これもサイコロジー!? 心地よき完勝完敗とともにカーニバル折り返し
15日、全日本プロレス『2020 Champion Carnival』後楽園ホール大会を会場にて観戦した。
早くも2敗で諏訪魔が脱落寸前 ゼウス・ジェイク・石川・青柳が2勝
早くも2敗となった諏訪魔は残り1戦に勝っても五分の星、脱落寸前となった。ゼウス・ジェイク・石川・青柳がここまで2勝となる。
■ 全日本プロレス 2020 Champion Carnival
日時:9月15日(火)18:30
会場:東京・後楽園ホール 観衆428人(主催者発表)<第1試合>
児玉裕輔
〇土肥こうじ
(6分55秒 ラリアット→片エビ固め)
●バリヤンアッキ
岡田佑介<第2試合>
●本田竜輝
ブラックめんそーれ
渕正信
大森隆男
(11分24秒 ランニングニー→エビ固め)
西村修
田村男児
佐藤光留
〇石川修司<第3試合>
〇入江茂弘
イザナギ
(9分22秒 ビーストボンバー→エビ固め)
●大森北斗
羆嵐<第4試合>
ライジングHAYATO
フランシスコ・アキラ
〇日高郁人
(9分36秒 ショーンキャプチャー)
●青柳亮生
TAJIRI
岩本煌史<第5試合/「2020 Champion Carnival」Aブロック公式戦>
●黒潮“イケメン”二郎
(7分13秒 逆水平チョップ→エビ固め)
〇ゼウス<第6試合/「2020 Champion Carnival」Bブロック公式戦>
〇青柳優馬
(5分11秒 レフェリーストップ)
●ヨシタツ
※ラクダ固め<第7試合/「2020 Champion Carnival」Bブロック公式戦>
●芦野祥太郎
(18分28秒 シャットダウンスープレックスホールド)
〇宮原健斗<第8試合/「2020 Champion Carnival」Aブロック公式戦>
〇ジェイク・リー
(17分38秒 レフェリーストップ)
●諏訪魔
※変形腕固め
星取表はこちら(公式ホームページより)。
TAJIRIの影響力が増し、秋山準が去った全日本。最強決定戦の風景は!?
2019年末に秋山準がコーチ退任を伝えられた際、福田剛紀社長は「TAJIRI選手が今後は教える」と発言したという。加えて7月からの秋山のDDTへの“移籍”。TAJIRIがどの程度までブッカー領域に加わっているかは定かではないが、ここで迎える看板シリーズ(ましてやコロナ状況下)ではTAJIRIと福田社長の手腕が本格的に問われてくる。
結論からすると、新しい全日本の光景にあったのは戦略的攻防と心地よき完勝完敗だった。完全決着と記してよいのかもしれないが、どちらかというと勝ちっぷり・負けっぷりともに心地よかったという意味で。
公式戦はゼウスvs.黒潮“イケメン”二郎から開始する。場外でスタンドでのハンマーロックに捉えてゼウスの後ろ位置をキープしたイケメンが、何度も何度もゼウスを鉄柵にぶつける。リングに戻ると腕固め、腕十字とテコの原理。ところが雪崩式フランケンにいこうとしたところでゼウスにつかまった。両足をつかんでゼウスが放ったのは豪快な雪崩式パワーボム。
ついにはゼウスが祭典前に開発、三沢光晴式フェイスロックとなるわけだが、これでギブアップをとるのかとも思いきや一定時間絞めつけてグロッキーにするだけ。ここからゼウスはイケメンを強引に立たせておいて、逆水平チョップを豪快かつ一発だけ放つ。公約だった5分こそ切らなかったが、こういう展開で「逆水平チョップのみで5分以内に料理」につないでくるとは!!
三沢とゼウスはタイプが違うわけだが、その違いを理解した技の使い方というのもかなりいい。
新日本プロレスの柴田勝頼も最近のインタビューで“大よく小を制す”文脈での闘い方にも触れていた。プロレスには体格を生かした闘い方でありサイコロジーがある。技のシーソーゲームではなく両者が理にかなった戦略的アプローチだから、試合の文脈が実にわかりやすい。イケメンの完敗にも納得である。
こういうことをTAJIRIはやりたかったんじゃないかと思う。王道には王道に映えるサイコロジーというものがある。サイコロジーに沿って試合をしたゼウスは試合運びに余裕があるようにも感じられ、いっそうの風格をまとっていた。
このサイコロジーというものは、特にリーグ戦でのシングルのように短時間決着でも説得力を持たせたい場合に有効だ。セミファイナルでの宮原健斗の逆転勝ち、メインでの諏訪魔の逆転負けも、鮮烈でありながら説得力に溢れていた。
メインでのバックステージコメント。
【ジェイクの話】「クソ、意識飛びそうだ。やっぱり一撃一撃が必殺技だな、あの人。けど、最後の最後まで耐え抜いたら、ああいうチャンスっていうのがいきなり巡ってくるんですよ。俺はこれ、人生でも置き換えられると思う。耐えに耐えに耐え忍んで、ここだっていう時までしっかり実力を養っていく。俺のファイトスタイルはそういう感じなんですよ。耐えに耐えに耐えて。一発では劣るかもしれないけど、人の関節というのは制限がありますから。これで2勝です。何度も言いますけど、俺の今回のメインテーマは『人は変われる』ということです。ただ、そう簡単なもんじゃない。それを俺がリング上で残り2戦、決勝も合わせたら3戦、しっかりと見せつけます」
【試合後の諏訪魔】
「どうなってんだよ、あれは!? あの野郎、ふざけんじゃねえぞ! 力が入らない…。壊された。ああ、チクショー! イケメンに負けてから何か狂ってるよ。全然地に(足が)つかないな。クソ! 聞こえるよ、てめえら! 当たり散らすわ」
ジェイクに見るサイコロジーとコメントと生き様の一貫性。この日のコメントでは一番の輝きを放つ。そうだよな、コメント含めてのサイコロジーなんだよな。
もしかしたらサイコロジーに沿ったプロレスというのは“ファンに説明しすぎるプロレス”なのかもしれない。秋山の目からすると「そういうものじゃないよ」というものもあるかも(秋山も最近はTwitter活用などを説いてますが)。わかる人にわかればいいと考えるのもプロレスだろう。だけれども、戦略的にオールオアナッシングで闘っていくのはボクには興味深くもあった。
気がつくと、そこにあったのは王道をより極めた王道でもあった。やはりチャンピオン・カーニバルなんである。
チャンピオン・カーニバル残り日程 10月5日(月)18:30後楽園で最終戦
10月5日(月)18:30後楽園ホール大会で最終戦。チャンピオン・カーニバル残り日程をおさらい。
(主要カード)
■ 全日本プロレス 2020 Champion Carnival
日時:9月21日(月祝)11:30
会場:東京・後楽園ホール▼世界ジュニアヘビー級選手権試合
[挑戦者] 日高郁人
vs
岩本煌史
[第53代王者] ※岩本2度目の防衛戦▼「2020 Champion Carnival」Aブロック公式戦
ゼウス
(1/30)
諏訪魔▼「2020 Champion Carnival」Aブロック公式戦
羆嵐
(1/30)
ジェイク・リー▼「2020 Champion Carnival」Bブロック公式戦
青柳優馬
(1/30)
宮原健斗▼「2020 Champion Carnival」Bブロック公式戦
芦野祥太郎
(1/30)
石川修司
■ 全日本プロレス 2020 Champion Carnival
日時:9月26日(土)18:00
会場:神奈川・小田原アリーナ(サブアリーナ)▼「2020 Champion Carnival」Aブロック公式戦
羆嵐
(1/30)
黒潮“イケメン”二郎▼「2020 Champion Carnival」Aブロック公式戦
ジェイク・リー
(1/30)
ゼウス▼「2020 Champion Carnival」Bブロック公式戦
芦野祥太郎
(1/30)
ヨシタツ▼「2020 Champion Carnival」Bブロック公式戦
石川修司
(1/30)
宮原健斗
■ 全日本プロレス 2020 Champion Carnival 最終戦
日時:10月5日(月)18:30
会場:東京・後楽園ホール▼「2020 Champion Carnival」優勝決定戦
Aブロック1位
(1/無)
Bブロック1位