大岩陵平「高め合っていこうぜ」上村優也とのニュースタンダードG1制す
新日本プロレス「G1 CLIMAX 36」(16日、両国国技館)優勝決定戦。デビューから4年11か月の大岩陵平が上村優也を破り、G1初優勝を成し遂げた。
棚橋弘至「十分すぎる人材」発言を証明――“令和闘魂三銃士”不在でも史上初「90年代以降生まれ同士」決勝
派手な大技の連発も必要なかったし、空中殺法も最小限と言えるものだった。それでも両国国技館は最後まで沸き続けた。だからこそ、不思議な感覚に見舞われる。「大岩のG1制覇」と受け止めるだけではなく、試合そのものの「ニュースタンダード」が勝利したと捉えられるのではないかと。
7月29日、大阪大会。SANADAを破った大岩は、自らの必殺技「ビッグロック(ヘッドロック)」について「これもまあ、ニュースタンダードの1個なのかなって…。これも、プロフェッショナル・レスリングの一つだ」と語った。


その言葉通り、決勝でも大岩は序盤からビッグロック。上村はリストロックで対抗した。序盤だけに出す「つなぎ」ではない。終盤までビッグロックとリストロックにこだわり続けた。アームドラッグを狙い合い、空中でぶつかり合う。オーソドックスなレスリングの攻防なのに、いつ決着がつくかわからない緊張感に観客は興奮した。
上村がカンヌキスープレックス、シャイニング式エルボードロップ。ライオンズシャイナーを狙えば、大岩がかわす。大岩も天山スープレックスからTHE GRIP。そして満を持してビッグロックへ。上村は耐えに耐えた。しかし、やがて力が抜けるように崩れ、レフェリーが試合をストップした。大岩陵平、G1初優勝。
新日本プロレス復興の過程には、1月に引退した棚橋弘至による「プロレスをポップなものにする」という側面があった。飛んだり跳ねたりする派手なプロレスが主流になったのも、観客のニーズに応えた結果だろう。
ただ、その一方で「闘い」としての没入感や、技一つに込められた説得力が薄れた部分もあったのかもしれない。そこに上村と大岩は、原点から答えを出した。ヘッドロック、リストロック、アームドラッグ。プロレスの基本ともいえる技術を徹底して突き詰める。温故知新でありつつ、培われた技術と「闘い」の思想が結実していた。新日本プロレスを自分たちの世代で組み直したのだ。

2025年には、大岩から「僕のスタイルと上村のクラシカルなプロレスは噛み合う」旨、上村からは「最近の新日本プロレスにはなかったもの、“新しい次”を大岩とだったら見せられる」旨が出されている。派手な大技合戦とは一線を画し、レスリングの攻防、技術、間、感情で見せる――上村と大岩が“ニュースタンダード”を競い合っている。
とりわけヤングライオンとしては異例の国内武者修行を経ている大岩が興味深い。ノアでの経験を含め、自分のプロレスを探しつづけた時間があった。そして、いつしか「自分はこう闘う」という信念が、レスラーとしての輪郭を形づくっていった。
これまで最短だった後藤洋央紀のキャリア5年0か月でのG1制覇を、4年11か月で更新。わずか1か月の差ではあるが、それは大岩がこれまで歩んできた時間の濃密さを物語る数字でもある。
試合後、大岩は上村にマイクで「高め合っていこうぜ」と呼びかけた。倒すだけのライバルではない。互いの技術を引き上げ、その先に新日本プロレスの次のスタンダードをつくっていく。原点ともいえる技を最後まで貫くだけで、両国国技館を揺らすことができる。
どこかで「ニュースタンダードなんてできっこない」と思っていたオールドファンもいたはずだ。だけれども、大岩がG1公式戦から紡いで両国に着地した盛り上がりには無限の可能性を感じずにはいらけなかった。この夜は、原点が「ニュースタンダード」になった瞬間だったのかもしれない。

棚橋は引退発表会見で、「十分すぎるくらいの人材が凄くいる」と語り、「過去最高の新日本プロレスを目指せる」とした。その言葉を、上村と大岩がG1優勝決定戦という舞台で実証した――。そう捉えてもいいのかもしれない。
2023年6月30日、新日本プロレスは海野翔太、成田蓮、辻陽太を「令和闘魂三銃士」として打ち出すことを発表した。その3年後、今回のG1優勝決定戦のリングにその3人はいなかった。3人の価値を否定する話ではないが、「どんなプロレスをしたいのか、何を受け継ぎ、何を変えていくのかという思想と意志」はプロモーションを越えていく。
もちろん“令和闘魂三銃士”勢も黙ってはいないだろう。新世代の競い合いにより令和の黄金時代がつくられていったとき、真の意味での「十分すぎるくらいの人材」となるに違いない。
■新日本プロレス 新日カードランブル presents G1 CLIMAX 36(決勝戦)
日時:8月16日(日)15:00
会場:東京・両国国技館 観衆7260人(主催者発表)
[大会リアルタイム速報]
<第8試合/「G1 CLIMAX 36」優勝決定戦>
〇大岩陵平
35分10秒 ビッグロック
●上村優也
※大岩がG1初制覇
(マイク)

大岩陵平「予選から優勝してビッグドリームつかみました!! 俺と上村優也は一生ライバルだ。これからも新日本プロレスのために高め合っていこうぜ。解説席にいる天山(広吉)さん、自分昨日はセレモニー、TMDK行けなかったんですよ。だから今日はこうやって天山さんの目の前で優勝をつかんで、俺はめっちゃ幸せです。ありがとうございます。今年のG1クライマックスは今日で終わってしまいましたが、みなさん熱かったですか。シカゴから始まって日本中駆け巡ってここ両国で熱い夏も終わりますが、俺がG1チャンピオンだ。もっと熱い新日本プロレスにご期待ください。ま・ず・は10月の両国でIWGP俺が挑戦して必ずつかみます。俺が令和の夏男、THE GRIP大岩陵平だ!!」

















