今年9か月間で米国11大会は国内軽視!? メイ社長、ファンの気持ち受け止めつつ「選手がプロレスに集中できる環境を守り続ける」
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日本時間7日のテキサス州ダラス大会中に、新日本プロレスが米東海岸での9月3大会開催を発表した。
【電撃決定!】
9月下旬、今度は“東海岸3都市”でアメリカ大会を連続開催!・今年の『FIGHTING SPIRIT UNLEASHED』はボストン、ニューヨーク、フィラデルフィア!
・ニューヨーク大会ではタイガー服部レフェリーのファイナルカウントダウンセレモニーも実施!!#njpw #njFSU pic.twitter.com/eazVTnTMwp— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) 2019年7月7日
今年9か月間で米国での開催は11大会となる。
<終了している大会>
▼THE NEW BEGINNING USA
1月30日(水)アメリカ・Globe Theatre Los Angeles
2月1日(金)アメリカ・Grady Cole Center
2月2日(土)アメリカ・War Memorial Auditorium▼G1 SUPERCARD
4月6日(土)アメリカ・マディソン・スクエア・ガーデン▼NJPW SOUTHERN SHOWDOWN
6月29日(土)オーストラリア・メルボルン・フェスティバルホール
6月30日(日)オーストラリア・シドニー ニューサウスウェールズ大学 ラウンドハウス▼HEIWA Presents G1 CLIMAX 29
7月7日(日)アメリカ・アメリカン・エアラインズ・センター<これから実施>
▼SUPER J-CUP 2019
8月22日(木)アメリカ・Temple Theater(ワシントン州シアトル/タコマ)
8月24日(土)アメリカ・SF University Student Life Events Center(カリフォルニア州サンフランシスコ)
8月25日(日)アメリカ・Walter Pyramid(カリフォルニア州ロサンゼルス/ロングビーチ)▼NJPW Royal Quest
8月31日(土)イギリス・ロンドン・ザ・カッパー ボックス▼FIGHTING SPIRIT UNLEASHED
9月27日(金)アメリカ・マサチューセッツ州ボストン/ローウェル・Lowell Memorial Auditorium
9月28日(土)アメリカ・ニューヨーク州ニューヨーク・Manhattan Center Hammerstein Ballroom
9月29日(日)アメリカ・ペンシルバニア州フィラデルフィア・2300 Arena
新日本プロレス公式Twitterに寄せられたファンの声。
<肯定系>
・海外進出は誇らしい。競合団体がある以上、海外重視は当然である。
(海外においても存在感を高めて、動画配信サービス契約の呼び水にすることは有効)・地方興行での収益性があるならとっくにやっているのでは。昔の新日本に比べれば地方興行の内容も格段に良くなっている。
<否定系>
・海外進出に目を向けすぎ。地方大会の重視を。
(もっと地方に来てほしいという要望もあれば、「地方の巡業」という風景を守ってほしいというニュアンスのものも)・選手への負担が心配。
<提案系>
・所属レスラー、提携団体、LA道場勢による米国興行は十分に恒常化できる。近い将来には定期的に米国ビッグマッチをやってよいのでは。
・複数ブランドによる別興行で地方興行を展開して、ビッグマッチは合同にするとよい。
改革に賛否は伴うのは当然だが、メイ社長がさっそくコラムで見解を出している。
ところで昨日「9月下旬にアメリカ東海岸3都市で大会開催」と2回公式がツイートしたところ、たくさんリプライがありましたが、ほとんどが「国内を軽視」「海外進出よりもまずやることがあるだろ」といった否定的な内容で、悲しくなりました。なぜ海外に行くのか?という点についてはこのコラムでも何度か説明をしましたが、「海外にもちょっとトライしてみようかな?」というような軽い気持ちや利益追求に走っているわけではなくて、「日本以外の市場でも広がっていかないと新日本プロレスは将来、生き延びていけない」と考えているからです。
日本発祥で世界的に人気の自動車メーカーや家電メーカーがありますが、これらの企業も海外進出当初は社内外から色々言われたはずです。「日本が手薄になる」「海外に行くのは年に1、2回ぐらいでいい」「日本の会社でしょ」と。現在、日本の某自動車会社の総生産台数の8割は海外市場向けで、日本人が買っているのはわずか2割です。人口減少が進み経済規模も縮小している日本で「ほぼ国内だけで商売する」という方針では、もはや継続は不可能です。多くの選手やスタッフを抱える新日本プロレスも同じです。また、競争力が低いとグローバル化が進む現代では、海外の資本力のある企業に淘汰され、あるいは買収されて消滅する可能性が高くなります。
正直に言いますと、海外で興行を行うのは日本で興行を行うより10倍ぐらい困難が伴い大変です。国によって必要な手続きもトラブルの原因もビザも違う。慣れない会場で大きなリングを日本とほぼ差異がないレベルで時間通りに設置するだけでも容易なことではありません。地球の反対側の興行が無事に始まるかどうか、無事に終了するかどうか常にスタンバイし緊張の連続です。企業として海外での経験値やデータが圧倒的に少ない中で、それでも海外での興行を続けているのは、多少の失敗やトラブルが起こっても委縮せずに、苦い経験を糧にして着実に力をつけていかないと未来がないと考えているからです。団体が遠くに行ってしまうようなさみしさを日本のファンの方がお感じになるのは当然だと思いますが、時代の変化に柔軟に対応していかないと今のような状態を継続して維持することがいずれできなくなります。日本から試合をネット配信するだけでは、選手がプロレスに集中できる環境を守り続けることもできなくなるのです。
1都市で1大会だけの開催ではなく、9月27日から29日まで東海岸の3都市で3日連続して大会を開催することを疑問視する声もありましたが、一度の渡航で大会が複数回あると移動・輸送・手続きなどにかかる一回あたりのコストをセーブできるうえ、より多くのファンの方に会えます。新日本プロレスを一度直接会場で観てみたいと思う方が今や世界各地にいらっしゃるので、その方たちの気持ちにも応えたいのです。また、昨日ダラスの大きな会場で大歓声を受け、リング上の選手が喜びを隠せない表情で会場を見渡す瞬間がありましたが、選手の負担増を心配していただくだけでなく「暗黒期を乗り越えてついに世界のここまで来られた」という喜びもそこにあることをご理解いただければと思います。ちなみに海外興行の中には様々な規模・コンセプトの大会があり、全選手が毎回参戦するわけではありません。
日本のすべてのファンの方に理解をしてもらうのは難しいと思いますが、社内の担当者たちが少数精鋭で血のにじむような努力を重ね、毎回海外興行を成立させていますので、少しこの場をお借りしてご説明しなければと思いました。今は未来に向かって懸命に種まきをしている段階です。国内で手を抜いているなんて一切ありません。新日本プロレスが遠くに行き日本から軸足が離れるわけでもありません。興行の半分以上が海外で開催といったことも起こりません。進化しなければならないところはありますが、守り続けなければならないところはしっかり区別しています。今までの事と未来のための事、2つのバランスを取りながら歩むのはたやすいことではありませんが、各選手の健康状態や要望にも配慮しながら一つ一つ計画を立てておりますので、どうか温かく見守っていただきたいと思います。
これほどタイムリーに見解を出し、奮闘する社員をバックアップしていくメイ社長の姿勢が素晴らしい。引用した全文を読んでいただきたいのだが、特に思いは「団体が遠くに行ってしまうようなさみしさを日本のファンの方がお感じになるのは当然だと思いますが、時代の変化に柔軟に対応していかないと今のような状態を継続して維持することがいずれできなくなります。日本から試合をネット配信するだけでは、選手がプロレスに集中できる環境を守り続けることもできなくなるのです」に集約されている。
補足すれば、昨今の新日本プロレスでは主力選手であってもシリーズにより休ませるなど選手負担には配慮している。トップ選手や幹部含めて、この点についても意見交換をしているのではないかと思う。
ボクの意見としては、G1はAブロック・Bブロック別の巡業でもよいのではと思う(大都市での2連戦各ブロック開催含む)。そうすれば最終日以外の18大会が、選手にとっては9大会でよくなる。前半の多人数タッグマッチは減らしていいと思うし、闘いのクオリティも高まる。ただ、ファンにとってはスター選手が半分しか見れないのがネックとなり、団体サイドも観客数が心配になるということなのだろう。逆に言うと、そういった抜本的な国内での伸びしろを見込むことができない以上は海外にチップを張るのは必然なのではないかなぁ。
少し脱線したが、ボクがメイ社長の見解を肯定するのには根本的な理由がある。プロレスというのは、レスラーが「このジャンルが好きでやっている」というのが誇るべきジャンル。一方で、限られた現役生活ともなる。もっと現役期間中に一生分の収入が得られるジャンルになってほしいし、それだけのものを提供しているのがプロレス。新日本のチャレンジは、ジャンルとしてのチャレンジなのだ。
>> 新日本プロレス公式サイト
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