優勝戦大絶賛 延期していたのは「BOSJ」じゃなく「心からのプロレス」
11日、新日本プロレスが日本武道館にて年内最後のビッグマッチとなる『WORLD TAG LEAGUE 2020 & BEST OF THE SUPER Jr.27』優勝決定戦を開催した。
大会結果 12月11日(金)18:00 WORLD TAG LEAGUE 2020 & BEST OF THE SUPER Jr.27 東京・日本武道館
ダブルメインでワールドタッグとBOSJそれぞれの優勝決定戦が行われた。
■ 新日本プロレス WORLD TAG LEAGUE 2020 & BEST OF THE SUPER Jr.27
日時:12月11日(金)18:00
会場:東京・日本武道館 観衆3564人(主催者発表)<第1試合>
石森太二
バッドラック・ファレ
○チェーズ・オーエンズ
(5分53秒 グラネードランチャー)
●ロビー・イーグルス
SHO
矢野通<第2試合>
グレート-O-カーン
ウィル・オスプレイ
○ジェフ・コブ
(10分45秒 ツアー・オブ・ジ・アイランド→片エビ固め)
●トーア・ヘナーレ
棚橋弘至
オカダ・カズチカ<第3試合>
SANADA
○鷹木信悟
(4分58秒 ラスト・オブ・ザ・ドラゴン→片エビ固め)
●高橋裕二郎
EVIL<第4試合>
マスター・ワト
○飯伏幸太
(10分06秒カミゴェ→片エビ固め)
●BUSHI
内藤哲也<第5試合/ダブルメインイベントI 「WORLD TAG LEAGUE 2020」優勝決定戦>
[リーグ戦2位チーム] タンガ・ロア
○タマ・トンガ
(22分15秒 スーパーパワーボム→エビ固め)
●ジュース・ロビンソン
デビッド・フィンレー
[リーグ戦1位チーム] ※タマ&タンガが『WORLD TAG LEAGUE』初優勝<第6試合/ダブルメインイベントII 「BEST OF THE SUPER Jr.27」優勝決定戦>
[リーグ戦2位] ○高橋ヒロム
(30分14秒 TIME BOMBII→片エビ固め)
●エル・デスペラード
[リーグ戦1位] ※ヒロムが2年ぶり2度目の『SUPER Jr.』制覇
年内最後にデスペラード劇場 「涙が出た」「久しぶりに感動した」続々
イメージだけで新日本プロレスを語っているとしたら、ぜひ新日本プロレスワールドに登録して全編を見てほしい。ほんの一部の一部だけ“起きたこと”をシェアできれば。
おおっぴらに声を出せない帰路の会場通路ではあるが、多くのファンが小声で「涙が出た」「久しぶりに感動した」とささやきあっていた。SNSでの評判も「プロレス最高」「新日本ファンでよかった」の主旨含めて大絶賛と言っていい。選手からの反応もあった。
素晴らしい決勝戦👏
ヒロムとデスぺ
武道館のスーパージュニア決勝戦
色々な点が線になり繋がっていた試合私が97年のサムライさんと金本さんの決勝戦を見て新日ジュニアを目指したように、この決勝戦を見て新日ジュニアを目指す若者がどこかで生まれたことだろう
未来に繋がる名勝負👏
— 田口隆祐(TAMA-KYU公式PR大使) (@taguchiryusuke) December 11, 2020
余は己の信念を突き通すだけ
じゃが…今宵のメインで霞を感じてしまった
負けぬ
志で絶対に負けてなるものか https://t.co/vtFYSI4uuJ— グレート-O-カーン👑 (@Great_O_Khan) December 11, 2020
すごかった。
— 棚橋 弘至 (@tanahashi1_100) December 11, 2020
ヒロムのデビュー戦の相手がデスペラードであり、関係が始まってからの10年を問う舞台が日本武道館メイン。
出発点から進化したというべきか、捨て去ったというべきか。お互いに熟成したプロレスラー像がぶつかり合うことで始まった試合。それでいて、デスペラードのマスク脱ぎ捨てでスイッチが入ると“出発点”を確認し合うような第2章に。
こうした技術以上のぶつかり合いこそがプロレスの真骨頂であり、それが優勝決定戦に間違いなくあった。
反則・介入の「つくり過ぎ」にNO!! プロレスは感情をさらけ出してこそ
2020年の新日本プロレスは、ちょっと新型コロナに構え過ぎたのではないか。外国人勢の来日がままならないなかで、EVILがヒールターンし、対立の構図を急造した。ぶつかり合いとはほど遠い反則・介入のくり返しは「つくり過ぎ」で白けてしまった感がある。
人気レスラーのヒロムが「中止ではなく延期」と願い続けたジュニアの祭典。なのに、日本武道館に空席が目立ったのはコロナの影響だけではないだろう。気持ちのうえでなかなか観戦に向かえないファンもいただろうし、「デスペラードとヒロムなら何かを見せてくれるかもしれない」という一縷の望みで足を運んだファンもいた。
かくしてデスペラードとヒロムがみせたものは、「つくられたもの」と見せかけてからの、「つくられたものを捨て去った」闘いだった。毎回マスクを脱ぐわけにはいかないわけで、聖なる一回性にたどり着いた点でも武道館観戦者は勝利した。
5月開幕予定だった『BEST OF THE SUPER Jr.27』は新型コロナで実に半年遅れとなった。だけれども、延期していたのは「BOSJ」じゃなく「心からのプロレス」だったと記したい。ここにドームのカード展望や各種の先読みは不要だろう。
最後に苦言を書いておくと、BOSJ優勝決定戦以外の試合は「ダブルドームへの序曲はこんな感じでいいのでは」レベルにとどまったように感じて残念だった。位置づけも規模も違うが、ノア12・6代々木大会を前にした12・1後楽園大会などには「前哨戦なのにここまでやるの」というファンとの絆の強化があったばかり。ボクらもプロレスにせいいっぱい向かっていきたいと思うし、レスラーからファンにもめいっぱいの闘いを仕掛けてほしいと改めて願いたい。