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蹴撃ラリーの向こう側 中嶋vs.拳王が20周年初日に見せた未来型ノア

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 2000年8月5&6日にディファ有明で旗揚げしたノア。悲劇やスキャンダルに見舞われ、何度も沈みそうになりつつもハタチ到達という奇跡を迎えた。2020年8月4&5日に組まれた後楽園ホール2連戦、その初日を会場にて観戦。

ノアといえばチョップ合戦!? いやこれを見ろ、中嶋の空手流、拳王の日本拳法流で蹴撃戦

 2日目となる5日に潮崎豪vs.丸藤正道GHCヘビー戦が予定され、壮絶なチョップ合戦は必至。後楽園2連戦の解説についた小橋建太という存在もあり、ノアの歴史にはチョップがあると言ってもいい。だけれども異を唱えるように、4日、中嶋勝彦vs.拳王が蹴撃戦を繰り広げた。

2020年08月04日 火 DEPARTURE 2020 day1 プロレスリング・ノア公式サイト PRO-WRESTLING NOAH OFFICIAL SITE

■プロレスリング・ノア DEPARTURE 2020 Day1
日時:8月4日(火)18:30
会場:東京・後楽園ホール 観衆=未発表

<シングルマッチ>
〇マサ北宮
(9分14秒 スピアー→エビ固め)
●齋藤彰俊

<タッグマッチ>
●仁王
覇王
(10分32秒 クロスフィックス)
岡田欣也
〇HAYATA

<タッグマッチ>
●稲村愛輝
征矢学
(13分30秒 顔面蹴り→片エビ固め)
モハメド ヨネ
〇谷口周平

<6人タッグマッチ>
YO-HEY
タダスケ
〇原田大輔
(14分55秒 首固め)
吉岡世起
大原はじめ
●小峠篤司

<プロレスリング・ノア20周年記念試合>
鈴木鼓太郎
清宮海斗
●潮崎豪
(27分45秒 パーフェクトキーロック)
小川良成
杉浦貴
○丸藤正道

<GHCナショナル選手権試合>
〇[挑戦者] 拳王
(24分45秒 右ハイキック→レフェリーストップ)
●[第2代選手権者] 中嶋勝彦
※中嶋が3度目の防衛に失敗、拳王が第3代選手権者となる

 メインとなったGHCナショナル選手権試合。中嶋の空手流キック、拳王の日本拳法流キックがエンドレスに続く。「痛みが伝わる」というのがプロレスのスポーツとしての特殊性だが、レガースが奏でる音は観客を震撼させた。音を正確に文字で表せるものではないが、「パンッ」というのがいつもなら、この日は「ズシッ」であるように感じられた。

 基礎があるうえに気持ちが乗っかってプロレスとしての攻防ができあがる。中嶋のヴァーティカル・スパイク、拳王のP.F.Sがともに繰り出されるもカウント2で決着つかず。打撃戦には張り手や掌打も織り交ぜられるが、やはり最後の決着は蹴り。拳王が雄叫びからの右ハイキックを見舞うと、中嶋は起き上がってくることはなかった。

中嶋と拳王の“いつもの”蹴撃ラリーとは違う ナショナル王座戦にあった意外な攻防

 中嶋と拳王の“いつもの”蹴撃ラリーというと、高速かつリズミカルなキック合戦となる。2019年9月の一戦もそうだったし、この試合を決定づけたタッグマッチでの攻防もそうだった。説得力とスピードを伴った2人のキック合戦は、業界随一でもある。その“名物”を見たい欲求も観客にはあったはずだ。

 ところが様子が違った。打ち合うラリーとならない。気丈に「受け流す」もしくは「悶絶する」。一発一発にいつも以上に気持ちが込められていたのだろう。偶然の産物としてこうなったのか、言葉にせずともクリエイトしたい闘いが合致したのか、それはわからない。

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 団体における闘いはアップデートしていかなければならないもので、そのプロセスを見届けることがファンにとっては醍醐味だ。新日本プロレスを退団する前の柴田勝頼が2004年、中邑真輔と闘った試合を思い出した。旧来のプロレスを脱するという次世代の意志があってこそ、プロレスは継承されていくものであるから。

「お祭り」より「闘い」の20周年 戦闘型プロレスの拳王「そこまで連れていってやる」

 いわば戦闘型プロレスとでもいうのだろうか。中嶋にせよ拳王にせよ、誰を相手にしてもこのタッチで試合ができるものではないだろう。拳王は桜庭和志とのタッグ戦でもスリリングさを見せたし、対戦要求継続中の田村潔司とも“そういうもの”を目指しているのかもしれない。

拳王「やっぱりな、俺も含めてここいいるクソ野郎ども、まだまだ生活はぎこちないよ。制限あるよ。だがな、少しでも少しでもいいんだよ。完全にちゃんとな、日頃の行いをしっかりして、プロレスを観に来いよ。プロレスを観に来てな、少しでも気を紛らわしてくれ。そのために、俺は命を懸けて戦うんだ! そして、ゆくゆくは俺の夢、そしてテメーらの夢、そこまで連れていってやるからな。おい、テメーらクソ野郎ども。これからはな、拳王、俺に…ついてこい」

 拳王の行間に様々な思いが溢れ出す。観客数は未発表となった。

 ワンランク上の観客数を入れられる座席仕様だったが、平日でもあり、数値上の感染者数の膨らみもあり、覚悟を決めたファンだけが来場した感もあった。観戦を促す拳王も「少しでも少しでもいいんだよ。完全にちゃんとな、日頃の行いをしっかりして、プロレスを観に来いよ」とメッセージ。

 そして改めて「ゆくゆくは俺の夢、そしてテメーらの夢、そこまで連れていってやる」と日本武道館進出を掲げる。結成1年3か月で初タイトルとなった「金剛」も新章突入なるか。拳王には鈴木秀樹との“続き”にも期待したいし、ケンドー・カシンともしっかりやり合ってほしい。

 この日のメインは「ドッカンドッカンとシーソーゲームで沸かせたうえでのカウント2.9の攻防」というものとはまた違う。半歩現実半歩未来の範疇でありつつ、中嶋と拳王のアプローチはいい意味での「観客突き放し」があって面白い。

 「お祭り」より「闘い」の20周年。中嶋と拳王の試合にはそれがあったと思うし、ボクにとっては4日はノア有観客再開後で最大にアドレナリンが出た興行となった。



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