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新日本プロレス

きょうIWGP世界ヘビー初防衛戦 1998年4月4日アントニオ猪木引退から23年

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 俯瞰してみれば、新日本プロレスの歴史における大きな“節目”。ここに立ち会える喜びと、アレコレ談義できる特権をもって、ファンはいざ両国国技館へ。

新日本プロレス SAKURA GENESIS 2021 4月4日(日)両国国技館 全対戦カード

 偶然か必然か日付が一致した。新日本プロレス創業者であり「IWGP」提唱者・アントニオ猪木、1998年(平成10年)4月4日の引退から23年。

 IWGPヘビーとIWGPインターコンチネタルが統合されてIWGP世界ヘビー級王座が誕生。初代統合王者に認定された飯伏幸太がメインで初防衛戦に臨む。

■ 新日本プロレス SAKURA GENESIS 2021
日時:4月4日(日)17:00
会場:東京・両国国技館

<第1試合>
邪道
タンガ・ロア
タマ・トンガ
(1/20)
DOUKI
ザック・セイバーJr.
タイチ

<第2試合>
ディック東郷
石森太二
高橋裕二郎
KENTA
EVIL
(1/30)
YOSHI-HASHI
石井智宏
後藤洋央紀
矢野通
オカダ・カズチカ

<第3試合>
X
ジェフ・コブ
グレート-O-カーン
(1/30)
鷹木信悟
SANADA
内藤哲也

<第4試合>
バッドラック・ファレ
ジェイ・ホワイト
(1/30)
小島聡
棚橋弘至

<第5試合/IWGPジュニアタッグ選手権試合>
[挑戦者] SHO
YOH
(1/60)
金丸義信
エル・デスペラード
[第64代王者] ※デスペラード&金丸が初防衛戦

<第6試合/IWGP世界ヘビー級選手権試合>
[挑戦者/NEW JAPAN CUP 2021優勝者] ウィル・オスプレイ
(1/60)
飯伏幸太
[初代王者] ※飯伏が初防衛戦

新ベルトデザインの読み解き 本当の評価は後世になってからなされる!?

 3月30日、後楽園ホール大会にてお披露目された新ベルト。IWGPヘビーの歴代ベルトが“合体”したデザインとなった。インターコンチの要素はサイドバックルに含まれたという。

 大張高己社長が明かす。

 2冠統一に関してはファンの間で賛否を呼んだ。大張高己社長(46)は「すごく感激したんです。ファンの皆さんが、ここまで自分のこととして考えてくださっていることに」と受け止める一方で「変化を生む時は、どうしても否定的な意見は出るもの。ただ我々会社のスタッフはあくまで裏方。リングで戦う選手が証明してくれるはずですので、新しいベルトを巡る戦いにより一層、ご期待いただければ」とリング上のさらなる活性化を望む。

 その思いを後押しするのが団体創設者から受け継ぐ精神だ。ベルト上部のライオンマーク周辺にあしらわれた炎は「燃える闘魂」を意味する。もちろん猪木氏への敬意を込めたものだ。「常に新しい道を模索してこられた方なので、そこは応援してくれるのではないかと思います。私がファンの時代、会場で猪木さんが必ずのように言っていたのは『今年は新日本が世界に羽ばたく年になると思います』と。それを具現化していく象徴でもありますから『迷わず行けよ!』と言ってくれるのではないでしょうか」(大張社長)

(2021年03月31日 【新日本】IWGP世界ヘビー級ベルトに込められた思い 猪木氏への敬意と「迷わず行けよ!」道の精神 | 東スポの新日本に関するニュースを掲載)

 歴代ベルトの合体版であるとともに、「燃える闘魂が世界へ羽ばたく」の具現化となった。長くプロレスを観ているファンほど初代ベルトのイメージが強いことから、「イメージしていたものと違う」となったようだ。もっとも、初代ベルト踏襲で作った場合には「戻しただけじゃないか」となるわけで、追っかけっこは否めない。

 ポイントは、羽根そのもののカタチをベルトにした大胆さ。そして、飯伏のようなスレンダーな選手にも対応したアスリート仕様サイズ(センターバックル自体が小さい)となる。このあたり昭和レスラーの体型トレンドとは変わってきているわけで、戦略性も感じられる。オカダ、内藤、ジェイ、棚橋にもしっくりきそう。「仮面ライダーの印象がする」という声は、ライダーファンである棚橋の王座復帰待望論とも合わさった。

 現代プロレスにおけるコスチュームトレンドをつくったと言われる棚橋だか、その過程では「チャラい」「新日本らしくない」と散々な言われた方をしたものだ。自分を信じてやり切った棚橋のごとく、ベルト整理も自分たちを信じて新日本はやり切らなければならないだろう。新ベルトの本当の評価は後世になってからなされるものというのもまた、真実かもしれない。

2冠統合を後押しした2人のレスラー 内藤哲也と飯伏幸太の物語

 誰がIWGP世界ヘビー級のスイッチを押したのかについては、既に当サイトでも論じた。

◎内藤哲也
少年時代にIWGPヘビー級奪取を人生の目標に掲げた内藤が「インターコンチとの同時保持」を野望として掲げる。

◎飯伏幸太
飯伏は(インターコンチネンタルに強い色を付けた)中邑に影響を受けた。「カミゴェ」にも「最強も、最高も」主張にもつながる。

 いくら内藤が「2つで1つは本意ではなかった」と言い訳しても、道筋はつくってしまった。2冠統合は、2人のレスラー内藤哲也と飯伏幸太の物語そのものでもある。及ぼし方は違えど、中邑によって大きくなり過ぎたインターコンチは2人に大きな影響を与えたのだ。

 2021年に入って飯伏は内藤に2連勝。自身のベルト主張を実行に移した。

2冠統合を後押しした2回のファン投票 ベルト序列をひっくり返す

 後押ししたのはレスラーだけではなかった。

◎2014年1・4東京ドーム大会に向けてのファン投票

ダブルメインイベントどちらが最終試合にふさわしいか
IWGPインターコンチネンタル選手権(中邑真輔vs棚橋弘至)=20,422票
IWGPヘビー級選手権(オカダ・カズチカvs内藤哲也)=11,886票

◎2020年1・5東京ドーム大会に向けてのファン投票

IWGPヘビー級王座とIWGPインターコンチネンタル王座のダブル選手権実施に賛成か反対か
賛成=15,952票
反対=9,055票

 常にIWGPヘビーが最高峰としていながら、顔合わせによってはひっくり返す。「ベルトの存在意義」うんぬんを語る一方で、提案によっては横並びに扱う。ファンもまた一貫性のない生き物ではある。

歩む先は来年(創立50周年&ブシロード体制10周年) 新日本が仕掛けたIWGP「最強と最高」再定義

 飯伏が打ち出す「最強も最高も」論は、木谷高明オーナーの主張と通底している。

キム:今回は、今後、新日本プロレスをどう打ち出していかれるのかについてお伺いさせてください。今までのような、あいまいな定義でやっていくのでしょうか、それとも、どこかの段階で明確にプロレスの定義を打ち出すのでしょうか。ちょっとコアな話になってきましたけど、いかがでしょう

木谷:僕はしばらくはあいまいなままでいいと思うんです。そう言ってくれるファンの人もいます。かつては総合格闘技もなかったので、プロレスの中でみんな最強を求めていたんですよ。その時代は90年代で終わったかな、と思います。

総合格闘技のPRIDEが台頭してUFC(米ズッファLLCが運営する総合格闘技の大会)がこれだけ伸びて、「最強」から「最高」を求める時代に変化してきたわけです。

その「最高」の部分は何かと言えば、僕はアートだと思う。

実は、去年ずっと新日本プロレスに対して、「物足りない、物足りない」と言い続けていたんですが、それはアートの部分が少なかったからです。基本的にプロレスはワークなんですが、1割か2割はアートであってほしいんですね。

アートとワークと何が違うかというと、生き様が出ているかどうかです。アートを見たときは、こちらも感動するわけですよ。

キム:最近はどの選手や試合にアートを感じられましたか?

木谷:1つは、昨年大活躍したオカダ選手のドロップキックですね。あれはもうアートですね。技としてアートなんですよ。

そして、生き様としてアートを感じたのは、昨年6月16日の大阪府立体育館で、タイトルを取った棚橋選手が超満員の会場を見て、涙を流しながら「この光景が見たかったんです」と言ったときですね。

(2013/01/23 新日本プロレスが目指すのは、最強より最高 | グローバルエリートは見た! | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準)

 このインタビューは実に8年前。言い回しにあるように「どこかの段階で明確にプロレスの定義を打ち出す」のかどうかが問われていた時代だ。

 「プロレスの中でみんな最強を求めていた」猪木時代が終わり、「最強から最高を求める時代に変化してきた」という見立て。「確かにそうだよなぁ」というファンも「いや、そんなことはない」というファンもいるだろう。だけれどもこの見立ては、最高ベルトを最強ベルトよりも輝かせて、ついには年間最大ビッグマッチの試合順までひっくり返した中邑の歩みと同期していく。

 継承でもあり、破壊でもある。来年は新日本プロレス創立50周年&ブシロード体制10周年となるが、新たな歩みに向けて新日本がプレ50周年&プレ10周年に仕掛けた「IWGP」再定義がベルト統合にあったのだとボクは思っている。

プロレスを世界一の競技にする 5月スタジアムツアーは50周年ドームツアーの試金石!?

 まだまだコロナ禍から抜けきらない世間でありプロレス界。エンターテインメントとしてのプロレスのビッグカンバックはあるのか。

 三つどもえで繰り広げられた2冠争いを飯伏幸太(38)が制し、今後のビジョンとしては〝ベルト統一〟を提唱する。「ICのベルトと、IWGPヘビーのベルト。これを一つにしたい。僕は最高も最強も欲しいし。誰もICだけに挑戦したり、IWGPヘビーだけに挑戦していない。じゃあ何の存在意義があるんですか、2冠に」と問題提起した。

 さらに「発言力が増したと思うので、もっともっといろんな場所でプロレスをやっていきたいと思います。広めるのが僕の仕事。プロレスをどんどん広めていきます」と目を輝かせた。

 使命感に燃える飯伏に追い風となるプランがある。

 今年のドーム2連戦は入場者制限により観客動員が減少。新型コロナウイルス禍の打撃で、2018年度に過去最高の約54億円を記録した新日本の売上高は20年7月期で約45億円になった。

 大会後に本紙の取材に応じた木谷高明オーナー(60)は、来期は約35億円まで減少することも想定していることを明かした。その一方で「コロナ明け」を見越し、22年7月期の「売上倍増計画」を立てているという。

「(動画配信サイトの新日本プロレス)ワールドは過去最高の入会者数ですし、米国の現地法人もコロナ明けとともに本格始動します。大きくできるなと思うのは、このコロナ禍でいろいろなことを試しましたよね。2グループに分けてG1をやるとか。選手に負担をかけない形で興行の規模を大きくすることができると思ってますし、今まで以上に立体的な活動ができるはずです」

 新日本を題材にしたスマホアプリの配信も決定するなど、好材料は揃っている。特に団体創立50周年の節目を迎える来年は、新日本にとっても勝負の年だ。本紙既報の東京ドーム大会中継の地上波ゴールデンタイム復活プランは継続中で、同オーナーはビッグマッチの拡大も見据える。

「もうちょっとドームをやりたいという気持ちはあります。G1の決勝とかも本当はドームでやりたいです。22年にドームツアー復活? そういうことをやるしかないですよね」と意欲を示した。

 興行面以外では人材発掘が最大の課題。「大物新人もスカウトしたいですね。プロレスも日が当たってきたから、興味を示す人もいると思う。レスリングにこだわらなくてもいいと思うんですよね。身体能力が高ければ。体操とか水泳とかいいなと思いますよ」と、東京五輪アスリートなどにも注視していく意向だ。

 そんな状況だけに、逆境のドーム大会で2日連続メインイベンターを務め成功に導いた飯伏の功績は大きい。

「プロレスを世界一の競技にする」

 大きな夢を抱くゴールデン☆スターにとって、21年の年間最大興行は間違いなくその第一歩だった。

(2021年01月06日 飯伏2冠で新日本の〝70億円倍返し〟前進! 木谷オーナーが狙う「ドームツアー復活」と「五輪アスリート」 | 東スポの新日本に関するニュースを掲載)

 最強であり最高のプロレスを世界一の競技にする。そんな飯伏の、そして新日本の野望はメラメラと燃え滾る。1月4・5日ではない新日本の東京ドーム大会は2005年10月8日実施以来だ。5月スタジアム2大会が50周年ドームツアーの試金石となる。


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