藤田は格闘王の前でも野獣!? 前田「俺は人間だから」【週刊 前田日明】
全盛期にPRIDEトップ外国人選手と闘ったら勝てたか? 前田の返答は
観客からの質問「前田さんに。ご自身が一番の全盛期にPRIDEでトップを張った外国人選手と闘った場合、勝てましたか?」
前田「やってみないとわからないですね(笑)。まずルールに慣れるってことが大事だし、ルールに慣れた上での試合を何試合かして・・・慣らしは大事だし。(藤田を指差して)このクラスの練習相手が道場にいるっていう環境もつくらなきゃいけない」
「たられば」で語られることが多い全盛期の前田の強さ。前田の返答は実に客観的で、実戦経験、トレーニング内容、練習相手に左右されるとした。前田と藤田が同時代に全盛期だったらすごかっただろうなぁ。
青木「前田さんにとって、気持ち、体力が充実していた時期は何歳くらいになりますか?」
前田「やっぱり35前後くらいですね」
観客からの質問「(藤田に)マーク・ケアー戦での印象や圧力で覚えていることはありますか」
※2000年5月1日、藤田和之vs.マーク・ケアー(『PRIDE GRANDPRIX 2000 決勝戦』東京ドーム)。
藤田「あのとき(自身についた)セコンドの圧力が凄くて、ドン・フライとブライアン・ジョンストンという2人で、とにかく2人の圧力が凄くて。ドンがアレやれコレやれ、とにかく試合出ろと。ブライアンは『違うんだ』とアスリート的な考え方で、そういう(日常的な)違いもありながら。とにかく必死という言葉しかないですね」
観客からの質問「最後は四つん這いになったケアーに対して藤田選手が押してたんですが・・・」
藤田「あれは桜庭和志のおかげです。やっぱり選手っていうのは、その試合に合わせてコンディションをピークに持っていくんで、そのピークをズラしたのは桜庭和志のおかげです。あんだけ長い試合をしたから、90分。ケアーはタイミングが合わなかったんだと思います。ボクは桜庭和志という人間を知ってますから『たぶん長くやるなぁ』と寝てたんですよ。それでリセット、リフレッシュできて最高のコンディションで臨めた。ケアーはホイス・グレイシーを知っているから、まだ(海外ではそれほど)名前が出てない桜庭なんか簡単に(短時間で)やっつけるだろうと思ったんだと。たぶんそうです、彼も強い選手ですから。今でもたまに『先輩、ありがとね』って(桜庭に)言います」
※2000年5月1日、東京ドームで藤田和之vs.マーク・ケアーが行われた日、PRIDE GP2回戦で桜庭和志vs.ホイス・グレイシーも実施。
観客からは「どこに世界最強の選手がいるか」という質問も飛び出す。前田は「レベルが高いのはコマンド・サンボ」としつつ、世界で注目のエリアをいくつか解説した。「スカウトの場としてOUTSIDERのようなことを世界中でできたら面白い。ただ海外でやるとなると、やれ麻薬だ拳銃だって話になる。警備にどんだけお金がかかるんだと(笑)」とも。
青木「前田さんの選手を見る目っていうのはどこで培われたんですか?」
前田「わかんないです。わかんないですけど、リングスのときに世界中をまわって、自分の目で見て、(現地選手と)スパーリングして選んできますんで、その経験とかあるかと。立ち姿とか、動いている姿見たら『コイツ強いな』とかわかる。藤田なんか光って見えましたよ。オーラありました」
藤田「そういうの、いいっす、いいっす」
前田「なに照れてんだよ」
観客から質問「(藤田が)プロレスを楽しまれていると話されてましたが、そういったきっかけになった出来事があれば」
藤田「いや・・・前田さん、ありますか。プロレスが楽しくできたこと」
前田「俺はもう、(第1次UWF活動停止後に)業務提携で(新日本プロレスに)帰ってきて、相手のことを無視して、自分の好きなように投げて、好きなように蹴って(笑い)、『怪我させちゃダメかなぁ』とか余計なこと考えんと好きなことできた、あのころが一番楽しかった」
藤田「・・・です(笑い)。共通点が多くてびっくりしました」
前田「怪我させて『頭にくる』なら『来いよ』って話で。来ないし。ほんと意気地なしどもが」
観客から質問「藤田さんは、(入っていたとしたら)リングスで闘いたかった人はいましたか?」
藤田「そりゃ前田さんしかいない。すごく学ぶものは多いし、勝ち負けじゃなくて闘って学ぶことが多いと思うので、もし行ってたら最初に前田さんとお願いしていたと思います」
観客から質問「藤田さんがリングスに入っていたとしたら、前田さん、初戦のマッチメイクとして?」
前田「そうですねぇ・・・組み系だとコピィロフ(アンドレイ・コピィロフ)とか、ハン(ヴォルク・ハン)とか、あのへんも面白いし、タリエル(ビターゼ・タリエル)みたいな重量級でも、140キロでガンガンとパンチで突いてきましたからね。ナイマン(ハンス・ナイマン)みたいな変則的な何かがある選手も面白いし。一番最初は慣らすっていう意味で・・・様子見でザザ(グロム・ザザ)とか、フライ(ディック・フライ)とか、あの辺から(ですかね)」
青木「ありがとうございました。藤田選手から今日の感想をお願いいたします」
藤田「とにかくありがとうございました。前田さんとこういうイベントやらせていただいて、ほんとに感謝です」
前田「いつもいつもありがとうございます。わけのわからん無駄バナシ、毎年毎年おんなじこと聞かれておんなじこと喋って、いいんかな!?みたいな。それが引っかかったりします。自分の場合は引退して20年以上経つんで、何十年も前のことを昨日のことのように思い出して『あれはこうだった、これはこうだった』と思ってもらえるのはありがたい喜びですね。これからもよろしくお願いします」
前田に憧れる藤田も、藤田の頼もしさを認める前田も、本当に楽しそう。時代を超えた最強戦士対談に酔いしれた1日だった。趣味のくだりは前田の話が止まらずタジタジな藤田だったが、総合格闘技時代の振り返りではとっておきの話を披露しまくり。
この記事を読んだだけのファンも「そうだったのか」という話があったことだろう(これでも、いくつかの話はその場限りとさせていただきました)。だからトークイベントへの参加はやめられないのだ。カクトウログではイベント開催情報も取り上げていくので、ぜひチェックを。