鈴木みのる「『覚えとけよ』って言われた」 大会後の髙山善廣からの電話
インタビューを終え、「写真を撮らせてください」と声をかける。こちらからなにかをリクエストしたわけではない。
そこに言葉は必要なかった。鈴木みのるは迷わず商品棚に向かい髙山善廣支援のTシャツを2枚セレクトする。そして、もう一方の手を突き上げた。
ノーフィアーのポーズとともに。「帝王」とファンの間には、ともに駆け抜けてきた時間がある。「帝王」と「世界一性格の悪い男」の間には、語り尽くせない、かけがえのない絆がある。
大盛況のうちに幕を閉じた、7日の『TAKAYAMANIA EMPIRE Ⅳ』後楽園ホール大会。大会を率いたみのるに、そのリングを終えた思いを聞いた。14日、原宿パイルドライバーにてカクトウログ独自取材。
(大会当日速報はコチラ:髙山善廣支援9・7後楽園 TAKAYAMANIA EMPIRE Ⅳ)
いろんなしがらみがある? 「柴田(勝頼)がAEW以外に出るのはTAKAYAMANIAだけ」
カクトウログ TAKAYAMANIA大会のエンディングは鈴木選手からの赤いちゃんちゃんこプレゼントでした。
鈴木みのる 今年なにやってやろうかなって、まあまあいろんなこと考えたんだけど。その中で『ちゃんちゃんこ着るかな』とか、向かいの296や(石原真)マネージャーと話をしてて。『つくっちゃお』『オリジナルでつくっちゃお』ってなって。コスチューム屋さんにお願いして、それも協力という形で『TAKAYAMANIAに私も参加したい』ということで。無償でつくってくれたんで。
カク そのちゃんちゃんこを袋から取り出したとき、髙山選手の顔が。
みのる こんなになってたね(口をとがらせるように開けた表情を再現)。『フザケンナヨ』って感じでね。



カク バックステージで髙山選手が「こういうイタズラは本当は俺の方が得意だったんじゃない? やられました」と。
みのる アイツのいやがるところを突くから。髙山に『着てよ』って言ったら絶対に『やだよ』で終わっちゃうんで。
カク 本当に数人しか知らなくてやったと。
みのる そうそうそうそう。
カク 髙山選手と大会の後になにかお話しされましたか。
みのる 電話がかかってきたよ。
髙山【ちゃんちゃんこ、ありがとうございます】
みのる【誰かに言わされてんの】
髙山【いや、すごい恥ずかしいけど、でも実際は嬉しかった。いきなりだったからね。後楽園のみんなにハッピーバースデーも歌ってもらったし】
カク 本人もおっしゃっていましたけど、ジャイアント馬場さんが着ていたイメージもあります。
みのる 猪木さんが60のときはちゃんちゃんことかよりもタオルだなんだって違うものでやってたから、髙山本人はそっち行こうとしたら馬場さんの方になった。【ただ、覚えとけよ】って言われました(笑)。まあでも、2年後の俺、変わらずピンピンしてるんで。
カク ご自身は着るかもしれないですか。
みのる 着るつもりもないけど。自分で自分の歳、わかんねえもん、俺。意識ないんで。コトナなんで。知ってるコトナ。
カク はい。
みのる 30年以上昔に前田(日明)さんがつくった日本語。大人のフリをした子ども。
カク いろんな言葉をつくってます。
みのる まあ話がそれるけど、前田さんもそうだし、天龍(源一郎)さんとか、俺が思うに武藤(敬司)さん、言葉を持ってるよね、独自のね。あと長州(力)さん。時代になにか残す人は言葉にカタチがあるっていうか。独自の言語で表現できるだなあと思いますね。若い選手なんか真似してかっこつけて言ったりとか。あの人らたぶん、なにもかっこつけてないのよ、俺が思う限り。そんなに頭よくないと思うんだけど(笑)計算してやるような人たちではないんで。なんかイメージしたものをポンって言葉にできるんだろうなと思う。
カク TAKAYAMANIA大会の最後にも、鈴木選手が「愛は地球を救わねえけど、プロレスファンは髙山を生かすんだ!!」と言われてました。
みのる アレもぜんぜん用意もしてないし。なんか、つい出ちゃった言葉。たぶん、みんなに『ありがとう』って言いたかったかな。プロレスファンがアイツのことを生かしてくれてるのは間違いないんで。
カク 刺さるメッセージではありました。
みのる だから計算してないって(笑)。
カク 大会の場であったり、会見の場であったり、なんか引っかかりをつくらなきゃいけないなみたいなのは、武藤さんがよく、そんな感じでふるまってますね。
みのる 考えてないと思うよ。だから天才なんじゃない? うまくいけば天才。失敗すれば的外れ。バカだアホだ呼ばわりされる。後者のように言う人の方が実は多いじゃないですか。でも、そんなもんじゃないですか。別にどっちでもいいっす。刺さる言葉を残そうと思って喋ってるわけじゃないんで。うーん、心の中から出てきた、勝手に出てきた言葉だからね。
カク (聞き入る)
みのる TAKAYAMANIAって組織はみんな…5人ぐらいかな。それぞれ別の仕事を持って、無報酬で、みんながボランティアという形で参加して、利益を上げて、それをちゃんと税金の申告をして、それを髙山に届ける。その道筋を僕らで手分けしてやってるだけなので。ちゃんと法人ですよ。じゃないと、とんでもないことになっちゃいますからね。1回終わっても次のTAKAYAMANIAに向かってすぐには動けない。まずは終わったことのお礼を、協力してくれた人とか。電話やメール1本で終わるのはね、選手や知り合いだけですから。そうじゃない人もたくさんいるんで。年内はそれ(かかわった人たちへの『ありがとう』)をやって、年末ぐらいにそろそろ次に向かって動き出しましょうと。後楽園ホールとの話し合いもありますからね。
カク 髙山選手が「いろんなしがらみがあって集まれないけど、俺のところには集まってくれるから。本当ありがたいし、感謝してます」という言い方をされていました。

みのる まあそうじゃないですかね。あとは柴田(勝頼)がAEW以外に出るのはTAKAYAMANIAだけなんですよ。それを契約の中に盛り込んだらしいんで。TAKAYAMANIAだけ出たいと。
カク AEWとの契約の中に。そこは柴田選手の心意気ですよね。
みのる そうね。それでKENTAはノアの選手なんで。ノアとWWEには協力体制がある。KENTAはもともとWWEと契約していた。そことAEWの選手、基本的に並べられないんですよ。それを2人がクリアしてきてるんですよ。
カク WWEに筋を通して。
みのる 筋を通してって言い方もあれですけど。そんなに簡単なもんじゃないです。
カク 事前に話をしてる。
みのる だからそんな簡単なことじゃないです。『お願いします』って言ったら『うん、してもいいけど契約違反だよ』って。そんな世界。
HARASHIMAが初参戦 「DDTの初期からいるメンバーっているじゃん。特殊なもん持ってる」
カク 今回の大会は、柴田選手・KENTA選手の出場ならびにカードが発表される前に完売になりました。
みのる えっと、初日のメインイベントだけ発表して、あの状態で90%ぐらいは売れて。残りは1回全部なくなるんですけど、ローソンっていうのはね、引き換えのときにお金を払わないと自動キャンセルになって。ずっと出たり入ったりするんで。2か月前にはもうフルマークが確定。

カク 初参戦のHARASHIMA選手については、会見のときから『日頃の試合のクオリティが高い』というお話をされてました。実際に同じリングに上がって。
みのる アイツはよくわかんない。ひょうひょうとしてるから。でもDDTの初期からいるメンバーっているじゃん。HARASHIMA、アントーニオ本多、マッスル坂井、髙木三四郎、ヤス・ウラノ、男色ディーノといった…ちょっと特殊なもん持ってる。『アレ!?』っていう。30年ぐらい前にできて、他団体や格闘技がひしめく中でいまも生き残ってる。生き抜いてきた自信があるんだと思う。
カク なるほど。
みのる そこまで深く見なければ、ただのバカな連中ですよ。ただふざけて、プロレスをバカにしてるようにしか見えないんじゃないですか。同じ時間、プロレスの世界で俺、ずっーと見てきて、いまはたまたま同じリングに上がってるけど、『ん!?』って思うことが山ほどあるわけですよ。『あれあれ!?』って。ただのベテランじゃない。正直言うと、DDTプロレスっていうスタイルの、全員プロです。特殊な感じがありますね。うん、面白いですよ。
カク そうでしたか。
みのる けっきょく、なんだかんだ、俺も若いときからほら、藤原(喜明)さんが(カール・)ゴッチさんに習ったとか、UWFとかいろんなことやってきたけど、いまのこのフリーランスで生きてる、この時間が一番長い。23年、フリーで生きてる。一度たりともどこも『契約しましょう』と言ってこない(笑)。『断ってんですか』って言われるけど、来たことがない。一度たりともない。
カク まあ良くも悪くも!?
みのる でも、とある団体の社長と話をしてたら、『鈴木さんと交渉するときって、正直言うと、メジャー団体ひとつを相手にしているのと同じです。それぐらいの覚悟を持ってやらないと、自分らが潰される』と。まあ、そういう感じじゃないですかね。ひとことでフリーランスとかフリーとか言いますけど、20年以上生きてますからね。生きてるだけじゃなくて、僕、その間ずっとトップにいますからね。日本の。いつもどっかのベルトに絡んでやってますんで。なめんなよって(フリーランスTシャツには小さくNAMENNAYOって書いている。この日に新バージョン発売)。
カク 買って帰ろうと思います。
みのる フリーランスで在宅で仕事してる人とか、絵を描いてる人、字を書く人とかまあいるんでしょうけど、全員同じ気持ちみたいです。なめんなよって。それは全員思ってるんで。逆に団体の若手、インディー団体の若手なんかとよく一緒になることがある。選手がやらないでいいような仕事もやるじゃないですか。例えば会場を押さえるとか。選手の送迎するとか。ホテルの割振りするとか。チケット入力するとか。みんな手分けしてやってるんですよ。選手だけで食っていけるなんて本当に一部だけでね。もうみんな『めんどくさい』って言ってるんですけど『いつか自分を助けるから、ちゃんと覚えておいた方がいいよ』って。いつかその能力が自分を助けてくれる。
カク そうですね。
みのる 俺なんか何も知らなかった。フリーになったはいいけど。(所属としての)パンクラスミッションって名前はあったけど、パンクラスの方から『旗揚げメンバーが全員抜けることになる』要はマイナスしかないから『名前残してくれないか』って言われて。
カク そうだったんですか。
みのる だから契約してないですよ、本当に。それでPRIDEとかがバーンて上がったときなんで。名前を残してほしいていうのを当時に言われて。『はい、わかりました、お願いします』って。僕はずっとパンクラスを名乗ったけど、実質はフリーです。金銭的なやりとりがないです。
釣り談義からパイルドライバー誕生 「そしたら俺たち持ち出しないよな。ネットショップやんない?」
[みのるは支援金となるTシャツのシリーズから「TAKAYAMANIA GERMAN Tシャツ PINK」「”66 “Premium garment Dye T-shirt(髙山が生まれた年の1966年から66)」を手にした]

カク 現在ではパイルドライバーもされています。
みのる これはあれです、ムダを省いた結果です。店を持つこと自体が。フリーで活動してくとなって、Tシャツを自分でつくって自分で売ってたんですよ。そうこうしてるうちに佐藤光留がフリーのプロレスラーとしてデビューしたときに、2人で釣りしてた。霞ヶ浦で。いま俺たちが釣りしてる間、家の端っこにあるTシャツはゴミだよなって。これさ、送料を買った人が払えばいいんだよな。そしたら俺たち持ち出しないよな。『ネットショップやんない?』って始まった。
カク 釣り談義から生まれた。
みのる そうそう。『そしたらムダがないよね』って。普段は自分らはこれプロレスの会場に持っていってるんで。家にあるときに、ただの倉庫になるわけですよ。うん、それがもったいないと。そこが軌道に乗ったんで、ある程度でまとまってお金ができたんで店舗を借りた。『店をやっちゃおう』と。俺、試合以外はほとんどいますよ、ここに。
カク 頻繁に出られてますよね。
みのる 『本当にいるんですね』って言われるんですけど、俺の店だから。俺の金だし。『オーナーがいて雇われて何時から何時にいなきゃいけない』じゃないですから。いまもずっとここ(レジカウンター)に座りながら、秋冬の最後の仕上げをしながら、あと入力しながら。
カク この版下のデータをつくってる感じなんですか、パソコンで。
みのる デジタルデータですね。それを業者に渡して、Tシャツに刷るためのシートみたいなのをつくってもらうんで。そこに取り込むのに、どういうソフトのどういうバージョンのどういう形式だったら受け付けるよ、みたいなのがある。それに合わせてデータをつくって。もうすぐ構想10年の超大作が出る。
カク 超大作!! 年内ですか。
(みのるのテーマ曲は『風になれ』だが、風神・雷神の風神をモチーフにしたTシャツが出るとのこと。パソコン内の絵を見せていただいたが、インパクト抜群だった)
カク 楽しみですね。
みのる 続々といま、新しいのが。新しい冬に向けつつ、来期にも向けつつ。わかんない、もうきょう暑かったと思えば明日寒いですからね。ドライが売れんのにその前の日は『長袖ないですか』って。意味わかんない。
カク 一般的にプロレスで技が高度化してるみたいに言われ方するんですけど、TAKAYAMANIA大会を目にするとちょっと違うというか。基本技のぶつかり合いの方がむしろ面白い印象がありました。
みのる たぶんプロレスの見方が曲がってるんですよ。プロレスはどんどん変化しちゃうんで。若い選手にしてみたら『あんなん俺でもできるじゃん』。なんならプロレスやったことない人でも言うわけじゃないですか。『馬場なんて本当に強えの? 足出してるだけじゃん』。要は足出してるだけでも成立する世界つくるまでに何十年かかるんだという世界なんで。それで成立させたわけじゃないですか。そういうものも含めてなんで。じゃあ3回転、回ったやつが一番すごいのかっつったら、そういうわけじゃない。それも出すタイミングなんだろうし。いまTAKAYAMANIAを支えてくれてる40代50代の人たち。髙山が20年ぐらい前に活躍してた。このPRIDEとプロレスを掛け持ちでやってたとき、あれを見てたファンというのはすごく多いので。その人らにしてみたら、どっかで時計の針が止まってるときはあるのかもしれないですけどね。関係ない、うん。俺がいまやってんのは別に、古臭いことやってるわけでもなく、ただ、いま現在の鈴木みのるのプロレス。ってことは最先端ってことなんだけどね。
カク 大会をあらためて見ていて、コンディションとか間合いとか、すごい大事なんだろうなって感じはしましたね。瞬発力というか。
みのる 俺は今年58なんで、この歳だからできるやり方があることを、やっぱり実際、自分では気づいてますよ、ちゃんと。同じことをたぶん武藤さんも気づいたなと思います。ウルティモ・ドラゴンと話をしたときも同じことを言ってた。(獣神サンダー・)ライガーはバカだから気づいてなかった。だからスタイルなんですよ。そこに違いがあるんですけど。
TAKAYAMANIAの活動へのご寄付のお願い
カクトウログはTAKAYAMANIAの活動(欠場・リハビリ中の髙山善廣支援)に賛同し、支援グッズご案内のほか、ご寄付のお願いをしています。

【支援グッズ購入サイト】
[TAKAYAMANIA OFFICIAL ONLINE STORE]
【銀行振込でのご寄付】
三菱UFJ銀行
代々木上原支店(店番号137)普通預金 0240842
口座名義「TAKAYAMANIA タカヤマニア」
みずほ銀行 渋谷中央支店(店番162)普通預金1842545
口座名義:TAKAYAMANIA タカヤマニア
三井住友銀行 渋谷支店(店番654)普通預金9487127
口座名義:TAKAYAMANIA タカヤマニア 代表 高山奈津子
※通帳は髙山選手の奥様がお持ちになられています。
以前より、クレジットカード等でご寄付をいただいておりました、「コエトドケ。」ですが、
「コエトドケ。」のお客様サポート及び集計業務を運営代行業務がペイリンクス株式会社に委託されることになりました。
それに伴い「コエトドケ。」での継続寄付停止などの申請がフォームより行えることになりました。
現在、ご寄付をいただいております方で、継続をご希望される方は、特に新しい手続きは必要ありません。
コエトドケ。《 継続寄付停止などの申請 》
継続寄付停止などの申請を行いたい方は上記リンクより手続きを行ってください。






















