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前田日明

闘魂が語り継がれた一周忌 前田「ここまで受けるんだ」【週刊 前田日明】

前田日明

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 前田日明が足りない世の中に、とことん前田日明を発信してみる。前田日明関連の動きをできる限りカクトウログが追う「週刊 前田日明」連載第215回をエントリーします。

※不定期連載となっています。

 アントニオ猪木が永眠して1年となった1日、ザ・グレート・カブキ、藤原喜明、前田日明、山崎一夫が一堂に会して『あれから1年!イズムは永遠に我らに宿り続ける!!』トークイベントが青山 LA COLLEZIONEにて開催された。トークのごく一部をお届けする。

藤原「猪木さんは社会人としては“失格”だよ。でもな、サラリーマンがサラリーマンを見には来ない」

もうこの4人、それぞれのテーマ曲が鳴るだけでテンションMAXだ。前田が少し痩せたのでは? と話題になったが、確かに少しスッキリしたように見えた。

山崎、前田、藤原はUWFで時間をともにし、3人はカブキの店を訪れて親交がある。

イベントの中盤には5ショット権付色紙購入者と記念撮影。

新日本プロレス時代の話になると、いつもイタズラ談義に花が咲く。前田が悪い顔!!

カブキ「猪木さんは強かったですね。寝技がよかったし、腕も足も極められた。すごく真面目な人で、若い人を怒ったりもしない」

藤原「猪木さんは(プロレス開催を)北朝鮮だ、南極だってね。誰がお金を払うかを気にしてない。社会人としては“失格”だよ。でもな、サラリーマンがサラリーマンを見には来ないってことだよ」

 アンドレ・ザ・ジャイアントが試合前に飲むことがあるという話がある。

山崎「ボクがデビュー前くらいのときに、アンドレが来日していて、お酒を買いに行かされるんですよ。ビールからワインに切り替えたときで、試合前にワイン3本くらい空けるんです。大阪府立体育館でアンドレが先に入場。酔っぱらっちゃっていて『炎のファイター』がかかったときに踊り出したんです。花束嬢の両足首を持って逆さ釣りにして、揺らしてるんですよ(会場笑い)。パンツ丸見えになって・・・控室に帰ってワンワン泣いて。アンドレを酔わせたらダメ」

カブキ「必ずアンドレは試合前に控室で必ず呑んでます(会場笑い)」

山崎「毎日飲んでましたね」

カブキ「試合終わったらまた飲んでます」

前田「ビール瓶でコーラ飲むみたい。それも三口くらい(ゴクッゴクッゴクッ)って…もうない」

藤原「ちょっとフォローしておきますけど、アンドレって巨人症で・・・当時も身長が伸びていた。飲まないとやってられないんだろうな、たぶんな・・・。ボクも巨人症で」

前田「どこかデカくなったんですか」

藤原「チンチンが(コントのようなやり取りに会場笑い)。ボクも飲まないとダメなんですよ」

 エンターテイメント寄りになっている新日本プロレスへの見解が質問として出る。

藤原「おい、めんどくせえ質問(会場笑い)。プロである以上、お客が入ることが正義です。でも、私たちがアントニオ猪木さんに教わったのは、プロレスは闘いであると。本当に喧嘩をするときに空を飛ぶかい? 言いたいことは数々あれど、歴史を見てみると年寄りは『今の若いヤツは』と言い続けてきて、私たちも上の世代に言われてコノヤロウでやってきた。お客が入ることがプロにとっては正義。モヤモヤしているところはありますけど」

前田「自分が入ったころは新日本プロレスにボクシングジムから派遣されたトレーナーと、ジムに所属したチャンピオンが来ていて、スパーリングをやってましたよね。猪木さんも山本さんもよく言ってたのは『外人に舐められるなよ』と。こっちからコントロールしながら引っ張っていく試合やらなきゃダメだよって。そもそも全日本プロレスをつくった馬場さんがまわった巨大テリトリーに対して、猪木さん山本小鉄さんら幹部が回ったテネシー州は大変なところだったんだよね。太平洋戦争の戦死者が一番多くて、対日・反日って感情がある中で、プロレス事故を装ってやられちゃうこともあるような。そんな中でリアルワンにならなきゃいけないという」

藤原「それもプロレスこれもプロレス。それを選ぶのはお客さんの自由。見たいものを見せてお金をいただけると」

カクトウログ「試合やスパーリングで肌を合わせたときに『猪木さんの強さを感じた』お話があれば」

 ほぼ出尽くしたようだったので、最後にカクトウログからも質問をさせていただく。「猪木さんと言うとルーズジョイントで関節が極まりにくいなど伝説がありますが、試合やスパーリングで肌を合わせたときに『猪木さんの強さを感じた』お話があればぜひ聞かせていただきたいんですがいかがでしょうか」

山崎「猪木さんが引退のカウントダウンに入って、藤原さんと組んで猪木さん高田(当時:伸彦)さん組と」

宮澤聡さん(司会)「猪木さんから最後に3カウントを奪ったのは山崎さん」

山崎「そのときもそうですし、前田さんとかと闘っていて印象で一番凄いなと思うのは、モロに喉でも顎でも蹴りを全部受けるんです。そこがプロとして凄いなと。普通よけたりガードしたり逃げたりするじゃないですか。まともに食らってまともに受けるんですよ」

宮澤「藤原さんとの試合後に前田さんが猪木さんにハイキックという有名なシーンもありました」

前田「(今回の記事では伏せるが猪木に事前に言われた言葉を紹介したうえで)顎を狙ったんで完全に倒れるだろうなと思ったら、当たる瞬間に(猪木が)ジャンプしたんですよ。(顎ではなく)首で受けたんですよ。蹴りながらびっくりしちゃって。ここまでして受けるんだと。普通よけますよ」

藤原「いろんなところについていきましたけど、生きるということに関しても『死にたくない』というものがない人なんです。誰もが自分だけは助かりたいと思うだろうに『なるようになるだろ』と」

カブキ「(日本プロレス時代から)スパーリングやると、猪木さんはネチャーとしてるんですよ。腕を取りにいってもクニャクニャしちゃって攻めようがないっていうか、すぐ逃げられて後ろを取られたりするんですよね」

 締めの挨拶に。

山崎「猪木さんが亡くなった実感がなくて、お墓には行かしていただきましたけど、みなさんと同じように、弱ってからの猪木さんじゃなくて元気な時の猪木さんがボクの中にいらっしゃる。ボクの中にもみなさんの中にも」

前田「自分と住んでいる世界が違う、会う前からテレビで見ていたスターなんですよね。たまたまチャンスがあって、一緒の空間・時間を過ごした。いろんなことを感じさせていただくことができたよかったなという思い。自分も実感がないです」

藤原「今朝ですね、目が覚めたのが3時10分かな。猪木さんが亡くなったのが7時40分とか言ってますけど、あれはお医者さんが見て心臓が止まってて…たぶん本当は3時10分くらいに心臓が止まってたんじゃないかな。今朝ネクタイはこれがいいなと手に取って、ハッと気がついたら猪木さんからいただいたネクタイで。今でも生きていてなんかやってるのかなという気がします」

カブキ「本日はお忙しい中ご来場いただきまして誠にありがとうございました」

 イベント途中で「うん? レスラー」とイジられてましたが、芸人グレート-CO-カーンさんが運営お手伝い。猪木Tシャツを購入させていただきました。お見知りおきを。

猪木と強さを追い求めた日々…否定する側は否定された過去も持っている

 試合後にリングインした前田が猪木にハイキックを放ったのは1986年2月6日、両国国技館(猪木vs.藤原)。新日本プロレスワールドにはヒット直前の軌道や猪木の動きは収められていない。「ジャンプ」というのは、中腰から体を浮かせるように伸ばして打点をズラしたということなのだろう。

 いまもなお、前田を、そして猪木を語る際に引き合いに出されるシーン。媒体では下記のように、前田は証言している。

 86年1月には(アントニオ)猪木さんへの挑戦権をかけた「UWF代表者決定リーグ戦」が始まった。俺は最後に藤原さんに負けて、やらせてもらえなかった。「なんだよ」とは思ったけど、そこで藤原さんをたきつけても仕方ないし、藤原さんの名前が上がるならいいんじゃないかとも思ったんだ。

 そして2月の両国大会で、藤原さんは猪木さんと戦って敗れた。その試合後、俺は「リングに上がって猪木さんを蹴ってくれ」って言われてたんだよ。でもどうせ蹴るんだったら、アゴを思いっきり蹴ってやろうと思ってさ。だから思いっきり左ハイを蹴った。そうしたら猪木さん、その瞬間にキックの軌道を察し、ジャンプして首で蹴りを受けたんだよ。あれはすごかったね…。

 猪木さんも、前田のことだからアゴを狙ってくると思ってたのかもしれない。あのハイキック1発で、猪木さんも俺とはやりづらくなったんじゃないかな。でもあれを受けた猪木さんがすごいよ。自分で見てもほれぼれとする、生涯ナンバーワンの左ハイキックですよ。あれを首で受けた猪木さんは天才としか言いようがない。

(【前田日明氏コラム】生涯最高の左ハイキックを瞬時に首で受けた猪木さんは天才 | 東スポWEB)

 以降に猪木と前田のシングルが実現しなかったのは、このシーンが影響しているとも言われている。猪木と前田の因縁、猪木と前田の格闘センス・・・あまりに濃すぎるものが交錯した。

 猪木とともに強さを追いかけた当時の新日本レスラーズ。現代プロレスに違和感はあって当然だが、藤原は半分理解しつつも「年寄りは『今の若いヤツは』と言い続けてきて、私たちも上の世代に言われてコノヤロウでやってきた。お客が入ることがプロにとっては正義」と大人の見解だ。

 亡くなる前年の猪木もまた、同じように発言している。

「(新日本を離れた後は)見ないようにしていました。違う方向だったから。それも小さなことだったな、と」

 プロレスは変化を遂げているが、いつの時代であっても否定されるくらいに思いっきりやれということなのかもしれない。迷わず行けよ、行けばわかるさ。

合わせて読みたい:2022.10.03 訃報一夜明け闘魂伝承 前田・山崎・藤田が猪木を語った【週刊 前田日明】


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