あの音の作者はタイガー・ジェット・シン入場テーマ作曲者だったと話題に
あの音の作者がタイガー・ジェット・シン入場テーマ作曲者だったことが話題に。
ケータイ緊急地震速報の音の作者は小久保隆さん
ケータイ緊急地震速報の音の作者である小久保隆さんのインタビュー記事に、コブラさんが反応。
ちょっと待て!
緊急地震速報音の作者って、タイガー・ジェット・シンのテーマ作曲した小久保隆さんなのかよ!
非常事態を煽る音作りに長けてるわけだ!https://t.co/lhS0UKjoJd— コブラ@昭和プロレステーマ曲研究家 (@kokontezangetsu) May 6, 2020
“音のデザイナー”小久保隆「ケータイの緊急地震速報音は3キロヘルツ周辺に音を集約させています」
「ウィ!!ウィ!!ウィ!!」と鳴った瞬間、その場にさっと緊張感が走り、血圧は上昇し、(人によっては)恐怖で体が固まる、あのケータイの緊急地震速報「エリアメール」の警報音。その作者は、なんと“癒やし音楽”の巨匠だった!
「本当に、僕の予想以上に頻繁に鳴ってしまい……。皆さんを怖がらせて申し訳ない気持ちです」
まったくご自分の責任ではないのに、恐縮しながらそう語る小久保隆さんは、1970年代からシンセサイザーと電子音の分野で最先端を走り続けてきた音楽家。ヒーリングミュージックのCDを数多くリリースするとともに、六本木ヒルズアリーナや東京ディズニーリゾート「イクスピアリ」などの空間音楽を手がける「音環境デザイナー」としても活躍中だ。
――そもそもの話なんですが、あのおっかない音って「3・11」以前からあったんですね。
【小久保】ドコモさんから依頼を受けたのは2007年のことです。その年の年末からサービスが開始されたのですが、僕も一度も聞く機会がなくて。そして10年の5月に初めて自分の携帯からあの警報音が鳴って、「どこかで聞いたことがある」と思ったら、自分が作った音でして……。
(中略)
■小久保隆(こくぼ・たかし)
1956年生まれ、東京都出身。電気通信大学在学中の70年代後半より、日本でいち早くシンセサイザーを導入し、作曲・演奏活動をスタート。都市、オフィス、ミュージアムなどのパブリック空間の音環境デザイナーとして、また、プライベート空間に“癒やしの音楽”を提供するアーティストとして常に最前線で活躍中。株式会社スタジオ・イオン代表取締役。(2012年3月30日 15時30分 週プレNEWS)
話題になっていることを察知した小久保さんがレスをつける。
40年前に作ったタイガー・ジェット・シンのテーマと、13年前に作った緊急地震速報の音。両方とも緊急事態を煽る音だと、、、とほほ、申し訳ありません、、 https://t.co/0ahqw9hMfa
— 小久保隆 (@TakashiKokubo) May 7, 2020
確かに、両方とも緊急事態を煽る音(笑)。小久保さんが40年前のサーベルタイガー(新日本プロレス参戦時のタイガー・ジェット・シンの入場テーマ曲)、13年前の緊急地震速報の音を手掛ける。
ここ最近のファン向けにいうと飯塚高史状態となる。流れるテーマ曲、場内を暴れるタイガー・ジェット・シン。リングアナは「お気をつけください~お気をつけください~!!」。
周辺情報も。
なんと!携帯電話の緊急地震速報音の作者であり、タイガー・ジェット・シンのテーマ「サーベル・タイガー」の作曲者でもある小久保隆さんよりリプライを頂戴しました!
あのアンドレ・ザ・ジャイアントのテーマ「ジャイアント・プレス」の作曲にも、平沢進さんと共に関わられていたそうです! https://t.co/07fDqcwZrj
— コブラ@昭和プロレステーマ曲研究家 (@kokontezangetsu) May 7, 2020
ドキッとした後、落ち着いて次の行動へ移すキッカケにしてもらえたら
緊急地震速報の音の作成秘話。
【小久保】ただ、その前に3ヵ月近く、日本国内のあらゆる警報音について調べました。地震の警報音に必要な機能、効能は何か? その定義に3ヵ月かかったんです。「絶対に気づく音にしてください」というオーダーもありましたし。例えば、これまで聞いたことのあるような音では注意を喚起できないので、「聞いたことのない音」でないといけませんしね。
自分の中でたどり着いた結論はふたつあって。ひとつは、低音から高音への急激な変化を3回繰り返すこと。これはさまざまな警報音を聞くうち、3回の繰り返しに最も注意喚起力があることがわかったからです。もうひとつは、不自然な音の密度ですね。
――音の密度?
【小久保】ケータイのスピーカーというのは、決して上等なオーディオシステムではないし、非常時には電力もできるだけ使いたくない。その制約の中で人間にとって大きな音に感じるように、耳に一番残る音域、3キロヘルツ周辺に音を集約させています。
――あの警報音を聞いてドキッとするのは、3・11後の体験による刷り込みなのかな、とも思っていましたが、やはり音自体に「ドキッ」とする効果があるんですね。
【小久保】聞いた瞬間に「!」マークを感じさせないといけないので。ただ、ドキッとした後、不安に陥るのではなく、落ち着いて次の行動へ移すキッカケにしてもらえたらというのが、作り手としての願いです。実は、最初にドコモさんに提案した音は、低音から高音への変化がもっと急激でした。ところが、ドコモの方たちの感想は「これはさすがに怖すぎる」と。それで少し変化を緩めたのが今の音です。こんなに頻繁に鳴るようになって、あのときに皆さんの意見を聞いてよかったなあと(笑)。ただ、これほど頻繁に鳴るのだったら、もう少し音の変化が小さくてもよかったかなあなんて思ったりもしていますが……。
――そこは小久保さんの責任じゃないんですけどもね。でも、「絶対に気づく音」となりました。
【小久保】地震は、起きるときには起きてしまうものです。だからこそ自分にとってベストの準備をしておくことが大切だと思います。あの警報音は皆さんを不安にさせるためではなく、脳のモードを「注意」に切り替えてもらうための音だということはわかっていただきたいです。もちろん、鳴らないことが一番なんですけどもね……。
(2012年3月30日 15時30分 週プレNEWS)
「ドキッとした後、不安に陥るのではなく、落ち着いて次の行動へ移すキッカケにしてもらえたら」。十分な検討がされたうえで、何よりも大事な人命を守るために、今日も緊急地震速報の音は準備されているのだ。