青野未来「自分に噓をつきたくない」 現代プロレスに抗うリアルな輝き
9日、マリーゴールドが『Marigold GRAND DESTINY2025』両国国技館大会の直前会見を行った。同大会の全対戦カードなどが発表となった。マリーゴールド・ワールド選手権試合において王者・林下詩美に挑む青野未来(DREAM✴STAR GP 2025覇者)に会見後、話を聞く。
(会見)林下詩美「夢、終わらせないので。青野未来を引き出して、そのうえでリングに沈めたい」
<第8試合/マリーゴールド・ワールド選手権試合>
〈王者〉林下詩美 vs 〈挑戦者〉青野未来
※王者の林下詩美は5度目の防衛戦

青野 マリーゴールド背番号39番、青野未来です。この深紅のベルト、ワールド王座への挑戦は、私にとってここまでマリーゴールドで積み上げてきたもの、その集大成となるような試合にしたいなと思っています。(旗揚げから)ここまでの1年5か月、休みなく上がってきました。マリーゴールドへの思いもどんどんどんどん強くなり、初代ユナイテッドナショナル王者になり、高橋奈七永選手の引退試合の相手も務め、そして今年、DREAM✴STAR GPで優勝。ここまで積み重ねてきたもの、そして私の次の夢がこのワールド王者です。ここまでやってきたことを証明するのに、私はこの結果を出すことが本当に大切だと思っています。
そして林下詩美。尊敬する部分がたくさんあって、本当に強いし、かっこよくて、カリスマ性もあって、知名度もあって。私がほしいものたくさん持ってるんですよね。嫉妬する部分もありますけど。でもそんな選手が持っているベルトに挑戦できるって最高だなって思うし。これまでの4度の防衛戦、すごい闘いたくさんしてきて、このベルトがさらに輝いたことは間違いないです。ありがとう。そのベルトを私が奪って、そして私が新しいマリーゴールドの夢を見せられると思うんで。私が夢を見せたいと思います。詩美、王者としておつかれさまでした。私が今までの青野未来で林下詩美に勝つか、新しい青野未来で勝つか。それは林下詩美次第だと思っています。
林下 マリーゴールドワールドチャンピオンの林下詩美です。私も青野未来の好きなところ、素敵なところたくさん知っています。心の奥まで見透かすようなまっすぐな目だったり、力強い言葉だったり、すべてが羨ましくて、本当に妬ましいなと思います。私にないものいっぱい持ってる人に褒められても、私は素直に喜べないですね。新しい青野未来、今まで見せたことのないような青野未来を自分で出せないようだったら、私が全て引き出して、そのうえでこのベルトを守り抜きたいと思います。
まだまだ林下詩美の夢、終わらせないので。両国大会、このワールド戦は順番的には最後の試合とはなりませんでしたが、ワールドの価値はまだまだ自分が高めていきたいと思っています。まだまだこのベルトとともに、私は歩んでいきたいと思っています。両国大会、新しい青野未来、今までの青野未来、すべてを引き出して、そのうえでリングに沈めたいと思います。
(インタビュー)青野「旗揚げ当初は悔しいときもありました。物差しがやっぱりスターダムで」
カクトウログ DREAM✴STAR GPの優勝決定戦(9・14後楽園でビクトリア弓月を破る)。最後に高橋奈七永さんの技、ワンセコンドEXを出したんですけど、決着がつけられないなら、最後はあの技で…って思いはあったんですか。
青野未来 ありましたね。奈七永さんがすごく大事にしていた技ですし、絶対にそれは決められるときにしか出したくないなっていうのもありますし。そこまで相手を追い詰めなきゃいけないなっていうのもあって。奥の手じゃないですけど、そういう武器にしていきたいなと思ってます。

カク スターダム(国内で女子筆頭知名度の団体)所属経験のない日本人選手がマリーゴールド・ワールド王座に挑戦するのは初めてとなります(王座決定戦を除く)。スターダムの“分家”ではないマリーゴールド(2024年5月旗揚げ)の独自の色合いを出していく王座戦ともいえると思います。
青野 団体旗揚げ当初は比べられることも多くて、悔しいときもありました。物差しがやっぱりスターダムで。『その人とこれだけやれる』『なかなかやるやん』みたいな感じの見られ方だったので。もちろん、それはしょうがないんですけど、私が本当に無名だったので。そういうところで悔しさもあったんですけど。でもそのおかげで逆に(試合内容を)認めてもらえたっていう部分もあるので。そこがあったからこそ、今の自分がいるなってのは思ってます。
※マリーゴールドはスターダムを当時退団した5選手が中心となる中で、青野らアクトレス・ガールズからの移籍組も合流しての旗揚げとなる。アクトレスはスターダムに有力選手を輩出しているという関係性もある。
カク まわりからの声があった。
青野 もう全然言われます。もう悪気なく言われます。(スターダム出身の)MIRAI選手と何度もドローになったときも『MIRAIさんとここまでやれるとは思わなかった』みたいなのが。いい意味で言ってくれるけど、それってこう、下に見られてたんだなっていうのももちろんあるし。でも、しょうがないことだなと思うんです、知らないから。
カク 悪気はないところがやっかいでもあり。
青野 そうですね、そういうのもあって(笑)。
カク 試合スタイルとしては力強さやグラウンドを大事にしているように感じます。こだわりや誰かへの憧れがあるんでしょうか。
青野 私はプロレスを知らずにプロレスラーになったので。
※芸能活動をしていた青野はプロレス入りを勧められ、当初は「役者としての自分の武器に」との気持ちもあって2017年6月、アクトレスガールズでデビュー。体制変更に伴い2021年12月、アクトレスに残るかどうかという話になるも『青野が辞めるならアクトレス自体の活動を辞める』との方向性だったこともあり、責任感などから残留した。
青野 やりながらいろんなことを学んで、今の自分になったんですけど。もともとナチュラルパワーが強くて(笑)、子供のときから力がある方だったので、そういうところは今もすごく生きているので、もう最初デビューした当時からパワーファイター。でも見た目がそんなに大きくはないので、そんなふうに見られなくて『えっ、本当?』って感じになってたんですけど。でも、その力を生かして、そこをちゃんと説得力があるようにしたいなっていう思いでやってきたので。パワーでは負けたくないなっていうところはあります。
カク そうした力でMIRAI選手、高橋奈七永選手、ボジラ選手、桜井麻衣選手と渡り合ってきました。ワールド戦は集大成的な闘いになる。

青野 (しみじみ)そうですね、本当に。でかい選手もたくさんいた中で、それを乗り越えてこれたっていうのはすごく自分の自信にもなりました。林下詩美はボジラにも奈七永さんにも勝ってるんですよね。同じだけ詩美も経験してる。初めてのシングルを詩美とできることで、そこがぶつかり合ったらどっちが本当にチャンピオンにふさわしいかというか、強さをしっかり証明できる試合なのかなとは思っています。
カク リーグ戦では引き分けた相手が桜井麻衣選手とMIRAI選手。ワールド戴冠後には桜井戦という思いもありますか。
青野 もちろんです。私、1月に桜井からベルトを取られてるっていうのもあるので、久しぶりにリーグ戦でシングルして引き分けっていうのもやっぱり悔しいので。そこはしっかり決着つけたいし。桜井は私がデビュー戦の相手をした相手でもあるので、そこを負けっぱなしではいられないなっていう。また2人でベルトを持って闘えたら、また新しい闘いになるんじゃないかなっていうのも、楽しみでもあります。
カク タイトル戦で負けた試合でのサクライコールへの悔しさも口にされてましたね。
青野 そうなんですよ。めちゃくちゃ悔しかったんですよ。でも…そのときはそう思ったんですけど、桜井が応援されてるってことは、シンプルに『桜井に獲ってほしい』もあるとは思うんですけど、自分がそこまで桜井を追い込んだっていうことでもあると思うし。
カク なるほど。
青野 それでそんなに落ち込むことでもないとも思い直して。ただ、応援される選手ではいたいし、お客さんの応援があればメンタル的に力になるので、惹きつけられる選手にはなりたいです。

カク DREAM✴STAR GPの開幕日にはMIRAI選手と引き分けた試合、マリーゴールドとしてのクオリティを感じました。また交わりたい。
青野 もちろんですよ~。もっともっと闘いたかったっていうのが正直なところではあるので。でもリングはね、つながってるってところを信じて。自分はここで、この場所でさらに大きくなってMIRAIは自分のやりたいことをこれからやるわけなので、お互いに成長してやれたらなって思います。
カク あとリーグ戦で負けてる相手(松井珠紗)がいて。
青野 はい、そうなんですよ。開幕日に。
カク もうアクトレス出身という区分はしなくてもいいかもしれませんが、青野選手が戴冠、松井珠紗選手が挑戦表明となると、アクトレス勢同士のワールド戦という新局面にはなります。
青野 挑戦となれば受けて立ちます。すごく楽しそうにプロレスしてる。ダークネスレボリューションに行くときは『なんでだよ』っていう気持ちが強かったんですけど、本当に楽しそうにやってる。よりプロレスが好きになってるんだなっていうのも感じますし、自分の個性を生かしながら、プロレス脳がすごく高い選手だなっていうのは思いますね。
(インタビュー)青野「(現代プロレスは)そういうのが話題につながる、それで面白くなるのはわかる。でも…」
カク 青野選手はDREAM✴STAR GPを制した際に「マリーゴールド愛」ということをおっしゃってました。青野選手には、人のことを悪く言わない印象があります。相手を批判してバズらせるところが現代プロレスにはある中で。
青野 あまりそういうのが得意じゃなくて。そういうのが話題につながるっていうのはわかる、それで面白くなるのもわかるし。でも…自分に嘘をつきたくない。嘘をつくのってけっこうしんどいじゃないですか。実際、今日の会見でも、林下詩美に対して本当にそこまで見つけられないぐらい、すごい尊敬する部分があるなっていうところなんですよ。なんかもっとあって欲しいんですよ、逆に。なんかあってほしいんです(笑)。
カク 批判する切り口が。
青野 はい。でも、そういう(尊敬するところが多い)林下詩美だから挑戦したいって思えるし。彼女が強ければ強いほど、私が獲ったときにより輝けるじゃないですか。だからプラスですね、全部。Sareee選手がベルト持っていたときだったらまた違う気持ちになった可能性もあるんですけど、あえてやってるわけでもないです。
カク 自然にそうなっちゃっている。
青野 はい。
カク 今日の会見だと、お互いに対して『いいところをたくさん持ってる』と明かす会話でした。そのうえで新しい青野未来を出していくことがテーマになっています。
青野 どんどん新しくなっていかなきゃいけないなとは思うので、この試合で何か新しいものが出たらいいなっていうのはあります。

カク リーグ戦途中での後楽園でのバックステージ、野生的な目つきでコメントを出してて、あのときちょっと、青野選手の新しい感じを感じました。
青野 そうですか、嬉しい。開幕日が負けと引き分け、以降はリーグ戦の日程が開いていたので。早く次やりたいっていう気持ちもあったんですけど、そこで冷静にいろんな選手の闘いを見てて、準備もできたし、ようやく闘えた嬉しさもあったし。奈七永さんからいただいたものもたくさんあったりとか、いろんなことが積み重なっててどんどん上がってるって意識もあるんで。
カク 闘いに飢えていたところもあったんですか。
青野 しばらく入場式だけ出て公式戦はないっていう…不思議な感じでした(笑)。
カク 今日の会見での『おつかれさまでした』という言葉は、青野選手のスタンスからは踏み込んで出された言葉のようにも感じました。
青野 ああ、本当ですか。
カク プロレス界的には、あなたの役目を終わらせるという挑発の言葉で。
青野 詩美ってずっとあの感じだから、余裕ぶってるときはちょっとムカつくときあるんですよ。そこに気持ちを込めて『おつかれさま』と。
カク 頑張って出してみたところも…?
青野 頑張ってないです、頑張ってないです(笑)。ナチュラルです、思ってる。これからのマリーゴールド、『やっぱり林下詩美が強いんだ』のままではつまらないんじゃないかなという思いはありますね。新しい景色を見せることが、私のマリーゴールド愛です。

リーグ戦『DREAM✴︎STAR GP2025』は逸材の2連覇でもアイコンの初制覇でもなかった。9月14日、優勝決定戦を制したのは“Brilliant Future”青野未来。
いわゆる見出し映えする言葉を出すタイプではない。相手を見下したり挑発したりという感じがしない。優勝決定戦後のバックステージでも「私はこのマリーゴールドに対する愛は、誰よりも強いと自負しています」との主張となる。その響きには強烈な新鮮さを感じた。
その点を含めてのインタビュー。相手を批判してバズらせる現代プロレスへの見解を問うと、青野はストレートに「そういうのが話題につながるっていうのはわかる、それで面白くなるのもわかるし。でも…自分に嘘をつきたくない。嘘をつくのってけっこうしんどいじゃないですか」と返す。
プロレス本来の魅力は、相手の強さを引き出しに引き出して、そのうえで勝つことにある。それを会見でも試合でも実践できるのが、今回の顔合わせの林下と青野ともいえる。マリーゴールド旗揚げから1年5か月での両国決戦。現代プロレスに抗うリアルな輝きを掲げたマリーゴールド・ワールド選手権試合は、10月26日にゴングが鳴る。
(全対戦カード&試合順)マリーゴールド Marigold GRAND DESTINY2025 10月26日(日)両国国技館
越野SYOKO.(こしの・しょうこ)がマリーゴールドに新たに入団となる。歌手、マルチタレントとしての経歴あり。「夢を叶えるとき。見ていてください!!」

■マリーゴールド Marigold GRAND DESTINY2025
日時:10月26日(日)14:30
会場:東京・両国国技館
PPVチケット料金
UNIVERSE会員価格:4,000円(税込)
無料会員価格:5,000円(税込)
https://www.wrestle-universe.com/ja/lives/ddLPiskNP8SDHcifB8b5WR?utm
<第1試合/二世showdown>
田中きずなwith府川唯未 vs 心希with大向美智子

<第2試合/ガントレッド・タッグマッチ>
出場チーム…石川奈青&ハミングバード、勇気みなみ&橘渚、南小桃&山﨑裕花、ちゃんよた&山中絵里奈、野崎渚&瀬戸レア、越野SYOKO.&当日発表
※通常のタッグマッチで勝ち残りルールで最後まで勝ち抜いたチームの勝利となる。通常のプロレスルールに加えオーバー・ザ・トップロープを採用。出場順は入場テーマ曲で判明します。

<第3試合/シングルマッチ>
メガトンvs 大物M

<第4試合/シングルマッチ>
後藤智香 vs 大物S

<第5試合/ツインスター選手権試合>
〈王者チーム〉川畑梨瑚&Maria vs
〈挑戦者チーム〉松井珠紗&CHIAKI
※王者チームのマゼンタは2度目の防衛戦


<第6試合/ザッツ・レスリング>
山岡聖怜 vs 橋本千紘(センダイガールズ)

<第7試合/ユナイテッド・ナショナル選手権試合>
〈王者〉桜井麻衣 vs 〈挑戦者〉ビクトリア弓月
※王者の桜井麻衣は7度目の防衛戦

<第8試合/マリーゴールド・ワールド選手権試合>
〈王者〉林下詩美 vs 〈挑戦者〉青野未来
※王者の林下詩美は5度目の防衛戦
<第9試合/The Dream Destiny>
岩谷麻優 vsイヨ・スカイ(WWE)
※7年半ぶり8度目の対戦、過去はイヨが紫雷イオとして3勝2敗2引き分け


















