棚橋「残ろう」オカダ・飯伏と合意 震災10年仙台大会に地震ドキュメント
新日本プロレス『NEW JAPAN CUP 2021』宮城・ゼビオアリーナ仙台大会2連戦の初日となった20日。第4試合序盤の場外乱闘時に、10年前の東日本大震災(2011年3月11日)を思い起こすような震度5の地震が会場を直撃した。
Yahoo!トップでも「地震 新日選手の試合対応賞賛」とされた、新日本プロレスの対応を振り返る。
2度に渡って大音量アラームが観客数分鳴る恐怖!! 現地ファンに様子を聞く
現地観戦していたWaKik0(@sj_kiko)さんに聞いてみました。(写真もご提供いただきました)
—–現地の様子はどうだったんでしょうか?
W ドドドという揺れが起きて「意外と長いかも」と思った矢先に『地震です、地震です』のアラームだったんです。すると、さらに揺れが一気に強まって、悲鳴も上がりました。上のライトがグラグラ揺れていたので、私も思わずパイプ椅子から降りてしゃがんだくらいで。でも、飯伏幸太選手がしっかりと「落ち着いて」との手でのジェスチャーをしてくれました。あれはなかなかできないことですし、素晴らしかったと思います。
—–会場写真を見たところ、確かに揺れるタイプのライトだったようですね。
W 選手たちは揺れる照明器具を見上げてましたね。さらに怖かったのが、最初のアラームを止めたあとの余韻の揺れの最中に津波警報のアラームが鳴ったこと。再び会場がザワついたんです。2度に渡って大音量アラームが観客数分一斉に鳴るのは、選手たちにとっても恐怖だったと思います。ただ、飯伏選手、棚橋選手、オカダ選手の行動で私たちも落ち着くことができました。
—–そこに新日本プロレスのアナウンスがあったと?
W しばらくは中断のアナウンスがなく、みんながキョロキョロしていた時間がありました。その後にリングアナから20分ほど中断のアナウンスがありました。
オカダ・飯伏との3人で話をした棚橋「リング上に誰も選手がいなくなると不安がより高まってしまうので」
ニュースからの取材に棚橋弘至が答えている。
このあとすぐに棚橋選手は驚きの行動に出たのです。客席に向け笑顔でポージングを始めました。この行動に客は安心したのでしょうか。拍手が起き、撮影する人もいました。さらに。リングに上がった棚橋選手はお決まりのエアギターを披露。タッグを組んでいたオカダ選手と飯伏選手もリング上でポーズを決めて撮影タイムが始まりました。こうした選手たちの対応にSNS上は称賛の声で溢れました。
なぜ選手たちは咄嗟に行動することができたのでしょうか。
棚橋「タッグチームのオカダと飯伏、2人いたんで、『ボクたちはリングに残ろう』と3人で話しまして、リング上に誰も選手がいなくなるとファンの方の不安感がより高まってしまうので、少しでもみなさんの気持ちが明るくなればという思いでしたね」。
(試合中に地震 プロレスラーが取った行動に称賛の声(テレビ朝日系(ANN)))
相手チームのバレットクラブ勢は(ヒールでもあるので)控室に引っ込んだが、棚橋らは自身の判断で残った。いつだって強いままであり、観客と一緒に闘うのがプロレスラーだ。試合中でなくとも3人の姿勢はプロレスラーそのものだった。
ボクはこの様子をリアルタイム配信で見ていたが、こういうアクシデントにこそプロレスラーとしての構えが問われると思ったものだ。ご存知のようにオカダは飯伏による“ベルト2本統一”にいい思いを持っていない。2日連続のチーム勝利ではあったが、オカダだけが早々に控室へと歩を進めている。
それでも3ショットタイムにはオカダもしっかり参加。「ファンに対してできることを全うするオカダ」「ナチュラルな感情で試合を貫徹するオカダ」両方があったことも印象に残った。
震災から10年後の仙台大会2DAYS 新日本プロレスが伝えたかったものとは・・・
1年前のニュージャパンカップは、反則・介入を厭わないEVILが制覇した。新型コロナウイルス緊急事態宣言に伴う休業明けからの有観客大会での決勝と王座戦。プロレスに救いを求めていたファンをどん底に陥れる。
あれから1年。震災から10年。新日本はこのタイミングに合わせたように、仙台という地でファイナル2連戦を迎える。
まさに破天荒!
鷹木との“究極死闘”を制して、オスプレイが『NEW JAPAN CUP』初優勝!試合後、飯伏に堂々の宣戦布告!
さらに、“恋人”ビーに狂気のオスカッター…!!
3.21仙台大会の結果はコチラ
⇒https://t.co/LZ4R9R6wxM#njcupfinal #njpw pic.twitter.com/G6GvRL9qH4— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) March 21, 2021
コロナ禍のタイミングでヘビー級本格転向してから1年のオスプレイ。ユニット「エンパイア」入りしたことが加わり心身の幅を広げる。4・4両国国技館での飯伏幸太戦へ歩を進めた。それでいて、どこかにミステリー仕立てを挟みたがる新日本、オスプレイによるビー・プレストリーとの仲間割れという事態。
世間やファンに寄り添いそうでいて、突き放し続ける新日本。一方で、“ありのまま”のプロレスラーの姿を地震対応で垣間見せる。
いろいろ考察しながら、私たちはまた「自分がプロレスファン」であることを実感する。このジャンルを愛してしまったことを自嘲しながら、抜け出せない自分を誇りにも思うのである。