無謀だけじゃない物語力 ウナギ・サヤカ後楽園自主興行は札止め1230人
7日、ウナギ・サヤカ興行 「殿はご乱心〜1番金星〜」後楽園ホール大会が開催となった。一夜明けで大会を総括する。
■ ウナギ・サヤカ興行 supported by AJPW 「殿はご乱心〜1番金星〜」
日時:2024年1月7日(日)18:30
会場:東京・後楽園ホール 観衆1230人(札止め/主催者発表)
全試合結果はこちら。
【 #殿はご乱心1番金星 後楽園まとめ】ウナギ・サヤカ「東京ドームめざしてやる!!」自主興行チケット完売…メイン敗退もアイアンマン奪取で3冠王締め/カラーズvs.プロミネンス、ウエディング候補者マッチの行方は…
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<第7試合/メインエベント>〇鈴木みのる&田中将斗(16分10秒、ゴッチ式パイルドライバー→体固め)●ウナギ・サヤカ&小波
この日“2試合目”の登場、メインでリングインのウナギ。保持していたキツネ王座に加え、前日に獲得したJTOガールズ王座をカラダに巻く。
田中将斗、鈴木みのると対峙だ。
みのるが2人まとめてエプロンぶら下がりアキレス腱固め。レフェリーが反則カウントを数えるが、みのるは「2人がかり攻撃の向こうの方が反則だろ」と反論。
小波は格闘技ベースの技術、ウナギはギャン期で底上げしたプロレス力。そして2人の気迫をもってみのる&田中に向かっていく。
されど田中、みのるの2人のスイッチを押してしまうこととなり…。
みのるがゴッチ式パイルドライバー。これでもかというタメそして落差。ウナギを認めていることが伝わってくるようだった。
どんな試合だったかが、みのるの表情とアクションからわかる。手拍子を煽って、手荒くウナギを称えた。
ウナギ「こんな時代だから、もっともっとみんなで楽しむことやろうよ」
試合直後にアイアンマン王座まで獲得(ぬいぐるみのステファンをフォール)。ウナギは自主興行中に三冠王となった。
ウナギ「今日はみなさん、ここまで来れました。本当にありがとうございました…とでも言うと思ってんのか? 私は一人でここまでやってきた、つもりだった。でもいつも、いろんな人に、レスラーに、お客さんに、ずっと、支えられてきました。なので、決めました。行きつくとこまで一緒についてきてくれるよね?(拍手) ちょうど横にさ、偶然にも、おっきな箱があるんだよね(観客笑いと歓声)。東京ドーム!! めざしてやろうじゃん!!(歓声と拍手) だから、こんな時代だけど、こんな時代だから、もっともっとみんなで楽しむことやろうよ(拍手)。そして、今日出てくださったプロレスラー、ありがとうございました…とでも言うと思ったか!! お前らな、もっと頑張らなかったら、来年呼ばねぇからな。だから、お前らも死ぬ気でやれよ。そのかわり私もお前らの大切な日に必ず呼ばれるプロレスラーで、ウナギ・サヤカで、必ずいます。なのでみなさま、ひつま武士として、私がプロレスラーとして最後の日を迎えられるまで、ずっとずっと、ついてきてください…とは言わない。最高に、楽しい景色を見せてやるよ(拍手)。ウナギカブキは…終わらない!! ありがとうございました(拍手)。小波さん、私は一人でやってきたら『三冠王』になりました」
公約通り三冠王を達成そして…「2度とやりたくない」からの東京ドーム宣言
昨年末のカクトウログ実施インタビュー。
【6⃣0⃣0⃣0⃣字インタビュー公開🦖🔥】
ウナギ・サヤカ「ずっと人は変わり続けていく」 等身大のギャン期1周年#ウナギ・サヤカ #ギャン期 #Marvelouspro
「本当に来た方がいいと思いますよ」ウナギ自主興行1月7日(日)18:30後楽園チケット残りわずか pic.twitter.com/xLpalUo1RC
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ウナギ やっぱでも、巻きたいベルトがありますし。まあ、(ギャン期の)歴史的に見ると何もやってないちゃ何もやってないですからね。なんか私の中では逆に、なんかまあ正直(週プロのプロレスグランプリ上位が)獲れるとも思ってなかったし、なんか名前が挙がることだけで全然いいし、この先の楽しみが増えたし、目標もできたっていう。なんか明確なものがなんか見つかった1年だったなっていう感じですね。
そこからの急展開と言えるかもしれない。実はウナギ、しっかりと5日のサムライTV放送バトルメンにて、自主興行の公約をぶっ放している。
元井美貴さん「それではみなさんに向けてのメッセージをお願いします」
ウナギ「エエッ、考えてなかった、どうしよう、あさって(7日)は…ってかまず明日(6日)はJTOでタイトルマッチがあります。ここで私は(キツネ王座獲得に続く)二冠になって、そしてあさっての7日の『殿はご乱心〜1番金星〜』では勝利もつかみ、アイアンマンベルトもつかみ、すべてをつかんで三冠王になります!!」
勝利こそかなわなかったが、公約通り三冠王を達成したことになる。「何もやってないちゃ何もやってない」ところから、一定の脱却を見せつつあるのではないか。
思えばギャン期とは、無謀だらけの歴史ではあった。
セミファイナルはウナギ「Xなんて最初からいない!」とハンディキャップマッチに(2022年11月20日)
ハンディキャップマッチ敢行。X詐欺か、アクシデントか。延々語られ、波紋は続くだろう。
ウナギはそれほどまでにチーム200キロと闘いたかったのか。元々「誰とどう闘うか」に人一倍こだわるが、この日はこの構図を選択、媚びることなく突き放してみせた。#仙女 #sendaigirlspro #ウナギ・サヤカ pic.twitter.com/kqEaJi3AhZ
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査定精神、向上心には一目置かれつつも、一般ファンからあがる「いったい何をやりたいんだ」という声。無謀なことに挑戦することで認められる世界では当然ない。
それでも、ひつま武士に届いていたのはウナギの「物語力」だ。
試合力と物語力の相思相愛 されど彩羽はウナギ「長与最後の弟子」発言を拒否
【追っかけ大会レポート】
試合力と物語力の相思相愛 されど彩羽はウナギ「長与最後の弟子」発言を拒否#Marvelouspro #彩羽匠 #ウナギ・サヤカ
5・3後楽園。彩羽「これからマーベラスと一緒に・・・それを言うと思ったか、バ~~カ!!」 pic.twitter.com/x5gwmcTJK2
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あふれんばかりの物語力をもってすれば、信じてついていくに値する。そして自主興行を機に、ウナギは無謀だけじゃない物語力、無謀にとどまらない物語力を見せ始めた。2024年のウナギには、無謀の向こう側が課せられる。
サムライの番組冒頭では、このようなことも口にしていた。
ウナギ「(開催が近づいた自主興行について)いや~もう2度とやりたくないですね」
ここでの「2度とやりたくない」を聞いていたファンは、東京ドーム宣言に「やってくれた」とニヤリだったに違いない。こうした前向きな新たな“無謀”を口にするウナギの魅力もまた健在だった。
マイクでの「こんな時代だけど、こんな時代だから、もっともっとみんなで楽しむことやろうよ」には、いろんな思いがあるだろう。
昨年末のカクトウログ実施インタビューではこのような発言も。
ウナギ いま配信でも見れる時代ですしね。以前は遠征してた人たち、しなくても(大会によっては)家で見れるようになった。これは本当にすごいでかいことなんですけど、やっぱそれってどうしても「会場に来ない」流れもつくってしまってるじゃないですか。というのも含めて、やっぱり私たちは生で見てもらわないと意味がないので。蓋を開けるまでのチケットの売れ行きは本当に恐怖でしたね。
だからこそ、ウナギは参加したレスラーズに「お前らも死ぬ気でやれよ」と一喝した。もっとファンが会場観戦するプロレス界に。みのるの考えとも通底している(鈴木みのる「プロレスはライブの時代だ。ネットは創作物」 キングの生声)。
ウナギとひつま武士には気づいていることがあり、それは「とことんリアルで追っかけることが楽しい」ということ。この“ひつま武士”現象を、あらゆるレスラーのファンの間に、プロレス界のいたるところにつくる布教活動こそウナギがやりたいことなのかもしれない。
札止め1230人「殿はご乱心」は、乱心ではなく本心からの決起集会だったのだ。