高橋ヒロム「プロレスとは何? 考えさせられる試合」EVILの闘い方に言及
EVILvs.高橋ヒロム、ダブルタイトル戦が25日に迫った。ベルト戴冠となったものの、その無法ぶりが反感を買っているEVIL。これをぶち込んできたこと自体が新日本プロレスからの問いかけであり、まわりがどう受け身を取るかが問われている。23日に公開されたインタビューから、ヒロムの考えをクローズアップしてみたい。
反則が5カウントまで許される、そしてレフェリーが絶対的な権限を持っている
こういう展開があったからこそ、プロレスとは何かという基本が整理される。ヒロムがプロレスを定義する。
[【無料公開!】「ずっと闘いたかったEVIL、俺の“夢”も懸かっている。こんな最高の舞台はないですよ!」7.25愛知決戦目前! 高橋ヒロムにインタビュー! | 新日本プロレスリング]
――EVIL選手は7.12大阪城ではディック東郷選手の介入もあり、内藤選手から二冠王座を奪取しました。かつて内藤選手もIWGPヘビー初戴冠の際、同じような戦法を取っていたので、EVIL選手はあえてやったようにも思えますが、ヒロム選手はどう捉えていますか?
ヒロム そこがプロレスのルールの難しいところというか。反則が5カウントまで許される、そしてレフェリーが絶対的な権限を持っている。このふたつを利用し、EVILはベルトを手中に収めたわけで、その結果がすべてなんじゃないかなって俺は思います。ただ、EVILとしては、けして気持ちのいい勝ち方ではないと思いますけどね。
――というのは?
ヒロム 本人はどちらかというと、“そういうもの”を嫌ってきた人間だと思うので。L・I・Jにいたときの彼のファイトスタイルを観て、俺はそう思いますけどね。試合中にイスを使うことはあっても、最後は真っ向勝負でしたから。
――『NJC』からEVIL選手は手段を選ばないファイトスタイルになりましたが、そこにはある種の覚悟が見える気もしますが。
ヒロム う~ん。本人がこんな勝ち方で本当にうれしいのかなとは思いますけどね。でも、どんな勝ち方でも、勝ちは勝ちですから。「プロレスとはなんなんだ?」って、考えさせられる試合だったと思います。
“ルールを利用した結果が全て”でありつつ“レスラーの意思”が反映されるのがプロレス。この振り幅の中で、レスラーが闘い方をチョイスし、ファンが支持レスラーをチョイスする。この点を整理しつつ、EVILの意思の所在に揺さぶりをかけているヒロムが面白い。
もっと言うと、ファンは「いずれかのユニットの立場で喜怒哀楽をぶつける」もしくは「エンターテインメントとしての全体クオリティの優劣を論じる」どちらの楽しみ方でもよい。後者でいえば、どれだけの悪のバリエーションだったり本気度をEVILがクリエイトしてくれるかであって、進化が常に問われるという十字架をEVILは背負うこととなった。
「ベルトの価値は王者が築く」ってよく聞きますけど、俺にはシックリきてなくて
話題はベルトの価値に移る。
――ベルトの価値は王者が築く部分があると思いますが、EVIL選手が保持している二本のベルトは、ヒロム選手にはどう映っていますか?
ヒロム たしかに「ベルトの価値は王者が築く」ってよく聞きますけど、俺にはシックリきてなくて。逆にその言葉自体がベルトの価値を下げてる気がするんですよね。大前提としてIWGPとつくものは世界最高峰のものなんで、価値もクソもないというか。
――価値を築く云々ではなく、最高峰のものだ、と。
ヒロム 俺の中で新日本といえばIWGPジュニアヘビー、そしてIWGPヘビーのベルトなんですよ。この二つのベルトを、新日本のレスラーは目指すものだと思うし。言ってしまえば、誰が持ってようが、王者がどんな扱いをしようがどうでもいい。価値をどうこう言わずとも、そんなものあるに決まってるじゃないですか。世界最高峰のベルトに、わざわざ価値なんて言葉はいらないですよ。
内藤哲也ブレイクの歴史は、いわば「ベルトを追いかける」から「ベルトがついてくる」への転換だった。ダブルタイトル戴冠という夢も、「前代未聞」を達成したかった感が強い。この内藤と真逆の見方をヒロムが持っていることが興味深い。「勝利」を目指し続け、「勝利の称号」であるベルトにこだわることはプロレスのこれまた基本でもある。
もちろん、インタビュー中でオカダ・カズチカの存在感について語るヒロムであるから、オカダらが押し上げているベルト価値という側面も十分わかっているはず。それでもベルト戴冠意思を公言し、追い続けるところにヒロムのスタンスがあるのだ。
――『NEW JAPAN CUP』についても伺わせてください。ヒロム選手は、準決勝でオカダ・カズチカ選手に惜敗しました。試合後のオカダ選手からは、ヒロム選手の夢(IWGPジュニアを持ちながら、IWGPヘビー級王者を戴冠)に関して、「オマエがやろうとしてることは、そんな簡単にできることじゃないんだよ」という言葉がありましたね。
ヒロム ……響きましたよ。あの言葉は、もの凄い響きました。響きましたけど、簡単な夢だなんて一回も思ったことはないし、簡単な夢だったら見ないよって。簡単じゃないからドキドキするし、ワクワクするし、おもしろいんじゃないのかなと。俺はそう思います。
(中略)
ヒロム あと、俺はいままでさんざんIWGPヘビーのベルトを口にしてきましたけど、実際はその“距離”がわからなかったんです。
――IWGPヘビー級王座までの“距離”ですか。
ヒロム ハイ。でも、オカダ選手と戦ったことで、その夢の距離が初めて掴めたというか。「こんなに遠いのか、こんなに凄いのか……」って思いましたよ。でも、ジュニアとして、俺はそれをやり遂げなければと思っているので。なぜなら、「ジュニアはヘビーの下じゃない」って、俺はずっと言い続けてきましたから。
ジュニア王者のままヘビー戴冠という“夢”は、その“距離”を把握したことで現実に近づいた。
L・I・Jという、ベビーでもヒールでもないユニットの本当の怖さを・・・
ヤングライオン時代から苦楽をともにした2人の対決。
ともに新日不合格からの再受験組で生え抜き。もっとスケール大きく向き合う“関係”でありたいんじゃないかな。2013年4月2日『真夜中のハーリー&レイス』渡辺高章(現EVIL)、高橋広夢(現ヒロム)出演時のショットから。#njpw #njcup #njdominion #njroad #njsengokuhttps://t.co/7YYozTO4zE pic.twitter.com/wKRiW2NOD3
— カクトウログ📶プロレス/格闘技 (@kakutolog) July 13, 2020
どんな闘いになるのか!?
――EVIL選手は「アイツの攻撃パターンはお見通しだ」って発言していましたが、同門だったからこそ手の内を知られているという危機感は?
ヒロム べつに手の内も何も、お互い様でしょう。……というか、当日の俺は何をするか、わからないですよ? L・I・Jという、ベビーでもヒールでもないユニットの本当の怖さを教えてあげますよ。
この言葉の意味するところとは? これまで以上のEVIL・ヒロムが名古屋決戦では見れそうだ。
■新日本プロレス SENGOKU LORD in NAGOYA
日時:7月25日(土)18:00
会場:愛知・愛知県体育館(ドルフィンズアリーナ)<第1試合>
石森太二
(1/20)
上村優也<第2試合>
ゲイブリエル・キッド
辻陽太
矢野通
石井智宏
(1/20)
田口隆祐
小島聡
本間朋晃
真壁刀義<第3試合>
BUSHI
SANADA
内藤哲也
(1/30)
SHO
YOSHI-HASHI
後藤洋央紀<第4試合>
DOUKI
金丸義信
鈴木みのる
ザック・セイバーJr.
タイチ
(1/30)
マスター・ワト
天山広吉
永田裕志
飯伏幸太
棚橋弘至<第5試合>
高橋裕二郎
(1/60)
オカダ・カズチカ<第6試合/NEVER無差別級選手権試合>
[挑戦者] エル・デスペラード
(1/60)
鷹木信悟
[第29代王者] ※鷹木が3度目の防衛戦<第7試合/IWGPヘビー級・IWGPインターコンチネンタルダブル選手権試合>
[挑戦者] 高橋ヒロム
(1/60)
EVIL
[第71代IWGPヘビー級&第25代IWGPインターコンチネンタル王者] ※EVILが初防衛戦