初の選手会興行はUDONプロレス全部乗せ 大会後売店までが観客で賑わう
ポンデとマミーが“格上”であるルヨシと次郎に挑む。いつも準主役どまりのタオルとマリン、オープニングが多いショーゴがメインを務める。多分にスピンオフ的なマッチメイクであり、そのシチュエーションを選手はせいいっぱい闘い抜いた。
千代のライブ、2年ぶり阿部参戦、藤田タイトル戦出場含めて初の選手会興行はUDONプロレス全部乗せ。阿部と藤田のポートレートなどのグッズに長蛇、いつも以上に大会後売店までが賑わった。満足の記念を求めた観客の行動は、間違いなく大会満足度の証だ。大会当日はテレ朝で『プロレス総選挙』が放映されていたが、その“裏”に、自身ならではのプロレスをつくり出そうというレスラーズ、貪欲に面白いプロレスを追い求めようとするファンがそこにいた。
ともすれば「不満がないのが不満」という気もした。
記事を書くにあたり、写真でも見返しながら大会を振り返る。大会で“心が動いたこと”は何だったのか。
第3試合のフィニッシュシーン。
ポンデの健闘を最終的には受け流してカサ・デル・マールでフィニッシュするルヨシ。表情にあるような気持ちの高揚が何か大会に反映されていない気がした。
“妊娠欠場”リーダーとしてワイルドコブラ会のルヨシを睨みつけたはるぅ。来場レスラー随一の目力だ。
敗れたポンデを支えて引き揚げようとしたはるぅ。それを「これからのオールドスクールのため、自身で引き揚げなきゃ」と拒否したポンデ。
最終的には「欠場で今しか支えられないから一緒に引き揚げさせて」とはるぅがマミーとともにポンデを支えて退場。
正直、フォルダを見返していてはるぅの目に驚いた。本人にしては何の意図もなかっただろうが、この目は実にいろんなことを想像させる目だ。いろいろやりたいのに「自身は身ごもったから何もできない」ことから感情が溢れ出た目。自分の状況と、マット上での展開をクロスさせたときに自身にもまわりにも伝わる思い。セコンドながら生身の感情。
対して今大会。いつからUDONプロレスは「うまい」団体になったのか。稚拙で不器用だけれども、生き様ぶつけて闘いもミックスして表現するところが胸を打ってるんじゃなかったのか。それが“プロのプロレス”じゃないのにお客さんを引っ張れているんじゃなかったのか。「うまい」団体ならいっぱいある。
だからなんというか。千代TENGAさん大好きだけど、千代さん頼みじゃない展開、ラストが阿部&藤田とのコラボじゃないエンディングを意地でもやってほしかった。他大会鉄板ネタ、ゲスト頼みじゃないものをどこかで選手会興行に期待してたのだろうと思う(千代さんもUDONプロレスだと知ってますけど、そういう話じゃなく選手たちへの問いかけとして書いてます)。
UDONプロレスのポテンシャルを間違いなく感じさせた大会だったが、何か歯の食いしばりが足りなかったのではないか。いやまったくもってレスラーズに反発してほしいのだが、今回の高松は大満足なのに神興行じゃなかった大会だったと総括したい。