
彩羽匠が「赤」継承の里村明衣子越え 長与千種「弟子に恵まれました」
10日、マーベラスが『Marvelous in 新宿Face』新宿FACE大会を開催した。
宝山愛「こんなもんか」マイクに青野未来ら反発 マーベラスvs.マリーゴールド5対5勝ち抜き戦が決定
<セミファイナル/タッグマッチ>
川畑梨湖&〇宝山愛
16分36秒 ラ・マヒストラル
●ハミングバード&ビクトリア弓月
低空ドロップキック、ボディスラム、ボストンクラブといった基本技、さらにはエルボー合戦でお互いを削りにいく。選手・観客とも熱量高い一戦に。最近のマーベラスのリングで飛び出す全女式押さえ込みを、先に弓月が出して挑発する。その弓月の場外弾を含むリングサイド乱闘を経て、リング帰還後に川畑と弓月がジャーマン合戦だ。
宝山とハミングの組み合わせとなり、宝山が連続ドロップキック、ハミングがロープぶら下がり首十字、エルボー合戦と譲らない。それでも主導権を握った宝山がラ・マヒストラルを繰り出すと、MIRAI・田中きずならが「返せ」と間近で叫ぶ。ダメージ深いハミングは3カウントを喫してしまった。
宝山が「マーベラスの中で一番弱いと言われてきた私に負けたんだ、お前らは。悔しいか。マリーゴールドはこんなもんか」とマイクで追い打ち。するとマリーゴールド勢がリングインし、青野未来「この2人は一生懸命、精一杯やった。こんなもんかって言われる筋合いはない。4月25日、マリーゴールド後楽園で借りを返す。この5人(青野、田中きずな、翔月なつみ、瀬戸レア、後藤智香)でいく。ただの5vs.5じゃなくて勝ち抜き戦で」と呼応する。
川畑は「いいじゃないですか。マーベラスは最高のメンバーしかいないんですよ。この5人(川畑、Maria、宝山、暁千華、彩芽蒼空)でいかせてもらう」と返す。ここで暁がジャージを脱ぐパフォーマンス(下にコスチューム)。
桃野美桜「千華、でもあなた25日、長与さんとの試合(天龍プロジェクト15周年4・25新宿で長与&里村vs.YUNA&暁)が組まれてないですか?」すごすごとジャージをもう一度着る暁。川畑が「美桜さん、いっちゃいますか」と問うが「欠場中なので無理ですね。でも、高みの見物させてもらってたんだけど、マリーゴールド、つまんないよね」。桃野とMIRAIがガンを飛ばし合い、両団体が大乱闘となった。メイン後に、あと1人枠には彩羽が長与から指名されている。
メインイベントは…長与イズムをGAEA JAPANで継いだ里村、マーベラスで継いだ彩羽の一戦
<メインイベント/シングルマッチ>
●里村明衣子
13分18秒 ランニングスリー→片エビ固め
〇彩羽匠
長与イズムをGAEA JAPANで継いだ里村、マーベラスで継いだ彩羽の一戦。里村引退ロードでの昨年10月、彩羽は里村と引き分けており、初の里村越えを狙う。
元GAEA JAPAN中島幸一郎リングアナが選手紹介となる。試合は、両者が得意とするローキックを打ち合う立ち上がり。さらに両者が足攻めで切り崩しをはかる。里村がグランドコブラなら彩羽はサソリ固めへと移行した。
強烈な張り手合戦を経て里村がサトムラ・スペシャルからのデスバレーボム2発。さらに放たれたスコーピオライジングを、彩羽は間一髪かわす。勝機と見た彩羽がライガーボム、ニールキックで畳みかけ、里村をコーナー付近で担ぎ上げる。必殺のランニングスリーで13分18秒、里村越えを果たした。
彩羽がマイクで「やっとここで自分は赤の継承者って言えるんじゃないのかなと思います」とすれば、長与が「やっとだな。おめでとう、継承しました」と支持する。スタンドでもグラウンドでも渡り合う、気迫と技術の純度の高さは観客を魅了した。それでいて、プロレスの闘いは独りよがりではいけないということも長与は言いたかったのだろうか。継承内容に「対戦相手への敬意」と「お客様の存在」があることに触れる。より大きな闘いを目指すがごとく、彩羽はセンダイガールズの5年以内日本武道館進出宣言に触発されながら、「日本武道館、向こうより先にやりましょう、自分たちが」と口にした。橋本千紘と競い合う意志が彩羽にあり、里村は“1つだけ荷が下りた”はずの長与に対して「ずっとライバルでいてください」と追っかけ宣言。“赤の三者”の物語は新しい局面を迎えて続いていきそうだ。
(マイク)
彩羽「12年前、2013年の4月29日。自分は里村選手にデビュー戦を務めていただきました。そして2025年4月29日、自分のデビュー記念日に里村選手は引退します。自分はずっと長与さんを追いかけてきて、先に手がけている選手、里村選手ってことがデビューする前からずっと嫉妬してきました。でも、それは変な嫉妬とかじゃなくて『超えたい』っていう一心だけしかなかったです。いつも自分が『今自分はどの位置にいるんだろう』っていうときに、里村選手の方を見ればいつも自分のいるところを示してくれました。そんな里村選手に12年越しでやっと勝てた。やっとここで自分は赤の継承者って言えるんじゃないのかなと思います(拍手)。引退するのはすごく寂しいし、引退したら自分は本当にどうなるんだろうって思うけど、だけどこっからが本当の勝負だと思ってます。こないだ橋本千紘も里村選手に勝って、ここからやっと今、橋本と対等に立てた気がします。だからセンダイガールズが5年以内に日本武道館目指すって言ってますけど、マーベラスも日本武道館目指します(拍手)。里村選手、本当に(引退ロードで)2度も対戦、ありがとうございました。長与さん、長与さん、リングに上がっていただいてもよろしいでしょうか?」
長与が上がる。
彩羽「このカードを実現していただきありがとうございました(拍手)」
長与「弟子を育てるっていうのは『学ばされる』ことです。私は毎回毎回学ばされてます。そして、その中で1つだけみなさんに伝えておきたいのは、弟子がちゃんと育ってくれたんです。弟子に恵まれました(拍手)。今日3回目? 何回目ですかあなた? 4回目になりますか。全部変わってますね。20年前、私は里村明衣子と試合をし、引退。GAEA JAPANを引退しました。それが今日です。20年後の今日、あなたが里村明衣子に挑みました。プロレスってなんか素敵ですよね(拍手)。リアルにこういうストーリーがあるんです。道に迷うことない、うん。自分が思った通りにやったらいい。ただし忘れてはいけないのが、敬意を持って試合をすること。どんな相手にも敬意を持って試合すること。そしてそこにお客様がいてくれるということを忘れることがない、それが赤の継承です。やっとだな。おめでとう、継承しました(拍手)。マーベラス、頼みますよ。本当に頼みます」
彩羽が泣き崩れる。
長与「あのみなさん言っときます。1つ継承したら、1つだけ私も荷が下りたということです。明衣子さん、ありがとね(拍手)」
里村「長与さん。今日は負けましたけど。そして私は、今月の29日でリングを降りますが、これで終わりじゃないです(拍手)。長与さんがプロレス界にいる限り、私は長与さんに負けません(拍手)。絶対負けません。彩羽、今日の決意、忘れんなよ。女の決意なんてな、3日経てば薄れるんだよ(観客笑い)。今日の悔しさは今度、センダイガールズの橋本に晴らしてもらいます」
彩羽「そんなの最初から決まってますよ。橋本とこのプロレス界を盛り上げていく。でも!! なんで引退(の決意を里村は)したんですかね(泣き顔)。できるんじゃないですか。本当に日本武道館、向こうより先にやりましょう、自分たちが。絶対にやってやる。センダイガールズに負けない。里村明衣子に負けない。橋本千紘に負けない(拍手)」
里村「私はな、この20年間、長与さんに育てられたこと、1度も忘れません。この状態でリング降りられること、本当に感謝します(拍手)。これからもずっと忘れませんから。だから、ずっとライバルでいてください(拍手)」
長与「ていうことは、まだ頑張んなきゃいけないということですね、私。還暦ですよ(観客「関係ない!!」)関係ないですね。いい選手いるじゃない、橋本千紘最高やぞ。半ば“血縁”です。みんな兄弟みたいなものです。だから譲っちゃいけないものは譲っちゃいけない。譲れないじゃなくて譲らない。そういう気持ちで行ってください。あともう1つ。ひとつだけ言わせて。まさか今度、組むとは思わなかった(天龍プロジェクト15周年4・25新宿で長与&里村vs.YUNA&暁)。コスチューム姿でさ…今ダイエットしてんだ。すいませんけど、それが最後だな。最後の里村と一緒に並ぶことを許してください(拍手)。(彩羽に)これからマリーゴールドとの闘い、しっかりしろ。その中の1人に入れ、5人の中の 1人に入れ。そしてごめん。コスチュームが肌だって言ってる女が1人いるんだ。(リングサイドの暁に)お前が赤を背負う? 未来には何が起こるかわかんないから、どうかわかんないけど、今日の試合を見てどう感じたか、本当に背負っていくっていうことは大変な…お前じゃないかもしれない。他の人かもしれない。それをちゃんと覚悟してリングに上がれ。一切遠慮しないぞ。何があっても遠慮しない。頭入れとく」
暁「はい」
長与「(暁とやりとりをしていた間に我関せずムードだった彩羽と里村に)ボーッとしてない!!(観客笑い)。お前ら2人ともボーッとしてんじゃないよ!! いい試合だった!! ありがとうございました」
(バックステージ)
彩羽「12年前に里村選手にデビュー戦を務めていただいて。ベルトもいっぱい獲ったし、いろんな選手、先輩とかを倒してきたけど、里村明衣子にはずっと勝てなかった。もうこのチャンスを逃したら自分は一生、長与千種の2番目の弟子っていう、弟子にも入らないか、名前も残らなかったかもしれない。ぶっちゃけ、なんか勝ったらもっと嬉しいんだろうなとか。多分そんな気持ちじゃないですか、普通。こんなに待ち望んだ勝ちだったのに、こんなに苦しいなんて思わなかった。でも(言葉に詰まる)」
ここで会場内に、試合が延びたために試合後の物販なし、ツーショット券は後日持参がアナウンスされる。
彩羽「いや苦しい、苦しい、もう苦しさでしかない。里村明衣子、高橋奈七永。自分に背中を見せてくれてきた先輩たちが引退します。ここで、あの2人が大事にしてきた女子プロレスを繋ぐのは自分だし、橋本千紘でもあるし。なんかここから本当に試されてるなって自分は思います。だからこそこの価値が、重さ? 嬉しい、やった、やり遂げたってよりも、重さを感じます。長与さんが自分の上にいますけど、里村さんが長与さんに勝ちますって言ってましたね、引退しても。でも、長与さんの目の前に自分もいます。だから引退したとしても自分が視界に入ってくるように、この女子プロレス界、かき回していきますよ。長与さんの下っていうよりも、彩羽匠がこの女子プロレスをかき回していきます。そして12年前、デビュー戦を組んでくれたロッシー小川。マリーゴールドですよね。(2015年、小川氏がスターダム時代に彩羽の希望を汲み)マーベラスに移籍をさせてくれて、(2013年、スターダム時に)デビュー戦を里村選手に当ててくれた。自分はずっと恩返しをしたいと思ってました。今恩返しできるとするならば、マリーゴールドを潰すことだと思ってます。いっぱい潰して、いっぱい選手を潰して、自分が里村選手のような、上に立つ人間になって、いっぱい悔しい思いさせます、マリーゴールドの選手に。(4月25日、マリーゴールド後楽園での対抗戦)5人抜き…まあ自分が出るまでもないかなと思いますけど、やってやります」
(大会結果)マーベラス Marvelous in 新宿Face 4月10日(木)新宿FACE
■マーベラス Marvelous in 新宿Face
日時:4月10日(木)19:00
会場:東京・新宿FACE
<第1試合/タッグマッチ>
永島千佳世&●暁千華
13分18秒 首固め
〇彩芽蒼空&ウナギ・サヤカ
※新人・彩芽が初勝利
※ウナギ自主興行4・26両国第1試合が暁vs.彩芽に決定
ウナギが本部席の長与に両国カード打診「白使と一黒者(いっこもん)っていうとんでもねぇ新登場のキャラクターが出てくる。私も、私が思う最強タッグでいきたいと思います。クラッシュギャルズをぶっ潰すクラッシュセーラーズ、(ウナギのパートナーは)彩羽匠で。だってあの人、両国国技館デビューでしょ? ちょうどよくない?」
長与「お前、ひとことだけ言わせろよ、お前にはクラッシュギャルズは越せないよ」
ウナギ「OKってことでいいよね」
長与「見たいですかみなさん?(「見たい!!」) 今日帰りチケット買って帰ってください」
<第2試合/シングルマッチ>
△Maria
15分00秒 時間切れ引き分け
△青木いつ希
意地のぶつかり合いがスピードに乗って展開したが、両者譲らずフルタイムドローとなった。
<第3試合/シングルマッチ>
●井坂レオ
11分46秒 前方回転エビ固め
〇CHANGO
CHANGOが観客も対戦相手も食ってかかる動きで翻弄する。井坂も場外ムーンサルトアタックなどで反撃したが、CHANGOはスプレー攻撃から丸め込んだ。
<セミファイナル/タッグマッチ>
川畑梨湖&〇宝山愛
16分36秒 ラ・マヒストラル
●ハミングバード&ビクトリア弓月
<メインイベント/シングルマッチ>
●里村明衣子
13分18秒 ランニングスリー→片エビ固め
〇彩羽匠