コロナ禍のステージ上がる 「プロレスは大丈夫」がなくなったショック
9日、新日本プロレスが「選手の新型コロナウイルス陽性に関しまして」との発信を行った。
新日で陽性者9人のクラスター発生 国内最大手団体の感染ゼロが1年半でストップ
同一場所で5人以上の発生を一般的にクラスターとするが、新日本での陽性者は9人となった。
【お知らせ】選手の新型コロナウイルス陽性に関しましてhttps://t.co/quSAwq3VNN#njpw pic.twitter.com/JxjE5DdldG
— 新日本プロレスリング株式会社 (@njpw1972) May 9, 2021
5月4日福岡大会以降、シリーズ帯同の全選手を対象に実施したPCR検査にて、選手7名が新たに新型コロナウイルス陽性判定を受けましたので、ご報告いたします。
既報通り、5月4日福岡国際センター大会の午前中に発熱のあった選手2名を新型コロナウイルス判定基準に従って検査したところ2名とも陽性となりました。その後、濃厚接触者を含むシリーズ帯同の全選手に対して行ったPCR検査の結果、新たに選手7名の陽性が判明いたしました。
現在、陽性判定を受けた全選手が軽症もしくは無症状ではありますが、保健所、医療機関の指導の下、隔離措置の上、治療に専念してまいります。
新日本プロレスではこれまで、専門家の指導を踏まえ作成した対策ポリシーに基づき、日常的な体温、血中酸素飽和濃度の把握、定期的なPCR検査等をはじめとした事前対策とあわせ、巡業中には会場入りの際の検温、練習中や控室でのマスク着用義務化、弁当形式の夕食を支給しての夜間外出自粛等を実践してまいりましたが、今回の事象を重く受け止め、更なる感染対策の強化に努めてまいります。
ファンの皆様、関係者の皆様には多大なるご迷惑とご心配をお掛けしてしまい、大変申し訳ございません。何卒、よろしくお願いいたします。
新日本プロレスリング株式会社
コンタクトスポーツであるプロレスで最大手団体である新日本プロレスが、よくぞここまで感染ゼロを維持できたものだ。その取り組みにはリスペクトしかないし、責任を全うしたことは間違いない。それでありつつ、昨今の変異株の影響と推察されるが、コロナ禍のステージが上がったことを実感せざるを得ない。
なお世界に目を向けると、WWEには2020年6月に30人以上のクラスター発生の事例はある。感染が広がりやすいスポーツであることは常に前提ではある。
エンターテインメントの歩みを止めない その思いの拠り所が“クラスターなし”だったが…
新日本には他団体と同様に“スポーツ、エンターテインメント界をコロナ禍でも止めない”という自負があった。コロナ禍に突入してからの1年半、ファンは“観戦見送り組”と“感染防止に協力しながら観戦組”に分かれてきた。後者のファンにとっては、観戦に踏み切る拠り所として、プロレス界で選手にも観客にもクラスター発生がないことがあった。
「プロレスをやることで感染は起きないじゃないか、大丈夫だ」というロジックがあったわけで、これが崩れたことはショックではある。対策は抜本的にはワクチンが整備されなければ万全に近づかず、当面は「やれるべきことはやる」しかないのがやっかいなところ。
練習量が落ちてしまってはコンディション低下やケガリスクを招いてしまうし、分散移動はコスト増に直結する。試合数が減ってしまえば、興行のグレードが落ちる。プロレス興行にとって、ますますの受難が続いていく。
「3週間」に渡るツアーだったが5・4福岡での欠場判断は「3日前」までの対戦選手に限定
ウイルスの潜伏期間が最長2週間とも言われ、通常は2週間以内の接触が問われる。新日本は「3週間」に渡るツアーだったが、5・4福岡での欠場判断は「3日前」までの対戦選手に限定された。
発熱が確認された選手と5月1日別府大会以降に試合をした選手も、ただいま検査を受診中で、大事を取り本日の試合を欠場させていただくことになりました。
(5・4福岡国際センター/新日本公式)
その結果、発熱含む欠場選手である6選手を上回る9選手が陽性判定となった(欠場選手以外の陽性判定選手が5・4福岡大会に出場していたかどうかは不明)。「5月1日別府大会以降に試合」との限定がなされたことには異論もあって当然だろう。
これも対策でありリスク分散か ウィル・オスプレイらが福岡どんたく翌朝に空路で帰京
棚橋の「いろんなことをね、あやふやにせず、ファンの方、今日、払い戻しに対応したりとかね、会社としてどうあるべきかってところをね、いま問われてると思う」発言が話題ともなった。
棚橋「今シリーズ、最終戦まで、ほんとにね、3週間(という)長いシリーズで、(途中リタイアするような)ケガ人もなくこれて、って状況だったんですけど、今日ね、発熱した選手が出てね……。まあ、気をつけて生活していても、こういうことは起こりうるんだなっていう。ってことを思いましたし、そんな中でね、新日本プロレスがどういう対応していくかってことが、これからこういう時代を生きていく、会社としての方針、姿勢っていうものをね、しっかり打ち出していかないといけない時期なんで、いろんなことをね、あやふやにせず、ファンの方、今日、払い戻しに対応したりとかね、会社としてどうあるべきかってところをね、いま問われてると思うんでね、そのへんをしっかりしたうえで、したうえで、そういうことを全部クリアしてから、プロレスに没頭してほしい。
僕たちはプロレスを楽しんでもらうことが喜びなんで。それをかなえるためには、前の段階であらゆることに配慮して、心配なく、気兼ねなく、ストレス発散、なんでもいい、好きな選手を応援する、そういうことができる新日本プロレスでありたいと思うし、これからもますます気をつけてね、いきたいと思います。昨日ベルトを失いましたけど、まあ、また取り返せばいいじゃん(※笑みを漏らす)。今シリーズを走り抜けて、(※割れた腹筋をアピールするポーズを取りながら)コンディションも保てた。いい形で。次につながるんで。プロレスはね。点じゃないから。線だから。つないでいきます」
(5・4福岡国際センター/新日本公式)
このあたり、棚橋なりに考える会社対応の在り方があるのかもしれない。棚橋はブログでも、ここのところ自身に言い聞かせるように支給弁当やコンビニ飯の写真をアップしていることが多かった。
各団体には、意見を出し合って、現場にも納得感のあるプロレス運営でファンを安心させることをお願いしたい。
5・4福岡国際センター大会から一夜明けの朝。福岡空港では、羽田行きの便に少なくともウィル・オスプレイ、アーロン・ヘナーレ、タマ・トンガ、タンガ・ロアが乗り込む様子が目撃されている。
ツアーというとバス移動が想像されるが、こういった空路利用も対策でありリスク分散となる。メイン級選手はこうした常時別移動も視野にすべきかもしれない。
とにかく、これからがますます大変。5月スタジアム2大会は延期となったが、未来につながる仕切り直しを待つばかりだ。