ファンに愛されたメイ社長が2年半で退任 新日本に過去最高売上をもたらす
29日、新日本プロレスの親会社である株式会社ブシロードが取締役会を行い、新日本の社長交代が内定した。
新日本のアメリカ法人「NJPWofAmerica」の大張高己CEOが後任
2018年5月に就任したハロルド・ジョージ・メイ社長が2年半で退任する。後任は、新日本のアメリカ法人「NJPWofAmerica」の大張高己CEOとなる。
代表取締役異動に関するお知らせhttps://t.co/5t04LdlSpU#NJPW pic.twitter.com/tkWrhzunoW
— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) September 29, 2020
新日本プロレスリング 株式会社(本社:東京都品川区、代表取締役社長兼CEO:ハロルド・ジョージ・メイ 以下:新日本プロレス)は2020年9月29日(火)開催の親会社である株式会社ブシロード(以下:ブシロード)の取締役会におきまして、当社の代表取締役の異動について内定しましたので、お知らせいたします。
なお、本代表取締役の異動につきましては、2020年10月23日開催予定の新日本プロレスの第50期定時株主総会及び同総会後に開催される取締役会における決議を経て、正式に決定される予定であります。
■代表取締役の異動(2020年10月23日付)
①新任代表取締役
大張高己(新役職:代表取締役社長)②退任代表取締役
ハロルド・ジョージ・メイ(現役職:代表取締役社長兼CEO)③新任代表取締役の略歴
氏名:大張高己(おおばり たかみ)
●生年月日
1974年8月15日生●略歴
1997年4月 日本電信電話(株)入社
2018年12月 (株)ブシロード入社 執行役員(現任)
2019年1月 当社出向 経営企画部長(現任)
2019年11月 New Japan Pro-Wrestling of America Inc. CEO(現任)(新日本公式)
メイ社長はプロ経営者として知られる。サンスター執行役員、日本コカ・コーラ副社長を経る。タカラトミーでは社長として陣頭指揮、わずか数年で業績をV字回復させたことが有名。新日本での社長就任時には「売上1677億円の上場企業プロ経営者を、売上46億円の新日本がサプライズ起用」として注目された。
そして、新日本に過去最高売上をもたらした。
【ブログ更新しました】新日本プロレスの最新年商は54億円 過去最高だった2018年から5億売り伸ばし/ブシロード株価は大幅高で上場来高値更新#新日本プロレス #njpw #ブシロード
新日本プロレスワールド🖥の会員数を増やすアイディアはこれだ!?https://t.co/MkYRYWKbiM pic.twitter.com/PtuubS2lHb
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一方で、新日本に「マネくま」を提案した人物でもある。プロレス愛にもあふれた。
【ブログ更新しました】新日本プロレス新社長は「マネくま」生みの親! ハロルド・ジョージ・メイ氏「私には言葉にも文化にも壁がない」戦略表明まとめ プロレス・格闘技の情報配信|カクトウログ ブログ#njpwhttps://t.co/2pQ3wj7xe2 pic.twitter.com/IEe26bgcO8
— カクトウログ📶プロレス/格闘技 (@kakutolog) May 18, 2018
プロレス会場での2ショット会、想いを吐露する定期的なコラム。積極的なファンとのやりとりも目立ちました。退任に際し、ファンがSNSに続々と2ショット写真をUPして惜別している。
プロレス番組づくりにもこだわりを持ち、現在の“楽しみ方の見本をビギナーファンに提供する”ことを重んじた解説陣アプローチにはメイ社長とテレビ朝日の意向が影響しているとされる。われわれに見えないところでの取り組みも多数だったに違いない。
ブシロード取締役も退任 ストック・オプション株は失効で退職慰労金贈呈へ
メイ社長の在任中は、親会社にとっても上場を果たした重要期間でもあった。
【ブログ更新しました】新日本プロレスの親会社ブシロードが2019年7月29日に東証マザーズへ新規上場! メイ社長も主要株主として名を連ねる#njpw #新日本プロレス #ブシロード
上場を目指してきた新日本がひとつの到達点!!
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新日本のみならず株式会社ブシロードの役員も退任する。
【お知らせ】新役員体制に関するお知らせ等を開示いたしました。
ブシロード企業サイトよりご覧いただけます。https://t.co/OGbQ5v4qdc— ブシロード公式 (@bushi_PR) September 29, 2020
(5)その他
ハロルド・ジョージ・メイ氏が保有していた当社第2回ストック・オプション普通株式80,000株及び第3回ストック・オプション普通株式372,000株については、上記退任に伴い、「新株予約権者は、その行使時において、当社及び当社関連会社の役員、従業員の地位にあること」という行使条件を満たさなくなることから、2020年10月27日開催予定の当社第14会定時株主総会後に開催される取締役会における決議を経て、失効される予定であります。なお、株式の種類別のストック・オプションの数については、株式数に換算して記載しております。
また、ハロルド・ジョージ・メイ氏の在任中の功労に報いるため、当社における一定の基準に従い、退職慰労金を贈呈する議案を同定時株主総会に上程いたします。
メイ社長はブシロードの持株比率で5位となっていた。ストック・オプション株あるいは相当する分を報酬とすることは着任時から話があったと思われる。ブシロードは功労を退職慰労金で報いるとしている。
メイ社長「コロナ禍で新日本を守ってくれた真のヒーローは、ファンの皆様」
29日にはメイ社長がコラムで、改めて想いを伝えた。
メイ社長コラム『ハロルドの部屋』更新!
第87回「ラストメッセージ」https://t.co/1ZJRE9DCOR#njpw #メイ社長 pic.twitter.com/EyuowfGLVn
— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) September 29, 2020
皆様、こんにちは。先ほど発表になりましたが、私ハロルド・メイは来月10月23日をもちまして新日本プロレス社長を退任することになりました。
コロナ禍で全く試合ができない苦しい時期を脱したとは言え、今もまだその影響は少なからず残っています。「コロナ前の状態に戻れた」、「新日本プロレスはもう完全に大丈夫」と言える日が来るまで、責任を持ってこの任務を続けたいと思っていましたが、皆様にお別れを言わなければならない時がやってきました。株主総会の都合上、『G1 CLIMAX 30』開催中のこのタイミングでの発表に至ったことを、どうかお許しください。
私は8歳でオランダから日本にやって来て、プロレスに出会いました。以来プロレスからたくさんの勇気や生きる力、楽しみや感動をもらってきました。この職に就き、プロレスを近くから観るようになっても私の思いは変わることなく、それどころかより一層プロレスが好きになりました。同い年の菅林直樹会長と役割分担をしつつ、力を合わせて働くのは、とてもやりがいがあり充実した楽しい時間でした。「プロレスをもっと多くの人に観てもらいたい」、「新日本プロレスのブランド価値をもっと上げたい」。この二つをひたすら考える毎日でした。社員と共に多くのことに挑戦し、事業拡大など成果が残せた2年半だったと思います。そして新日本プロレスは全選手、全社員が素晴らしく、それぞれの才能と努力が結集しチームワークが突出した最高の団体です。短い間でしたが、この仕事に携われたことは喜びであり、これから先もこのことを誇りに生きていくと思います。
そして最後に何よりもお伝えしたいのが、新日本プロレスを応援してくださるファンの皆様への思いです。就任以来ツイッターなどで、皆様からたくさんのご意見やご要望、ご批判や励ましのお言葉などをいただきました。プロレスラーが技を受けて、受けて、受けまくって戦うように、私も皆様からのコメントを全て読んで、読んで、社の改善につなげたいと思っていました。日々のエゴサーチから皆様のご期待や改善すべき点などがわかり、大変勉強になりました。強く共感するツイートやご指摘によって見直すこと、新たに気づくことも多かったです。
最初は私に対する厳しいご意見もあったのですが、コラムで思いを綴るうちにやがて少し受け入れていただけたのかなと思う瞬間がありました。そして今では皆様との絆を感じています。コロナ禍で見通しも立たず最も苦しかった今年5月半ばには、YouTube動画で新日本の状況について説明をさせていただきましたが、ご覧になった皆様からの温かいコメントは決して忘れることがありません。
3月から大会自粛期間があり無観客試合を始めるまでに3ヵ月半、有観客試合再開までは約4ヵ月半と、長く重苦しい時間がありました。それでも多くの方々は新日本プロレスワールドやスマホサイトの解約をせず、再開の時が来るのをじっと待っていてくださいました。コロナ禍という未曾有の危機の中、新日本プロレスを守ってくれた真のヒーローは、ファンの皆様だったと思います。
コロナ禍前、私は皆様をお迎えするためによく会場のロビーに立っていましたので、多くの方々のお顔が目に浮かびます。お手紙もたくさんいただきました。皆様への感謝の思いは、言葉ではとても言い表すことができません。本当にありがとうございました。
プロレスは応援してくださるファンの方々が存在してはじめて輝きを放ち、完成する。そう思います。
どうか皆様お元気で、これからも新日本プロレスの応援をよろしくお願いいたします。最後の日までしっかりと務めさせていただきますが、10月下旬から社長に就任する大張高己氏は、とても優秀で若くて行動力があり、英語も堪能な人です。新日本プロレスはこれから先もますます発展していくと確信しています。
(メイ社長コラム『ハロルドの部屋』更新! 第87回「ラストメッセージ」)
コロナ状況からの完全復活を見届けられなかったことには悔いもありそうだが、充実した在任期間であったことがうかがえる。何よりも、ファンの声を受け止めて応えようとしていた姿勢は素晴らしい。メディア露出も多く、在任中の新日本への貢献は計り知れません。
批判で多かったのは、海外展開に対してファンからの「国内軽視では?」との声でしょうか。新日本の盤石に安定させるためには、世界から視聴されるようにもっていく必要があることは間違いのないこと。批判を受け、実務のみならず心情的な苦労もあったかと。アメリカMSG大会が決定していたところでのケニー・オメガらの離脱(2019年のAEW設立)は計算外だっただろうし、2020年始にはダブルドームを開催するも春先からコロナ禍に見舞われ多難でもありました。
本当にありがとうございました。次の活躍も心より祈念しています。