4年間大会でのベストバウト獲得は58% 中野たむとは何だったのか前編
2025年4月27日、上谷沙弥との「敗者引退マッチ」に敗れ引退。宇宙に煌めく“たむロード”を完結させたスターダム・中野たむを、引退イヤーラストにふり返っておきたい。「中野たむとは何だったのか」を問う前編。
(写真はカクトウログ撮影)
アイドル出身からくる先入観を覆す。2021~2025ビッグマッチ33大会中19大会で出場試合が1位
女子が男子に並んで話題となるようになった。「女子は男子よりも元気がいい」とも言われる近年の日本プロレス界。コロナ禍前には業界としての確かな予兆があり、2019年10月17日には女子団体スターダムがブシロード傘下となった(スターダム獲得はWWE側も検討したと思われる)。
そのスターダムで中野がトップ一角に立ったのは、スターダム10周年興行としての2021年3月4日・日本武道館大会。メインでジュリアを破りワンダー新王者となる。敗者髪切りマッチという趣向とともに多くのファンに注目された一戦。前後して中野は白川未奈、ウナギ・サヤカとともにCOSMIC ANGELSを結成する。2020年12月16日に3人で戴冠したアーティスト王座は2021年7月6日に7度目防衛を果たしている。
「中野たむとは何だったのか」を問う中で外すことができないのは、驚異的な大会ベストバウト獲得数である。
2021年6月12日・大田区総合体育館~2025年4月27日・横浜アリーナ
ワールド戦開催33大会中
19大会で中野の試合が1位(58%)
22大会で中野の試合が2位以上(67%)
※カクトウログにおけるスターダムのベストバウト投票(3試合選択)は2021年6月12日・大田区より開始。対象はワールド戦実施大会(後楽園除く)。
【スターダム大会ベストバウト一覧】
※投票開設から中野引退まで。
2021年
6月12日 大田区 林下詩美vs.朱里
7月4日 横浜武道館 ★中野たむvs.上谷沙弥
10月9日 大阪城ホール ★中野たむvs.岩谷麻優
11月3日 川崎とどろき ★中野たむvs.ウナギ・サヤカ
11月27日 代々木第二 ★中野たむvs.白川未奈
12月29日 両国国技館 ★中野たむvs.上谷沙弥
2022年
1月29日 愛知県体育館 岩谷麻優vs.ジュリア
3月26日 両国国技館 ★岩谷&KAIRIvs.中野&ウナギ
3月27日 両国国技館 ★中野たむvs.上谷沙弥
4月29日 大田区総合 AZMvs.駿河メイ
5月28日 大田区 ★KAIRI&中野vs.林下&天咲
7月9日 立川 ★コズエンvs.DDM
7月24日 名古屋国際 ★朱里vs.中野たむ
8月25日 愛知県体育館 ★コグマ&葉月vs.中野たむ&なつぽい
11月3日 広島サンプラザ 上谷沙弥vs.白川未奈
11月19日 大阪府立体育会館 朱里vs.林下詩美
12月29日 両国国技館 朱里vs.ジュリア
2023年
2月4日 大阪府立 ジュリアvs.鈴季すず
3月4日 代々木第二 上谷沙弥vs.葉月
4月23日 横浜アリーナ ★ジュリアvs.中野たむ
5月27日 大田区総合 ★中野たむvs.白川未奈
8月13日 大阪府立 ★中野たむvs.メーガン・ベーン
10月9日 ドルフィンズアリーナ ★中野たむvs.刀羅ナツコ
2024年
2月4日 大阪府立 星来芽衣vs.葉月
3月20日 名古屋国際 ★中野たむvs.ジュリア
4月27日 横浜BUNTAI 岩谷麻優vs.Sareee
6月22日 代々木 Queen’s Quest vs.大江戸隊
7月28日 札幌シャトレーゼ 舞華vs.刀羅ナツコ
8月31日 武蔵野の森 決勝 舞華vs.上谷沙弥
9月14日 エディアリ大阪第1 ★中野たむvs.舞華 ※なつぽいvs.葉月と同数1位
10月5日 愛知県体育館 ★中野たむ vs.鈴季すず
12月29日 両国国技館 なつぽいvs.スターライト・キッド
2025年
4月27日 横浜アリーナ ★上谷沙弥vs.中野たむ ワールド
2021~2025年のワールド戦実施ビッグマッチは33大会。このうち19大会で中野の試合が1位(58%)、22大会で中野の試合が2位以上(67%)と圧倒的な数字を残す。
オーソドックスな力比べから入ったと思いきや、キックやダイビングで相手を翻弄。さらには身のこなしで相手の技をかわし、場外での破天荒な仕掛けを繰り広げる。壮大絵巻となった試合の最後を美しいスープレックスで締める。まるで試合後の余韻まで提供するように、そのブリッジを3カウント後もしばらく解かないこともあった。
だからこそ中野の試合はプロレスファン歴を越えて愛され、男女に共通するプロレスの魅力が満ちていた。言い換えれば、試合そのものでアイドル出身からくる先入観を覆しつづけたのではなかろうか。(この点については次回以降でも検証予定)
「中野たむvs.上谷沙弥」は4度ベストバウト獲得。2024年末・両国での一戦はベストバウト選外に
2025年4月27日、上谷との「敗者引退マッチ」に敗れ引退となった中野。この顔合わせは4年間で4度、大会ベストバウトを獲得している。上谷にとっての成長の節目に中野がいて、中野にとっても力の入る一戦であったことは間違いないだろう。
意外なことに、2024年12月29日・両国国技館での「中野たむvs.上谷沙弥 ワールド戦」は同大会ベストバウト投票で3位。上谷が負傷かと思わせてからの勝利となり、賛否が見られた試合ともなった。中野・上谷ともに人気があっても、ファンには「試合評価はまた別物」という構えがある。

それだけシビアな目を持つファンを、試合内容によって振り向かせてきた中野。間違いなくスターダムで抜きん出た存在だったのだ。
[中編はこちら:「好きなプロレスラー」で史上初の男子越え 中野たむとは何だったのか中編]


















中野たむ プロフィール
出身地 愛知県安城市
身長 157cm
体重 50kg
デビュー戦 2016年7月18日、新木場1st RING(vs安納サオリ)
得意技 トワイライト・ドリーム、バイオレット・スクリュー・ドライバー、タイガー・スープレックス・ホールド
来歴
アイドル活動を経て、2016年にアクトレスガールズでデビュー。翌年、スターダムに入団。当初は大江戸隊に属していたが、追放処分となりSTARSに加入。2020年11月、白川未奈&ウナギ・サヤカとSTARSの内部ユニットCOSMIC ANGELSを結成。のちに独立ユニットとして始動。2021年3月3日、日本武道館の10周年大会のメインで、因縁のライバルであるジュリアを破りワンダー王座を初戴冠。2023年4月23日の横浜アリーナ大会では史上2人目の“赤白二冠王者”に君臨。同年のプロレス大賞で女子プロレス大賞に輝いた。
2025年4月27日、上谷沙弥との「敗者引退マッチ」に敗れ引退。















