ぐらい前から本当に夜も寝れないくらい、しんどかったんですけど、でも私にはプロレスがあるし、何より里村明衣子っていう目標があったので、ここまで来れました。今日最後のシングルマッチだったと思います…いや、もう絶対泣かないって決めてたんですけど、本当にありがとうございます」
里村と握手。ダメージ深い里村をコーナーに残し、自らはリング中央へ。
橋本「私の目標の1つだったこのレスリングの聖地、代々木第二体育館で試合をする、仙女の試合をする夢を叶えました。次はセンダイガールズ全員で夢見てもいいですか。ここよりも大きい会場、5000人規模。8月24日、ゼビオアリーナが決まってます。もう1つみんなで夢を叶えたいことがあるんですけどいいですか。5年以内にセンダイガールズ、日本武道館進出しましょう!! 仙女は7人しかいないけど、私は仙女が一番面白いと思ってます。私たちとここにいるみなさん、夢を叶えましょう。もう本当に、東京ドーム(MLBドジャースvs.カブス) じゃなくてここを選んでくれてありがとうございます。みなさん、ご来場ありがとうございました」
“女子プロトップ”を決する駆け引き完遂で“仙女の志”見せた…里村の引退試合相手は判明せず
橋本が「最後のシングルだったと思います」としたように、里村引退試合(4月29日、後楽園ホール)での橋本との再戦は遠のいた印象がした。それでも橋本になるのか、橋本以外の仙女選手か、里村に縁ある選手か、師匠・長与千種なのか…引退試合の相手は判明していない。
2021年1月、WWEとコーチ兼選手契約となった里村は、仙女にはスポット参戦。コロナ禍と里村不在で興行的に苦しむ展開となった仙女を牽引してきた1人が橋本だった。ワールド王座挑戦は6年ぶり、里村とのシングルは2018年以来となる。
そんな橋本は1年ぶりオブライト(ジャーマン)解禁を口にするも、“作戦”を口にしたことで里村から笑われる。試合でもオブライトを巡る攻防があったが、オブライトに意識を集中させておいてからのラストライド決着が橋本の本命だったようだ。駆け引きの完遂が“女子プロトップ”を決するメインを際立たせた。
引退発表以降無敗の里村は、気迫も技の切れも健在。まさに横綱相撲だったが、その里村からオブライトなしでの奪還。橋本もまた強さを印象づけ、『THE TOP of JOSHI WRESTLING』を体現していた。強さと華やかさの両輪が女子プロレスだが、代々木第二体育館というレスリング聖地での橋本の雄姿には“仙女の志”ここにありとの主張を見た思いだ。
さらには“日本武道の殿堂”日本武道館への5年以内進出が目標として掲げられた。プロレスでの集客はけっして簡単なものではなく、今回も「現役引退直前の里村」「里村と橋本の大河ドラマ」があっての集客だったことは否めない。それでもチャレンジしてこそプロレスであり、里村引退後も仙女は高みを目指しつづける。
(大会結果)センダイガールズ THE TOP of JOSHI WRESTLING 3月19日(水)国立代々木競技場第二体育館
■センダイガールズ THE TOP of JOSHI WRESTLING
日時:3月19日(水)18:30
会場:東京・国立代々木競技場第二体育館 観衆3520人(主催者発表)
[リアルタイム速報]
第1試合 シングルマッチ 10分1本勝負
〇Maria
5分3秒 ドロップキック→片エビ固め
●愛海
第2試合 8人タッグマッチ 15分1本勝負
〇優宇&VENY&レナ・クロス&ニナ・サミュエルズ
10分7秒 ベアベアーズ→体固め
●YUNA&ZONES&鈴木ユラ&炎華
第3試合 シングルマッチ 15分1本勝負
●シン・広田さくら
5分54秒 コブラツイスト
〇ジャガー横田
第4試合 6人タッグマッチ 15分1本勝負
〇アジャコング&井上京子&井上貴子
10分28秒 ダイビング・エルボードロップ→片エビ固め
●岡優里佳&水波綾&永島千佳世
第5試合 ハードコアマッチ 20分1本勝負
●世羅りさ
17分12秒 ラダーからのホルモンスプラッシュ→体固め
〇DASH・チサコ
第6試合 センダイガールズワールドジュニア選手権試合 30分1本勝負
[挑戦者]〇さくらあや
10分2秒 ジャーマンスープレックスホールド
[第9代王者]●Chi Chi
※Chi Chiが4度目の防衛に失敗、さくらが第10代王者となる
セミファイナル センダイガールズワールドタッグ選手権試合 30分1本勝負
[挑戦者]〈杯 High Mate〉舞華&●HANAKO
12分41秒 バズソーキック→片エビ固め
[第23代王者組]〇岩田美香&高瀬みゆき〈赫覚醒〉
※岩田&高瀬組が初防衛に成功
メインイベント センダイガールズワールド選手権試合 30分1本勝負
[挑戦者]〇橋本千紘
19分6秒 パワーボム(ラストライド)→エビ固め
[第17代王者]●里村明衣子
※里村が初防衛に失敗、橋本が第18代王者となる